先人たちの底力 知恵泉(ちえいず)「太宰治 その絶望を超えてゆけ」 室井佑月、西村賢太、安藤宏


『先人たちの底力 知恵泉(ちえいず)「太宰治 その絶望を超えてゆけ」』の番組情報(EPGから引用)


2018/06/19(火) 
先人たちの底力 知恵泉(ちえいず)「太宰治 その絶望を超えてゆけ」[解][字]
6月19日は太宰治の桜桃忌。死後70年、今も若者に絶大な人気の文豪が、生きる苦しみを乗り越えたしたたかな知恵とは?感動作「走れメロス」衝撃と脱力の裏話とは?
詳細情報
番組内容
6月19日は太宰治の誕生日であり、遺体が発見された日、桜桃忌。死後ちょうど70年、「人間失格」など名作の数々で今も若者に絶大な人気の文豪が、生きる苦しみを乗り越え続けた“したたかな知恵”とは?実家への依存と不満。繰り返す自殺未遂。出口のない苦悩を作家としてのヒットに結びつけた、逆転成功のカギとは?感動作「走れメロス」に隠された、仲間との友情と衝撃と脱力の裏話とは?太宰治の意外な隠れた強さに迫る。
出演者
【ゲスト】室井佑月,西村賢太,東京大学文学部教授…安藤宏,【司会】新井秀和,【声】関俊彦,樫井笙人
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先人たちの底力 知恵泉(ちえいず)「太宰治 その絶望を超えてゆけ」
  1. 太宰
  2. 修治
  3. 自分
  4. メロス
  5. 小説
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  7. ダメ
  8. 今日
  9. 作家
  10. 作品



『先人たちの底力 知恵泉(ちえいず)「太宰治 その絶望を超えてゆけ」』の解析用ソース(番組内容ネタバレ注意!)


絶望して どうしようもない
あなた。

今夜の…

同じ青森出身の室井佑月さんが
ご来店です。

室井さんに今日はね 是非
食べて頂きたいものがあるんです。

ラッキーな日に来て頂きました。
ありがとうございます。

そうなんですよ。

6月19日に合わせて これを
今日は サービスしてるんです。

ああ そっか。

そうなんです。 さくらんぼ
漢字で書くと「桜桃」。 桜桃忌。

こちらですよね。

まあ 太宰をしのぶ日と
言ってもいいと思います。

だいぶ 量があるんですけど
70個あるんですよ。

ちょうど…

え~! そうなんだ。
はい。

是非 食べて下さい。
はい。

うん おいしい。
おいしいですか?

よかった。

「『斜陽』 その他
独自な作品で知られた

小説家・太宰 治氏は

6月13日 消息を絶ちました」。

今年 没後70年を迎えた
昭和を代表する小説家…

太宰といえば 人生で
4回も繰り返した自殺未遂や

無類の酒好きな一面など

荒れ果てた人生を送った
「ダメ男」のイメージですよね。

でも 実は太宰には 数々の…

生まれた家は
青森トップクラスの大地主。

ところが
裕福な生活に疑問を抱き

共産主義運動に参加。

更に 仕送りのお金で…

そこから
作家へと転身できた裏には

ダメな自分を さらけ出す…

出してくれ! 出してくれ~!

しかし 捨て身の作風には限界が。

行き詰まった太宰は 今度は…

あの名作「走れメロス」誕生の裏に
秘められた 太宰の…

太平洋戦争と戦後の激動の中

世間に迎合せず

自分の視点に
こだわり続ける太宰。

時代の流れにあらがって生きる
その信念とは?

太宰 治
ダメ男の裏側に隠された

強く したたかな
生き方に迫ります。

太宰の人生を読み解くのは…

2011年…

周囲への やり場のない
怒りや劣等感など

19歳の頃の自身の経験を
書いて 話題になりました。

これまで書いてきた およそ70の
作品は 全てが私小説。

題材としてきたのは
西村さん自身の壮絶な過去です。


家族が問題を起こし
中学校を不登校に。

卒業後は
日雇いの仕事を渡り歩き

暴力事件で
2度も逮捕されるという

波乱万丈な人生を送ってきました。

自身の数奇な運命を題材に
生きてゆく苦悩を書いた作家同士。

西村さんは 太宰の知恵を
どう読み解くのでしょうか。

こんばんは。
あっ こんばんは。

お待ちしておりました。

作家の西村賢太さんです。
どうぞどうぞ。 いらっしゃいませ。

失礼します。
お待ちしておりました。

ああ どうも。
ありがとうございます。

西村さん これまで…

自分で書くとなったら もう
私小説しか書く興味がないですね。

書きたくないですね それしか。

でも それだけ あれですよね…

そう そうなんですよね。

鋭いですね。 それなんですよ。

ちなみに どんなところが好きで

どんなところが
嫌いだったりするんですか?

これ ほんとに。 僕は自分の
このルックスが大好きなんですよ。

そこは大嫌いですけどね。

おっ。 そうですね。

でも あんまり太宰の事を
僕 よく知らないんで

是非 ちょっと今日
いい機会なんで

勉強させてもらおうと思いますね。

今日は当店 こんなコースを
ご用意いたしました。 こちらです。

なんか 太宰 治というと

何かに絶望している印象が
あるんですけれども

そこで 1つ目の
メニューなんですが こちらです。

ありますね。

そのとおり。

町の中心にそびえる大豪邸。

今から 112年前…

この家で太宰 治 本名・津島修治は
大地主の6男として生まれます。

幼い頃から成績優秀。

将来の夢は
「文学」と語るほど

作文の実力は
ずば抜けていました。

一方で 友人たちを
ゲラゲラ笑わせる

遊び心も持ち合わせていた修治。

ところが 裕福な実家には…

父の源右衛門は
県内4位の大富豪に上り詰め

「金木の殿様」と呼ばれた
地元の名士。

しかし 代議士の仕事が忙しく

修治に構う事は
ほとんど ありませんでした。

もっぱら
気にかけられていたのは

家督を継ぐ兄の文治。

6男だった修治は 疎外感を抱き
自分は…

修治にとって
家族よりも親しかったのが

30人以上いたという…

しかし
「ふだん 仲良く接していても

使用人との身分の違いを
修治は感じていた」。

そう話すのは 津島家に詳しい
木下 巽さんです。

自分自身を否定する矛盾に
修治は苦しみます。

修治は 青森を離れ…

何が平和だと…。

恵まれた生家への反発から

地主階級の打倒を訴える
共産主義運動に のめり込みます。

(修治)このお金 使って下さい。

(学生)いや 助かるよ。
これで君も一人前の仲間だ。

青森からの仕送りを
活動資金にカンパ。


一方 学費を出してもらいながら
大学には ほとんど通わず

やがて 卒業は絶望的に。

更に 青森で親しくなった芸者を
東京へ呼び寄せるなど

お金がある事に安心して
やりたい放題。

(ノック)

おい 修治! 何やってらんだば!?
何やってらんだば!?

駆けつけたのは
父の跡を継いだ兄・文治。

すさんだ生活を送る
弟の修治に

まっとうな道に戻るよう
説得します。

(文治)大学さも行かなんで
何様のつもりだ!

学校さ 専念しろ!

この女子とも別れろ!

ところが
兄の忠告を聞かなかった修治は

実家から…

実家に反抗的な態度をとる一方
仕送りを頼りに生きてきた修治。

縁を切られるのは 全くの想定外。

ショックのあまり 行きずりの
女性と鎌倉の海で心中を図ります。

ところが 女性だけが死亡し

修治は生き長らえる
という結果に。

修治は
警察で取り調べを受けながら

自分でも どうしようもない矛盾に
苦しみます。

悪循環の絶望の中
もがきながら始めた事が

まさかの救いへと
つながっていきます。

将来の希望が見いだせない中で

修治は 過去の苦悩を
書きためていこうと思い立ちます。

周囲に迷惑をかけないよう
このころ つけた…

小説の題材にしたのは
実家への甘えと反発の中で

揺れ動き 傷ついていった
自身の内面でした。

「この先の人生 もう長くはない」。

原稿用紙を入れた袋に

遺書のつもりで
「晩年」と書いたといいます。

ところが そんな太宰の小説に
文壇が注目。

健康優良児だったり
学級委員長だったり

そういう生き方で
毎日 過ごしてしまったのでは

見えてこない 人間の持っている…

甘えと反発の中で揺れ動く
苦悩を

小説の題材へと生まれ変わらせた
太宰。

こうして 夢だった作家への
第一歩を切り開いたのです。

室井さん
でも 遺書のつもりでって…。

まだ若いですよね。

考えが極端な人っぽいですね。
極端から極端に行くような。

あっ こんにちは。

こんにちは。
お待ちしておりました。

東京大学で 太宰 治の研究を
されている 安藤 宏教授です。

よろしくお願いします。
よろしくお願いいたします。

お待ちしておりました。
どうぞ どうぞ。

よろしく。
お願いします。

そもそもですね…

そういう非常に
何ていうんでしょう…

…って あったと思うんですよね。

そんなに自分の
その 恥ずかしい部分って

自分でさえも分かってないで
生きてる人が 普通 書いて


それ 誰かに読まれるって
あれですよね

やっぱり 何か職業病というか。

ただ まあ あのね
小説プロパーでやってる者は

やっぱり ちょっと精神の
露出狂みたいなところがあって。

ストリッパーみたいな。
アッハハハハハハ!

何か ちょっと
快感なんですよね その…。

なんか こう あれですか

ある程度 書いていくと
もう書かずにはいられないとか?

まあ…

そこが やっぱり こう…

次も次もと。

ただね 事実 ダメなところを…

この人 なんてダメな人なんだろう
という事になっちゃうんだけど…

読者に向かって 「僕って
こんなにダメなんだけど

あなた どう思う?」みたいに
語りかけていく

したたかさが あるんですよ。

それが かっこいいって思ってん
じゃない?    どうなんだろう。

読んでる方としては 「そうか。
そんなダメなのか」って

共感しちゃうようなね
語りかけられる事によって。

さあ 次のメニューにいきたいと
思うんですけれども こちらです。

あの… 自分をさらけ出す作風で

見事 念願の作家デビューを
果たした太宰なんですが

そのやり方も
行き詰まってしまうと

再び 孤独に
苦しむ事になるんです。

新人作家として
華々しい道を歩み始めた太宰。

昭和10年 芥川賞が創設されると

太宰の作品は
第1回受賞候補作に選ばれます。

ところが 結果は…

選考委員の一人 川端康成の講評が
太宰の目に留まります。

この言葉で
川端は
太宰の

自堕落な
生活を
批判します。

作品ではなく 私生活を
指摘された事に 太宰は激怒。

感情を むき出しにして
川端に反論します。

ところが 8か月後 どうしても
芥川賞が欲しい太宰は

態度を がらりと一変させます。

川端宛ての手紙 なんと
長さ4メートル。

内容は まるで川端に
すがりつくかのよう。

しかし その後 太宰が芥川賞を
手にする事はありませんでした。

4か月後。

出してくれ!
僕は狂人じゃないんだ!

出してくれ~! 出してくれ~!

太宰の姿は 鍵付きの
閉鎖病棟の中にありました。

以前 病気で手術を受けた際に
鎮痛剤を打ち過ぎて

薬物中毒になり
治療のため入院したのです。

周囲から
異常者扱いされていると感じ

太宰は一人
孤立感を深めます。

文壇での評価を得られず
周囲からも孤立してゆく太宰。

やがて見いだした
復活への方法とは?

いくぞ。

はい。

「私は 子供のときには…」。

退院後 太宰は…

立ち直るきっかけとなったのは
妻・美知子との結婚でした。

読んだ文章を書き取らせる…

共同作業で
作られた最初の小説
「黄金風景」は

新聞社主催の
コンクールで優勝。

新たな作風を生み出すため
太宰は…

女性ファンから送られてきた
ノート。

書かれていたのは
3か月分の日記でした。

太宰は…

こうして誕生した…

かつて太宰を批判した川端康成は
この「女生徒」を褒めちぎります。

そして いよいよ
代表作「走れメロス」が誕生。

友情と信頼の尊さを
うたいあげた

この時期の太宰の作風を
象徴する作品です。

遠く離れた地で
妹の結婚式に出たいと…

急ぐメロス。 約束の日時までに
戻らないと 親友が殺される。

一方 メロスを待ち続ける親友。

「メロスは逃げたりしない。
きっと戻ってくる」。

約束の時間寸前に戻るメロス。

真の友情を目の当たりにした王は
人を信じる心を取り戻すのです。

この「走れメロス」執筆の
背景について

太宰の親友で 作家の檀 一雄は

とても おかしな
忘れられない
事件について記しています。

事件の舞台は
海と温泉の保養地・熱海。

遊び過ぎた太宰。 持ち金以上の
借金を作り とらわれの身に。

そんな…

借金を返し
2人で東京へ帰るはずが…。

ところでねぇ 檀君
いい所があるんだ。

なんと借金返済用のお金を またも
遊びで使い切ってしまいます。

3日後…

しかし
ここからが メロスとは違います。

借金の相手と共に…

なんと太宰 先輩作家の家で
将棋を楽しんでいたのです。

何だよ 君。 僕を人質にしておいて
あんまりじゃないか!

怒る檀に お金の当てすら
つけていなかった太宰は

まさかの ひと言。

時には厚かましいほど
堂々と人の力に頼る 太宰。

この結果 今までになかった
明るい作風の小説が

生まれていったのです。

5日も待つって…

これですよね。

これこそ刺したっていいよね。

(笑い声)

これを声を荒らげて言うと
逆ギレに聞こえちゃうけど

淡々と…。
弱々しく。

「弱々しく」って
言ってましたよね。

そう言われると…。
何か意味があるのかなと思う。

西村さん自身は 誰かに甘えた
経験とかって ありますか?

僕も実は もうね。

太宰みたいに ずっと こう
甘えさせてくれる人が

常に身近に
それは男であれ 女であれ

それは羨ましいですよねぇ。


ただ まあ 人の日記を
女学生の日記を そのまんま…

今だったら もう 剽窃で
大問題になってしまうけれど…

…って 見方もあるわけで

だから 川端康成の言う事が
全く間違ってたとも言えない。

そこは むしろ…

そこがポイントだと思いますね。
なるほど。

最後のメニューはですね
こちらなんです。

最後の知恵を
味わってまいりましょう。

本を作る紙の不足や
出版社の統合で

作家たちの発表の場は
失われてゆきます。

更に 当時 求められたのは
戦意高揚のための作品や

戦地での見聞を記録した
戦争文学でした。

ところが…

たとえ仕事が減ろうとも 太宰には
決して曲げない信念がありました。

太宰は…

向かったのは戦地ではなく
自らの…

かつて自己否定に苦しんだ
ふるさとを描くにあたり

太宰は 地元の人々と
改めて向き合おうとします。

旅の途中に訪れた
実家で

太宰は 迷惑をかけ続けてきた
兄の文治に

歩み寄ろうとします。

「兄に…」

「…と言ったら 兄は…」

「…と答えた」。

…に敬意を抱く太宰。

旅の最後
30年近く会っていなかった…

太宰の…

太宰は
限りない心の平穏を感じます。

こうして生まれた小説が「津軽」。

世間が 戦争の激動に目を向ける中
太宰は

つらい記憶の原点を 温かい
まなざしで見つめ直したのです。

(玉音放送)「耐え難きを耐え
忍び難きを忍び

以て 万世の為に…」。

「津軽」執筆の翌年 日本は敗戦。

世の中が 戦前の社会を
否定していく時代…

…を 滅びの
美しさと共に描いた「斜陽」です。

執筆のきっかけは
太宰自身の実家の没落でした。

GHQの指令で行われた…

変わりゆく その姿を 太宰は
悲痛な思いで見つめていました。

このころ 太宰には
大切にしていた信条がありました。

太宰の親戚 津島廉造さんは

本人から聞いた
その言葉を覚えています。

世相にこびず
苦悩に向き合い続けた太宰が

時代を超えて貫いた姿勢でした。

そして 昭和23年6月19日。

6日前に 玉川上水に身を投げた
太宰の遺体が発見されました。

くしくも 39歳の誕生日。

さまざまな説が唱えられる中

自殺の真相は
今なお 分かっていません。

いかがでした?

何か ちょっと今 ふっと
それに救われた気がしましたし。

学問がなくてもね
生きてていいんだと。

今 生きてていいし…

改めて ちょっと
見ておきましょうか。

これですよね。

これ 今 バッジつけて
のけぞってる

先生と
言われてる人たち みんなに

おくってあげないとダメですね。

あれは 「人に優れてる」
という意味だけれども

人偏に憂うるって書いて…

これに ちょっと似てる
事を言うんですよね。

やっぱり 恥ずかしさを
常に知ってるという事。

とにかく…

「ああ こんな事 言っちゃって」
っていう…

なかなかね いい言葉なんです。

今 それを置き換えると
すごく重要な…。

いろんな人に言いたいですよね。
今って どっちかっていうと

堂々と自分のいい事を
宣伝する人が多いでしょう。

そういうところから
出てるんですね。

西村さん
その時代に迎合しないっていう

太宰の姿勢といいますか
それは どうですかね?

さっきの「津軽」も だって あれ

何かの出版社の企画でやった
あれじゃないですか。

結構 有名な作家が
軒並み書いてるんですよ。

でも やっぱり結局…

何か 流れ 潮目を読むのも
うまいし。

太宰 治 没後70年というわけで

知恵を見てきましたが
室井さん どうでした?

いわゆる…

やっぱり それが…

微妙な あわいを渡りながら…

やっぱり この人は真の弱者の味方
っていう気がしましたね。

いろいろ見直すところが
今日は多かったし。

やっぱり 僕の中の結論としては
ダメ人間じゃないなと 全然。

やっぱり
すごい優れた才能の持ち主で

どう言ったらいいのか…

家に帰ったら読み直してみよう。
今 読んでも古くないですか?

全然 古くないですね 太宰は
不思議と。

50年後の読者も
古いと思わないだろうし。

時代だけじゃないかも
しんないですよ。

若い頃 読むのと
年取ってから読むのと

全然 感想が違ってる小説が
いい小説ですよね。

今日 じゃあ
あんまり酔い過ぎないで

みんな 帰って読みましょうか。
ご来店ありがとうございました。


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