ダークサイドミステリー「ナチスをだました男 20世紀最大の贋作事件」天才贋作師メーヘレンが暴いた、芸術と金と欲望…


出典:『ダークサイドミステリー「ナチスをだました男 20世紀最大の贋作事件」』の番組情報(EPGから引用)


ダークサイドミステリー[新]「ナチスをだました男 20世紀最大の贋作事件」[字]


芸術の価値は誰が決める?ナチス高官をニセ名画・幻のフェルメールで15億円サギにかけ、世界に衝撃を与えた天才贋(がん)作師メーヘレンが暴いた、芸術と金と欲望の闇!


詳細情報

番組内容

ヒトラー率いるナチスドイツの最高幹部が15億円の名画サギに!?世紀のだましを実現したのは、闇の天才贋作(がんさく)師メーヘレン。大人気画家フェルメール幻の作品への金持ちや権力者の欲望を狙いニセ名画を量産した末に、驚くべき数奇な運命で人生を翻弄された伝説の画家だ。タダ同然の絵を数百万倍の名画に仕立てただましテクニックとは?高名な美術研究者までだまされた、意外な落とし穴とは?芸術と金と欲望の闇に迫る!

出演者

【ナビゲーター】栗山千明,【出演】高橋芳郎,西岡文彦,【語り】中田譲治,【司会】青井実


『ダークサイドミステリー「ナチスをだました男 20世紀最大の贋作事件」』のテキストマイニング結果(ワードクラウド&キーワード出現数ベスト20)

ダークサイドミステリー「ナチスをだました男 20世紀最大の贋作事
  1. メーヘレン
  2. 自分
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  4. フェルメール
  5. ゲーリング
  6. 贋作
  7. ブレディウス
  8. 画家
  9. 鑑定
  10. キリスト
  11. ナチス
  12. ニセモノ
  13. 修復
  14. 名画
  15. エマオ
  16. オランダ
  17. フェルメール作品
  18. 億円
  19. 絵画
  20. 食事


『ダークサイドミステリー「ナチスをだました男 20世紀最大の贋作事件」』の解析用ソース(見逃した方はネタバレ注意)


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↓NHK 関連商品

2017年 ニューヨークのオークションで
ある絵画に史上最高価格がつき

世界的な話題となった。

(歓声)

落札価格…

レオナルド・ダ・ビンチ 幻の名画…

実は この絵 60年前は複製品とされ…。

なんと 113万倍もの異常な値上がり!

名画と お金と 欲望の闇へ

ようこそ。

♬~

あなたは気付いてしまいましたね。

この世に隠された恐るべき謎に。

さあ 今宵も参りましょう。

危険な驚きの世界 ダークサイドへ。

第二次世界大戦のさなか

破壊と暴力でヨーロッパを制した
ナチスドイツが

ひそかに 15億円の詐欺に遭っていた!

ハメられたのは 国家元帥の…

つかまされたのは…

それは 今も人気の天才画家

「フェルメール 幻の名画」という触れ込み。

ニセ・フェルメールを描いたのは…

何枚描いても疑われず
誰もが本物と認めた。

ニセモノは 次々と売れていく。

手にした総額…

天才贋作師 驚きの だましテクニック。

だまされる側の弱点 心理のワナ。

美術に大金が動く 「欲望の闇」とは?

これから1時間 闇の世界に光を当て

あなたと共に 謎を解き明かしていきます。

♬~

ウソとニセモノだらけの人間社会。

だまされやすい あなたのために

私が「ホンモノ」を教えてあげる。

この2枚は 今夜取り上げる
天才画家 フェルメールの名画。

フェルメールといえば

この「窓から入る光の描写」が見事よね。

そして 希少な天然石

「ラピスラズリ」を原料とした
鮮やかなブルー。

美しい。

…というのは ウソ。

こちらは 正真正銘 フェルメール。

でも こっちは 贋作師が描いたニセモノ。

人が「フェルメールの名画」と
言ったからって

すぐに信じてしまうようじゃ あなたも
この天才贋作師に 必ずだまされる!

その男が生涯に描いた贋作 17点。

名だたる美術鑑定家や評論家の目を欺き…

闇の…

それは 彼が
純粋な「絵描き」を目指した時代に遡る。

メーヘレンは チューリップと風車の国
オランダで生まれた。

子どもの頃から絵を描くことが大好きで

1913年 24歳の時に初めて

大学主催の絵画コンクールに
絵を出品する。

メーヘレンが描いたのは 伝統の町
ロッテルダムの歴史ある教会の内部。

すると 写実的な画風が
「正統派絵画」として高い評価を得て

なんと…

絵画の才能を認められたことで

それまで建築を学んでいたメーヘレンは
方針転換。

プロの画家として生きる道を選ぶ。

ところが このころ…

従来の写実的な正統派絵画を否定する
若い画家たちが出現。

斬新な表現方法で
次々と画期的な作品を発表し始めていた。

やがて メーヘレンの作品は…。

…と 美術評論家に酷評され

メーヘレンは
「売れない画家」へと転落してしまう。

食いぶちを得るため
しかたなく新しい職に就いた。

それが 古い絵画を修復する仕事だった。

絵画の修復とは 長い期間
展示や保管をしているうちに

汚れたり 傷ついたりした古い絵画を

オリジナルに近い状態に
よみがえらせること。

例えば
絵の表面の汚れたニスを取り除いたり

絵の具が欠けた部分に加筆をするなど

古い絵を守るためには欠かせない作業。

全くのゼロから作品を生み出す
「画家」ではなく

既にあるものに手を加える
「修復師」として生きる道を選んだのだ。

そして メーヘレン 33歳の時
彼の運命を大きく変える依頼が舞い込む。

絵を持ち込んだのは 友人のテオだった。

フランス・ハルスとは

フェルメールと並ぶ
17世紀オランダを代表する画家。

躍動的な筆使いで 笑っている人物画を
数多く描いたことから

「笑いの画家」と呼ばれ 人気が高かった。

しかし
テオが持ち込んだ絵は損傷が激しく

本物のハルスかどうか
判断のつけようがなかった。

すると…。

確かに ハルス特有の躍動的な筆使いを
再現する自信はあった。

メーヘレンは 学生の頃から

17世紀絵画特有の色使いや描き方を
研究していたからだ。

そうして修復した作品が こちら。

作品そのものは現在 行方不明だが

この写真からでも メーヘレンが

ハルスのタッチを
見事に再現していることがうかがえる。

修復を依頼したテオも大満足。

当時 ハルス研究の第一人者である

美術史家のホフステーデに
持ち込んだところ

修復したものとは知らずに見せられ
ホフステーデは驚いたという。

なんと ハルス研究の第一人者が

メーヘレンが修復した絵を
「本物」と認定したのだ!

すると うわさを聞きつけた
オークション会社が 購入を申し出た。

その額 なんと…

17世紀オランダ絵画を数多く収蔵する…

絵画修復師のワレルトさんによると

ホフステーデが本物と認めた決め手は
「見た目の印象」だけだったという。

おい! 聞いてくれよ!

メーヘレンが そのほとんどを描き直した
「笑う士官」は

1人の専門家の鑑定によって

17世紀オランダ黄金時代の
「価値ある名画」へと化けたのだ。

ところが 絵を買い上げた
オークション会社の依頼で…

その専門家とは

当時
オランダ美術界の最高権威とされた…

マウリッツハイス美術館の館長を
20年務め

17世紀のオランダ絵画を長年研究し続けた
第一人者だ。

再鑑定のために
ブレディウスが用意したのは…

アルコールを含ませた脱脂綿で
「笑う士官」の表面をなでると…。

絵の具が取れた。

絵は 描かれてから約50年が経過すると

顔料に混ぜたオイルが完全に蒸発し
絵の具はカチカチに固まるのだという。

アルコールで簡単に絵の具が取れる
ということは

つまり 50年以内に描かれたもので

17世紀のハルス作ではない ということだ。

ブレディウスの指摘で
更なる科学鑑定が行われ

絵の具からは…

絵を買い取ったオークション会社は

ブレディウスの鑑定を理由に
ホフステーデとテオを告訴。

テオに頼まれて
絵を修復しただけのメーへレンも

贋作事件の片割れとして
名前が出てしまったのだ。

絶賛された腕前が 数年後に けなされ

見事な修復をすれば 詐欺師扱い。

人生を翻弄されたメーヘレンは

復讐を誓う。

それが贋作作りの始まりだった。

「これは有名な画家の作品だ」
と専門家が言えば 名画。

でも
無名の人が描いたと分かれば ニセモノ。

芸術って難しい! とも言えるし

でも それって おかしくない?
とも感じるし。

専門家の皆さん どうですか?

さあ 今日はですね
世界的名画の贋作事件について

見ていくわけなんですけど まず高橋さん。

ちなみに でも 今はもう
ないんですよね? 贋作って。

多いんですか。 えっ… 例えば?

これは一つの一例なんですけれども
1998年から

アムステルダムのゴッホ美術館で
ゴッホの作品の鑑定を始めたんですね。

私が認識してるかぎりでは ゴッホは

生涯に900点ほどしか
作品 残してないって言われてるんです。

それが
1年に真贋鑑定に持ち込まれる点数が

200点 持ち込まれるというんです。
はあ…。

で これが 2018年の
ちょうど20年たった段階で

本物とお墨付きを得て
鑑定書が発行されたものっていうのは

14点しかないと聞いてます。
14点しか。 はあ~。

西岡さん メーヘレンという方
美術界の新たな流れの中で

高く評価されたり
あるいは 酷評されたり

この時代に随分 翻弄された方。
ああ そうですね。

…って言われてるんですよね。

それまでは 写実的に 巧みに
描かれてたものが良しとされてたのが

ものすごく個性的で
写実の技術を必ずしも必要としない

かなり奔放な表現が
良しとされる時代が始まった時に

写実の
勉強をしてたメーヘレンの作品が

その10年を
境にして ひっくり返っちゃうんですよ。

なるほど。

だから その時 こう起きかけた
新しい波と

一番 敵にされやすい

「これからの美術って
これじゃ だめだよね」って

やり玉に挙げられやすい絵を

一番やり玉に挙げられやすいタイミングで
発表しちゃったんですよ。

だから メーヘレンが悪いというよりは
この時代の流れに いてしまったというか。

どんぴしゃりで いたんですね。
どんぴしゃで。

で その中で ホフステーデが
メーへレンの絵を見て「真作だ」と。

要するに 正しい絵だというふうに
鑑定してしまったわけですよね。

当時 わりとこう 拙い… 稚拙な方法で

鑑定っていうのを
してたんじゃないかと思うんですね。

その中で やはり
さっきも VTRに出てきましたけれども

見た目だけで判断してしまった。

まだ… どちらかというと まだ

美術品が「金融商品」としての価値を
持ち始めたけれど

まだまだ それほど
高いものにはなってなかったので

そういう…

まあ その渦中にいた
メーヘレンの中には

相当なジレンマが存在していたと
思うんですけれども

このメーヘレンが そのあと
ダークサイドに落ちていく

っていう気持ち 理解できますか?
ああ それは難しいですね。

でも まあ 何かこう
悪い流れに乗っちゃう時って

そういうものなのかもわからないですね。

もの作りの仕事っていうのはね

自分がやった仕事に対して
満足する方法って 2つあるんですよ。

1つは 自己評価ですね。

自分が全力を尽くしてるかどうか 自分が
目指してるとこに届いてるかどうか。

で 自分が迷ってる時に…

そうすると そんな葛藤の中でね

その他者評価が 例えば贋作みたいな

世間的には
よろしくないことであっても

なんか その人の中にある闇とかですね

うつろな部分が大きい場合は

そこに ふっと すがってしまいますよね。

それで…

画家として 修復師として

美術界のあやふやな価値観に翻弄された
メーヘレン。

その復讐相手に選んだのが

自分をニセモノに追い込んだ
美術界の最高権威…

メーヘレンは
完全なる勝利を勝ち取るために

あえて 敵の得意分野で
その目をだまそうと考えた。

それが ブレディウスの専門分野にして…

現在…

中でも 初期に描かれた この2つの作品は
長らく「作者不明」とされていたが

ブレディウスが鑑定をし

「フェルメール作品」と
認定したものだった。

つまり ブレディウスの目を欺き

「フェルメール作品」と
認めさせることができたら

メーヘレンの絵が「オランダの至宝」として
歴史に名を刻むことになる。

それは 「300年前の絵を
これから新たに創り出す」という

不可能への挑戦だった。

ハルスの贋作を見破った…

これを突破するには

絵の具からオイルが50年かけて蒸発し
固まったように見せかけねばならない。

絵の具に
液体プラスチックを混ぜて絵を描き

完成した絵をオーブンに入れ…

完璧な「17世紀の絵」にするためには…

しかし…

そこで メーヘレンは
17世紀の古い絵を購入し

元の絵を丁寧にはがした上に 絵を描いた。

それは 万が一
X線検査が行われた時の対策だった。

更に調査を進めると

目に見えないところまで気を配ったことが
明らかになった。

フェルメールの代表作…

表面には 古い絵画特有の 無数の…

メーヘレンは
ここまで再現しようとしたのだ。

執念の贋作作りは
実に5年の歳月を要した。

そして…

渾身の贋作が完成する。

復活したキリストが
エマオの村人たちと食事をとったという

聖書の一場面を描いた作品。

この絵は 「イタリアに移住した
裕福なオランダ人女性から預かった」

という触れ込みで 代理人に託し

ブレディウスの鑑定に
委ねられることになった。

ブレディウスは
早速 アルコールテストを行った。

すると…。

絵の具は落ちなかった。

ところが ブレディウスは…

すぐさま 結果を発表する。

「特徴的で…」

「他のフェルメール作品にもない感情が

『最高の芸術』によって表現されている」。

「間違いなく
フェルメールの傑作の一つだ」。

…と 絶大な賛辞を贈ったのだ。

一体なぜ ブレディウスは

アルコールテスト以外の科学鑑定を
行わなかったのか?

これも
メーヘレンの巧みな作戦の勝利だった。

ポイントとなるのは
ブレディウスが唱えていた仮説…

初期に宗教画を描いていた
フェルメールは

突如として 一般市民に注目し

何気ない生活を描く
「風俗画家」へと変貌する。

ブレディウスは
この大きな転換期に描かれた

未発見のフェルメール作品が存在しても

おかしくない と考えていたのだ。

そこにメーヘレンが作り上げたのが

宗教画と風俗画
両方の要素が盛り込まれた

「エマオの食事」だった。

聖書を主題にしながら

フェルメール最大の特徴ともいえる
左の窓から光がさし込む構図を採用。

他にも フェルメールの細かい技や

描かれた人物をまねしたりしながら

後の風俗画への移行を予感させるような
作品に仕上げたのだ。

自ら見つけたいと願っていた…

ブレディウスの鑑定後
「エマオの食事」には

なんと 5億円もの高値がつき

メーヘレンは 一躍 億万長者となった。

その上 メーヘレンの絵は
オランダ有数の美術館に

レンブラントやゴッホなど
名だたる画家と並んで展示されたのだ。

アムステルダム国立美術館 元館長で

オランダを代表する美術史家の
ファン・オスさんも

「エマオの食事」をこう評価する。

ニュースは 世界中で大きな話題となる。

まさか贋作だとは
誰も疑わなかったのである。

いや ほんと
実に巧妙な手口といいますか

この5年にわたるメーヘレンの執念
恐るべしという感じですけれども。

もの作ってる人間が 批評家に対して

例外なく思ってる思いっていうのはね

例えば水泳を批評する時に
批評する人が泳げないって

ありえないじゃないですか。
ところが 絵の場合には

絵を描かない人が
絵を批評するわけですよ。

まして批判したりすると 「じゃあ お前
描いてみろ」っていうの ありますよね。

そうすると じゃあ その
「お前 描いてみろ」っていう その憤りが

どこへ行くかっていうと
「じゃあ お前は目のプロなんだ」と。

それに対して 「俺は手のプロだ」と。

「じゃあ この手によって お前の目を
負かしてやるぞ」っていうのが

メラメラと燃え上がるわけですよ。

実際そういう経験って あるんですか?

ありますよ そりゃ。
そりゃ若い時ですけどね。

ただ まあ今回 贋作って 見たものを
そのまま描いていくものかと思いきや

自分で 新しいものを…

これはですね なぜかというと

ある画家の
たくさん作ってた制作時期の作品に

無理やり当て込もうとすると やっぱり
すぐ見破られてしまうわけです。

それを
反対に 作家の作品の移行期ですね

画風の移行期のところに当て込む

あるいは 作家が… 画家が その作品を

描いてなかった空白期の時に
当て込むというのは

これはまあ 一般的に それ以降の贋作師の
常套手段となってます。

じゃあ 贋作の歴史においては
メーヘレンがある意味トリガーになって

このスタイルを生み出した…?
そうですね。 そう思います 私は。

はぁ~ …って 感心していいのか
分からないんですけれども。

ちょっと感心しましたね。 僕 実は以前ね
この贋作 写真で見た時に

「なんで こんなに作品として未熟なものに
だまされるのかな」って

実は思ったんですよ。
「目が節穴なんじゃないか」と。

だけど 今 説明聞いたらね その…

初期のフェルメールっていうのは
もっと こう おおらかっていうか

若干テンションの低い
デッサンなんですね。

そのテンションの低い 初期のデッサンに
あの窓であるとか

点描であるとか 後期の様式を
適当にブレンドしてるんで

全体の完成度が非常に低いんですね。

で 僕は それがすごく嫌だったんだけど
研究者から見れば…

この戦略は すごいですね。

でも今回 ブレディウスさん

アルコール以外の検査
しなかったわけですよね。

「ブレディウス やっちゃったな」
という感じに思ったんですけれども。

そうですね
多分 アルコール検査で分かるのは

50年以内に作られた作品ですよね。

実際に フェルメールの作品というのは
300年たってるわけですけども

ブレディウスの考えとしては

300年以降の 50年前までの時期の間に

そういう贋作を
作る意味が それほどなかったから

作られてないのではないかな
と思ったのではないかなと思います。

ちょっと
ダークな意見かもしれないですけど

人って
やっぱり 自分に都合の悪い真実は

見たくないですからね。

どっかで
ささやいてたのかもしれないですね。

「どうか これ 本物であってほしい」と。

研究者としての自分の生涯に

1回来るか来ないかの
チャンスだったんだと思うんですよね。

そうすると ちょっと こう
暗~い部分ではね

「いやいや これだけ しっかりしてれば
いいでしょ。 そんな やっぱり…」。

…と 自分を
言い聞かせたかもしれませんね。

美術界の大物をだまして
見事 復讐を果たしたメーヘレン。

でも その喜びもつかの間

彼は 自ら落ちた心の闇 ダークサイドの
恐ろしさを思い知ることになる。

史上最凶 ヒトラー率いる
ナチス最高幹部を相手にした

贋作取り引き。

だませなければ…。

死あるのみ。

フェルメールのニセモノ「エマオの食事」で
5億円も手に入れたメーヘレンは

その後も…

理由は ただ一つ。

世界中のコレクターや美術館が

更なる「幻のフェルメール」を
欲しがっていたからだ。

そして 金に糸目をつけない人たちが

メーヘレンの贋作に
途方もない金額を喜んで支払った。

法外な金を手にしたメーヘレンの生活は
一変する。

酒とモルヒネに溺れたのだ。

特にモルヒネがなければ 絵筆を持つ手も
安定させられない状態だった。

そんな中 メーヘレンは 51歳の時
一枚の宗教画を描き上げる。

酒と薬のせいで 以前と比べて…

表面に塗ったニスのムラが確認できるほど
クオリティーは低かった。

ところが この絵に
思いもよらぬ人物が目をつけた。

ヒトラーに次ぐ
ナチスドイツ ナンバー2の最高幹部…

ゲーリングは ヒトラーと共に…

各地で美術品の略奪を行っていた。

特に ゲーリングは…

自宅には
ゴッホ ルノワール ルーベンスなど

名だたる作品が2, 000点以上。

本人も 美術の造詣が深く

鑑識眼も
なみなみならぬものだったという。

そんなゲーリングでも
持っていなかったのが…

ゲーリングは これに嫉妬していたという。

オランダを代表する画商
ヤン・シックスさん。

ヒトラーとゲーリングのコレクター心理を
こう語る。

そうした中 オランダから

フェルメール作品が新たに発見された
とのニュースが

ベルリンに届いたのである。

ゲーリングは
お抱えの美術鑑定士を使い…

そうとは知らず 「キリストと姦婦」を
描き上げたメーヘレンは

知人の画商を訪ね

「オランダ人の富豪から売却を依頼された」
として 絵を預けてしまう。

絵を見た画商は驚いた。

ナチスがフェルメールを探していることを
知っていた画商は

すぐさま ナチスの関係者に連絡。

ゲーリングは それを知るや 大喜び。

絵がベルリンに送られる頃 メーヘレンは
恐ろしい事態を知ることになる。

よりによって
提示していた価格は 過去最高の…

相手は ヨーロッパの多くを
暴力と恐怖で支配する ナチスドイツ。

あの仕上げの雑な絵を見て

ゲーリングが…

メーヘレンの…

やがて ベルリンに到着した
メーヘレンの絵が

ゲーリングの前に…。

一目見たゲーリングは…。

ゲーリングは
「キリストと姦婦」のキリストと

「エマオの食事」のキリストが
同じ顔をしていることに とても感心し

本物と信じて疑わなかったという。

ゲーリングは 提示された15億円で
購入を決めた。

ただ 支払いには現金が足りず

不足した分は 過去オランダから奪った
膨大な絵画の中から

200点を充てたという。

こうして ゲーリングは…

ニセモノとも知らず
自宅の壁に誇らしげに飾り

ヒトラーへの対抗心をおさめたという。

さあ ついに あのナチスまで

だましてしまった
というわけですけれども。

そうですね。
ヒトラーもゲーリングも

非常に美術品には執着してて

非常に集めてたわけですね。

しかも
ほとんどが ユダヤ系の人たちから

だまして 二束三文で売らせて
買い取ったもの。

あるいは 降伏した国の美術館から

略奪したものっていうのが
ほとんどだったんですけれども

その中で まずは
第一番にヒトラーが優先的に

自分のものにできるっていうように
取り決めがあったようですね。

ですから やはり
ゲーリングとしては それを…

…という
焦りもあったんじゃないかと思います。

なるほど。

人っていうのは どちらかというと…

客観的に ものを見れなくなってしまう
っていうの あると思うんですね。

それほど 「フェルメール」という名前が

人々を惑わせてしまう
っていうことなんですかね。

例えば 戦争終結に向かって パリにいた
ナチス主要将校たちっていうのは

もうドイツが危ないなと思ったら
印象派の絵を買い占めてるんですよね。

それは自分たちが持ってるドイツ紙幣が

やがて紙くずになるっていうの
分かるわけですから。

そうすると ものすごく効率のいい

換金性の高いものに
換えようとするわけですよ。

それで 印象派の絵を買いあさって
それが今日の…

絵画バブルという話ですけど
今もう 何十億 何百億って

絵の値段って かかったりしてますよね。

これ…

「顕示的消費」って言葉があるんですね。

自己顕示の「顕示」に「消費」つけて
「顕示的消費」。

それは 高いお金を
払ってるようですけれども

すごく大事なものを買ってるんです。

まずは あの…

つまり その社会における
トップグループのソサエティーに入ったっていう

メンバーシップが買えると。 そのうち
もっと高いものを買うことによって

そのトップグループのソサエティーの…

そうすると その絵の単価としては
高いかもしれないですけども

それと引き換えに手に入れた
社会的ポストをもってすれば

それぐらいの金額は何でもないっていう
見返りがいくらでもあるわけですね。

人間っていうのは やはり
何かをする時って刺激を求めるんですね。

ですから 絵を買う時も
例えば自分の金銭感覚の中で

十分買える範囲のものを買う時って…
あんまり満足感を得られないみたいで

むしろ反対に 自分がちょっと上を見て…

ただ一方で メーヘレン。

最初5億円を手に入れて それでも彼は
贋作を作り続けるわけですよね。

当初の目標は
達成されてるわけじゃないですか。

メーヘレン自体の私生活を
見ていきますと

かなり モルヒネとアルコールに
むしばまれてるんですね。

あとは金に飽かした女性関係っていうのも
かなり淫らだったようですね。

ですから むしろ反対に言えば
そちらの方にお金が流れていくと同時に

どんどん どんどん
堕落していくっていうようなことで。

…ってやつですね。

そういう意味では 西岡さん
もう「絵描き」ではないことに

なってきてるってことですよね。

いや 逆に言うと
絵描きのマインドが残ってたから

そういうこと したんでしょうね。

やっぱ 自分の中に もう
底なしの穴が開いてるんですよ。

何をしても その穴埋められないんですよ。

そういう時 一番簡単なのは浪費でしょ。
それからアルコール依存ですよね。

だから もう絵描きをすっぱり諦めてたら
手堅く蓄財したかもしれないです。

だけど やっぱり
絵描きとして始まった人間が

あの贋作によって
富を手に入れることによってね

自分の魂の中に
巨大な黒い穴ができたんですよ。

それは何をもってしても
埋められなかったんでしょうね。

なるほど。

メーヘレンは 自分が描いた贋作で
ゲーリングをだまし

一生ぜいたくできる
お金を手に入れました。

でも 売れたのは…

彼は それで幸せだったのでしょうか?

そして ついに メーヘレンの名前と技術が
世間に知れ渡る日がやって来ます。

そこで彼は
自らの絵の価値だけではなく

「人間としての
価値」まで 振り回されてしまうのです。

ナチスドイツは敗北し

オランダは解放された。

戦時中 ナチスの侵攻により

チューリップの球根まで食べ尽くすほどの
食糧難に苦しめられたオランダ国民。

一方でメーヘレンは
贋作を売って手に入れた64億円で

不自由のない億万長者の生活を
送っていた。

ところが…

(ノック)

容疑は…

罪状は
オランダの至宝 フェルメールの名画を

ナチスに売り渡したというものだった。

戦後 ナチスが略奪した美術品は
次々と発見 回収された。

その数…

ゲーリングのコレクションも大量に押収。

その中に…

あの「キリストと姦婦」があった。

そして 残された…

ナチスが絡んだ事件に
人々は敏感に反応した。

メーヘレンは 国民から糾弾された。

想定外の出来事に
黙秘を続けたメーヘレン。

だが ついに重い口を開いた。

しかも 「キリストと姦婦」だけでなく

フェルメール作品として
美術館に収蔵されている

「エマオの食事」も「最後の晩餐」も

全て自分が描いたものだと告白したのだ。

全て終わった。 今日から また

ニセモノの詐欺師と呼ばれながら
生きていく。

ところが…。

衝撃の告白をマスコミも信じなかった。

「親ナチ芸術家が

美術通の目をも欺くような
すばらしいフェルメール作品を

描けるはずがない」。

そこで メーヘレンが取った行動は…。

メーヘレンがモチーフに選んだのは
「キリストと姦婦」同様…

まさに
「世間が見たかったフェルメール」を

監察官の目の前で
見事に描いてみせたのだ。

1947年
世紀のスキャンダルの行方を知ろうと

世界中からマスコミが詰めかける中
裁判が行われた。

前代未聞の法廷。

そこには メーヘレンが手がけたと語る
ニセ・フェルメールがずらりと展示された。

大勢の傍聴人が注目する中

メーヘレンは
贋作を描きつづけた理由を こう語った。

裁判では オランダ美術界を代表する
鑑定士によって 鑑定結果が告げられた。

メーヘレンの贋作は

美術界が いかに脆弱な価値観の上に
成り立っているかを

暴き出す作品だったと
最大限に評価したのだ。

真実が明らかになると 世間の…

「売国奴」から
「ナチスを手玉に取った男」として

なんと 英雄扱いへと変わったのだ。

ゲーリングに略奪された
貴重なオランダ絵画200点を

ニセのフェルメールを使って取り戻した。

この偶然が
長年ナチスに苦しめられた国民から

称賛を浴びたのだ。

しかし その後メーヘレンは
絵筆を持つことはなかった。

メーヘレンは心臓発作により
この世を去った。

長年の酒とモルヒネの常用が
原因とされた。

ほんとにドラマでも描けないような
実在したストーリーなわけですけれども。

まあ 厳しい選択ですよね。

ただ ちょっと今思ったんですけど
最後に個展はできたんですね この人ね。

そうですね 裁判所で。

だから どうなるのかなと思ったら
そのまま フッと逝ってしまわれたんで

結論が出ないですよね この話はね。

まあ 一人の人生が狂ったのか
よかったのか その辺りはどうでしょう?

それ… いや あの…

本音… 本音言っていいですか?
はい。

やっぱ 批評ってシステムが
おかしいですよ。

絵を批評するという…。
絵を批評するシステムは おかしいですね。

歴史的な鑑定とかね
ものとしての鑑定というのは

科学的根拠がありますよね。
だけど その中間に

非常に主観的な「批評」っていう
領域があるんですよ。

しかも それが時代で
どんどん どんどん変わるわけでしょう。

当然それに弄ばれる しかも
若き画家っていうのがいるんですよ。

彼らは もう多かれ少なかれ
悲劇的な波に弄ばれることになりますね。

う~ん なるほど。

僕たちはね 例えばグルメ評論家はいると。
ファッション評論家もいると。

だけど 自分がおいしいと思うものは
自分で決めよう

自分らしく着れるものは
自分で着ようっていう

「消費姿勢」を保ってれば
こういうことは起きないんですよ。

そうですね。
美術の本質っていうのは やはり

その作品を見た時に 何か感動する。
感動まで いかないでも

何か心を ちょっと打たれる何かが
あるっていうところが

本来アートの本質であると思うんです。

その本質の部分をしっかり持った作品を
しっかり見極めるっていうことが

非常に重要なんじゃないでしょうかと。
なるほどね。

もともと…

何か 自分の
その時持ってる醜さであったり

ないしは逆に 「あっ 自分の中にも まだ
きれいなものが残ってるな」みたいな

そういうことを鏡のように向き合う芸術が
絵画であったはずなのに

そのこととは関係ないところでね

巨大なビジネスが生まれたり
ある権力が動いたりすると

どうしても その一枚の絵が真作であるか
贋作であるかってことによってね

もう巨額のお金が動くわけですよ。

そのこと自体を問うてる事件ですよね。

我々の見方にも 問題というか課題がある。

自信ないんですけど。

いや…

人に言わないけど
「あっ これ きれいだな」とか

人に言えないけど 「絶対好きだな」
ってものはあるんですけど

言えなくなってるんです。 今…

あ~ なるほど。

だから 美術館
向こうの大きな美術館とか行って

やっぱり自分に突き刺さってくる絵
っていうのは ありますよ。

みんなが いい絵を
別に刺さんなくていいんですね。

そうじゃないですか やっぱり。

いいんですか?

いや そりゃ全員同じだったら
かえって気持ち悪いじゃないですか。

でも 「あいつ あの絵の魅力
分かんないやつだな」って

言われちゃうじゃないですか。
それは 言う人がおかしいですね。

おかしいんですか。
うん 僕は言ったことありません。

言う人がおかしいです。
音楽と同じです。

ですから 私としては できれば…

…っていうようなことを
してもらうといいかな なんて思います。

世界を驚がくさせたメーヘレンの贋作を

今も 実際に見ることができる場所がある。

農場が広がる
のどかな町に立つ

小さな美術館。

ここに展示されているのが…。

一時は ゲーリングが
15億円の価値と認めた…

画家の名は 肩書なしで ただ…

この絵に あなたは何を感じるだろうか。

♬~


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