ヒューマニエンス 40億年のたくらみSP▽“性とウイルス”人間を生んだ力とは?[字]…の番組内容解析まとめ


出典:EPGの番組情報


ヒューマニエンス 40億年のたくらみSP▽“性とウイルス”人間を生んだ力とは?[字]

「性」と「ウイルス」という2つの仕組みから、俳優・織田裕二が専門家と共に、人間を生み出した源泉を探究し、妄想する。BSプレミアムで放送中の番組のスペシャル版。

詳細情報
番組内容
最新科学で明らかになったオトコとオンナ。それは実はグラデーションで、2つにわけることができない。しかも今、オトコのY染色体は消滅の危機にあり、いつ無くなってもおかしくないという。オトコは消えてしまうのか?そして私たち人間への劇的な進化を支えたのが「ウイルス」。実は哺乳類が子孫を残すために欠かせない胎盤は、ウイルスが体内に持ち込んだ遺伝子のおかげだ。人間を生み出す力とは何か、その根源を妄想する。
出演者
【司会】織田裕二,井上あさひ,【出演】能町みね子,高橋源一郎,【解説】国立成育医療研究センター…深見真紀,【解説】黒岩麻里,石野史敏,【語り】藤井千夏


ジャンル :
情報/ワイドショー - 健康・医療
ドキュメンタリー/教養 - 宇宙・科学・医学
ドキュメンタリー/教養 - 自然・動物・環境


テキストマイニング結果

ワードクラウド

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キーワード出現数ベスト20

  1. ウイルス
  2. 人間
  3. 高橋
  4. 遺伝子
  5. Y染色体
  6. オス
  7. PEG
  8. 男性
  9. メス
  10. 進化
  11. バリエーション
  12. 石野
  13. 能町
  14. 黒岩
  15. 仕組
  16. 胎盤
  17. 可能性
  18. マウス
  19. 研究
  20. 個体

解析用ソース(見逃した方はネタバレ注意)


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私たち人間を人間たらしめているのは

一体 何なんでしょうか。

もしかしたら 今日
皆さんがイメージする

人間という生き物の常識が
覆るかもしれません。

ねえねえ。

今日出た 生物の課題さ
めっちゃ難しくない?

そう?
いや だってさ

「人間を生んだ力」って

生物っていうよりか
もはや哲学っぽくない?

え 何? 余裕じゃん。

ジャーン。
やった!
それでいこう。

では ここで問題です。
はい。

それは 男と女 2種類。

ブッブー。
え?

それは敵だよ。 絶対に。

ブッブー。
違うの?

それ 一体何が書いてあるの?

♬~

♬~

世界中に広がって繁栄している
私たち人間。

でも私たちは なぜ
今 このように存在しているのか?

そこには
常識外れのミステリーが潜んでいる。

例えば
「人間は 男と女の2種類」。

その常識も
最新科学は幻想だという。

今 科学者たちは
性とはスペクトラムだという。

つまり 女から男まで
連続的につながっている

多様なものだというのだ。

更に 人類が誕生したのも
驚くほど偶然の産物と分かってきた。

その進化をもたらした原動力の一つは

あの やっかいもの。

ウイルスである。

それをうまく使えたものが
今の 例えば人間。

ウイルス感染という やっかいごとが

私たちの進化の根幹にあるという
驚きの事実。

今日は
私たち人間を生んだ力とは一体何か?

性とウイルス 2つの切り口から
じっくり深く妄想する。

♬~

さあ 始まりました
「ヒューマニエンス」スペシャル。

井上さん 今回は
「人間を生んだ力」ですね。
はい。

意外とも思える2つの
側面から解き明かします。

うんうんうん。
1つは

男と女という「性」。
はい。

そして もう1つは
今 私たちを苦しめ続けている

「ウイルス」です。

一緒に妄想して頂くのは
作家の高橋源一郎さんと

エッセイストの能町みね子さんです。

(一同)よろしくお願いします。

まずはですね 人間を生んだ力から。
この話 ほんとに僕は心底驚きました。

♬~

この世は 男と女 2つの性に分けられる。

かつては そう単純に考えられてきた。

しかし近年 LGBTで代表される

性的マイノリティーの存在が
広く知られ

社会的な性の多様性が
受け入れられるようになった。

性は多様である。

その事実は 今
最新科学からも浮かび上がってきている。

深見真紀さんは
ヒトの性の仕組みや 在り方を

科学的に研究してきた。

その結果 分かったことは…。

典型的な男 典型的な女 というのは
概念としてはありますけれども

むしろ 一人一人の人間を見た場合は…

この言葉は 一体 何を意味しているのか?

実は 男女の性器の在り方にも

さまざまな
バリエーションが見つかっている。

典型的な形ばかりではないため

見た目では性別を見分けることが
できないこともあるという。

そういう方がいらっしゃることは
分かっていたんですけれども それは

特殊な疾患として捉えられていて

あくまでも例外的な存在っていうふうに
捉えられていました。

最近の研究の結果では
そういうものは決して まれではなくて…

生き物の性は オスとメスだけではなく
2つの性の間にはバリエーションがあり

中間的な表現型を持つ個体が存在する
という考え方である。

このスペクトラムのように
連続する性の表現型を

「性スペクトラム」というのだ。

この話 スタジオで
更に深く掘り下げていこう。

もう 男は男らしくあれって
育てられたし

女性は女性らしくって言われてた
昭和の人間としては

かなり衝撃でした。
そうですよね。

さまざまなことを考え直す
きっかけにもなりますよね。
はい。

さあ さまざまなバリエーションの
外性器がありました。

以前は
疾患と捉えられていましたけれども

これは そうではなくて
バリエーションということなんですね?

そうですね もともとは

典型的な男の子の外性器
女の子の外性器って

はっきり概念としてあるんですけれども
その間の方は

性分化疾患 病気っていうふうに
捉えられてたんですけども

必ずしも病気というわけではなくて

よく分かってみると
その正常となる中にも

いろいろなバリエーションがありますし。
はあ~。

赤ちゃんで生まれた時に
基準みたいなものはあるんでしょうか?

今の普通の男の子ですと
大体 おちんちんの長さが普通は

2.5cm以上あるのが普通だっていうふうに
言われてますけれども

例えば それが2.4cmだったら異常なのかと
言われると そうでもないですし。

どこまでが正常な範囲なのかとか
言えないと思います。

結局 どっからが…

区別しちゃいけないのか。
それは簡単には言えないですね。

頭が こんがらがる。

その組み合わせは1対1ではないので。

え 卵巣を持ってて 外性器は男性だと。
ということ あります。

で 精子も持ってる。
精子は持ってないです。 卵巣なので。

はあ~。
(高橋)これは ず~っと…

グラデーションは
昔からあったものだと思います。

ただ 最近になって染色体検査が
いろいろされるようになったですとか

そういうことで
分かってきたんだと思います。

で 今までは 例えばLGBTにしても

あくまでも例外的な存在
っていうことだったのが

ただ 普通の一般集団で見てみると
ちょっと その性しこうでも

異性が好きだけれども 同性にも
ちょっと性的魅力を感じるということは

決して珍しくはない。 あるいは…

…というのが分かってきたの
最近の話だと思います。

男と女。

なぜ 2つに定まらず
性スペクトラムになるのか。

それは 性を決める仕組みである染色体を
見ると分かるという。

人の染色体の数は 男女ともに46本。

そのうちの2本が
性を決定づける「性染色体」である。

これが XXであれば女
XYだと男になる。

ところが 典型的なこの2つ以外にも

Y染色体の一部が
欠けているものや

Xが1本しかないもの

更に X2本とYの
組み合わせや

XYとXXが一緒になっているものなど
さまざまな染色体が見つかったのだ。

深見さんは 実際に
さまざまなバリエーションを見てきた。

男性においても Y染色体が
一部なくなっていたりですとか

女性でも さまざまなパターンの
バリエーションがあるってことが

分かってきて…

…ということが
だんだんに分かってきました。

性という
子孫を残すために重要な仕組みが

なぜ こうもバリエーションがあり
曖昧なのか。

そして なぜ 人間を生む力となったのか。

これを見てから
「え?」って 「そうなんだ」って。

じゃあ 自分が 100%男っていう
部分じゃないのかもしれない。

勝手にそう思ってるだけだ。

(高橋)僕 最初に思ったのは…

そうですね。
(高橋)だって あれ

男女 XXとXY
としか書いてないですからね。

だから あれ出したら
もうみんな ちょっと

最初の生物の時間で
みんな困惑して

「男とは何?」って
話になって

進まなくなって 最高に
いいと思うんですけど。
(笑い)

いや 先生も だから
学び直さなきゃいけないでしょうね。

いやいや それぐらいショックで。
僕 この問題って 前々からね

やっぱり男と女って
固定的ではないと思ってたんですよ。

それは いろんな種類の人
いるじゃないですか。      そうですね。

でも 「いろんな種類」というのは
既に分割しようとしてるでしょ。

そう! そうなんですよ。
これ これ これ これっていうふうに。

デジタルで切ろうとする
区別しようとするんですよね。

(高橋)でも 性スペクトラムって
そもそも切れないってことですよね?

そうです 連続してる。
曖昧だってことですよね。

(高橋)これは すごいんじゃないかなと
思うんですよ。

その間にいる人たち
どっちつかず…って言ったら

言い方が難しいんですけど。

(高橋)要するに 「男性」と呼ぶか
「女性」と呼ぶか 名称が難しいですよね。

難しいです。 難しいですが 今 日本では
生後14日以内に出生届を

出さなくてはいけなくて そこには
「男性 女性」という欄があるので

必ず14日以内に
原則として決めなきゃいけない。

でも 見た目で決めちゃうわけですよね?
いえ…

卵巣があるって…。

それは新生児の緊急疾患です。
私たち小児科医にとって。

原則として2週間以内に届けるってことは
法律で決まっておりますので…

(能町)のちのち成長して
本人が 自覚が明らかに違うって時に

変わったりとかいうのが
最近 結構できるようになったというか

一時期 問題になったりして
少し改善されたりしてるんですよね?

はい。 ただ それ やっぱり…

(高橋)そうか 最初は当人も意識がね
赤ん坊だから持ってないから

外形的というか 医学的に決めて

社会的に あと
自分の性同一性のものになると

また別の決め方を
あとでするっていうことですよね。

はい。 赤ちゃんの時に分からないので
それは少ない方を選びますけれども…

その辺は
何かお困りになられたとかっていう…。

私の場合は 外性器が何かおかしかった
わけではないんですけど

でも 明らかな異常ではないんですけど…
まあ これ初めて言いますけど

恐らく 平均よりは
かなり小さかったんです。

で 自分でも なんか…
なんか もの足りないというか

男性として何かがおかしいような感じは
うっすらあって。

一応 男友達と 男の子として
楽しく暮らしてはいたんですけど

それが 20いくつかになって
社会人として生きていく時に…

…という気分が高まって

27歳かな? で
完全にチェンジしたんですけど。

これも もちろん…

はいはい はいはい。
(能町)それも ほんとに さまざま。

さて 男と女だけではない
ということが

どう 人間の力につながるのか
というところですよね。

はい。 その辺り 掘り下げてみたいと
思うんですが

そもそも 性に「絶対」というのは
ないようなんです。

♬~

オスとメスが交尾をして 子どもをつくる。

それが 命を受け継ぐ 基本中の基本だ。

ところが その基本中の基本が
実は結構 種によってさまざま。

自然界には オスであるかメスであるか

コロコロ変えてしまう生き物も
珍しくない。

例えば このカクレクマノミは
その場の組み合わせで性が変わる。

一番体が大きくて丈夫な一匹が
メスになって出産を担う。

2番目に大きい一匹がオスとなり
その相手を務める。

それより小さい個体は
性的に未成熟のままであり

生殖活動に参加することが
できないという。

一番大きな個体のメスが死んでしまうと

今までオスであった個体が
メスに性転換する。

すると 3番目に大きかった個体が
オスになる。

このように 大きさの順位で
生殖器が変わっていくのだ。

他にも
なぜ その方法で性を決めているのか

不思議に思える生き物もいる。

その一つが
アオウミガメ。

砂浜の地中の温度が高ければメス
低いとオスになるという。

これでは オス メスの数に
大きな隔たりが出たりしないのだろうか?

このように性転換したり
温度に依存するものがいるほか

オスがいない時 メスだけで
繁殖してしまうものもいるという。

その中 私たち人間は
遺伝子で性を決めているが

その組み合わせも バリエーションがある。

性の仕組みとは まさに千差万別なのだ。

まあ動物には ほんとに さまざまな
性の仕組みがあるんですけど…。

なんで あんなに仕組みが
いっぱいあるんでしょうね?

基本的には 性がある理由は
子孫を残すこと。

子孫をたくさん残すことなので

オスだけになってしまう あるいは
集団がメスだけになってしまうと

子孫がなくなってしまう。
それを避けるために

いろいろな種で
それぞれ工夫をしてとか考えて

その結果 こういうバリエーションが
出たんだと思います。

なんか すごい不思議じゃないですか。
この間までオスだったのに

メスがいなくなったら
「俺が じゃあメスやるよ」って

かわれるっていう仕組みが。

ちょっと羨ましいですね。
(笑い)

(高橋)こういうことを描いた
SFの傑作があるんですよ。

ゲセンっていう星に 地球人…
まあ人類みたいな人が行くんですね。

それで ものすごく仲良くなるんですよ。
真の友情を。

そしたら このゲセンの人たちは
繁殖期みたいなのがあって

その時期になると
これ おかしいんですよ。

だから…

(高橋)…っていうふうな話で
すごく面白いんですよね。

だから こういう生物の話だけど
同時に こうやって見ていると

今の僕らの社会のおかしいとこが
感じさせられて

そこも すごい面白いですよね。
うん。

性に そもそもグラデーションがあるって
今 お話ですけど

これはもう やっぱり
人間にとってはメリットだと

受け止めた方がいい
っていうことですかね?

今後 何か…

そのメリットについて
能町さんは いかがですか?

生存戦略というと なんか

自分がどうするかのことを
つい考えちゃうんですけど

みんな個人で 例えば恋愛をして
まあ 制度上は結婚をして

子どもを産むというのありますけど
なんかこう…

…のかなっていうことを
考えちゃうんですよね。

私自身は そんなこと
考えちゃいないわけですけど

人類全体でこうしようなんて
誰も考えてないのに

全体の流れとして こういうふうに
人類は生き残っていこう

みたいなことが どっかにあるって思うと
すごくいろんなことが

実は必然なんじゃないかって
思うこともあって。

最近は もうほんとに少子化とか
言われて問題になってますけど

それにも ほんとは ちょっと
何か意味があるんじゃないかとか

私は 少し考えたりするんですよ。

例えば…

(高橋)つまり 新しい社会の中で…

(高橋)男と女がいて 子どもが産まれる家
そこから子どもっていうのが

教科書的な生物学でした。
もう そうじゃない。

社会の方が もっと新しい形

別に 子ども産まなくても
子どもを養子もらえばいいでしょと。

で 別に同一
違う性じゃなくてもいいでしょと。

というふうにしてく流れも
やっぱり こっちであるっていうのは

だから 僕…

(高橋)つまり まあ何ていうかね 社会が
そういう発見していくっていうのは

一つの進化みたいなものなのかもしれない
っていうふうに思うんです。

うん。
そうですね。

さあ 男性が受け継いでいく
Y染色体ですが

ご覧のように Xに比べて
Yが極端に小さいです。

よく考えてみると不思議ですよね。
まあ確かに

考えたことはなかったですけど
こういうもんなんだろうと

思ってたんですけど 形が
極端に違う感じはしますよね。

そうですよね。
実は このY染色体が

消滅の危機にあるということです。
はい。

もしYがなくなってしまったら
一体何が起こるのか ご覧下さい。

♬~

私たちの行く末には
恐ろしい未来が待っている。

今後 男性という性が なくなってしまう
かもしれないというのだ。

それを予測する研究が 2002年
世界的権威である科学雑誌に掲載された。

「性の未来」という この論文の中で

男性を決めるY染色体は 数百万年後
消滅する可能性が高いと予測したのだ。

Y染色体が完全になくなるのは
500万年から600万年後だと予測しました。

しかし…

来週かもしれない。
来週!

なぜ Y染色体が消滅するのか。

それは 大きさの違いに理由がある。

X染色体に比べて
極めて小さいY染色体は

もともとは同じ大きさだったという。

それは いつのことかといえば…。

今から1億6600万年前。

(咆哮)

まだ恐竜が支配していた時代だった。

私たちの祖先は
ネズミのような姿をしていた。

このころに つくられたY染色体は

X染色体と
ほぼ同じ大きさだったと考えられている。

ところが その後
1億6600万年にわたって

Y染色体だけが傷つき
徐々に削られていった。

それは 男だけに伝わるY染色体にとって
逃れられない宿命だ。

男の子にあるX染色体は
母親から もらったものだ。

母親の体ではX染色体は
2本 セットになっている。

そのため
片方に傷が入っても

もう片方で補って
修復したあと

子どもに渡される。

そのため 子どもに
渡されるX染色体は

傷が蓄積されにくい。

ところが Y染色体は

父親の体に1つしかない。

一度 傷がついてしまうと修復できず

そのままの形で
子どもに受け継がれてしまうのだ。

そのため傷が どんどん たまって

13分の1まで 小さくなってしまったのだ。

このまま男は絶滅してしまうのか?

その謎を解き明かそうとしているのが
北海道大学の黒岩麻里さん。

黒岩さんが
研究しているのが…。

このネズミ。

南西諸島に生息している
国の天然記念物の…

そのオスの染色体を
調べてみると…

Xが1本だけ。

既にY染色体は
なくなっているのだ。

それなのに ちゃんと
オスの生殖器を持って生まれてくる。

一体 どういうことなのか?

まあ Y染色体 傷ついて修復できない。
いずれ なくなるのは当然だよねと。

人間も そうなるよねっていう話ですね。
(黒岩)そうですね。

今 私たちが持ってる
X染色体っていうのは

2000種類以上は遺伝子があるんじゃないか
って言われてるんですけど

Yには もう たった50種類しか
残されていなくって

ものすごく数が減っていて
形も小さくなっている。

高橋さん どうですか? ハハハハハ。
(高橋)あのね さっき言ってたのは

もう それこそ来週にも
突然変異で なくなるって。

(笑い)
そこ いっちゃいますか。

(高橋)いや だって あれは もう
何ていうんだろう

絶滅を余儀なくされてる
ってことでしょ? あれ。

最終的に要らないんだよね。

なくても オスが生まれるなら
必要ないんじゃないかとすら…。

(高橋)そう。 だって 今 染色体なくても
オスになってましたよね。

そうですね。
トゲネズミはY染色体がなくても。

能町さんは どう考えます?
(能町)どういう仕組みなのかなと思って。

Yの役割って
男性 オスを決めるっていう役割と

あと オスの体の中で
精子をつくるっていう

2つの大きな役割があるんですね。

なので Yがなくなっちゃうと
そもそも男性も生まれないし

精子もつくれないから
もう オスがいなくなっちゃう

男性がいなくなっちゃうってことが
言われているんです。

ただし トゲネズミは
もう Yが完全にないんですね。

それは どういう仕組みかっていうと…

(高橋 能町)ああ~。
うんうん…。

(黒岩)もともと使ってた
オスを決める遺伝子は

Yと一緒に なくなっちゃった。
消えちゃった。

代わりのものがある?
手に入ってる?
(黒岩)はい。

じゃあ 人間も…?
すいません 先生
人間は どうなんですか? ちなみに。

そうですね 私は…。
心配なんですけど。

(笑い)

Y染色体が消えてしまっても
トゲネズミのように

新しい性を決める遺伝子が
つくり出されて

ちゃんと男性は維持されていくのでは
ないかなとは思っているんですけど。

だから やっぱり生物って
そんなにバカじゃないってことですよね。

恐らく私たちが ずっとYを捨てずに
使い続けてきたのは

その時々は多分 何かメリットが
少しでもあったんだと思うんですよね。

ただ 今となっては もう窮地に
追い込まれているって状態だと思います。

(黒岩)あります。 Y染色体を持たずに
男性の方というのもいらっしゃいますし。

さっき そうだ
いろんなパターン
ありましたもんね。

(黒岩)先ほどの
バリエーションの話でも
ありましたよね。

ああいう人が そのうち
単為性になっていくことも

ありえるっていうこと
ですよね?
(黒岩)そうですね。

トゲネズミは 今もう Yを持つ個体は
1個体もいないんですが 恐らく…

(高橋)でも結局 持たない方が
残ったっていうことは

そっちの方がメリットがあったってこと?
トゲネズミにはあったんだと思います。

ってことは
今 人間に そういう人がいて

その人の子どももいる可能性すら
あるってことですよね?

そうですね。 誰も…

そういう混在した状態が今
私たちに起きていても不思議はない。

(高橋)気付いたら そういう人が
どんどん増えてくる可能性もあると…。

(黒岩)可能性としては あると思います。
進化の道の一つとしては あると思います。

…かもしれませんよ。
(高橋)えっ 僕も?

(能町)そうですよね。
いや 織田さんも。
そうなんですよ。

調べてないですからね 分からないんで。

まず そのY染色体の消滅について

どんどん小さくなっている
ということですけれども

分かってきたことがあるそうですね?
(黒岩)そうですね。

1億6600万年前に原型ができて
今 数が こう 減ってきてるんですけど

こう 時間に比例して徐々に減ってきた
というわけではなくって 実は…

…と言われています。
つまり 直線ではなくって

こう 階段状に ガン!ガン!ガン!と
Yが小さくなってきてるってことは

報告されています。
(高橋)
いつか分かるんですか? いつごろ?

時代も おおよその時代は
推測されています。

なぜ それが起こったかまでは
分からない?

具体的には分からない。

これは私の最近の研究なんですけども
トゲネズミのYが消えてしまった時

どういう消え方をしたかっていうのが
最近 分かってきて

どうも最後 一気に全部バーンと
消えてしまったと。

Xに 一部を移して
バーンと全部 消えてしまった。

なので 最後Yが消える時っていうのは

VTRに あと数百万年後というお話も
ありましたけど

時間をかけて なくならず…。
(高橋)一斉に?

う~ん…。
この先 どうなっていくと思いますか?

人間って あらがう生き物ですから
なくなったら代わりを探すか

これを何とかしようとして
修復っていう道も

今 考えたりするんじゃないかって
思うんですけど。

Yが消えるばっかりで
今 お話をしていましたけど 実は…

実は 私たちのY染色体 遠い昔に一回
それをやってるってことが

分かってます。 これをやらなかったら
もっと小さかったかもしれない。

増やしたことがあるんですね?
(黒岩)そうですね。 はい。

それ いつの どういうことなんですか?

哺乳類って
有袋類とか単孔類とか

別のグループの
哺乳類がいるんですけども

そのグループと
私たちのような有胎盤類が

分かれた時に…。

カンガルーとかですね。
はい。

私たちの祖先は
別の染色体を ひっつけて

Yの寿命を 一度 延ばした
ってことが分かっています。

(高橋)ということは
有袋類の皆さんは Yが小さいまま?

もっと小さいです。
人間より…。

はい。 遺伝子の数も少ないと
言われています。

先に消滅しちゃうっていうことですね?
今 予定では。

それはどうでしょうね。
(笑い)

私たちの性の未来は どうなるのか?

そして 次に語り合うのは ウイルス。

さあ 続いては
今 人類を悩ませ続けている

ウイルスと人間との関係について
見ていきましょう。

ウイルスっていうと 今じゃね
なんか ほんとに世間では

悪者みたいな感じに
捉えてるんですけど。

そもそも そのウイルスの
見た目の特徴としては

とても小さい
ということです。

一般的な細菌の
100分の1以上 小さく

ご覧のように姿形も千差万別です。

さまざまなウイルスがあるんですね。

更に 自然界のあらゆるところに
生息していて

その数は天文学的と言われています。

聞けば
「あっ 聞いたことあるな」
というのはありますけど

全て
病気になるものって
見ちゃいますよね

こう見ると。
うん。

♬~

次なる主人公は ウイルス。

この ウイルスも
人間を生み出す力の一つだという。

一体どういうことなのか?

ウイルスは もちろん
感染すると深刻な病を引き起こす

悪魔のような存在だ。

ところが私たちは そのウイルスと

ある取り引きをすることで
進化したという。

その進化とは…。

(産声)

母親のおなかで赤ちゃんを育てること。

この出産の仕組みこそ ウイルスと
取り引きをしたおかげだというのだ。

魚 鳥 は虫類などは いずれも…

私たち哺乳類は卵を産まず
おなかの中で赤ちゃんを育てる。

この進化を促したのが
遠い昔に 私たちの祖先が

あるウイルスに
感染したためだというのだ。

その謎の一端を解き明かしたのは…

遺伝子から 生命進化の
メカニズムを研究している。

哺乳類の遺伝子の中で働いている
ウイルスの存在を知ったのは 30年前。

石野さんは
最初 信じられなかったという。

すごい気持ち悪かったですね。
一体これは何なんだって。

「ウイルスで動いている」
それは 一体どういうことか?

赤ちゃんが育つためには
母親からの栄養が必要。

その橋渡しをするのが 胎盤。

この胎盤こそが ウイルスと
取り引きをした結果だというのだ。

その現場は Y染色体が生まれたのと
ほぼ同時期。

こんなネズミのような小さな動物だった
祖先は

まだ胎盤は
持っておらず

卵を産んでいたと考えられている。

敵に狙われると 大切な卵は
置き去りにして逃げなければならない。

もっと確実に
子どもを守ることはできないか。

その問題に 私たちの祖先は
直面していたのだ。

そんな祖先が ある日
一つのウイルスに感染した。

その感染によって ある遺伝子が
祖先の体に送り込まれたのだ。

その遺伝子は 「PEG10」と呼ばれる。

そもそも ウイルスが
私たちに感染するのは

病気を引き起こすためではないという。

本当の目的は
自分のコピーをつくることなのだ。

一部のウイルスは 自らの遺伝子を
侵入しやすいようにして

相手の遺伝子の中に紛れ込ませる。

すると その細胞は ウイルスのコピーを
つくるようになる。

これが ウイルスの目的。

そうしたウイルスが送り込んだ
遺伝子の一部が PEG10だった。

現在の私たちの中にも

1億6600万年前のウイルスが起源である
PEG10が組み込まれている。

私たちの遺伝子にある
そのPEG10。

「A T G C G…」
と続く

およそ 2000文字の
配列をしていた。

実は この配列

特定のウイルスが持つ
特徴的なもの。

そこから PEG10はウイルスが
もたらしたと分かったのだ。

石野さんたちは 実際
胎盤がつくられるうえで

PEG10が不可欠であることを
マウスの実験で明らかにした。

これは 正常なマウスの胎児。

右側に見えるのが胎盤で

赤ちゃんマウスの頭から尻尾まで
しっかり大きくなっている。

一方 右側は PEG10の働きを抑えたマウス。

正常なマウスと比べて
胎盤が非常に小さい。

その後
正常なマウスが順調に育ったのに対し

PEG10の働きを抑えたマウスは
十分な栄養が届かなくなり

流産してしまうという。

そういうことで 国際学会で話した時に
会場が静まり返ったと。

そのぐらい衝撃的だった
というふうに思います。

つまり 胎盤で子どもをつくるという
人間の子づくりの方法は

ウイルス感染なしには
誕生できなかったと言えるのだ。

このことが判明する前は

胎盤は どういうふうにできてきたと
思われてきたんですか?

いや それが謎だったんです。

要するに どうして 進化上
今までなかった臓器が
生まれたのかっていうのは

ずっと分かんなかった。
あ 謎だったんですね。

進化が どうして起こっているか
っていうことを

考えたことなかったですけど…。

となると これからウイルスで
また変わっていく可能性も

当然あるわけですよね?
(石野)そのとおりなんです。

(能町)
人類っていうものが 今 コロナウイルスで
大変なことにはなってますけど

コロナで変わるかどうかは別として

何らかのウイルスで
大変なことになりつつ…

進化というと 何となく過去のことを
見てるように思うんですけども

要するに…

(石野)そうふうに捉え直す必要が
あるんだと思います。

進化ということでいうと…

どういうところにあると お考えですか?

もともとウイルスっていうのは
ほんとに無駄なものを そぎ落として

機能的な部分だけからなってる遺伝子を
持ってるんですね。

ですから それを どこをとっても
いろいろ使いみちがあると。

だから みんな
機能的なものなんですね。

それが 新しい遺伝子を持つのに
有用だと。

共生関係ですよね。
(石野)そうですね。

なるほど。

ヒトがウイルスから獲得した遺伝子は

胎盤をもたらした
PEG10遺伝子だけではない。

更に遡ると…

2億3000万年前に SASPase遺伝子を獲得。

これにより私たちは
肌のバリア機能を支える酵素を

つくり出せるようになったのだ。

1億4800万年前に獲得した
RTL1遺伝子。

これが 脳の進化に
関わっていることが分かった。

右脳と左脳をつなぐ
神経線維を発達させ

脳の情報処理能力が
飛躍的に向上したという。

しかも 最新の研究では
この3つだけではないというのだ。

(高橋)「ありがとう ウイルス」ですよね。

ありがとう ウイルス。
(笑い)

今 3つ紹介されたと思うんです。

ということは 今も解読中で
もっと他にも そうやって獲得した

遺伝子があるだろうと思われています?
(石野)はい。

すごいことですよね。
どんどん こう 進化していくっていうか。

要するに…

要するに我々…

(高橋)っていうことは 仮に また

現代 近未来に
別種のウイルスに感染して

人間だけ 別のまた道を歩むってことも
ありうるっていう?

ありうるかもしれませんよね。

例えば温暖化の影響で
南極 北極の氷が どんどん とけて

そっから 昔眠ってたウイルスが
流れ着いて また変異をしてとか

でも その可能性すらあるんですか?

なんか よく 南極の氷や
北極の氷にウイルスが

隠れてるなんて話も聞いたりします。
多分そうだと思いますね。

ウイルスって
まだ見つかってない部分っていうのは

多分 海洋 海の中にいるんですね。

とすると やっぱり氷河の中にも
閉じ込められてるものがいるはずで

そこから やっぱり昔のものが また
こんにちはと来るかもしれませんよね。

どういう闘いになるか…。

勝たなきゃいけない人間ですけど。
そうですね。

でも なんか もしかしたら
役に立てるっていう

逆手にとれる日が
来るかもしれないですね。

(石野)まあ そうですね。
そっからね。

黙ってやられてるだけじゃないと。

(石野)ちょっと ここで
まだ説明させてもらっていいですか。

あの名前の意味なんですけど
「PEG」って要するに

Paternally expressed genes
っていう名前なんですね。

「お父さんから伝わった時だけ発現する
遺伝子」っていう意味なんですよ。

(高橋)父系統ってことですね。

実は あのRTL1は PEG11っていって
やっぱり同じグループで

要するに お父さんから伝わった時にしか
働かない遺伝子。

要するに 胎盤をつくるのには絶対に
お父さんの遺伝子が必要なんです。

(石野)要するに 今まで 単為発生
っていうふうにありましたけど

哺乳類だけは
単為発生できないんですね。

それは なぜかというと
こういうPEG10とかPEG11とか

お父さんから大事な遺伝子が来るという
システムを持ってるから。

もちろん お母さんからしか働かない
「MEG」っていう遺伝子もあって

PEGとMEGで
ちょうど 200個ぐらい持ってるんですね。

(高橋)あ 半々ぐらいなんですか。
(石野)はい。

だから2万ある遺伝子の中で
ちょうど その1%の遺伝子が

どちらからしか出ないと
そういうふうになってるので 要するに…

(石野)そういう生き物なんです。

だから男性は大事。
大事や。

(笑い)
なるほど。

さあ今回は 性のシステムと
ウイルスという視点から

人間を生んだ力を見てきました。

能町さん いかがでしたか?

いや もう これを
ひと言で まとめるのは

ほんとに難しいと思いますけど。
(笑い)

人間が もしかしたら ここから
何百万年 何億年って変わっていく時に…

私は それを
見届けることはできないけど

なんかこう すごく可能性を感じる話だな
と思いましたね。

(高橋)性の話もウイルスの話も
すごく面白くて

ちょっと相当 世界観 変わりますよね。
はい はい はい。

常識が壊れちゃうの。

多様性が大事って
すごい言われますけど

なんかこう 今まで聞いたこともなかった
多様性っていうものを求めるよりは…

それを 今までも人間を 長い歴史で
便宜上 男と女に分けましたとか

人種を分けましたみたいなのが
あったんでしょうけど 本来…

(能町)一旦 それは認めましょうよ
っていうことを…。

こういうのを なんか
小・中学生に早く教えてあげたい。

いや ほんとですよ。
そうすると なんか いじめとかね…。

僕ら いじめのきっかけって
人と違うから

いじめるっていうことが
きっかけになるじゃない。

人間一人一人が
いろんな可能性 秘めてるんで

早く そういう社会になってほしいな
って思っちゃったりも

偉そうに 今は思います。 はい。

というわけで
今日は また 濃い45分でしたが

また どこかで お会いしましょう。

♬~

時代の流れとともに
再生されなくなったホームビデオ。


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