シリーズ 人体・特別版 神秘の巨大ネットワーク 五集“脳”ひらめきと記憶 又吉直樹、吹越満、池松壮亮、上田早苗


出典:『シリーズ 人体・特別版 神秘の巨大ネットワーク▽五集“脳”ひらめきと記憶』の番組情報(EPGから引用)


シリーズ 人体・特別版 神秘の巨大ネットワーク▽五集“脳”ひらめきと記憶[SS][字]


未公開のシーンを追加して再登場。シリーズ「人体」第五集の「脳」は、お笑い芥川賞作家でもある又吉直樹さんの脳を、最先端の技術で徹底的にスキャン。


詳細情報

番組内容

創造性やひらめき、意識や心も生み出す、究極のネットワーク臓器“脳”。又吉直樹さんの脳を、最先端の技術で徹底スキャン。「ひらめき」の正体が明らかに!また記憶力を高めるには、脳の“ある場所”で、新しい神経細胞が次々と生まれるメカニズムが鍵であることが分かってきた。そして、脳独自のネットワークの解明から、認知症治療の新たな戦略も見えてきている。

出演者

【出演】又吉直樹,【語り】吹越満,池松壮亮,上田早苗



『シリーズ 人体・特別版 神秘の巨大ネットワーク▽五集“脳”ひらめきと記憶』のテキストマイニング結果(ワードクラウド&キーワード出現数BEST10)

シリーズ 人体・特別版 神秘の巨大ネットワーク 五集“脳”ひらめきと記憶
  1. 細胞
  2. 記憶
  3. 物質
  4. メッセージ
  5. 歯状回
  6. 電気信号
  7. メッセージ物質
  8. 神経細胞
  9. インスリン
  10. ネットワーク


『シリーズ 人体・特別版 神秘の巨大ネットワーク▽五集“脳”ひらめきと記憶』の解析用ソース(見逃した方はネタバレ注意)


解析用ソースを読めば、番組内容の簡易チェックくらいはできるかもしれませんが…、やはり番組の面白さは映像や音声がなければ味わえません。ためしに、人気のVOD(ビデオオンデマンド)サービスで、見逃し番組を探してみてはいかがでしょうか?

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脳 それは

人間が人間であるための
特別な臓器。

さまざまな考えを巡らせ
科学技術を発達させ

高度な社会を築き上げる。

人間の営みは 全て
この脳から生み出されています。

今回 そんな脳を
最先端の科学で 丸裸にされるのは

こちらの方。

お笑い芸人にして
芥川賞作家の

又吉直樹さんです。

準備できました。 はい。

何か よく 賢い人 シワ多いとか何か…

漫画とかで言ったりするじゃないですか。

世界最高性能の
MRIを通して

見えてきたもの。

それは…。

脳の内側に潜む

まるで
タワシのような

不思議な物体です。

ケーブルのように見えるのは
脳の神経細胞の束。

脳の内側には 電気信号をやり取りする
神経細胞が張り巡らされていたのです。

この複雑な
ネットワークを分析することで

浮かび上がってきたのは

ひらめきの秘密。

更に 人間たちを悩ませる
認知症を克服する

新たな戦略まで
見えてきています。

謎に満ちた 脳のネットワーク。

その美しく神秘的な世界に
ご案内しましょう。

どうすれば
この命を全うできるのか。

体の中には 巨大な情報ネットワークが
存在する。

臓器同士のダイナミックな情報交換。

命を支える臓器たちの会話に
今こそ 耳を傾けよう。

お笑い芸人の 又吉直樹さん。

日々 新たなひらめきで
人々を楽しませています。

先生の登場でございます。
(笑い)

知らん?
聞いたことない… すかし話なんてね。

昔々 あるところに
おじいさんとおばあさんが

い~ま~せ~ん~で~し~た。

腹立つな おい。

めちゃくちゃ
すかしてくれてんじゃねえか。

私たちの脳は どうやって
ひらめきを生み出しているのか。

その秘密を 又吉さんの脳で
探っていくことにしましょう。

人気作家でもある又吉さん。

アイデアに詰まると
しばしば散歩に出かけます。

目に入る さまざまな風景が

ひらめきのヒントを
与えてくれるといいます。

何かを見た瞬間 脳の中では

一体 どんなことが起きているのか。

最先端の技術によって
驚くべき脳の活動が

世界で初めて 捉えられました。

例えば 又吉さんが
街で知り合いの顔を見た瞬間。

神経細胞の束の中を稲妻のように
電気信号が走りました。

スローモーションで見てみると

脳の驚異的な働きが
見えてきます。

最初に反応するのは

目から入ってきた
情報を受け取る

視覚野。

その信号が 僅か
0.2秒ほどのうちに

脳全体へと
広がっていきます。

視覚野では
目から入った映像の おおまかな輪郭を

捉えているとされます。

つまり こんな感じ。

まだ誰なのか はっきり分かりません。

その後 信号がやって来るのが
側頭部 顔領域。

ここで 初めて
誰の顔か見分けていると

考えられています。

脳が 知り合いだと認識したようです。

更に信号は 前頭前野へ。

ここでは
顔を見た時に湧き上がる感情を

コントロールしていると いわれています。

これだけの処理を
脳は 僅か0.2秒の間に行っているのです。

稲妻のように行き交う
超高速の電気信号。

一体 どうやって
伝わっているのでしょうか。

ミクロの世界に飛び込んでみると
すごいからくりが見えてきました。

ここは 又吉さんの脳のネットワークの中。

網の目のように見えるのは 神経細胞です。

細胞から細胞へ
電気信号がリレーされていきます。

しかし よく見ると

細胞と細胞の間に
ほんの少し隙間があります。

どうやって信号が途切れずに
伝わっていくのでしょうか。

電気信号が
一つの神経細胞の端に たどりつくと…。

おや?

何やら 小さな粒が大量に放出されました。

実は これ メッセージを伝える物質です。

そのメッセージは…。

メッセージ物質が
次の細胞に受け取られると…

あっ 再び 電気信号が生まれました。

細胞と細胞との間は

電気信号に代わって メッセージ物質が
情報を伝えていたのです。

受け渡しにかかる時間は

僅か1万分の1秒。

電気信号から メッセージ物質へ

そして また 電気信号へ。

こうして 次々とリレーしながら
情報が伝えられていくのです。

でも なぜ

わざわざ メッセージ物質を使って
伝える必要があるのでしょう?

実は 脳では こうしたメッセージ物質を
数十種類も用いることで

電気信号の伝わり方に さまざまな
バリエーションを生み出しているのです。

例えば すてきな女性が
又吉さんの目の前に現れた時…。

脳の中では こんなメッセージ物質が
ど~んと ばらまかれます。

すると 神経細胞が活性化。

広い範囲に強い信号が伝わり

その人の表情が より強く
印象に刻まれることになるのです。

これは 電気信号を激しくリレーする
神経細胞の姿を捉えた貴重な映像です。

きらきらと光るのは 一つ一つの神経細胞。

ここをメッセージ物質が
駆け巡っています。

1, 000億の神経細胞の間を

数十ものメッセージ物質が
飛び交うからこそ

時に 思いがけない
つながりが生まれるのです。

メッセージ物質が生み出す
電気信号の多様なバリエーション。

そのおかげで
私たちは 豊かな発想を生み出し

社会を発達させてきました。

では 私たちが ひらめく時

脳の中は どのような状態に
なっているのでしょうか。

まだ多くの謎に包まれた
ひらめきの秘密を探るため

今回 又吉さんに

ちょっと変わった実験に
協力してもらいました。

小説のストーリーを考えてもらい

いいアイデアが ひらめいた瞬間に
ボタンを押してもらうというものです。

10分間の実験中
ひらめいたと思った瞬間は 3回。

このうち2回について

興味深い
脳の活動の様子が捉えられました。

又吉さんが ひらめいたという時に

電気信号が流れていたと考えられる場所が
こちら。

ひらめく脳の姿を
世界で初めて可視化しました。

脳の中心部分から前後左右まで
広い範囲が一斉に活動する不思議な状態。

この脳の状態を 計算をするなど
何かに集中している時と比べてみます。

集中している時は 電気信号の流れが
こま切れになっているのに対し

ひらめいた時は
電気信号の太い幹が生まれ

全体をつなげています。

ひらめく時 脳は
集中するだけでは生み出せない

特別な状態になっていたのです。

実は こうした ひらめく状態に
自分の脳を近づけられる

とっておきの方法があることが
分かってきています。

その方法とは…。

えっ 何も考えない?

その時 又吉さんの脳に現れたとされる
電気信号の流れが こちら。

何も考えていないはずなのに

電気信号の太い幹が
脳全体をつなげています。

ひらめいた時と そっくりです。

長年 ひらめきの正体を研究してきた
ジョン・クーニオスさん。

何も考えず ぼーっとすることこそが

「ひらめくためには 重要だ」という結論に
たどりつきました。

デフォルト・モード・ネットワーク。

ちょっと難しい言葉ですが

つまりは 「特に何もしていない脳の状態」
という意味。

それが 意外にも
ひらめきを生むというのです。

でもなぜ 脳が デフォルト・モードの時に
ひらめくのか。

謎を解くヒントは 電気信号が伸びる先

脳の表面に広がる
大脳皮質と呼ばれる領域にありました。

ここには 私たちの記憶の断片が
保管されています。

私たちの脳は ぼーっとしている時にこそ
記憶の断片を自由自在につなぎ合わせ

新しい発想を生み出していると
考えられています。

それこそが 斬新なひらめきを生み出す
秘けつかもしれないのです。

ひらめきを生み出す極意が
ぼーっとすることとは

なんとも不思議なこと。

でも 人類の歴史を振り返ると

ぼーっとしている時にひらめいた
という話で あふれています。

古代ギリシャ時代の天才数学者
アルキメデス。

風呂につかっている時にひらめき

興奮のあまり
裸で町を駆け回ったといいます。

最近では iPS細胞の発見で
ノーベル賞を受賞した山中伸弥さん。

発見のきっかけとなったのは

ぼーっとシャワーを浴びている時に得た
ひらめきでした。

どうやって ぼーっとするかは
人それぞれ。

記憶を研究する脳科学者
クレイグ・スタークさんにとって

それは 自転車に乗ること。

無心でペダルをこぐと
いいアイデアが浮かぶといいます。

でも 注意しなければいけないのは
いくら ぼーっとしたところで

デフォルト・モード・ネットワークが
伸びる先に 記憶が蓄えられていないと

斬新な発想なんて
生まれるわけもないということ。

そこでお次は 謎に満ちた記憶の世界へ
ご案内しましょう。

♬~

記憶の秘密を探る上で 格好の人物が

ロンドンにある
コンサート会場の入り口にいました。

ケネス・ロングさん。

同じ能力を持つ
仲間と共に

警察が指名手配した
テロリストの顔を記憶し

群衆の中から見つけ出す
仕事に就いています。

人の顔を一度見たら
二度と忘れないという並外れた能力。

ケネスさんたちは

スーパーレコグナイザーと
呼ばれています。

スーパーレコグナイザーの能力が
注目を集めたのは

2011年に イギリスで起きた暴動事件です。

一部の若者が 商店や車を襲い
略奪を行いました。

この時 ケネスさんたちは
防犯カメラに残された映像などから

200人を超える犯人を割り出し
検挙につなげました。

ケネスさんの記憶力 一体
どれくらい優れているのでしょうか。

研究者の協力のもと
あるテストを行いました。

まず 画面に1枚の写真が現れます。

その顔を記憶したあと
次の写真が現れます。

その2枚が同じ人物なのかどうか

ケネスさんに答えてもらう
というものです。

例えば この女性。
皆さん よ~く記憶して下さい。

続いて現れたのが こちら。
先ほどの女性と同じでしょうか?

ケネスさん お見事。

こうして並べてみても

なかなか 違いを見分けられません。

スーパーレコグナイザーのケネスさん。
結果は 40問中 37問正解。

9割以上の正解率でした。

では こうして顔を記憶していく時
脳の中では何が起きているのか。

ケネスさんの脳を
MRIで のぞいてみることにしました。

ケネスさんは 目の前のモニターに
映し出される画像を見て

次々と記憶を作り出していきます。

すると
活発に反応していたのは この部分。

歯状回と呼ばれる
ちょっと変わった名前の場所でした。

歯状回は 脳のネットワークの真ん中
海馬の中にあります。

海馬の断面を見ると

青く光っているのが
歯状回の細胞。

紫色が それ以外の海馬の細胞です。

まるで人間の歯のように
細胞が並ぶ 歯状回。

こんな細胞が
どうやって記憶を作り出すのか

ちょっと 想像もつきませんよね。

最先端の科学では こう考えられています。

ケネスさんの目が 一つの顔を捉えました。

その情報は電気信号となり
歯状回へと伝わってきます。

糸のように細長い 神経細胞。

今 信号が歯状回にたどりつきました。

すると 歯状回の細胞が電気を発生させ
次の細胞へ。

更に それが次の細胞へとリレーされます。

こうして 電気信号が流れる
一つのルートが出来上がりました。

実は この電気信号のルートこそが

記憶の正体。

一つのルートに
一つの記憶が対応すると

考えられているのです。

歯のように並んだ歯状回の細胞が

次々と入ってくる情報を
異なるルートに振り分けることで

さまざまな記憶が
作り出されていきます。

こうして 海馬で作られた記憶は

数年のうちに
脳の表面にある大脳皮質へと移され

ここで 生涯にわたって蓄えられると
考えられています。

ロンドンの街角で警戒に当たる
スーパーレコグナイザーのケネスさん。

類いまれなケネスさんの記憶力は

歯状回の活動が極めて活発なことと
関係があるのではないかと

考えられているのです。

海馬にある歯状回の活動を活発にさせ
記憶力をアップさせる方法も

また 少しずつ分かり始めています。

それを明らかにして世界を驚かせた
フレッド・ゲージさん。

その発見とは 「歯状回で 新しい細胞が
次々と生まれている」ということでした。

赤く見えるのは
歯状回の神経細胞です。

生まれたばかりの細胞だけが緑色に光る
特殊な薬品を注入すると…

一斉に光りました。

この歯状回で生まれる新しい細胞こそが

記憶力をアップさせる決め手になると
考えられています。

歯状回で生まれる 新しい細胞。

その成長を促すには
どうすればよいのでしょうか。

鍵を握っていたのは

私たちの臓器同士が互いにやり取りする

メッセージ物質でした。

脳もまた ほかの臓器から

メッセージ物質を受け取っています。

例えば 筋肉の出す このメッセージ物質。

歯状回で新しく生まれる細胞を
増やす働きがあると考えられています。

更には 食事をした時
すい臓から出る インスリン。

インスリンが伝えるメッセージも
やはり…。

インスリンが脳に届いている時と
届いていない時とで

歯状回の細胞の成長に 大きな差が出ます。

すい臓からのメッセージが
新しい細胞の成長を促し

記憶力をアップさせている可能性が
あるのです。

長年 インスリンと記憶の関係を
研究してきた ローレンス・リーガンさん。

インスリンと歯状回とが
深い関係にあるのは

記憶が進化してきた経緯と
無縁ではないと考えています。

それにしても 記憶を生み出す
歯状回の細胞の成長が

体からのメッセージ物質によって
促されるとは 実に興味深い。

私たちの脳は 体と密接に結び付いて
初めて うまく機能するということです。

だからこそ バランスのとれた食生活を
心がけることで

すい臓を健康に保つこと。

そして 体を動かして筋肉を鍛えることが
記憶力アップのためには大事なのです。

この歯状回で 細胞が新たに
生まれていることが分かったのは

今から 20年前。

以来 多くの研究者が 記憶の謎を
少しずつ解き明かしてきました。

その一人 マイケル・ヤッサさん。

歯状回の細胞は
音や におい 味などにも反応して

多様な記憶のルートを
作り出すことを突き止めました。

その謎に挑む
ポール・フランクランドさん。

記憶が作られる時の
マウスの脳の撮影に成功しました。

活動している細胞だけが光る
特殊な方法で撮影された この映像。

記憶が作られる時 歯状回の細胞が活発に
働いている様子が捉えられています。

興味深いのは 歯状回の外側 大脳皮質も
また同時に光っているということ。

海馬で記憶が作られる早い段階から

大脳皮質の細胞が活動を始めている

可能性が見えてきました。

脳の中で 日々生み出され
蓄えられる 記憶の不思議。

この先も 人々の興味を引き付けて
やまないことでしょう。

長い人生を通して
私たちの脳の中に築かれていく

精緻な記憶のネットワーク。

それが むしばまれることで
引き起こされる病があります。

その認知症を治療する新たな方法が

脳のネットワークの研究から

明らかになってきています。

認知症の中で最も大きな割合を占めるのが
アルツハイマー病です。

アミロイドβという たんぱく質が

神経細胞を壊すことで起きる
と考えられています。

これまで アミロイドβを分解する薬は
作られてきましたが

いつも難題が立ちはだかってきました。

薬を投与しても 脳の神経細胞にまで
届けられないのです。

その理由は 脳の血管の特別な
仕組みにありました。

血管の壁に ほとんど 隙間がないため

薬を脳へと送り込むことが
できないのです。

なぜ 脳には 物質の侵入を簡単には
許さない仕組みがあるのか。

それは 私たちの脳の中では
脳独自のメッセージ物質が

やり取りされていることと
関係があります。

もし ここに 血液の中を行き交う
ほかの臓器からのメッセージ物質が

際限なく流れ込めば 脳は大混乱。

そのため メッセージ物質の中で
脳の血管の壁を突破することが

許されているのは ごく一部です。

すい臓から出され 記憶力アップに
つながるインスリンのように

特別な役割を持つ物質だけです。

脳が 自らの機能を守るために
発達させてきた

関門のような仕組み。

それが 認知症の薬を送り込むうえで

大きな壁となっているのです。

どうすれば 脳の血管の関門を越えて
認知症の薬を送り込むことができるのか。

その研究に生涯をささげてきた
ウィリアム・パードリッジさんです。

この薬を開発する上で
パードリッジさんが注目したのが

インスリンでした。

脳の血管の関門を通ることを
許されていた

数少ないメッセージ物質の一つです。

インスリンは 血管の壁を
どうやって通り抜けるのか。

パードリッジさんは
血管の壁で起きているミクロな現象を

決定的な写真に捉えました。

中央の黒い粒 メッセージ物質が

血管の壁を通過し 脳へと向かう様子。

よく見ると
カプセルのような薄い膜に包まれて

脳の中へと運ばれているのが分かります。

その詳しい仕組みが
最先端の脳科学によって

明らかになりました。

ここは 脳の毛細血管の中。

さまざまな物質が流れてきます。

インスリンが すい臓からやって来ました。

でも血管の壁にインスリンが通れるような
隙間は見当たりません。

ところが 血管の表面の小さな突起に

インスリンが くっついた途端…。

まるで秘密の扉が開くように

壁が陥没し始めました。

そして カプセル状の膜に包まれ

インスリンが
血管の壁を突破していくのです。

パードリッジさんが
認知症の薬を開発するための

重要な第一歩と位置づける臨床試験が
始まっています。

アルツハイマー病と
多くの共通点が指摘されるハーラー病。

GAGと呼ばれる物質が
子どもの脳にたまり

神経細胞のネットワークが
むしばまれ

認知機能や運動機能に障害が出る
難病です。

臨床試験を任されたのは

ブラジル ハーラー病協会会長の
ロベルト・ジュリアーニさん。

有効な治療法が見いだせない中

長年 子どもたちの治療に
当たり続けてきました。

GAGを分解する薬を脳へと送り込むため
用意されたのが この物質。

インスリンが壁を通り抜けるのに登場した
あの突起に

くっつく性質を持っています。

この物質に
GAGを分解する薬を合体させ

脳へと送り込もうという作戦です。

点滴によって 薬を血液の中へ注入します。

脳の毛細血管に到達すると…。

薬が 例の突起に くっつきました。

すると突起は インスリンが来たと勘違い。

あの秘密の扉が開きました。

こうして 薬は脳へと送り込まれます。

そして 病気の原因となるGAGを
分解していくというのです。

この作戦は
大きな成果を上げ始めています。

中でも 劇的に症状が改善している
ルイス・オリベイラくんです。

以前は 何事にも関心を示さなかった
ルイスくんでしたが

表情が豊かになり 母親とも
気持ちを通わせられるまでになりました。

子どもたちの認知テストの結果を

薬の投与を始める前と比べたグラフです。

8人の患者のうち

実に7人に改善が見られました。

この薬を開発した パードリッジさん。

同じ戦略で アミロイドβを分解する薬を
脳に送り込めば

アルツハイマー病も治療できると
自信を深めています。

1, 000億もの神経細胞が複雑に絡み合い

人間たちの さまざまな営みを支える脳。

独自のメッセージ物質をやり取りする
ネットワークを持ちながら

ほかの臓器とも会話をする
究極のネットワーク臓器だったのです。

この脳に秘められた力を
解き明かそうという挑戦が

世界中で進められています。

ここでも 最近 新たな発見が。

記憶を作るため
新しい細胞が生まれ続けていた歯状回。

健康な人間の脳では
なんと 90歳近くまで

細胞が盛んに生まれていることが
分かったのです。

体の中に張り巡らされた
メッセージ物質のネットワーク。

そして その中の必要なものだけを
巧みに利用しながら

独自のネットワークを築き上げてきた脳。

未知なる全貌に迫る挑戦は
今も続いています。

♬~


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