100分de名著 アーサー・C・クラークスペシャル(3)「都市と星」人類の誕生や死までを完璧にコントロール…


出典:『100分de名著 アーサー・C・クラークスペシャル(3)「都市と星」』の番組情報(EPGから引用)


100分de名著 アーサー・C・クラークスペシャル(3)「都市と星」[解][字]


人類の誕生や死までを完璧にコントロールする理想的な人工都市「ダイアスパー」。しかし、それは人間の知的好奇心や冒険心といったものまでむしばむディストピアだった。


番組内容

人類の誕生や死までを完璧にコントロールする人工都市「ダイアスパー」。それは銀河帝国崩壊によって地球に帰還した人類が創りあげたユートピア。人間の感情すら完全に管理され安全と平和が保たれているかにみえたこの都市は、しかし、人間の知的好奇心や冒険心といったものまでむしばんだ。ユートピアの極限が実はディストピアだったのだ。この「ダイアスパー」に風穴を開けようと立ち上がった主人公アルヴィンの運命は?

出演者

【講師】作家…瀬名秀明,【司会】伊集院光,安部みちこ,【朗読】銀河万丈,【語り】墨屋那津子


『100分de名著 アーサー・C・クラークスペシャル(3)「都市と星」』のテキストマイニング結果(ワードクラウド&キーワード出現数ベスト20)

100分de名著 アーサー・C・クラークスペシャル(3)
  1. アルヴィン
  2. ダイアスパー
  3. クラーク
  4. 宇宙
  5. リス
  6. 都市
  7. 今回
  8. 人類
  9. 自分
  10. 人間
  11. 地球
  12. ユートピア
  13. 冒険
  14. ヒルヴァー
  15. 住民
  16. 変化
  17. ロボット
  18. 一人
  19. 記憶
  20. 作品


『100分de名著 アーサー・C・クラークスペシャル(3)「都市と星」』の解析用ソース(見逃した方はネタバレ注意)


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SF界に名を残す アーサー・C・クラーク。

第3回に取り上げるのは
「都市と星」です。

高度なコンピューターによって
完全管理される究極の都市。

そこに 一人の特異な人間が生まれ
人類の運命を大きく変えていく…。

真のユートピアとは何か?

クラークが導き出した答えを
読み解きます。

♬~
(テーマ音楽)

♬~

「100分de名著」 司会の…

第3回となる今回は 「都市と星」です。

「銀河帝国の崩壊」という長編を
更に膨らませたものなんですね。

なるほど。
前回 「幼年期の終わり」でしたっけ?

あれも 一回 書いたんだけども
もっと言いたいことがあるとか

もっと面白くできるはずだっていう感じで
作り直してるんですもんね。

はい 何度も推敲する作家なんですよね。
では 指南役 ご紹介しましょう。

作家の瀬名秀明さんです。
よろしくお願いします。

お願いします。
よろしくお願いします。

瀬名さん 今回の作品の特徴は
どういうことになりますか?

前回 ユートピアって何だろうという
問題提起が出てきたんですけれども

今回の作品では まあ それに対する
クラークなりの回答を提示した作品で。

SFって こう何か 勝手に未来のことを
想像すればいいやという時代から

「社会の在り方」って どうなのかとか

本当に 僕たちが幸せに暮らすには
どうしたらいいかっていう

大人の階段を 一歩上がったといいますか
そういう作品になってますね。

何か このシリーズは 全4回を通してね
そのクラークって人が

クラークっていう人の
SFとか 宇宙に対する考え方が

どういうふうに 進化なのか
変化していったのかというのも

見どころだって教わってるんで
ちょっと その辺 楽しみですね。

楽しみですね。 さあ それでは
早速 物語を読んでいきましょう。

はるか未来 地球は荒廃し
砂漠で覆い尽くされていました。

人類の安住の地となっていたのが
「ダイアスパー」です。

そこは 人間の生と死が

中央コンピューターによって
完全管理されている驚異の都市。

人の寿命は 1, 000年に延ばされています。

そして 肉体が滅ぶ前に

その人間の構成情報を
メモリーバンクに保存することで…

前世の記憶も徐々に取り戻す
まさに 不老不死を実現した都市でした。

人間の体の構造も変わり…

住民は 主に「サーガ」と呼ばれる
仮想ゲームに興じ

10億年もの間 閉鎖空間で
変化のない生活を続けてきました。

ところが そんなダイアスパーに

なぜか 前世の記憶が全くない人間
アルヴィンが誕生します。

アルヴィンと他の住民との
決定的な違いは

「ダイアスパーの外に出たい」
という強い思いでした。

「人類は 他の場所には生きていない」。

そう聞かされていたアルヴィンでしたが

ある日 道化師ケドロンの協力を得て

地下に隠された交通網を発見。

都市を脱出します。

すると アルヴィンは
「リス」と呼ばれる国を見つけました。

そこは 豊かな自然があふれる場所。

科学に依存せず 動物と共に
素朴な暮らしを営む人々がいたのです。

なぜ ダイアスパーを出たのかと
リスの住民から尋ねられ

アルヴィンは こう答えます。

これって
輪廻転生みたいな話じゃないですか。

何か 今 ここまで聞いてると。

不老不死とも とれるんだけれども

何か 肉体 滅びて 次の肉体に

ある意味 電子データなんだけど
魂が入る みたいな話だから

良い生まれ変わりを みたいな感じでしょ。

でいて
それと めちゃめちゃ新しい感覚の

その 人間の記憶とかの
情報化みたいなのが入ってて

何か その「うまい」という言い方が
褒め言葉なのか 分からないけども

もう早速 夢中になりそうです。
また 特異な設定ですもんね。

特別な世界が出てきましたもんね。
すごいですよね。

「超高度な中央コンピューターが
完全管理した社会」と。

都市としての実態は
あるんですけれども

人と会うにも バーチャルリアリティを
通して 会ったりとか

まあ 欲しい家具があればですね

仮想現実 人工現実の世界として
出てきたりとか

ず~っと みんな 「サーガ」という
仮想ゲームで生きていると。

今で言うと もう ゲームにね

何十時間も夢中になってるような子たちを
まあ 想像させたりもしますし

ユートピアなのか
それとも ディストピアなのか

よく分からないっていうところから
物語が始まってくるわけです。

これって それこそ
バーチャルリアリティのゲームとか

ネットワークのゲームとかが
世の中に いっぱいある 今だと

割と発想しやすいかもしれない。

クラークって 何で こんな発想を…

こういう都市とか こういう世界を
どこから イメージしてきたんですかね?

当時ですね ちょうど サイバネティックス
という学問分野といいますか

考え方が台頭してきたんですね。

ノーバート・ウィーナーっていう人が
言い始めたことなんですけど

人間と その機械が
電脳空間みたいなもので つながれて

新しい人類が生まれるかもしれないと。

サイボーグという言葉も

宇宙に人が行く時
人間の 生身では駄目だから

機械と融合すれば
宇宙空間に適応できるっていうことで

研究が 実は始まっているんですよね。

だから まあ そういう時代背景を
取り込みながら

独自のアイデアや発想を入れ込んだのが
このダイアスパーの設定だと思います。

で 主人公はアルヴィンなんですけれども
「幼年期の終わり」で

宇宙に飛び出していった
青年 いましたよね?

ジャン・ロドリクスでしたっけ。
はい。

彼との似ているところとか
違うところというのは ありますか?

その 冒険そのものよりも…

行って帰ってきますっていうふうに
言えるのかとか。

うわ~ そこ すごい聞きたいです。

その 要は
何度も書き直してるってことは

その間にあった人生の中で
何かがあったからですよね?

何かが大切だということですよね。

そうすると この部分は
前のバージョンからすると

かなり多くなっているんですか?
行くまでっていう。

行くまでの描写が
すごく丁寧になっていて

だからこそ 今回の「都市と星」は
名作になっているんだというふうに

僕は思いますね。

さあ リスというところに たどりついた
アルヴィンは

その後 どんな旅をするでしょうか?

科学より 精神に重きを置き

テレパシーなどの超能力を持つ
リスの人々。

彼らは 老いや死を受け入れる一方で
人同士の結び付きを大切にし

あたたかなコミュニティーを
築いていました。

アルヴィンは ヒルヴァーという若者と
冒険に出ます。

仮想ゲームとは違い 自分の足で
山や森を歩き回る 初めての体験。

苦楽を共にする中 2人は やがて
生涯の友となっていくのです。

旅先では
湖にすむ 地球外生命体を発見します。

それは 何十億という個体が集まる
群体生物で

細胞の崩壊と再生を繰り返し
永遠に生き続ける 異星人でした。

まるで ダイアスパーの住民みたいだと
ゾッとするアルヴィン。

一方 群体生物は
謎のロボットを従えていました。

アルヴィンは そのロボットが
ダイアスパー誕生以前の

人類が忘れ去った歴史を
知っていると直感。

群体生物を説得し
連れ出すことに成功します。

ところが 村に戻ると意外な出来事が。

ダイアスパーに帰るなら
リスでの記憶を消さなければならないと

強力な超能力で襲われます。

更に 何とか ダイアスパーに戻ると

今度は 外界に出て
人々を混乱させたとして…

それでも アルヴィンは
ものおじすることなく

ダイアスパーとリスは
交流を持つべきだと主張しました。

しかし 人々は
価値観の異なる文化を警戒し

地下の交通網を閉鎖。

ダイアスパーとリスは
断絶してしまいました。

そこで アルヴィンは
中央コンピューターに頼み

ロボットにかけられた ロックを解除。

ダイアスパーの砂漠に隠されていた
宇宙船を手に入れ

再び リスに向かいます。

そして リスの指導者たちに会い

ダイアスパーと交流するよう
説得を試みました。

アルヴィンの行動によって
流れは変わりました。

そして アルヴィンは
人類の過去の謎を探るべく

ヒルヴァーと2人で
宇宙への冒険に出ることになります。

何か いろんなことの比喩が
入ってそうで

それは 都会と地方とか
デジタルとアナログとか

まあまあ 人工物と自然物とか。

何か いいなと思うのは
自然に触れたせいで

え~と 「もうロボットは いいや」って人も
いるじゃないですか。

SFは もういい
自然の方が すごいんだからって言って

作風が 180度 変わっちゃう人も
いるじゃないですか。

でも この人は それもSF小説に
取り込んでいくじゃないですか。

何か そこが 2つの種族を
仲良くさせようという感じに

ちょっと思えるんですけどね。
重なりますねえ。

ここを 片方だけに寄るんじゃなくて
両方 ミックスした方が

絶対 世界は良くなるっていう感じが
ちょっと ぐっときますけどね。    うん。

地球の中に 自分たち一人だけ

一つだけだと思っていた
都市なんだけれども

実は 他にも価値観の違う人がいて
そういう人たちとの協力によって

じゃあ 自分たちの過去を探りに
宇宙に出ていこうという

気持ちがありますよね。

ジャン・ロドリクスというのと違って…

彼は 一人で
密航していったんですけども

今回は バディと一緒に
宇宙へ旅立っていくということで

まあ あの 自分一人の価値観だけで
動くんじゃないんだと。

ダイアスパーの人を説得し
リスの人を説得し

だからこそ 僕らは
宇宙へ行くんですよということを

まあ ちゃんと主張して
それから出かけてゆくという。

一人で頑張ると 何とかなるっていうのも
別に間違いではないんだけれども

ちょっと ここには そのクラーク自体の
心の変化というか… は ありそうですね?

この時ですね クラークは ダイビングに
はまりつつあったんですね。

書いた時?
書いていた時。

それで ロンドンから オーストラリアまで
船で旅をするんですけど

その途中で
書かれるようになったんです。

2人で バディとなって
海に潜るということをやって

その間に
まあ 書き終えたということなんです。

僕は そこが すごく重要だと思っていて

海に潜ってみたら ああ この目の前に
こんな きれいな さんご礁がある

こんな魚がいる バディがいて
バックアップしてくれるという

何か そういうのが
これを 宇宙に持ってったら

ああ こんな きれいな光景が
見えるんじゃないかとか

こんな わくわくする冒険が
できるんじゃないかっていうのが

自分の中で…

もう 宇宙を書くために
生まれた人だから

多分 どんなレジャーしてても
「こういうことか 宇宙!」って。

そうですね。
そうなんでしょうね。

「変な動物いる。 こういうことか」っていう
感じは とても健康的。

そうですね。 でも ちゃんと
やっぱり背景があるんだな

理由があるんだなと思いますね。
面白いですね。

すごく説得力がありますね。

さあ アルヴィンとヒルヴァーは
その後 どうなったでしょうか。

見てみましょう。

「七つの太陽」と呼ばれる星系を旅した
アルヴィンとヒルヴァー。

彼らは やがて
肉体を持たず 精神だけで生きる

ヴァナモンドという存在に出会います。

ヴァナモンドによれば

人類は かつて 数々の異星人たちと共に
帝国を繁栄させていましたが

その後 銀河系の彼方へ冒険する者と

勇気がなく 地球に戻る者とに分裂。

地球を選んだ人類は
ダイアスパーをつくって

閉じこもったことが判明します。

アルヴィンたちが地球に戻ると

ダイアスパーと
リスの研究者が協力し合い

両者の寿命の差など
融和のための課題が議論されていました。

そして ダイアスパーの住民が持つ

外界に対する恐怖心を克服するための
実験が行われ

アルヴィンの教師
ジェセラックが成功します。

人類が 一つに まとまりつつある中

アルヴィンの心境に
大きな変化が訪れました。

アルヴィンは 地球を
豊かな水の星に戻すことに専念し

もう二度と 冒険に出ないと決めました。

そして…

アルヴィンは
ヒルヴァー ジェセラックを連れ

宇宙船でのラストフライトに出かけます。

最後に 外から見た地球の美しさを
目に焼き付けたかったのです。

クラークと 銀河万丈さんの
組み合わせっつうのは完璧ですね。

すばらしい
キャスティングでした 今回。
ええ。

何か 自分が
上空 何キロにいるような

何十キロ 何千キロにいるような気持ちで
聞かせてもらいましたね。

宇宙の広がりが
感じられますもんねえ。
はい。

瀬名さん これまでのクラークとの違いは
どの辺りになるんでしょうか?    はい。

今までは 宇宙に出てゆくということが
重要視されてたのに

今回は 故郷に帰ってくる
ホームカミングの物語になってる。

クラークは
ダイビングの旅に行く途中で

「指輪物語」という 長い小説を

読んでいたということが
分かっています。

あれこそ まさに「行きて帰りし物語」の
典型作品なんですね。

実は アルヴィンという人は

普通の 一般人ではなかった
ということが示唆されるんですよ。

英雄なんだ。
やっぱり 英雄だったんですね。

そのダイアスパーを
10億年前に つくった人が

ヤーラン・ゼイっていう
伝説の人物だったんだけども

いつか 自分の血を引くような まあ
外に出ていきたいと思うような人が

現れるべきだろうと
組み込んでいたんですね

その都市のシステムの中に。

英雄譚として まあ
読めるようになっているんです。

すごいな。 すごいですね。

え~ ふるさとを離れて 都会に出ました。
で 戻ってきましたっていう。

でいて 戻ってきて 俺は
ふるさとのために働こうっていう人に

「だったら 最初から 出なくて
いいんじゃねえ?」って言う人は

いると思うんですよ。
そうですね。

でも 力強い意志で
出たからこそだという。

この ふるさとの良さは
出て 見て

だから この ふるさとのため
やるんだ みたいなこととか

しかも だからって 全部いいってわけじゃ
ないっていうことも

ちょっと言ってますよね。

全て 明るいだろう
きれいだろうってことじゃなくて

暗いとこも 明るいとこもあって

そこは 時間によってすら
変わっちゃうっていうことで

で それが共存してるんだよ
っていうことまで。

多分 自分は その風景を見て
何か気付いたことがあるから

みんなで見ようぜっていう
ことだと思うんですけど。

おっしゃるところが
今回の まあ テーマの

本当のユートピアって
何なのかっていうところに

多分 つながると思うんですね。

これ ダイアスパーって
10億年も続いてるわけですから

別に 変えなくたっていいじゃんっていう
考え方も 当然あると思うんですよ。

クラークは その方向を
とらなかったんですよね この小説でね。

つまり 本当のユートピアっていうのは…

まあ それが本当のユートピアの

姿なんじゃないかと思うんですね。

僕の 漠然と思うユートピア像って

変化の行程 この ぐるぐる
回転してる状態が いい時だと思うから

そうやって また同じことを
繰り返してると思いながら

少し上がった
少し上がったってなってる

この螺旋階段みたいなやつの
一番上から

自分の通ってきたとこを見てるのが
とても美しいんだと。 美しい人生が…。

それが とても美しいという人生が 多分
いい人生なんだろうと思うんですね。

そうすると すごく この最後の
クラークが描写した地球を見てる感じは

とても それに似てます。

こう行って 上で…
上から ちょっと見てね。

「ほら きれいだろ。 そもそも
あの みんなが混ざり合っている

お日様 照ったと思ったら 暗くなる
その全部が きれいじゃんか」というのは

ちょっと そこと重なって
心打たれますね。

はい 瀬名さん
今回も ありがとうございました。

ありがとうございました。
ありがとうございました。

♬~


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