アナザーストーリーズ「吉田沙保里が負けた日~最強伝説の真実~」たった一度の負けから得たものは?…



出典:『アナザーストーリーズ「吉田沙保里が負けた日~最強伝説の真実~」』の番組情報(EPGから引用)


アナザーストーリーズ「吉田沙保里が負けた日~最強伝説の真実~」[字]


女子レスリング吉田沙保里。前人未到の個人戦206連勝が止まったリオデジャネイロオリンピック決勝。吉田と世界のライバルが振り返る。たった一度の負けから得たものは?


詳細情報

番組内容

たった一度負けたことが、これほど話題になる選手はいるだろうか?15年間、個人戦無敗だった女子レスリング吉田沙保里。4連覇を目指したリオデジャネイロオリンピックで破れた!今回、吉田を倒したアメリカのマルーリス、吉田の負けを試合前から予感していたという長年のライバル、バービークが貴重な証言!そして吉田はあの負けをどう振り返るか?あまたの勝利ではなく「たった一つの負け」から浮かび上がる最強伝説の真実!

出演者

【司会】松嶋菜々子,【語り】濱田岳



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アナザーストーリーズ「吉田沙保里が負けた日~最強伝説の真実~」
  1. 吉田
  2. 実況
  3. オリンピック
  4. 彼女
  5. マルーリス
  6. 選手
  7. タックル
  8. 金メダル
  9. 決勝
  10. サオリ
  11. レスリング
  12. 試合
  13. 自分
  14. 連覇
  15. バービーク
  16. 吉田沙保里
  17. ヘレン
  18. 女子レスリング
  19. ロンドン
  20. 日本


『アナザーストーリーズ「吉田沙保里が負けた日~最強伝説の真実~」』の解析用ソース(見逃した方はネタバレ注意)


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(実況)残り2秒! いけ!

吉田 無念 敗れた!

金には届かなかった。

…たった1度。
たった1度 負けたことが

これほど話題になる選手はいるだろうか?

女子レスリング…

(解説)そう いいですね。
(実況)さあ タックルに入った!

これは いいタックルだ!
日本 吉田 金メダル!

レスリング女子 初の金メダルを
獲得しました!

(実況)両肩をつければ 両肩をつければ…。

(解説)やりました フォールです
フォールです やりました!

(実況)2大会連続の金! で
世界一を北京のマットで証明!

(実況)さあ きた! 吉田沙保里きた!
タックル!

(実況)
勝った~! やはり吉田は強かった!

笑顔の3連覇 吉田沙保里!

このロンドンのメダルが
見たら一番大きいんで うれしいです。

…という
前人未到の記録を打ち立てて臨んだ

4度目のリオデジャネイロオリンピック。

まさかの敗戦に 日本中が驚いた。

(実況)吉田 無念 敗れた!

衝撃の展開は なぜ起きたのか?

今回 同じ舞台で戦った

世界のライバルたちが証言。

誰も私を止められない。

私は決勝に進んで サオリと戦い
金メダルを取る そう思っていたわ。

私は 彼女がオリンピックで
負けることがあるとすれば

あの大会だと思っていました。

(実況)4連覇へ向けて…。

(笛の音)
(実況)今 笛が鳴りました。

そして今 本人が抱く思いは…。

勝って 勝って 勝ち続けてきた
吉田沙保里。

そのあまたの勝利ではなく たった1つの
「負け」から浮かび上がる最強伝説の真実。

♬~

運命の分岐点は…

リオデジャネイロオリンピック
レスリング女子 53kg級 開催の日。

決勝 吉田選手は
トータルスコア1-4で

アメリカ マルーリス選手の前に
敗れました。

それまで 実に15年間。

206試合もの間
ひたすら勝ち続けてきた彼女。

日本に優れたアスリートは
数多くいますが

彼女ほど「勝って当たり前」と
思われてきた選手は

いないかもしれません。

だからこそ…。

あの敗戦には 日本中が衝撃を受けました。

第1の視点は 吉田選手自身。

去年 引退。
この試合が 現役最後となった彼女。

本人にしか分からない
戦いまでの心の葛藤を

今回 包み隠さず語ってくれました。

日本が生んだ 世界一のアスリート
吉田沙保里。

たった1度の敗戦から浮かび上がる
プライドと覚悟に迫る

アナザーストーリー。

東京オリンピックに向け
多くの選手がトレーニングに励む…

(取材者)よろしくお願いいたします。
お願いしま~す。

かつて吉田も
ここで厳しい練習を積んだ。

オリンピックにかけた思いを聞くと
いまだ現役のような言葉が返ってきた。

勝つためにやってますし
金メダルを取るしかないので

私たちのレスリングは。

去年 カメラ60台 200人もの記者が集う中
引退会見を行った吉田。

改めて自分自身と向き合った時に

レスリングは もう全て
やり尽くしたという思いが強く

引退することを決断いたしました。

その言葉は 決して過言ではない。

彼女はありとあらゆる戦いに勝つことで

「女子レスリング」という種目そのものを
大きく花開かせてきた。

元日本代表の父が教える教室で
兄たちと共に

3歳からレスリングを始めた吉田。

平日は毎日練習。 休日は ほとんどが
試合というレスリング漬けの毎日…。

(取材者)将来の夢は?
世界チャンピオン。

幼少期から圧倒的な成績を誇り

世界ジュニア選手権も2連覇した。

(取材者)
やめたいと思ったこととかはないですか?

何回もありますけど 優勝すると やっぱり
続けてよかったなぁって思います。

ただ当時 世間では ほぼ無名の存在。

オリンピックに女子レスリングはなく
もっぱら「男子の種目」と思われていた。

そんな彼女の転機となったのは 2001年。

女子レスリングが オリンピックの
正式種目に決定したのだ。

すごくうれしかったというのと同時に

代表にならないと 私はオリンピックに
行けないっていう気持ちに

またこう ステップアップっていうか

ライバルを倒さないといけないっていう
思いにすぐなりました。

「オリンピックに出る」
新たな目標を得た吉田。

まさにこの年から 前人未到
個人戦 206連勝の道のりがスタートする。

(実況)試合終了!
吉田沙保里 女子55kg級を制しました!

連勝の原動力は なんと言っても
必殺の「タックル」。

予備動作の少ない吉田の超高速タックルは
一瞬の隙を見せたらもう 終わりだ。

そんな「タックルの女王」吉田の名が
世界に知れ渡ったのは

2004年 アテネオリンピック。

(アナウンス)Japan!

日本での熾烈な代表争いを勝ち抜き
出場を果たした吉田。

次なる目標は もちろん…。

まず出場することは叶って
やっぱり金メダル

メダルを取ることが
またその次の…。

(実況)さあ そして いよいよ
これから 55kg級決勝戦です。

順調に勝ち上がった当時21歳の吉田。

女子レスリング55kg級

栄えある初代金メダリストを目指し
決勝に臨んだ。

(実況)相手に飛び込んでいく機会を
うかがっている この吉田沙保里。

タックルにいった!
(解説)いいタイミングですね。

そう いいですね あの入りがね。
(実況)さあ タックルに入った!

これは いいタックルだ!

伝家の宝刀「タックル」が さえ渡る。

(実況)さあ金メダルまで 10秒を切った!
またタックルだ!

試合終了! 日本 吉田 金メダル!
21歳の夏。 吉田 アテネで金メダル!

ここまで個人戦 実に52連勝。

すぐさま4年後の北京オリンピックでの
連覇を目指すと宣言した。

まだできるというか またこのうれしさを
味わいたいという思いもありましたし

私は 本当にレスリングだけできたので
レスリングしかないと思ってたので

まだまだ やれるなっていう気持ちですね。
で まだ戦いたいというのと…

そう アテネの勝利は
序章にすぎなかった。

こののち 国内 海外で
更に連勝街道を ばく進。

結果的にリオオリンピックまで15年間
「個人戦」では 無敗を誇った吉田。

…だが実は 2008年
北京オリンピックの半年前

ある痛い「黒星」を喫していた。

外国人に負けたのが
そこが初めてだったので。

何だろう?
もう 頭が真っ白になりましたし…

自分としては。

個人戦とは別に
国別対抗で行われる団体戦。

日本チームの一員として出場した
吉田は 判定負け。

当時 吉田の連勝記録は 個人戦も団体戦も
合わせてカウントされていたが

その記録は 「119」でストップした。

「119」…。

それも1月19日だったんですよ
負けたのが。

119連勝で1月19日生まれの人がコーチで
セコンドについてて…

で 出発の10日ぐらい前かな…
119の1日消防署長もやってるんですよ。

ほんとに119にとらわれた日で。

しばらく負けてから北京までぐらいの間に
パッと見たら1時19分とかね

119というのを なんかこう
見ることが多くて

怖っと思ってたんですけど。

1つの負けが持つ意味が
他の選手とまるで違う吉田。

新聞も一面に「吉田 負けた」
みたいな感じで出てたので…

起きて すぐ目に見えるところに
飾っておけば

この悔しさを忘れないっていう。

思い出して クソって思わして
また頑張るっていう。

頑張らさせるみたいな。 はい。

全然飾ってないですね。
逆にもうどこにいったかみたいな。

迎えた 北京オリンピック。

オリンピック直前の まさかの敗戦に
マスコミは連覇を不安視したが…。

(解説)片足を取ったり 体重のかけ方…
やあ いいタックルですね!

(実況)きた! 完璧に入った!

(実況)さあ 吉田構えた 入った!

(実況)最後に大技で決めた!

決勝でも 地元・中国の選手を圧倒。

(解説)ああ いいタックルですよ!
(実況)ポイントにはなります。

(解説)あ 押さえてますよ。
(実況)
さあ フォールにいく フォールにいく。

相手選手の両肩をつける
「フォール勝ち」で圧勝。

(実況)やりました! フォールです!

やりました! 2大会連続の金!

半年前の「負け」の雪辱を
最高の舞台で果たした。

オリンピックの前に
負けを経験したことで

「このままではダメだよ」っていうふうに
神様が教えてくれてるというか

ちゃんと本番ではしないといけない
というふうな。

特別な 特別な金メダル。

2012年のロンドンオリンピックでも
勝利した吉田。

男子レスリングの
ロシア カレリン選手が持つ

オリンピック3連覇の記録に並ぶ。

世界は「絶対に負けない戦士」と称賛した。

ほんの10年前までは ほとんど
知られていなかった女子レスリングは

吉田の活躍に牽引され
一躍 人気スポーツに。

選手を目指す子どもたちも続々と現れる。

国民栄誉賞にも輝いた吉田。

だが本人は 名誉や人気に
安住することはなく

前にもまして 厳しい練習を続けた。

前人未到 4度目の金メダルを目指して。

私が1位は取ってますけど それはもう
終わったら過去の話なので 私の中では。

もう試合終わったら次
試合終わったら次という感じで はい。

一個一個ですね。 なので ここまで
上り詰められたかなっていうふうに。

一回リセットするので。 はい。

自分を磨いて
練習をすれば

自分の弱いところを磨けば強くなるとか
そういう思いで…

だが周囲は 彼女を
ほうっておいてはくれない。

特にリオオリンピックまでの4年間

彼女には「選手」としてだけではない
多くの責任が課せられていた。

2013年 国際オリンピック委員会が
2020年以降のレスリング種目中止を検討。

吉田は日本選手を代表し 種目存続のため
日本 そして世界を飛び回った。

活動が功を奏し 無事継続したが
練習の機会は かなり制限された。

まあ1週間 しょうがないと思って。 はい。

まあ 私が行くことで 除外されない

しっかりこう… ね
レスリングまた残るって思えば

そんなうれしいことはないので。

リオ直前には 選手団の主将にも就任。

選ばれたことを誇りとし
自覚と責任を持ってリオに向かいます。

…というジンクスがある中
引き受けた吉田。

それどころか…。

覚悟を持って 前人未到の4連覇を
絶対にしたいと思います。

ずっと優勝しかないっていうふうに思って
きてますし。 4連覇 もう絶対したい。

4連覇を公言し続けた。 その理由は。

自分にプレッシャーを
かけるじゃないですけど…

そこを言い切らないと。

(取材者)かっこいいですね。
いえいえ。

できないことは
あまり言わないじゃないですか。

でも言ったからには
絶対にやらないといけないっていう。

かくして臨んだ リオオリンピック。

試合6日前に現地入り。

練習は十分 負ける予兆など
外からは みじんも うかがえなかった。

試合4日前の会見でも。

油断をすることなく これまで
やってきたことを全部出し切れば

大丈夫かなというふうに思ってるので
4連覇に向けて頑張りたいと思います。

だが実は 試合前日。

意外な「不安」に襲われていたことを
今回 吉田は初めて明かしてくれた。

…って思ったんです。

多分その一瞬 思った瞬間に
全然ロンドンと違う。

今思えば そうだなって。

4年前のロンドンオリンピック。

吉田は 開会式の旗手を務めたため
初日から現地入り。

長い調整を強いられ
絶不調に陥った。

ほんとに自分も ほんと…

…と言って こうやって
お願いしてたんですけど

前日に2人が 伊調 馨選手
小原日登美選手が金メダルを取って

あっ この2人が取れたってことは
私もあした取れるって思えたんですよ。

で そのメダルを 選手村で
金メダルを見せてもらったんですね。

で 大きくて アテネ 北京に比べたら
ロンドンのは すごい大きくて重たくて

あっ 私もこの金メダルが欲しいと思って
何をしに ここに来たんだって

あっ 3連覇をしに来たんじゃないか
っていうふうに思って…

実は リオでも同じ展開があった。

吉田が出場する前日に
登坂 土性 伊調の3人が金メダル。

…だが。

ロンドンみたいに
あっ 3人取ったじゃん すごい

私もいこうって思えば
よかったんですけど…

大丈夫かなって
心配になってるってことは もう

取れるのかなっていう…

多分その一瞬 思った瞬間に
全然ロンドンと違う。

今思えば そうだなって。

う~ん 何でか分かんないですね…。

本人でも説明がつかない
「予想外」の不安を抱えたまま

迎えた 運命の日。

不安をひた隠しにしながらも…

準決勝と勝ち進んだ吉田。

(実況)決勝に進出を決めています!

すぐそばで もう一つ
「予想外」の展開が起きた。

オリンピック3大会出場

吉田と決勝で戦う大本命と目されていた
マットソンが

まさかの準決勝敗退。

吉田の いや ほとんど全ての人の
予想を裏切り 決勝に進んだのは

オリンピック初出場のダークホース。

吉田より9歳年下の…

心に予想外の不安を感じながらも
決勝に進んだ吉田選手。

第2の視点は その決勝の対戦相手。

アメリカ ヘレン・マルーリス選手です。

幼い頃からずっと吉田選手に憧れ続けた
彼女。

一体どんな気持ちで挑み
そして結果 勝ったのか。

今回 その「秘密」を
特別に明かしてくれました。

世紀の番狂わせの裏の真実に迫る
アナザーストーリー。

アメリカ・コロラド州…

国立トレーニングセンターでは
多くの選手が

東京オリンピックに向けて
練習を積んでいる。

彼女も その1人。

一見にこやかに見えるが 吉田との戦いに
臨んだ覚悟は 誰にも負けないものだった。

大抵の選手は 彼女の圧倒的な成績を前に
縮こまってしまって

自分のスタイルが出せなくなってしまう。

でも せっかくサオリと戦えるのなら
自分の100%を出せなければダメ。

おびえるくらいなら
戦わない方がマシだと思います。

7歳の時 弟と共にレスリングを始めた
マルーリス。

もともと両親は
弟にレスリングをやらせたくて

私を弟の練習台にしたんです。

でも試合に出るのは弟だけ。

「ずるいよ。 私も試合に出たい!」って
言ったら

父が「もし男の子の試合に出て勝てたら
続けてもいいぞ」って。

それで 試合に出たら
みんな投げ飛ばして 優勝したんです。

で レスリングを
続けられることになりました。

聖火が点火されました!

レスリングを続けて6年。

13歳の時 テレビで見た
アテネオリンピック。

マルーリスの目をくぎづけにしたのは。

アメリカの選手も出ていたけど
私は彼女に夢中。

彼女の試合を全部見たんです。

どうやったらこんなに強くなれるの?って
知りたくてしかたなかったから。

(実況)さあ タックルに入った!
これは いいタックルだ!

女子レスリング初開催となった この大会。

(実況)日本 吉田 金メダル!

9歳年上の吉田の圧勝劇に
マルーリスの胸は躍った。

だから神様に こう祈ったんです。

彼女がいる時代に生まれたことを
感謝します。 私は…

ずっとそれが私の夢でした。

「最高の舞台 オリンピックで吉田と戦う」。

そんな夢のため 吉田と同じ階級を選び

アメリカ国内でも指折りの選手となった
マルーリス。

チャンスが訪れたのは 2011年。

翌年のロンドンオリンピックの
代表選考をかけ 世界選手権に出場する。

ここで好成績を収めれば
オリンピック出場。

だが 大きすぎる壁が立ちはだかる。

…そう 吉田だ。

ええ とっても早く。

早すぎた 初対戦。

吉田の高速タックルを受けてダウンし
そのままフォール負け。

代表の座は逃した。

すんごいタックルでした。

(タックル音)

あんなの 対策のしようはありません。

あの時の思い出といえば 廊下でばったり
再会した時 笑顔で握手してくれたこと。

すごくいい人! と思いましたけど

オリンピックへの挑戦は
あっさり終わってしまいました。

本当に強かった。

マルーリスが出られなかった
オリンピックで 3連覇を果たした吉田。

2度目の対戦となったのが
ロンドンオリンピック直後の世界選手権。

今度は 決勝で対戦した2人。

試合前 吉田の耳に
マルーリスのこんな言葉が届いていた。

確かマスコミの方に
吉田選手に憧れて…

多分いろいろ そういうのは
マスコミから聞くんですよ。

で それを聞いてて…

いえいえ! 私が言ったのは

「絶対に負けない選手はいない」
ということだけです。

彼女は 確かに負けたことがないけど
絶対負けないなんてことはありえない

聞かれたから そう答えただけです。

(取材者)どんな選手でも負ける時はあると
言っただけだと。
ああ そう…。

私が吉田沙保里を倒すみたいなこと
言ってましたよ みたいなこと

言ってたから 逆に火をつけてくれたので
よかったんですけど。

ロンドンで勝ったばかりの吉田は絶好調。

雪辱を誓い 猛練習を積んできた
マルーリスだが 圧倒される。

またも フォール負けした。

このあと あのリオの決勝まで4年間
対戦がなかった2人。

この間 レスリングには
大きなルール変更があった。

ロンドンまでの「55kg級」がなくなり
「58kg」か「53kg」を選ぶことに。

吉田は 53kgを選ぶ。

もともと55kgでもギリギリ減量して
挑んでいたマルーリス。

誰もが 58kgをすすめる中
吉田のいる「53kg」を選ぶ。

更なる減量は過酷を極め マルーリスは
試合の数を減らすことを余儀なくされた。

それでも…。

減量するのは 確かに大変でした。

でも…

53kgとか 58kgとか関係なく
自分がオリンピックで誰と戦いたいか。

サオリと戦うという夢を
叶えたいと思ったんです。

試合数が減る中でも
マルーリスは独特の方法で

吉田との対戦のイメージを
膨らませ続けた。

気付いたのは
彼女は 過去の結果におごることなく

常に初心で 1から 1つ1つの試合に
臨んでいること。

とにかく謙虚なんです。

私もそうしよう もう一度 1から
サオリに挑んでみせる と決めたんです。

最強の女王相手のイメージトレーニングを
続けたマルーリス。

その効果はてきめん 代表選考をかけた
アメリカ選手権で圧勝する。

いよいよ初のオリンピックの舞台へ。

トーナメントの抽選結果
決勝でしか吉田とは戦えない。

サオリは負けるわけないから
私も決勝までいくしかない。

このトーナメントを勝ち上がって
私が彼女と決勝で当たるんだ。

夢を叶えるんだと思っていました。

初のオリンピック
緊張する選手も多い中

決勝で戦う自分の姿だけを想像し
試合に臨んだマルーリス。

(実況)テイクダウン! 4ポイント。

ここから今度は 足を
アンクルホールド 狙ってきますか。

アンクルホールド回した!
テクニカルフォール勝ち。 12対1。

ヘレン・ルイーズ・マルーリス
アメリカの24歳。

テクニカルフォール勝ち
勝利をもぎ取りました。

初戦から相手を圧倒。

そのまま尻上がりに調子を上げて
勝ち進んでいく。

準決勝では
「吉田唯一のライバル」と目されてきた

スウェーデンのマットソンを
フォール勝ちで下す。

ずっと吉田のことだけ考えてきた
マルーリス。

一方 吉田には
かつて圧勝した印象しかなかった。

2011年とかの時はね
かなり若かったと思うんですけど

本当に でも…

あっ こんなもんかみたいな。
で 多分 テクニカルフォールとか

フォール勝ちで勝ってるので
そういう思いがあったので

リオの時も
あっ ヘレンが上がってきたっていう。

私は スウェーデンのマットソンが
上がってくると思ったんですけど

準決勝で負けたんで
え~っていう感じでしたね。

決勝直前。

4年ぶりの戦いで
吉田が不安を感じる一方

マルーリスは ひたすら前を見据えていた。

「ヘレン 彼女を見ちゃダメ!
見たら怖がってしまうから」と

自分に言い聞かせていました。

それでも ちらっと
彼女の方を見たら思わず

「銀メダルでいい 十分じゃない」という
気持ちにまでなりました。

でもすぐに 「ヘレン ダメ! もう一度
1から戦うんでしょ!」って思い直した。

金メダルを目指して
最高の試合をしようって決めたんです。

(実況)女子 53kg級決勝戦。

ちらりと見たのは逆に 吉田…。

興奮と 不安。

2人の正反対の思いをのせたマット。

(実況)さあ いよいよ大一番!

第1ピリオド 3分間が始まる。

(笛の音)
(実況)今 笛が鳴りました。

以前は もっと恐れていたけど この時は
サオリを「恐ろしい相手」だと思わず

初めて戦う相手と思うようにしました。

ヘレン ただ あなたのレスリングをすれば
いいのよって。

(マルーリス)それが彼女に憧れて決めた
私のレスリングだから。

違いましたね。

結構「圧」がすごいですよね。
私は結構 下がってるというか

下がってるわけじゃないんですけど
相手が出てくるんで。

(実況)動けるか 吉田!

吉田と対峙する ほとんどの選手が
タックルを警戒して距離を取りがちな中

前に 前に出続けたマルーリス。

(ブザー)

第1ピリオド終了。

反則によるポイントで
吉田が僅かに1点リードして終わった。

何だろうね なんか気持ちも…

いつもと違う感じは… う~ん…

圧がすごいな 強いなって思ったんで。

なんか取れそうになかったんですよね
タックルが。

対して マルーリスは。

オリンピックの決勝で
最高の相手と戦ってる。

すごく緊張するけど 超幸せ!
と思っていました。

そして 運命の後半。

(実況)残り3分間!
(笛の音)

開始30秒。 スコアが動く。

(実況)どうだ!

(実況)あっとバックを取られた
2ポイント!

吉田がふだんは見せない「首投げ」を
かけようとした時 マルーリスは更に前へ。

逆に吉田の背中に組みつき
ダウンを奪った。

1対2 逆転。

2ラウンド目は 攻めようと思って なんか
攻めが その変な空回りになっちゃって。

一か八か ここでいこう!

で 取れた。 前に出続けてよかったわ。

(解説)う~ん 2点になりましたね。
(実況)2点になった。 4対1。

さあ どうだ 吉田沙保里!

更にこのあと 反則があり1対4。

吉田はもう 前に出るしかない。

それでも下がらない マルーリス。

そして 残り30秒を切った時だった。

(実況)ああ いった! タックルいった!

吉田沙保里 最大の武器
「タックル」を受けたマルーリス。

このタックルは すごくて…。

でも…

(マルーリス)本当によく覚えている。

吉田のタックルからの攻めを耐え切った
マルーリス。

残り 9秒。

(実況)時計は進む。 どうだ? どうだ?
攻めていけるか? 残り2秒。

(ブザー)
(実況)吉田 無念 敗れた!

金には届かなかった。 4連覇には届かず。

こうして 歴史は 変わった。

この時の気持ちは… 複雑でした。

私のヒーローとの戦い。

勝ちたいんだけど
憧れの人が負けるのを見たくない。

スポーツって
とんでもない体験をさせるのねって。

彼女が引退する前に戦うことができて
私は恵まれていました。

彼女が戦い続けていなければ
できなかった。

金メダル1つ 2つ 3つ

そのあと いつでも引退できたのに
ここまで続けて。

彼女ほど アスリートとして 人間として
優れた挑戦者は知りません。

15年続いた個人戦の連勝は206でストップ。

これが吉田沙保里
現役最後の試合となった。

(吉田)
オリンピックの中では この大会が一番
うん 印象的っていうか うん。

初めて個人戦で負けて…

今まで こう勝って表彰台の一番高い所で
「やった~」って

ああ もう勝ててよかったって
今までやってきてよかったって

いうふうにしか思わなかった気持ちが

こういうライバルが…

「絶対に負けてはならない」

そう思っていたオリンピックでの負けが
与えてくれた 大きな「気づき」。

(取材者)その言葉について
どのように思われますか?

そんなふうに言ってもらえるなんて…
これ以上うれしい言葉はないです。

だって 私のレスリングは ずっと
彼女を見つめることで進んできたから。

彼女だけは 他の選手を気にすることなく
一人高みを追い求める別格の存在

そう思って 追いかけてきました。

そうしたら 私と変わらない

レスリングに夢中な
レスリングが大好きな女の子だった。

それは 本当にうれしいことです。

たとえオリンピック4連覇ならずとも

レスリング史上最強の選手であることは
誰もが認める吉田沙保里。

第3の視点は 彼女の強さを
最も肌で感じてきた人物です。

この日 客席にいた
カナダのトーニャ・バービーク。

アテネ 北京 ロンドンの3大会に出場。

銀メダル2回 銅メダル1回。

全て立ちはだかったのが
吉田選手でした。

オリンピックで負ける悔しさを
誰よりも知るバービーク。

今回 驚くべき証言を行いました。

なんと 戦いの「前」から 吉田選手の敗戦を
予感していたというのです。

一体どういうことなのか?

最強のライバルが明かす
アナザーストーリーです。

2019年 吉田沙保里 最強のライバルと
言われたその人は 東京にいた。

最終準備に来ました。
2020年の東京に向けてのね。

オリンピックに
チームを率いてきますから。

現在 カナダ女子レスリング
ナショナルチームのコーチを務める

トーニャ・バービーク。

カナダのレスリング界では
英雄的な存在だ。

現役時代 吉田と同じ階級で
10年以上死闘を繰り広げた

まさに…

ロンドンオリンピック後
一足先に引退した彼女は

リオオリンピックに臨む吉田を
こう見ていた。

私は… 私は…

実は1年前から そうなるんじゃないかと
思っていたんです。

吉田より6歳年上のバービーク。

女子レスリングが オリンピック種目で
なかった頃から戦ってきた彼女にとって

オリンピックは 本当に特別なものだった。

レスリングというスポーツで
選手が個人的に注目を集める機会は

オリンピックしかないの。

私は 女子レスリングが
オリンピック種目になってからずっと

自分の人生は…

女子レスリング初開催となった
アテネオリンピック。

喜び勇んで臨み 決勝に進んだバービーク。

そこに立ちはだかったのが 吉田だった。

(実況)さあ 金メダルまで10秒を切った!
またタックルだ!

試合終了!
日本 吉田 金メダル!

4年後の北京では 準決勝で。

(実況)最後に大技で決めた!

更に4年後のロンドンでは 決勝で。

(実況)さあ きた! 吉田沙保里きた!

(笛の音)

3度にわたり 吉田に敗れたバービーク。

世界選手権でも結構戦ってるので

ほんと私がいなかったら チャンピオンに
なってる人だなと 私は感じてますし。

カナダのひどいマスコミに
よく聞かれたわ。

でも そういう人は
スポーツのだいご味が分かってない。

そんなモチベーションを
与えてくれることに感謝をしないと。

特に私がいた階級は サオリという
絶対的な存在がいたことで

一気にレベルが上がりました。

私は いつも彼女と対戦する度に
ワクワクしていましたよ。

そんなバービークだが
1つだけ後悔があるという。

それは 最後の対決となった
ロンドンの決勝

距離を取って攻めない
「守り」の作戦を取ったこと。

ロンドンが近づいた時 私はこれが
最後のオリンピックになると思いました。

そう思った時…

サオリを倒せるならと 自分の強みを捨て
守りのスタイルを選んだ。

結果 あの決勝は
ぎこちない試合になってしまいました。

最も後悔しているのは…

サオリと戦う際「守ればある程度いける」と
他の選手にも思わせてしまったんです。

(アナウンス)サオリ・ヨシダ!

バービークが言うとおり
ロンドンの直後から

相手選手が守りに徹することが
増えてきた。

めちゃくちゃ やりにくかったですね。
守りに徹されるのが一番やりづらくて。

だからギリギリまで
3分間あったら2分30秒ぐらいまで

0ー0だったりとかっていうのが
だんだん増えてきましたね。

そして 相手の守りの戦術が
吉田自身の戦いも変えていく。

相手のせいでスピードが落ち
彼女自身 攻めの姿勢が減っていった。

オリンピックの前の年
2015年からは特にね。

それに 貪欲に試合に出て
勝ちまくるっていうのが

私の知っている彼女なのだけど

消耗戦が続いたせいで
試合の数も減らしていた。

みんな 「また勝つ」と言っていましたが

私は サオリがオリンピックを失う時が
来るなら 今だと思ったんです。

長年 タイトルを競ってきた
ライバルだからこそ気づいた 吉田の変化。

迎えたリオオリンピック。

この上の席で見ていたのよ!

カナダチームの
アシスタントコーチとして参加

客席で決勝を見たバービーク。

(バービーク)
リオでサオリを見た時 気づきました。

私が過去のオリンピックで
対戦してきた彼女とは…

これは「結果」だけを見ての言葉ではない。

吉田が決勝戦で見せた「構え」は

マルーリスの「構え」とは
対照的だったという。

まずヘレンの構えを見て。

この試合中 ずっと頭の位置を
全く動かしていない。

サオリも隙が見つからず
苦戦しています。

サオリの構えはというと ヘレンより高い。

これではタックルできません。

…ああ これは。 今 サオリは
「首投げ」を仕掛けましたね。

私の知る限り…

ポイントが取れないとは言わないけど

ヘレン・マルーリスほどの選手は

そんなサオリの不自然さを
見逃してはくれません。

時間がない。 でもサオリは…

(実況)いった! タックルいった!

(バービーク)ほら きた。 でもヘレンは
しっかりと備えてきましたね。

逃げるのではなく 向き合った。

ヘレンは 勝つべくして勝ったんです。

(ブザー)
(実況)吉田 無念 敗れた!

この結果が見えていたというバービーク。

以前のオリンピックと違い 試合前から
吉田が「不安」に襲われていた理由も

こう推測した。

私の記憶が確かなら
リオでは 彼女は4大会で初めて

日本選手 最年長になっていた。

若い選手に経験を引き継がなきゃいけない
そんな思いで臨んでいたはずです。

(バービーク)だから いつものパフォーマンスが
発揮できなかったのかもしれませんね。

試合後 バービークは 吉田を訪ねた。

そう伝えました。

だって言い方は悪いですが

1つ負けたことが これだけ世界中で
注目を集める選手が他にいる?

彼女が引退した今 そのことをちゃんと
語り継いでいくべきだと思います。

吉田は リオを最後にマットを去った。

それより前 ロンドンオリンピック後に
引退したバービーク。

リオで「自分が出場しないオリンピック」を
初めて見た時

不思議な思いに駆られたという。

レスリングの頂を目指すなら 絶対に
出ていなくてはならないオリンピック

これに選手として出ていないということは
私のキャリアは終わったんだとね。

それで ようやく
次のキャリアに進むことができた。

逆にそうまでしないと オリンピックは
離れがたいものなんですよ。

本当にそうね。
そう考えたら 鳥肌が立ってきました。

彼女ほどの選手が 自分の国で開催される
オリンピックを見て

自分が出ていないことを知った時
どんな思いを抱くのか…。

どうか日本の皆さんも
彼女をあちこち振り回さず

オリンピックと向き合う
その「瞬間」だけは

静かに迎えられるように
してあげて下さいね。

15年もの間 私たちに「強く 勝つ姿」を
見せ続けてくれた 吉田選手。

引退して迎える今年の東京オリンピック。

どんな思いを抱くのか
是非伺ってみたいです。

女子レスリングが開催されるようになって
5大会目。

初めて「吉田沙保里のいないオリンピック」
となる東京。

一体どんなオリンピックに
なるのでしょうか?

リオで金メダルを手にしたマルーリス。

現在 右肩を負傷してリハビリ中だが
東京への出場を目指している。

サオリとオリンピックで戦う夢は
叶いました。

次の夢は連覇。 既に金メダルを持っている
選手が 次にどう挑むか。

連覇なんて本当に離れ業。

サオリがどうやったか
本に書いて 教えてほしいわ。

でも 私がサオリを追いかけたように
今度は 私が追われる立場になりたい。

そのために 何としても連覇したいです。

吉田は 初めて自分が出ないオリンピック。

日本代表チームの一員として
サポートをする予定だ。

みんなが 心が強いわけじゃないので
まあ あの~

たまたま 私が
心が強かったかもしれないんですけど

いろんなこと思われてもね 全然動じない
っていうのは あったりしたんで。

でも結構 今の後輩たちは
こう すぐナイーブになったりとか

すぐ考え込んだり ちょっとこうね
マイナスに考える子が多いので。

でも 金メダルは期待されてますし

まあ 世界チャンピオンにね
もちろん なってる子も多いので

その子たちが困った時には
助けてあげたいですし

まあ 自分が経験したことは
アドバイスできるんで

なんかあれば アドバイスは
してあげたいなとは思ってます。

世界でも並ぶもののない経験を持つ
吉田沙保里。

まさに日本の 世界の レスリングの宝。

その輝きは 永遠に失われない。


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