BS1スペシャル「大切な記憶は何ですか?~アルツハイマーと戦う~」記憶を失い、考える力や運動機能も奪われ…


出典:『BS1スペシャル「大切な記憶は何ですか?~アルツハイマーと戦う~」』の番組情報(EPGから引用)


BS1スペシャル「大切な記憶は何ですか?~アルツハイマーと戦う~」[字]


記憶が失われてゆく不治の病、アルツハイマー病。いま食事や運動などの生活習慣を徹底的に見直すことで、症状を改善する試みが注目されている。模索する家族の姿を記録した


詳細情報

番組内容

記憶を失い、考える力や運動機能も奪われてゆく…不治の病ともいわれてきたアルツハイマー病。これまで進行を遅らせることに力が注がれてきたが、いま詳細なデータをもとに食事や運動などの生活習慣を徹底的に見直すことで症状を改善させようとする試みが注目されている。家族の支えを受けながら、こうした療法に取り組むアメリカと日本の患者たちの姿を記録する。

出演者

【語り】戸田恵子


『BS1スペシャル「大切な記憶は何ですか?~アルツハイマーと戦う~」』のテキストマイニング結果(ワードクラウド&キーワード出現数ベスト20)

BS1スペシャル「大切な記憶は何ですか?~アルツハイマーと戦う
  1. デール博士
  2. 認知機能
  3. 改善
  4. 患者
  5. 生活習慣
  6. 療法
  7. 蘓武
  8. アルツハイマー病
  9. 医師
  10. 症状
  11. 家族
  12. 認知症
  13. デボラ
  14. 検査
  15. アメリカ
  16. 食事
  17. 運動
  18. 低下
  19. 生活改善
  20. 要因


『BS1スペシャル「大切な記憶は何ですか?~アルツハイマーと戦う~」』の解析用ソース(見逃した方はネタバレ注意)


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大切な一瞬一瞬を覚えておきたい。

思い出は 心に刻んで とどめておきたい。

そんな記憶が消えていく病があります。

アルツハイマー病です。

認知能力が衰え 体の機能も奪われてゆく。

これまで 薬などで
症状の進行を遅らせることに

力が注がれてきました。

そうした中 糖尿病や高血圧など

さまざまな要因が認知機能の衰えに
関係していることが分かってきました。

そして
生活習慣を徹底的に見直すことで

認知機能を改善していこうという試みが
注目されています。

模索を続ける患者や家族たちを
見つめました。

カナダを… 北極圏まで
縦断したことがあったんですよ 自転車で。

それがね 一番…。

一番の… あれ… ごめんなさい。
何 聞かれましたっけ?

父が認知症だったんですね。

最初は 父の介護をしている時に

あの… 何か 自分も変だなって
思いだして。

保険会社にいたもんですから
お金のミスっていうのは

許されないので
危ういなっていうようなことが

何回かあって。

(妻)やっぱ いろいろ 私に確認することが
多くなりましたね。 いろんな意味で。

どこに行くっていっても
「何時に行く?」っていうことを

何度も聞いたりとか。

ちょっと 何かあるのかなっていう
疑問を持ったのは その辺でしたね。

蘓武さんは 47歳の時

父親の主治医に
自分の症状を診てもらいました。

診断で行った時に その先生は

「まだ頑張れる状態だから 薬をのみながら
様子見てみろ」と言われて

認知症の薬を処方されたんです。

そのことが ものすごい自分でショックで。

かみさんと2人で
こんなんなってね 何か…。

飛行場の待合室で もう何も…

この年で 認知症なのかよという感じで。

父の時に「きっと治せないんだ
この病気は」っていう思いも

私もあったので 主人が同じように
なっていくのかなっていうのは

私もショックでしたし それ以上に 多分
主人がショックだったと思います。

蘓武さんは 仕事のミスで
周囲に迷惑をかけないように

6年前 保険会社を退職。

一人でも作業ができる 農業を始めました。

農業って ものすごい
いろんな道具 使うんですけど

「今日は あれと あれと これを
やらないといけない日だ。

そうすると 道具は これと
これと これと…」って思うんですけど

それが全部 整わないんです。

ですから うちに また戻って
その道具探して

「あれ? ない」ってなると
午前中 潰れたりするんですよね。

そんな時
アメリカで行われている試みを知り

セミナーに参加しました。

軽度の認知障害や
早期アルツハイマー病であれば

症状を改善できる可能性があるという
内容でした。

驚きましたね。 やり方を知ってる人が
いるのだなっていうような。

その新しい療法を提唱しているのは
アメリカの脳の研究者です。

スポーツが大好きだった その青年は

いつしか科学に目覚めていきます。

カリフォルニア大学の教授で

脳の神経変性疾患の
世界的な権威といわれています。

30年に及ぶ研究をもとに

アルツハイマー病の新しい療法を
提唱しています。

これまでに 3, 000人以上が
彼の療法を実践しています。

30代で 自分の研究室を持った
デール博士。

アルツハイマー病を治す薬を開発しようと
取り組みました。

しかし 大きな壁にぶつかります。

アメリカの認知症患者の
7割を占めるとされるアルツハイマー病。

患者数は アメリカで600万人。

日本でも およそ400万人に上ります。

特徴は 患者の脳に
アミロイドβという物質が

見られることです。

アミロイドβは
アルツハイマーを発症する

およそ20年前 早い人では
40代から蓄積が始まります。

長年 研究の主流だったのは

このアミロイドβを標的にした薬を
開発することでした。

30年間 医学界を取材し 全米で
科学部門のベストライターも受賞した

リンダ・マーサさん。

認知症の研究について
さまざまな角度から

リサーチしてきました。

アルツハイマー病の治療薬の開発は
およそ30年 続いてきましたが

認可され 広く使われている薬は4つ。

どれも 症状を一時的に改善したり

進行を遅らせたりする効果に
とどまっています。

当初は 薬の開発しか道がないと
考えていたデール博士。

次第に その考え方を変えていきました。

人間の脳には およそ1, 000億個の
神経細胞が存在します。

それぞれの神経細胞に
平均1, 000~1万の

シナプスと呼ばれる接合部分があります。

その先端部分を見てみると

接合部分で
情報を伝える物質が放出されます。

記憶の情報は
シナプスの先へと伝えられます。

アルツハイマー病では
このシナプスが機能しなくなり

神経細胞が死んでいきます。

認知機能が低下していき
過去の記憶も取り出せなくなるのです。

ここに デール博士が
サポートしている患者がいます。

(鳴き声)

ニュージャージーに住む
元舞台プロデューサーのデボラさん。

症状が悪化していったデボラさんは
49歳の時

認知症のクリニックで
徹底した検査を受けました。

すると 記憶だけでなく
情報を処理する能力や

注意力も低下していることが判明。

今後も 認知機能の障害が進み

アルツハイマー病に進行する
可能性が高いと告げられたのです。

認知機能が低下すると
さまざまな症状が現れます。

デール博士がサポートしている患者たちが
自らの症状を語ってくれました。

一方 薬の開発で壁にぶつかった
デール博士は

そもそも なぜ
アルツハイマー病が発生するのか。

その根本のメカニズムを解明することが
必要だと考えました。

そして 手がかりを求めて
世界中の論文を検討しました。

デール博士は ヒトの脳神経細胞を
シャーレで培養して

疾患を再現するモデルを
作成することに成功。

その細胞を使って 実験を繰り返しました。

そうした中で注目したのは

脳の神経細胞の表面に突き出している

APPと呼ばれる アミノ酸の鎖。

デール博士は このAPPが
脳細胞の運命を決める

スイッチの役割を果たしていることに
注目しました。

APPは
体内のさまざまなシグナルに応じて

2つか 4つに分断されます。

2つに分かれる時 切れたAPPは

脳の栄養物質となり
シナプスを育成します。

一方 APPが4つに分かれると

その断片の1つが アミロイドβとなり

神経細胞へダメージを与えます。

スイッチが どちらに入るのかを
決める要因は 何なのか。

更に 実験を繰り返したところ

さまざまな要因が
浮かび上がってきました。

糖質のとりすぎにより
インスリンが過剰になること。

ビタミン ホルモンなど
必要な栄養素の不足。

アミノ酸の一種である
ホモシステインの増加など

体内のバランスの不調です。

デール博士は こうした要因が

少なくとも 36に上ると見ています。

デール博士は 東洋医学を学び
内科医でもあった妻に

ずっと昔に言われたことを
思い出しました。

デール博士は 薬だけに頼らない
新しい療法を考案しました。

血液や 遺伝子の検査などで
患者のデータを解析。

36の要因から 改善できる可能性がある
項目を洗い出し

それぞれの患者に合った
生活習慣の改善策を指導するのです。

それを「リコード法」と名付けました。

2014年 デール博士は

これまでの研究成果をまとめた論文を
発表しました。

論文が 一般公開されると
患者や家族も読み始めました。

ニュージャージーに住む デボラさんも
その一人です。

医療関係の仕事をしている姉に
認知機能の障害を告白したところ

話題になっている論文があると
聞かされたのです。

デボラさんは デール博士に連絡し
さまざまな検査を受けました。

すると 糖分のとりすぎで
インスリンが過剰になり

アミロイドβが
たまりやすくなっていること

ビタミンなどの不足から
認知機能に悪影響があるとされる

ホモシステインの値が高いことも
分かりました。

デボラさんは 体内のバランスを
正常に戻すために

生活習慣を大きく変えることにしました。

パンなどの糖質を抑えて
血糖値を下げるとともに

野菜中心の食事にすることで

食物繊維や多様なビタミンを摂取します。

ライフスタイルを変えるには
家族の理解も欠かせません。

定期的な運動も 認知機能に影響を与える
大きな要因です。

運動によって ストレスが減少し

新しい血管が生まれるだけでなく
糖分を消費することで

インスリンの過剰な分泌を
減らす効果もあるといいます。

食事や運動など 一般によく言われる
生活改善ですが

徹底して行うことで
脳の神経細胞を育てる方向へ

スイッチを切り替える効果があると
デール博士は言います。

複雑なバランスによって
スイッチが切り替わる人間の脳は

絶妙なバランスで成り立っている
園芸のようだといいます。

生活のバランスの善し悪しで
その小さな自然は

枯れたり 成長したりするのです。

このバランスをとるため
推薦されている5つの項目があります。

食事 運動以外にも
睡眠をできれば 8時間とること。

夜 寝る3時間前には
夕食を済ませること。

ストレスを減らすことなど。

そこに 個別の診断結果に応じた項目を
付け加えていきます。

ライフスタイルの改善が難しいとされる
高齢の人たちも

新しい取り組みを実践しています。

オハヨウ。
オハヨウ コンバンハ。

元看護師のサリーさんは 60代の頃から

認知機能の低下が始まりました。

10年近く 認知機能の不調に
苦しんだサリーさんは

3年前 検査を受けました。

すると 脳に アミロイドβが蓄積し

記憶をつかさどる海馬などが

同年代の平均より
大幅に萎縮していました。

ある日 夫のマーティンさんが

ラジオで 生活改善による
新しい療法のことを聞き

デール博士に連絡を取りました。

検査の結果を詳しく分析したところ

糖質のとりすぎや
ホルモンバランスの不調だけでなく

意外な要因が浮かび上がりました。

免疫に関係する
特定のたんぱく質の数値が高いため

毒性の物質が影響しているのではないか
というものでした。

デール博士は カビや大気汚染も

36の要因に影響を及ぼす場合があると
考えています。

サリーさんは 新しい家に引っ越し
生活の改善を始めました。

野菜中心の食事に変え

解毒効果があるとされるブロッコリーなど
アブラナ科の野菜を多くとりました。

食事で どうしても補えない栄養だけは

医師の指導の下
サプリメントで摂取します。

更に 認知機能の改善に
効果があるとされる

さまざまな試みを行いました。

歯周病の菌が認知機能を低下させることも
指摘されています。

一方 デール博士は
周囲の医師たちにも

データ分析と生活改善の重要性を
伝えようとしてきました。

オンラインで療法を公開。

有料の講座を開いて

世界のどこでも
必要な知識を学べるようにしました。

認知機能の低下に悩んでいた
仙台の蘓武さん。

仙台にも
生活習慣の改善をメインにした

認知症対策を始めたクリニックがあると
聞きました。

診察を受けるため
問診票を書こうとしますが…。

え~ 記入日。

蘓武さん夫婦が向かったのは
仙台市内のクリニック。

これ 問診してね。
はい。

蘓武さん 問診の方とりますので
あちらの部屋に移動します。

このクリニックでは
デール博士の講座を受講し

生活習慣に焦点をあてた
認知症対策を始めたところです。

保険会社ですので
接待とか つきあいとか すごく多くて

もう本当に しょっちゅう飲んでました。

ちなみに 一番飲めてた時期って
どのぐらい飲んでたんですか?

ものすごい飲んでました。

ビール5本ぐらいの
日本酒… 5合ぐらいの…。

認知機能のテストを受けました。

今の季節は何ですか?
えっと… 春。

今日は何曜日ですか?
今日は え~っと…。

27日。

この日 受けたのは
短期記憶力や判断力などを確認し

症状の進行度合いをはかるテストです。

認知機能の障害は
さまざまな段階に分かれます。

MCI=軽度認知障害は
物忘れや 言い間違いが起きる状態。

5年程度で およそ半数が

アルツハイマー病に進行すると
いわれています。

早期アルツハイマー病になると

人の顔が分からなくなったり
同じ質問を繰り返すなどの症状が出て

日常生活に支障も出始めます。

重度のアルツハイマー病に進行すると
運動機能も衰え

自分で
日常生活が送れない状態になります。

リコード法で
改善の可能性があるとされるのは

MCIと早期アルツハイマー病。

進行が進むほど 効果は低くなります。

次 引き算して頂きます。
はい。

100-7は 何ですか?
えっと… 93。

また そこから7を引くと何ですか?
93-7…。

93-7…。

93-7…。

84…。

テストは 30点満点で
23点以下が認知症の疑い。

蘓武さんは 24点と
ボーダーラインでした。

更に インスリンやホルモンの値など
合わせて45の項目を検査。

保険が利かないものや アメリカに
血液を送らないとできないものもあり

検査だけで およそ40万円かかりました。

蘓武さんは 検査結果が出そろい
分析が終わるまで

1か月 待つことになりました。

生活習慣を変える療法に取り組んだ
デボラさん。

変化が訪れたのは 4か月たった頃でした。

定期的に行う検査でも
改善傾向が見えてきました。

認知機能に悪影響を与えるとされる
ホモシステインの値が

8.0から 1年後に4.9へ低下。

過剰だったインスリンの値も
6.5から3.3へ低下しました。

リコード法に取り組み始める患者が
増える一方

当初 医学界の反応は
芳しいものではありませんでした。

デール博士は
新しい療法を広めるために

2012年から治験の申請を続けてきました。

治験は 医療機関の協力を得て
同じ条件の患者を多数集め

本物の薬を与えるグループと
偽物の薬を与えるグループを比較。

その効果を実証するものです。

しかし リコード法は

患者一人一人に合った個別の療法を
行うため 単純に効果が比較できないと

協力してくれる医療機関が
なかなか見つかりませんでした。

治験を行うことができないまま

リコード法を広めていくことになった
デール博士。

そのことが 思わぬ批判を集めます。

世界の認知症研究に
大きく影響を与えてきた団体があります。

デール博士が新しい療法を始めた当時は

生活習慣と認知症の関係に注目する医師も
少なく

医学界の主流からは
なかなか認められませんでした。

研究の寄付金も打ち切られる中

デール博士は
協力してくれるクリニックを回って

患者の診察を続けてきました。

この日 診察したのは
ダラスに住む 75歳のダイアンさんです。

前回 検査した結果を分析し
治療の方針を立てます。

診断は 早期のアルツハイマー病。

そして 新たな要因も見つかりました。

睡眠に障害があると

認知機能に悪影響を与える可能性が
指摘されています。

新しい療法に 一心に取り組むデール博士。

実は デール博士の妻の父親が
認知症でした。

家族愛にあふれた父。

植物生理学を教える大学教授でした。

デール博士にとっても
心から尊敬する父でした。

♬~

日本は とても暑い夏を迎えていました。

仙台の蘓武さんは 検査結果を待つ間
農業に精を出していました。

蘓武さんは 最近

重い認知症を患っていた父のことを
よく考えるといいます。

そのころ 何歳だろう…。
75ぐらいだったと思います。

車の免許を 私が
取り上げてしまったんです。 危ないので。

そしたら…
14キロぐらいありますかね ここから。

運転免許センターがあるんです。
そこに毎日ですよ 自転車で。

午前中 行ったの忘れて
午後 また行くんです。

雨の日も行くんです。
それを止めるのが大変で。

最後の方は 私たちも… 家族も

世話できないっていう感じに
なったので あの~…

施設に お願いしたんですね。

当然ですね 施設の入り口のところには
番号ロックとかがあって

中にいる人が出ていけないように
なってるわけです。

何重にか なってるんですけど。

そこをね 2回 突破したという
伝説の父で。

どうやって… 頭がいい
知能が高いんだろうと思うんですけど。

「お~ さすが俺のおやじだ」と思って。
それは うれしかったですよね。

蘓武さんの父は カメラが大好きで
いつも家族の写真を撮っていました。

写真は 丁寧にアルバムに入れられ
100冊以上が残っています。

父の撮った写真の中に

たくさんの家族の思い出が
詰まっていました。

寡黙で 優しい父だったといいます。

単純に好きなんですね おやじが。

何かね…
褒められたことがあったんですよね。

何だっけ。
何で そんなこと忘れてんだっけな。

う~んとね
忘れちゃいけないようなことなんですよ。

私が 何かをしたんですよ。

そしたら…

おやじが…。

おやじがね…。

おやじが…

「俺だったら お前と同じことをする」って
言ったことがあるんですよね。

それを忘れてはいけないんだけど…。

今 忘れてますね。

何だっけな…。

何だっけ…。

褒められたことなんですけどね…。

何だか忘れた…。

大切な記憶を失っていく病
アルツハイマー病。

長年 症状を遅らせる試みが
続けられてきましたが

患者は 増え続けています。

そうした中 詳細なデータを基に
生活習慣を見直すことで

認知機能を改善しようという試みが
医学界に議論を巻き起こしています。

一方 生活習慣が 認知機能に
影響を与えるという研究結果も

世界各地で増えています。

新しい療法に取り組み
症状改善を模索する

患者や家族たちを見つめました。

認知機能の低下に悩む蘓武さんは

妻と一緒に
クリニックを再び訪れました。

1か月前に検査した結果が
アメリカから ようやく届きました。

ご無沙汰してます。
ご無沙汰しております。

検査結果は 早期アルツハイマー病。

糖分のとりすぎに加えて
ビタミンやホルモンなどの不足で

脳が萎縮しやすい傾向にあることが
分かりました。

若い頃は 仕事一筋だった蘓武さん。

生活習慣の改善を
より厳しく行うことになりました。

この新しい療法を アメリカでは
どう実践しているのでしょうか。

生活改善は あくまで患者が主体。

しかし 一人一人に合った改善計画を
作って指導する必要があり

医師が その全てを担当することは
時間的に不可能です。

そこで デール博士は

医師と連携を取るヘルスコーチという
アドバイザーを養成し

患者に具体的な治療サポートを行う
体制作りを推奨しています。

ヘルスコーチは
現在 アメリカを中心に100人以上。

オンラインの研修に加えて
栄養や運動療法なども

幅広く学んでいます。

ごはんの代わりに 基本 野菜食べると
思って頂ければいいんですね。

できれば 毎食 本当に生のサラダと

それから 何か炒め物でも
何でもいいですし

召し上がった方がいいと思います。
その中で 糖質 炭水化物は

なるべく とらないようにする
っていうのが基本なんですね。

ごはんは どれぐらい…。
ごはんは え~っと 2膳ぐらいですね。

茶わんで 2膳。
2膳?                はい。

もう 1杯でも多いですね。

要するに 糖質を食べてると
血糖値が ものすごく上がるんですね。

最初 ごはん1膳にしてみませんか?

あ~ それで十分なんですね?
もっと減らせると思います。

砂糖の量が すごいと思うんですね。
私の料理が。

もうね うちは全然使わなくなりました。
でも 煮物とかって どうしてるんですか?

だから もう本当に
しょうゆ味とか塩味とかです。

で あと それに
例えば 生姜とか山椒とか

そういうスパイスを工夫して
ちょっと味付けをする。

あとは だしをとったりとか。

今 蘓武さんが この状態になったら
それは 絶対やめた方がいいです。 家族で。

家族でやめた方がいい。

一方 デール博士は
新しい療法を広く知ってもらうために

発信を続けていました。

毎月 動画をネットで配信し

最新の研究成果をシェアする試みも
始めました。

デール博士の考え方を取り入れている
医師たちも ゲストとして参加しています。

世界中の医師や患者から
メールで寄せられる質問に対して

専門的な知識を交えて答えていきます。

日本では 新たな動きが起きていました。

東京に住む黒澤さんは

母の認知機能障害について
悩んでいた時

生活習慣を改善する療法を知りました。

料理が得意だった自慢の母は
5年ほど前から症状が進み

一人で料理ができなくなっていました。

(黒澤)一番つらかったのは 今まで普通に
ふだん 何とも思わなくても出てきてて

ありがたいとも思わなかった母親の味が

急に なくなっちゃったことが
地味につらかったですね。

早速 この療法を
母に勧めようとしましたが

その内容は複雑で難しく

母に理解してもらうためには
工夫が必要でした。

絵とかが得意っていうか
たまに描いていたので

すごく分かりやすい資料
単純化した資料を

漫画みたいな形で見せて 説得しましたね。

母に説明するために

何枚も
分かりやすいイラストを描きました。

やがて この情報を
同じ悩みを持つ人たちとシェアしようと

SNS上に患者の家族のグループを
立ち上げました。

(黒澤)意欲的に
こういうことをやってるよとか

こういう問題があったら こういうふうに
すればいいよっていうふうに

意見交換をしたりとか

オフ会をして みんな
不満を話し合ったりとか いろんな…。

匿名性があるので

本当に 自分の抱えてきたものを
さらけ出せる

そういった場なんじゃないかなと思って。

現在 参加者は 200人以上。

全国各地や海外からも
患者と その介護者が参加して

意見交換をしています。

生活習慣の改善をメインにした療法を

日本の医師たちは
どう見ているのでしょうか。

認知症患者の全国調査も手がけた

日本の認知症治療の第一人者
朝田 隆医師です。

日本の場合 少なくとも認知症の8割は
80歳以上です。

そうすると
単純なアルツハイマー病という

きれいな病気じゃなくて
非常に複合的な病態で

まあ 糖尿病 高血圧 高脂血症ぐらい
誰でも もってるよというふうになって。

しかも どうも それらが関係してる
ということになると

アミロイド 一本槍で
こう 攻めるわけじゃなくて

周辺から
じわじわ攻めていって

周辺を地ならしして…
いうふうな戦略でないと

勝てはしないだろうな
というふうに思いますね。

朝田医師も ここ数年
食事や運動などの生活習慣が

認知機能に
影響を与えているのではないかと考え

自らの治療に取り入れてきました。

運動や 脳トレっていいますかね
芸術活動

そういうようなのも
始めるようになりました。

実際に… 特に ある程度 80を超えた
高齢の認知症の人には多いんだけど

たんぱくが少ないとか 貧血があるとか

そういう基本的なものを
治してあげるだけでも

認知機能 回復する人って
結構いる。

確かに 薬だけよりも
絶対に 合わせ技の方がいいですよ。

仙台の蘓武さんも
生活改善を少しずつ始めていました。

私は料理をすることが好きなので
もう 食事で改善できるのであれば

ぜひ ちょっとやってみたいな
っていうふうに…。

蘓武さんは お酒をやめて
糖質を極力減らし

ビタミンやミネラルを豊富にとる食生活を
心掛けています。

今日は何ですか?

山口さんから 鶏がらスープを
教えてもらったの… やってみたよ。

鶏がらスープは 鉄分やコラーゲン

ビタミンやミネラルを
豊富に含んでいます。

生野菜は 普通の市販のドレッシングを
使わないで

よい油を使って
それを吸収してもらうという。

全く糖質がなくっていうのは
なかなか難しいですけど

極力少なくして 体質を
変えていくということに努めています。

うん。
風味が…。

やっぱり 鶏がらスープ…。
鶏がらで作ったのが…。            うん。

全然違う。 私 もっと臭いと思ったの。
鶏のがらだと。

全然ねえな。
うん。

毎日 食前と食後に
血糖値も測っています。

療法を始めて2か月。

値は 少しずつ下がってきました。

もう 適正値だと思います。

(シャッター音)

朝昼晩 そのメニューを

山口さんと市川先生に
メールでチェックしてもらってます。

何でも食べていればいいってもんじゃ
なくって

それには こう…
いろんな成分とか栄養素があって

それをとりすぎると よくないとか

とらなすぎても よくないとか
っていうのが

より分かりましたね。

サプリメントは 医師の指導の下

特に不足していたビタミンを中心に
食事で とりきれない要素を補います。

久しぶりに運動も始めました。

この自転車は え~

リサイクルショップに行ったら
4, 000円で売ってたんですね。

で 何か… 私には
ちょっと大きいサイズなんですけど

もう 4, 000円じゃ
買うことができないので

思い切って… 思い切ってっていうかね
4, 000円なんでね

思い切るもなにもないんですけど。

♬~

まずは 週に2~3回

近所の慣れた道を
10キロ走ることを目標にしています。

♬~

24歳の時かな…。

1人でカナダに行って 自転車買って

北極圏の方まで ずっと自転車旅行して

そして
1年間 カナダにいたことがあって。

自転車が好きなんですね。

♬~

生活習慣の改善は
地道な努力の積み重ね。

時々 不安を感じることもあるといいます。

う~ん… 何か どこに どういう変化が
起きているのかなあっていう

その… 何か変化が起きてるのか
起きてないのかも

感じられないような時もあって。

そういう時は 「う~ん どうなんだろう。
やってて意味があるんだろうか」って

思ったりする時もありました。

Facebook上で
家族の会を主宰する黒澤さんは

オフ会を開き
課題を語り合うことにしました。

この日は 家族に患者をもつ介護者たち
15人が集まりました。

多くの人が口にしたのは

長年続けてきた生活習慣を変えることの
難しさです。

もう一つの悩みは
医師との連携の難しさと費用の問題です。

生活改善だけなら
高額の費用は かかりません。

しかし 多くの検査を行ったり

国内では手に入らない
サプリの購入などを行うと

患者の負担は少なくありません。

費用の問題には

アメリカの患者たちも悩んでいます。

サリーさんが
10年以上で支払った費用は

医療保険や特別な検査も含めると
700万円余りに上ります。

根気のいる取り組みと高額な費用。

リコード法を途中でやめてしまう患者も
少なくありません。

デール博士も
もっとシンプルな方法に改良することで

患者の負担を減らせないかと
頭を悩ませています。

生活改善を実践している患者たちも

長く続けるためにも 無理をせず
自分に合ったやり方を模索しています。

食事 運動など

徹底した生活改善を続けていた
デボラさん。

ある日 彼女に変化が見られました。

デボラさんは 幼い頃
ピアノを習いましたが

認知機能が低下したあとは
楽譜も読めなくなっていました。

しかし 生活改善の試みを始めて
2年ほどたった頃

古いピアノに 再び目が留まりました。

デボラさんが
思い出の曲を教えてくれました。

♬~(ピアノ)

♬~(ピアノ)

デボラさんには 認知機能障害と戦う
もう一つの理由があります。

♬~

デボラさんの父は
脳神経内科の医師として 40年働き続け

患者から慕われていました。

症状が進行した父は入院し

次第に家族のことも
分からなくなりました。

一方 世界の医学界でも この数年で

生活習慣と認知症に関係がある
という報告が増えてきました。

特に注目されたのは
フィンランドの報告です。

MCI=軽度認知障害の疑いがある

およそ1200人を2年間調査した結果

食事や運動の生活習慣を変え

記憶力のトレーニングなどを
組み合わせると

認知機能が平均で
25%向上したと報告されました。

こうした中 リコード法を学んだ医師は
1, 400人を超え

それぞれ 自分の患者に実践することで
症例も増えていきました。

そして 2018年。

デール博士は 再び論文を発表しました。

論文には アメリカとオーストラリア
20人の医師が協力。

それぞれが担当した MCIや
アルツハイマー病の患者などで

認知機能の改善が確認できた例を
集めました。

48歳から91歳まで。

その数は100人に上ります。

論文で報告された患者の一人が
71歳のサリーさんです。

3年前
MCI=軽度認知障害と診断されて

海馬の萎縮も見つかり
厳しく生活習慣の改善を続けてきました。

♬~

療法を始めて3年。

症状は 少しずつ改善してきました。

認知機能テストの一つ
MOCAと呼ばれるテストでは

24点から満点の30点に上昇。

記憶をつかさどる脳の海馬の萎縮も
止まったといいます。

(笑い声)

(笑い声)

認知機能が改善したという例が
増える一方で

症状が進行すると
改善の可能性は下がります。

これまでのところ
MCI=軽度認知障害の場合

全体のおよそ70%に
何らかの改善が見られたといいます。

しかし 早期のアルツハイマー病と
診断された患者の場合

改善の割合は およそ30%にまで
落ちてしまうということです。

一人の患者が メキシコから
デール博士を訪ねてきました。

カリブ海で 実業家として
成功していたフランクさん。

59歳の頃 認知機能が衰え
人との会話を覚えられなくなりました。

適切な判断ができなくなった彼は

会社を失い 投資も失敗。

長年蓄えた資産も失いました。

医師から 早期のアルツハイマー病と
診断された時

20年来の友人たちの顔も
分からなくなっていました。

死を覚悟したフランクさんは
自宅を処分して

妻と2人で 好きだったメキシコに移住。

2人だけで ひっそりと
日々を過ごしていました。

ある日 リタイアした高齢者が集まる
レストランに行き

生活習慣で改善を目指す療法のことを
耳にしました。

当初は 信じられませんでしたが
妻と一緒にインターネットで調べ

デール博士の論文を見つけました。

2か月かけて交渉し
デール博士のオフィスを訪ね

直接 相談しました。

妻の助けを借りて 糖質制限や運動などを
2年間 地道に続けたところ

認知機能が 少しずつ
改善していったといいます。

フランクさんは MOCAと呼ばれる
認知症テストで

かつては 25点以下だったのが

今では 満点の30点を取るまでに
改善できたといいます。

これまでのところ MCIでも
3割は 改善が見られません。

データを解析し
その原因を探りたいと考えています。

なかなか治験を行うことができなかった
デール博士。

しかし 2019年6月 ようやく
アメリカの医療機関の協力を取りつけ

治験が始まることになりました。

今回の治験は 特定の薬や
医療技術を試すものではありません。

それぞれに合った 個別の療法を試し

その何%に変化が見られるのかを
確認するものです。

そして 医学界にも
大きな動きが出てきました。

2019年7月 アルツハイマー病協会が

新しい発表をしました。

生活習慣の改善がアルツハイマー病の
予防に有効だと発表し

2年かけて
大規模な調査を行うというのです。

同じ時期…

運動や食事など
ライフスタイルの改善が

認知症の予防に効果があり 国レベルで
取り組むことを推奨しています。

薬だけでなく 生活習慣を変えることで

認知機能の予防・改善を
進めていこうという取り組みは

世界的に広がろうとしています。

デール博士は 各地を回って
講演を行っています。

そして 日本にも
やって来ることになりました。

(取材者)お疲れさまです。
すいませんね…。

それを聞いた蘓武さんが
会って直接話したいと

仙台から 朝一番の新幹線で
上京してきました。

♬~

(拍手)

デール博士に蘓武さんを紹介しました。

えっと…

やっぱり 本人となると
ちょっと緊張しました。

本人から 何かを聞くとか ひと言でも

「頑張んなさいよ」って言われただけでも

多分 違ったんだと思うんですよね
今日は。

もう一回 最初っから 本当に最初っから
やり直してみようかなって…。

30年かけて アルツハイマー病に
取り組んできた デール博士。

撮影中 デボラさんが 子どもの頃
好きだった曲を教えてくれました。

♬~

♬~

アルツハイマーと戦う 蘓武さん。

子どもの頃 父に褒められた出来事を
思い出しました。

おやじんところで… あっ おやじ…
いや あの

親戚がね
集まってたことがあって

そん時に 弟がね…

えっと 何か…

弟が 親戚の子どもたちが
集まってたから

みんな はしゃいで ドタバタ
うるさかったんですよね。

で その時に… その時 おやじいなくて

そしたら そこの主…
主っていうか おじなんですけどね。

おじのうちで みんなで
ごはん食べたりしてたんですけど。

その時に 何か
多分 酔っ払ってたかと思うんですけど

弟を 何か ものすごく叱ったんですね。

そして それがね 私もいたんですけど

あんまり しつこかったんですよね。

「大人のくせに 何で そうやって

小さい子どもをいびるんだ」
みたいなことを言ったら

おじが 逆上して。
弟は ガ~ガ~ 泣いてるんですよ。

何か 我慢できなくなって 胸倉つかんで

取っ組み合いのけんかになったんです。

そして そこを どうやって帰ったかも
分かんないぐらい興奮してて

父が帰ってきた時に

あの… 何か…

あの… 怒られるんだと
思ったんですよね 俺。

そしたら…。

「もし 俺が その場にいたら
俺も 同じことした」って。

そして…。

「ありがとうな」って
何か言われたんですよね。

父に 一番 褒められたと思ってるのは
その時なんですよ。

そういう おやじで。

そういうところが好きでしたね。

4か月後 蘓武さんは 再び
認知機能のテストを行いました。

テストの点数は
僅かですが 上がっていました。

蘓武さんと妻の戦いは続いています。


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