SWITCHインタビュー 達人達(たち)「三上博史×美内すずえ」 「ガラスの仮面」を全巻読破した三上が、美内の創作姿勢に…


出典:『SWITCHインタビュー 達人達(たち)「三上博史×美内すずえ」』の番組情報(EPGから引用)


SWITCHインタビュー 達人達(たち)「三上博史×美内すずえ」[字]


変幻自在に役を演じる俳優・三上博史が、「ガラスの仮面」の作者・美内すずえと語り合う。演技と漫画でさまざまな人間を表現する2人、そのエネルギーの源泉とは?


詳細情報

番組内容

「ガラスの仮面」を全巻読破した三上が、美内の創作姿勢について聞いた。「描くことで社会や人が見えてくる」という美内、作品の中で物語がふくらんでいくため、時間はかかるがいまだに新鮮な気持ちで描いていると語る。一方、美内が演じることについて尋ねると、三上は「演じることはやりとりすること」と答える。さらに寺山修司からの影響、人気ドラマに出演したころの思いなど、常にチャレンジを続ける人生について語った。

出演者

【出演】俳優…三上博史,漫画家…美内すずえ,【語り】吉田羊,六角精児




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都内某所。

なぜか段ボールを抱えて 住宅街を行く…

実は この段ボールの中に
今回 会う人物のヒントがある。

演劇漫画の金字塔 「ガラスの仮面」。

主人公は
演劇の天才少女 北島マヤ。

彼女が女優として成長していく姿を
ドラマチックに描いた

大ベストセラー漫画だ。

一番好きなシーン。

最新49巻まで読破した三上。

「ガラスの仮面」を読んで
感じたことは…。

本当ですよ。

で 役者がいじめられると

「やってらんないわ!」とか言いながら
みんな やるっていう。 ドMですから。

でも マヤちゃんとか…

そんな Mな感じ しないですよね。

もしかしたら 先生の中で

Mの要素は
あんまり ないのかもしれない。

そう 三上が会いたいのは

「ガラスの仮面」の作者…

作品は これまで何度も
テレビドラマや舞台になり

第一線の俳優たちの心をつかんできた。

演劇の世界を
独自に掘り下げてきた美内に

三上が聞きたいことは…。

…っていうのがあって。

で あの…。

そんなことを考えると
美内さんは きっと たぶん

すごく面白いことを
話してくれそうな気がしたので。

行きますか。 イエーイ! 会いに行くぜ。

向かったのは
美内が夫と共に営むカフェ。

アハハハ…! はじめまして。

こんにちは はじめまして。
三上です。

美内です よろしくお願いします。
もう お会いしたくて お会いしたくて。

とんでもない ありがとうございます。
ずっと待ってました。

この日を待ってました。
いやいや… ありがとうございます。

よろしくお願いします。
よろしくお願いします。

これ 何ですか? え~!

すごい…。

ありがとうございます。

舞台の上で輝く俳優と
演劇を描いてきた漫画家。

二人が見つめてきたものは何か?

自分は何なんだろう 何をしたいんだろう
っていうのが何もなくて。

食べるもの こんなのが好きだとか

趣味とか あるじゃないですか。
何もないんです。

だから アシスタントが
出してくれるものを食べている。

片手で食べられればいい とかね。

自分というものが何もない状態で…

えっ 何? 何? 何?
当てて。

やりたい役?
黒沼龍三さん?

全然 違うな!

(笑い声)

へえ~! 面白い。

どこに何があるかも分かんないんです。

ボーン! って飛び込んで
ダーッてやって 気が付いたら

セットの中のたるを
ず~っと たたいてました。

え~! それ すごい。
だから そのときに…

へえ~! すごいですね。

♬~

「ガラスの仮面」 49巻。

現在 総発行部数は
5, 000万部を超えるという。

すごいですね。
これだけ 一気に読まれたんですか?

堪能させていただきました。
ありがとうございます。

いや もう 本当にすごいですね。
歴史が詰まってるというか。

76年から?
そうですね。

24になって

新しい新連載を
やろうということになったときに 何か…

…を描こうと思って 編集長と いろいろ

じゃあ どんなのにしましょうねって
やってたときに… 芸事をね。

どんなのにしましょうかねって
言ってたときに

編集長が
「演劇なんか どう?」って言ってくれて

あっ それはいいな!
それにしようと思って。

そこから スタートなんです。

「ガラスの仮面」
主人公の北島マヤは

一見 何の取り柄もない
平凡な少女。

あるとき 往年の大女優 月影千草が
その才能を見抜く。

マヤは たった一度だけ見た芝居を

千草の前で完璧に演じてみせたのだ。

そして…。

マヤは 千草のもと

幻の名作「紅天女」を
演じることを目指す。

宿命のライバルの登場。

二人は さまざまな舞台で
競い合う。

才能への嫉妬や妬み

次々に降りかかる試練。

それでも マヤは くじけない。

演劇に すべてを懸け

激しく一途に生きる少女を描く
大河ロマン。

聞いてみたいのは
僕 あんまり… 疎いんですけど

一人で考え 一人でネームし

一人で作画するっていう…
完成させるっていうことでいくと

どの作業が一番好きですか?

作業? 好きな作業?
うん。

う~ん やっぱり あれですね…

でも 同時に やっぱり
絵とかも出てくるんでしょ?

もちろん 一緒…。
コマ割りも出てくるんでしょ?

そう。 だから 小説家の方が
文章でストーリー考えるように…

一番面白いのは 何か

なかなか こう いいアイデアが出なくて

いろいろ いろいろ落書きしながら
別のこと考えたりしてるんですけど

ふっとね とんでもない 漫画の…

「これは どこにはめるピースなの?」
っていう。
そう! そう!

だから それは すごく面白いから…

ここから作っていく。
そうすると これを使えるわけですよ。

例えば こんな一枚。

マヤが舞台上で
なんと 泥まんじゅうを食べている。

この一枚を描くために作った
ストーリーは…。

まず 芸能界入りしたマヤが
スキャンダルを起こし

追放寸前となる。

そんなマヤに
共演者たちが嫌がらせをする。

心身ともに疲れ果て

俳優をやめようと思っていたマヤだが

舞台で追い詰められると…。

役が乗り移ったかのごとく

その泥まんじゅうを
平然と食べ始めるのだ。

「ガラスの仮面」名場面の一つ。

あのシーンが最初に浮かんで。
泥まんじゅう?

うん。 どうやったら
このシーン描けるだろうって

芸能界を失墜させて

どんどん どんどん落とし込んで
ここに持ってきたっていう。

すごいよね。

だから 芸能界に入るっていうのは
「華やかな迷路」なんですけど

結構 長いんですけど…

…っていうような感じですね。
物語好きなんだね。

さらに このシーン。

舞台で 人形を
演じることになったマヤ。

注目は その稽古法だ。

なんと マヤが
体中に物干しざおを巻きつけている。

つまり 何か 連載していて

ここで こういうものを出したら
読者が びっくりするだろうとか

こういうものを描けば
興味 持ってくれるだろうか

っていうふうに
意識がシフトしていくので…。

オチじゃないですけれど…

(笑い声)

あれが漫画なんですよ。
絶対に 現実にはありえない。

あそこ 背中 入れちゃう? みたいな。

やっぱりね…

だから 実際には こんなことやったら
大変なことになると思うんだけど

それを そういうふうに
描いちゃうんですよね。   すごいなと…。

特に 三上が気になったのは

登場人物が時折
白目になること。

すごいよね…。

マヤだけかと思ったら みんな 白目…。

(笑い声)

そうなんですよね。
伝播していくから。

白目になるのは 例えば…

緊迫の瞬間。

あえて 目の表情を描かないことで

登場人物の心情が より強調されるのだ。

僕らが演じるときに…

何をなくすんですか?
目に意思を。

本当? わざとやるんですか? それは。

何か こうなると…。
視線が…。

力 入らないですよね。
だから こういうときとか あと…。

ぼう然としたときとか。

ああ 面白い!
だから そういうときの…。

白目?
白目。 ハハハハ…!

「あっ 三上さん 今 白目なってる」とか
思いながら

見ればいいのかな?
そうそう…!

白目の効果って… だから

思いが強すぎるときにも
使われるじゃないですか。
そうですよね。

そういうのも ありなんですよ。
だから 手に取るように分かる。

へえ~! それは…
こういう意見は初めて聞きましたね。

そうですか?
うん。

やっぱりね そりゃそうですよね
確かにね。

それが どんなに こうやってね

今 このぐらいの画角かな?
分かんないけど。

寄りでも もちろん…
寄りだと強すぎちゃうんで。

でも ものすごい引きのときとか
全身が入ってるんだけど

目が ガッといってるのか
落としてるのかで

全然 違うんですよ。
だから もう 目は命ですね。

今 聞いてて思ったんですけど

職人としてのプライドというか
充実度というか。

それは きっと たぶん 20代後半に
あったんだろうなとか。

それは もう バリバリにありましたよ。
それは もう 10代のころから?

もう ありましたね。
漫画家になった段階から。

どうやったら 読者に喜んでもらえるか
っていうのが 常に指針で。

でね 漫画 描いててね
面白いなと思うのはね

私 あの… 赤ちゃんのころから…

だから 日本昔話を話しながら

いとこが寝かしつけてくれたり

その話が始まると 桃太郎は
その後 どうなったのか

気になって眠れないっていうようなね
感じでね ずっといて。

で 文字を覚え始めてからは
もう 漫画に夢中になり。

そうやって ず~っと
こう きてましたので

どうも 胸の奥のほうにですね

私が勝手に 自分で言ってるんですけど

漫画の神様が住んでいて

自分が これは面白いだろうと思って

頭の中で
いろんなアイデアを考えるんだけど

ここが
だめ出しするんです。 「駄目!」っつって。

「えっ これは面白くないんだ」って。

何か ワクワクしてこないんですよ。

それは どの段階でも?
設計図の段階でも

ネームの段階でも
作画の段階でも あるんですか?

アイデアの段階ですね。
やっぱり アイデアの段階?

アイデアが 同じ1シーンを
3つぐらい こうね

バージョンで ストーリーを作って
編集さんに聞く。

「これ どれが面白いですか?
この3パターンのうち」。

「Aですね」って言ったら

「Aか… 私はBがいいと思うんだけどな」
って また葛藤が始まる。

最終的に やっぱり どれをやっても
ワクワクしてこない。

となると これ 全部 ボツになる。
もういっぺん やり直しって感じでね。

ただ この だめ出ししてくれる これは

一体 何なんだろう? って思ったときに

あるときに…

読者だった自分が
このアイデアじゃ面白くないよって

だめ出しをしてる。
そんな感じですよね。         なるほど。

幼いころから貸本屋に入り浸り

1日10冊以上も読みふけるほど
漫画が大好きだった。

小学校5年生のときに描いた漫画が
友人たちに大いに受け

漫画家を志すようになる。

高校在学中 16歳で投稿作品が認められ

漫画家デビュー。

その後 ホラーやファンタジーなど
さまざまな作品を描き始めた。

実は ホラー作品も多い美内。

そこに作家としての原点があるという。

ハハハハ…! そうですね。

絶対 ホラーだなと思って 根っこがね。

「根っこが」って
すごい変な言い方ですけど…。

いやいや そうじゃなくてね
中学2年生のときかな?

初めてね 漫画で…
ノートにホラーを描いたんですよ。

そして クラスに回したら
これが大ウケだったんです ものすごく。

そのときに 中学2年で うん 何か…

やっぱ そこ
関西っていうのもあるのかな?

あるのかも分かんない。
サービス精神っていうか…

うれしい。 それ 舞台役者も
同じじゃないですか? きっと たぶん。

そこは言いたくないな~。
(笑い声)

でも 本当 そうですよね。
ですよね。

やっぱり…

それ いい言葉ですよね
「生きがいの創造」。 本当ですよね。

そういうのにとっては
ホラーとかって インパクトがあるから

食いつきがいいですよね。
いいんですよね。

それから やっぱりね
ホラー描いて 面白かったのは

う~ん…
どういう画面の見せ方をすると

読者は
怖がってくれるかとか

ハラハラしてくれるか
とかっていうのを

描きながら学んだような
気がしますね。

そこで白目が生まれるわけですね。
(笑い声)

そういうわけじゃないですけどね…。
白目!

1976年 24歳のときに

「ガラスの仮面」の連載を開始。

美内は 一躍 人気作家となった。

以来 40年以上
作品を描き続けている美内。

そのアイデアの源は どこにあるのか?

発想ですよね? お話というのは。
発想ですよね。

何でしょうね?
あんまり しぼり出すことはしない?

全然 面白くない… うん。

自分の胸の中の漫画の神様が

「イエス」と言ってくれない。
しぼり出さないほうがいいですね。

自然にしているほうが…
いいというか。

そういうのは 何か
儀式めいたことはあるんですか?

何か 喫茶店…。
あっ 喫茶店めぐり。 それ ありますね。

喫茶店を こう
転々と移っていったりとか

気に入りの喫茶店があって
朝の7時半… 昔ですよ。

朝の7時半オープンで
晩の11時半 終わるんですけど

7時ごろから待ってるってことが…。
(笑い声)

「開いてないの」?
「早く開けてくれ~」とか言って。

開いた途端に ドーッと入って。
いい迷惑だね!

そう 一番自分の好きな席に座って
ドンと置いて。

それで 気が付いたころには…

「あっ すみません」っていうふうに帰って。

最初にドンと置くのって 何なんですか?

ノートをね。 ノートをドーン…。

つまり こういうノート
アイデアノートなんですけど。

それは 絵なんですか?
いやいや…。

見ても分からないし これ…。
いや 見る見る。

ネームというか 脚本になる前のですから
ほとんど…。

ネームって こうやってる…。
いや ネームになる前なんです。

文章で ブワーッとなることもあるけど
やっぱり 何か こう

割りながら 考えていくっていうことも…。
面白い。

それを こうやって喫茶店で

黙々と こう… 描いていて。

だから これを持ってきて
ドンと置いて

鉛筆 出したりとかしながら
う~っとやってるので

最初に頼むのはコーヒーだなって
もう分かってるので

モーニングのコーヒーが
やってくるという。      (笑い声)

トーストが付いてくる…。

そこはね 本当にいい喫茶店で。
そこで だいぶ いろんなアイデアを…。

編集さんとの打ち合わせも
そのまんま 「何時に行きます」って

「じゃあ ここに来てください」っつって
来て

お話をして
帰っていかれるっていうことで

また 引き続きやってるっていうことを
毎日やってたんですね。

絵に入る直前までね。

私みたいな客がいるから。

オチがついちゃったね。
寂しいオチがついちゃった。

家でっていうことはないんですか?

仕事場でやることは もちろんあります。

絵に入る直前までは
喫茶店が多いですね。

何かね…

僕 作業的には違う…
生み出す作業ではないけれど

せりふを入れなきゃ
いけないじゃないですか。

僕は 某チェーン店に行くんですけど
そこに ず~っといて。

ブツブツ ブツブツ…
一番 入るんですよね。

ですよね。
何でか分かんないんですけどね。

やっぱ こう ざわざわしていて…。
ざわざわしていて 無視してくれる。

無視してて…。
ある種の適度な緊張感もある。

デビュー以来 順調にキャリアを積み

漫画一筋の生活を歩んできた美内。

しかし 30代を目前にしたころ

そんな生き方に
疑問を感じたという。

私も 16でデビューして…
10歳のときに漫画家になろうと思って

ず~っと漫画 描いてきましたから

何か こう
漫画家が生きがいというよりも…

そのころの私って とにかく…。 えっと…

へえ~ マシンのように?

マシン… っていうか

普通だったら 例えば女の子だったら

私は
こういうブランドの服が好きだとか

こういうバッグが好きだとか

それから 食べるものは
こんなのが好きだとか

趣味とか あるじゃないですか。
何もないんです。

だから アシスタントが
出してくれるものを食べている。

片手で食べられればいい とかね。

だから 別に着たいものもないし
何もないし

好きなものも何もない。

だから お引っ越しをして
「どういうインテリアにしますか?」。

「使いやすければいい」みたいな感じで

ずっといたので…

へえ~! で そっから 30から
変わってくるわけですか?

ちょっとずつね。
少しずつ変わってくるんですよね。

だから…。
それは創造的なことですか? それとも…。

やっぱり 周りが変わってくるのと…

何で この人は
こんなに怒ってるんだろう?

怒る理由は何なんだろう? とかね。

それで だんだん だんだん
少しずつ ちょっと…

結婚… 究極ですよね。

向き合わざるをえないもんね。
…えないですもんね。

大抵の関係ってね
ちょっと 逃げればいいかって…。

そうそう そうそう…。
逃げられないもんね。 ハハハハ…!

僕は分かんないですけどね。

だから そういうところで
得ることというか

考えさせられることが多い…。
そうですね。

いいですね。
いや… どうなんでしょう?

派手ですか?
お互いに こう… エキサイトしますか?

うちは主人が
ガーッと エキサイトするんだけれども…

よく分からないっていうような状態
あったんですけど。
余計むかつきますね。

そうですよね そうですよね。
でも 何年かしてから

あっ これ すっごい理不尽なこと
言われてると思って。

これ このままじゃ駄目だと思って。

じゃあ このテンションに対して

どう私は訴えればいいんだろう?
と思って。

この人は
自分のテンションを分かってないから

この人と同じテンションで
やろうっつって

ドドドドッ! とやり始めたら快感で。

じゃあ そっから目覚めた?

「あ これって快感」
って自己解放…。

これ?
これです これ これ… 「カ・イ・カ・ン」。

うちの主人が最初
あぜんとしてたんですけど

それで応戦してくるんですけど
それ また 倍のエネルギーで応戦して。

だから 面白いなと思うのは
男の人って持続力がないんですよ。

怒り続けて 1時間も2時間も3時間も

怒り続けて どなっているエネルギーが
ないんですよ。

それは もう 逆に言えば
女性が しぶといなと思うんですよ。

だから 女性は なんぼでもね

1時間でも2時間でも
やり続けられるんで。

だから
だんだん それが分かってきたので

うちの主人が 何か言いかけて
黙って… っていう状況が

ちょっと 続いていました。
結局 かないませんっていう。

う~ん まあ どうなんでしょうね。

でも まあ
何かそういうことがあって…

現在 最終章に突入した「ガラスの仮面」。

美内は その執筆に励んでいる。

マヤは宿命のライバルと
その主演の座を争い

厳しい稽古を積んでいる。

戦乱の世 梅の木の精と

一人の仏師の悲恋を描いた「紅天女」。

主人公たちが
役柄を いかにつかむのか。

「ガラスの仮面」50巻を
ファンは待ち望んでいる。

完結させないと。
ハハ… 言われてしまった。

言われてしまった… お待ちください。

いやいや それは もう… あれですかね?

やっぱ こう…
自分の中で 無理くりしたくないとか。

やっぱりね…

それで もう 今 ここで…

すごい慎重になってるっていうことと…。

でも 「紅天女」は もう
クリアしたんじゃないですか?

まだ これから?
まだ ちょっと いろいろありますね。

いろいろ あるんですよ。
そうか~ ハハハ…!

紅天女のせりふがあるんですよね。

つまり 人間が
すごく愚かなことをするから

紅天女も 怒りで何とかしてやろうと。

だから 何か そういう…

それを稽古として描けない 今はね。

っていうので ちょっと葛藤してますね。
なるほどね~。

♬「水にも心が」

実は来年 この「紅天女」は
オペラとしても上演される。

美内も脚本をはじめ
その制作に関わっている。

舞台については
見ることも大好きだという美内。

強い思い入れがある。

♬「まこと紅千年の」

私は 自分でお芝居したこととか
ないんですけど

観客のプロだと
思ってるんですよ。 へえ~!

それで 本当に気に入った芝居は

初日から楽日まで全部 チケット買って

もう 仕事場 抜け出して見に行って。
うれしい!

今まで本当に 家が何回か建つぐらい
劇場に お金つぎ込んで見てたんで。

それで 一番 こう うれしいのは

もうね やっぱりね…

生きてる その人の生きざまみたいな。

必死になって生きている。

こんだけ 私は真剣にやってます!
っていうエネルギーがあって

それが
その人の生命力みたいなものとして

発散されているので
それを ドーンと受けて

何か えらい元気になって帰って来る。

あげまくってますよ。
(笑い声)

それが すばらしい!
でも それが循環なので。

そうですよね 循環ですよね。

だから 元気になれるっていう感じが
すごくある。

そういう秘密もあるのかな。
うん。 だから 何か こう…

そう… そうですね。

「ガラスの仮面」
こんだけ読んでいただいて

どういうシーンが ちょっと
気になったとか 気に入ったとか。

僕ね… やりたい役あるんですよ。

えっ 何? 何? 何…?

当てて。
(笑い声)

やりたい役?
黒沼龍三さん?

あ~ 全然 違うな!

まだ 僕のことが分かってないな。

(笑い声)

何だろう?
まさか 速水真澄? とかいって…。

違うな~!
何だろう?

う~ん…。
やっぱり 分かんないもんですね。

俺 一発で分かるんじゃないかなって…。
そう? 本当? 何ですか?

え~!

三上が演じたいというのは…

大手芸能事務所の社長
速水真澄の婚約者だ。

しかし あるとき紫織は速水が ひそかに

マヤに思いを寄せていることに気付く。

嫉妬にかられる紫織。

その心は次第に壊れていくのだった。

ああ そうか~。

何となく納得 何となく納得。

ねえ 本当に
最後の方に後半に出てくるね

そんなに大きな役じゃないですよね。

ただ 濃度が…。
そら そうですよね。

すごい濃いでしょ?
この人がいないと

話が全然っていう… 大きなね。

あ~ そうですか。
ありがとうございます。

見せ場に。
見せ場にね。 あ~ 確かにね。

やっぱり 役者って 意地汚いので

自分の見せ場がないと 嫌なんですよ。
あ~ そうですか。

そういう意味では これやったら面白いな。

紫織… 紫織 やりたいな~。
ハハハ…! いや びっくり。

というか 読者からのファンレター…

ファンレターとも言えないな あれは。

脅迫の手紙とか脅迫メール。

紫織が何か マヤに対して意地悪すると
もう ひどいですよ。

メールが来るんですけど
赤文字で「ばか ばか ばか…」。

はい 削除! とか。

別のときで
「あなたはもう漫画家をやめなさい。

これ以上 読者を困らせてはいけません」
みたいな… はい 削除。

すごい難しいよね だから その…
「生きがいの創造」が。

どこに向けて描きゃいいんだよって。

…それに反することを
作家がすると怒るんですよね。

そこでどうやって折り合い 作家として…。
いやいや それはね…

だから 今のエピソードは

その先に起きるエピソードの
伏線であったり

先のエピソードが効果的に見えるように

今 これを描いてるんですっていうのが
あるんだけど

この段階でクレームが来るので。
ガンガン ガンガン…。

でも そこで潰れちゃう作家さんも
いっぱいいるでしょ? いない?

それは いるかも分からないですけど
私は無視します。

「無視」って何かっていうと

それは ある意味…

…っていうのが 内心あって
それは 言えないんですけど。

そういう意味では こう…
もちろん作るうえでは

想像力って 絶対
ものすごく大事なんだけど…

もちろん! もちろん そうですよね。

もちろん 本当にそうです。

三上さんは やっぱり
どうやって その…

まあ いろいろ… いろんなタイミングも
あったと思うんですけど

役者を一生の仕事にしていこう
っていうふうに

心 決めたとき…。

あっ そっか。 ごめんなさい。
え~! 今 しゃべる気 満々だった。

(笑い声)

そうですね ごめんなさいね
ちょっと 話の流れで。

≪自然な流れだなと思ったんですけど…。

そうですよね~。

しゃべる気 満々で…。
ハハハハ…!

後半は 舞台をスイッチ。

美内が向かったのは
NHKの収録スタジオ。

あっ ここ?

いや~ こんにちは!
すみません。

通り過ぎるところでした。
わざわざ遠かったですね。

いえいえ… とんでもない
どうもありがとうございます。

よろしくお願いします。
こんな所で すみません。

いやいやいや…。
よく来られます? こういう所。

いや そんなに来ないですけど… はい。

前 来たときは… 惜しいな~
取材の写真をいっぱい撮りたくて…。

そうそう そうそう!
漫画のセットがいっぱいとかいう感じで。

撮ってください。
はい ありがとうございます。

お前は人ではない。

もののけだ!

三上が大河ドラマで演じた
時の権力者 鳥羽上皇。

朕を射てみよ!

混沌とした時代に翻弄される姿を

時にはかなく 時に壮絶に演じた。

まさに 三上ならではの怪演。

ハハハハ…!

血が… 噴き出ておる!

三上さん とにかく たくさん
いろんな役あったと思いますけど

ご自分で これは印象に残ってるとか
これは役作りに苦労したとか

何か そういう
役に対する思いみたいなのは

何か ありました?
あの… どっちかっていうと僕…

あ~ なるほどね。
その人となりみたいなものを…。

何か これはもう どこで教わった
メソッドでも何でもなくて

自分のアプローチなんですけど。

まず 新しい役を頂いて対面したときに…。

あっ そっから始まるんですよ。

そうすると そこから
「じゃあ 来月 撮りますよ

1か月 準備がありますよ」
っていったときに…

だから いつも毎朝
紅茶を飲むんだったら

コーヒーに変えるとか
日本茶にしてみるとか

自分のルーティンを
どんどん変えていって…。

で 自分が 何だか分かんなくさせる。

だから その間は本も…

全部 遠ざけて
どんどん どんどん こう…

このクッキーポットみたいな体から
中のクッキーを出していくわけですよ。

似てるな~ 私と。
ハハハハ…!
本当にそうなんです 私も。

やっぱり? だから「何もない」って
さっき おっしゃってたのかな。

そう! 何もないの。 うん そうなんです。

で 結局 この体
使わなきゃいけないんですよ。

そっちはね そうですよね。
だから これを残しつつ

中身だけを出してって
その間に洗脳みたいにして

その本を読み続けるんです。
へえ~。

で 実在の人物を
結構 演じたことが多いんですけど

そういうときは
書簡集とかが面白いんですよ。

あ~ なるほどね。 そうですよね。
もっと生身なので。

そういうものを読み続けて すると

どんどん こうね
下から たまってくるんですよ。

なるほどね。
どんどん なっていくんですね。

そうすると 外側は
ちょっと違うんだけど

まあ 表情が近くなってったりとか
満たされていく。

だから…

普通は まあ 2~3日 空いてれば

次の違う仕事を入れつつ
やっていくのが普通なんでしょうけど

僕はもう どっぷりなので

きっちり さようならしてから
また空けて 次に…。

それね 普通 それだけ思い 込めて
役をやってると 仕事が全部終わっても

役が なかなか抜けない…
抜けない。
ですよね~。

しばらく引きずるでしょ?
引きずる。

前… それは テレビドラマの連続ドラマで
ロックスターをやってて。

その中で… 何ていうかな?
傍若無人な…。

「おい! 何とか! お前はよ!」
とか言って。

「ギタリストとして なってねえんだよ!」
とか言って。

「小さく まとまってんじゃねえよ!」
とか言いながら

ちょっと 兄貴みたいなキャラクターで。

それを やってたときに
やっぱり 疲れてたんでしょうね。

朝 「お~ おはよう!」っつって

ドン! ってスタジオの扉を
蹴って入ってたんですよ。

それを自分で
「えっ 今のは誰だ?」と思って。

そのぐらい乗っ取られちゃった。
「俺の中の別の人格」ですよね。 へえ~!

三上は 自営業の父 女優の母のもと
東京に生まれた。

将来の夢は 高給取りのサラリーマン。

そんな現実的な子どもながら
繊細な一面も持ち合わせていた。

子どものころから旅が好きっていうのは
どうして 旅が好きになったんですか?

あのですね それは もう
役者を始める前の話なんですけど

あるとき 中学生で

何か 朝 地下街を通って
駅に上がって行くんですけど

宝塚の階段みたいな…
ガーッてあるわけ 地下街の。

そこを こう 一人で上がってったときに
周りに人がバーッているでしょ?

同じ方向を向いて
ぐわ~って上がってたんですよ。

パッて立ち止まったら
ずわ~って こう 人が追い越していく。

しかも 同じ方向に向かって。

おかしいぞと思って。

おかしいって思って バッて振り返って
階段の途中なんですけど

バッと振り返ったら
今度は ぐわっと顔が

ガーッて いくわけですよ。
うんうん 上がってくる。

「帰ろう」と思って。
ハハハ…! すごい。 本当ですか?

そこから また元 来た道を戻って

バスに乗って家に帰って来て。

家に…
共働きだったんで 誰もいないんで

まず制服 脱いで 私服に着替えて。

で メモに…

「心配しないでください」って
書き置きをして。

で 初めて 中学校1年 2年のときか。

2月に
雪の日本海を見に行くんだって言って。

すごい中学生ですね。
そこから 旅が始まって。

行って 感動して帰って来た
っていうことですか?

あの… 何かね…

へえ~…。
で 何というか 日常?

それまでの学校の日常とか
友達関係の日常とか

そういうものが嫌で 出てってるのに
全部 そこに…。

なるほどね。
でも 恋しくなって帰って来る。

恋しくなって帰って来る。
で また まみれると

また旅して… っていうことを
繰り返していましたね。

15歳のとき
映画「草迷宮」でデビュー。

友人に勧められて オーディションを
受けたことが きっかけだった。

ウフフフフ…。

ウフ…。

♬~

あれほど近づくなと言ったのに!

監督は 劇作家の寺山修司。

この映画との出会いが

三上の人生に大きな影響を与えたという。

15歳で こうね デビューして

そのときの… 最初のデビューしたときの
感覚って どうでした?

まあ 中学校 春休みに
「エクソシスト」見に行ったりとか

「ゴジラ」見に行ったりとかするぐらいの
子どもだったんで

そういう「文化」ってものを
何も知らないんですよね。

「役者って何だ?」っていうことも
分かんないし

出てる人ってぐらいにしか分からない。

で さあ 何をしていいかも
分からないってときに

訓練をするわけですけど。

で 寺山が本番になると

「向こうから
そこから歩いてきて

3歩 歩いたら 右向いて

3歩 歩いて
また今度 左向いて

こっちまで
歩いて来ればいいから」。

「はい 用意 スタート」って
それだけやるんですよ。

何も
分からないじゃないですか。

何で向くのかっていう理由が
分からないですね。

出来上がった映画を見てみたら
「あっ 探してるんだ」って。

ああ! なるほどね。
そのぐらい レベルが低かった。

言われたとおりに動いて
結果を見て こういうことなのねって。

それから アート映画みたいなもの
いくつか出てるんですね。

で 母親が
二十歳のときに死ぬんですけど

そのときに もう闘病してたんで
「どうすんの? これから」って言うから

役者 どうしようかな~と思って。
でも 役者じゃ食えるとは思えないし

高給取りのサラリーマンになりたいって。

「でも 役者やるのは かまわないけど
続けるのは かまわないけど…」。

…って母親が言って
死んでいくんですよ。        え~!

で 亡くなってから すごい考えますよね。
うん うん…。

「性格俳優には なっちゃ駄目よ」。
どういうことなんだろうと思って。

で いろいろ…
その後ろには いろんな話があって。

母親が売れない役者だったりとかする
背景があるんですけど。

そのときに あっ たぶん言ってることは

こうやって アート映画とか あの…

すごい魅力的なものを
やってるかもしれないけど

まあ それは置いといて…

まあ そういうことなんでしょうね。
…っていうことかなと思って

そこから がむしゃらに 不本意ながら…。

ずいぶん テレビとかね
やってらっしゃいましたよね。

ハハハハハ…!
いや… 失礼になっちゃいますね。

いやいや… やることになるんですね。

自分のことは さておいて…

…っていうことも同じようにある。
ああ なるほどね。

世の中の人は喜んでくれそうだな
この作品はっていうのは

何かありますか?
自分の中で やってきた中で。

当時はね
あんまり思わなかったんですけど

まあ そういう気持ちでやったのは
やっぱ…

あ~! あの ホイチョイ・プロ…。
はい。

あ~ 確かにね…。
もう これは

自分がやりたい役というよりは

皆さん喜んでくれるのかなっていう
思いのもと。

なるほど…。
もう 爽やかぶって。

爽やか… 今 ここで
アハハ!
こういうこと言ってる状況

全然 想像できない。

20代
人気映画やドラマの出演が続いた三上。

しかし
その中でも独特な存在感を放った。

ドラマ「あなただけ見えない」では
三重人格の男を演じる。

ああっ ああっ ああっ…!

明美よ…。

人格の一つは女性。
しかも 凶悪な人物という設定。

一つのイメージに安住することなく
三上は挑戦を続けた。

もう一人の俺なのか?

三重人格の役をね
そうそう そうそう。
昔 やられてて。

最初はね まあ 一応… 何だろうな?

二枚目のカテゴリーで
仕事してたつもりなので。

バーッて台本見たら…

ハハハハハ…!
「おい」とか。 「おい おい」。

いや~ これ
明美 出てきちゃったなと思って。

で じゃあ 僕なりのアプローチで。

もう 明美なので
メークもしたいですよね。

そりゃそうですよね。
で これを 普通に薬局に行って

メーク道具を買って やったら
面白くないじゃないですか。

だから その バーンって
「明美よ」って出て来たときに

その辺のもので化粧をする。 それを…。

それが怖いですね。
絵の具で白く ガーッ塗って

キッ… て切って
紅をさしてっていうのを

一つずつ作ってくとね 面白いんですよ。

やる方は面白かったでしょうね。
大好き。

そしたら 世の中的には

さっきの 赤文字で 「死ね 死ね 死ね」って
書いてくるような人たちが

「気持ち悪い!」とか
「もう大っ嫌い!」とかって

トラウマになった人たちが
いっぱいいるっていう。

今までと あまりにイメージが違うので。

そして 若くして亡くなった天才詩人
中原中也を演じたドラマ。

三上は役者として
一つの本質をつかむ。

あの… 中原中也が
20代後半ぐらいだったと思うんですけど

それまでって 方法としては
家で台本を読んで覚えるじゃないですか。

で せりふは入ったと。

じゃあ ここは 急須からカップに
お茶を入れながら

「この間ですね…」とかって。

「いや それが大変だったんですよ。
もう あとで聞いてください」。

…と こう 一つずつ 決めてたんですよ。

この言葉の動作を
すり合わせてやってたんですけど。

あるとき 中原中也が

親友に彼女を取られ 泣き崩れたときに

その泣き崩れてる 慟哭してる中で

「汚れつちまつた悲しみに」っていう詩が

2分ぐらい流れるっていう
カットなんですよね。

で この間 監督が

僕の朗読なんですけど
テロップが流れるんで その間…

へえ~ 面白い!

「カメラは この正面の縦位置の奥と

横2つ 2発入れてあるから
どこ動いてもいい。

明かりも全部 作っておくから
好きに使って セットを」って言われた。

「1日 猶予をあげるから」って言われて

そのときに もう どうしようと思って

一晩 考えたんだけど
朝がピヨピヨピヨってきて

もう行かなきゃいけないってときまで
答えが出なかったんですよね。

で セットも見ずに ボーンと飛び込んで

ダーッてやって 気が付いたら

セットの中のたるを
ず~っと たたいてました。

え~! それ すごい。

へえ~ すごいですね! ぶっつけ本番で?

ノープランで いきたい。

そのときの感情の赴くままにっていって

気が付いたら たるは投げてるわ
何か もう すごい状態になって。

そこから…

なるほどね。
監督に

「ここは このアングルとか決めないで

僕 何が出てくるか分かんないんで
自分でも分からないので

それに対応するようなことに
していただけますか」っていって

大体1シーンか2シーンは
そういうシーンを作ってもらうんですよ。

ああ そう。 だから 何か こう…

分かんない。 僕も分かんないんですよ。
ねえ それが 一番面白いですよ。

面白いっていったら
まあ ちょっと 失礼ですけど。

いや それ描きたかったな~。
もう遅いな。

マヤの?
マヤのエピソードで。

映画やドラマで活躍してきた三上。

しかし 30代になると
俳優を続けることに迷いが生じる。

そんな三上の転機となったのは

40歳のとき 舞台に立ったことだった。

舞台に出る前に ちょっとした不安とか
何もなかったですか?

まあ いろいろ… 15歳から始まって

で 寺山修司という人は
映画も作ってるけれど

僕は 映画を通して出会ったんですけど
演劇をやってて。

で あの… 先輩たちが
あまりにも格好良かったんで。

当時の「天井桟敷」っていう。
男優たちも女優たちも格好良かったんで。

僕は 子どもながらに…

聞いたわけですよ。
そしたら 寺山さんが…

…って言ったんですよ。
へえ~!

なので
僕は向いてないんだなと思ったから。

あっ 勝手な思い込みで?
はい。 それから ずっと

いろんな仕事をしてきた中で

もう 舞台は
やらないんだろうと思ってたんですよ。

で 映像のほうを
テレビ 映画に やってたんですけど。

役者って
一人で できる仕事じゃないですよね。

で 路上で歌うわけにもいかないし

場があってこその仕事だから。

お座敷あっての芸者みたいなもので
お座敷がなければ 話にならない。

これから どんどん先細ってくだけだと
思ったんで

ここで やめといたほうがいいと。
で 準備をしてたんですよ。

何か 建築の学校行こうかとか
いろいろ 準備を30代に してたときに

昔の仲間たちが
「もう寺山さん亡くなって20年だ。

没後20年で 昔の作品を再演するから
それに お前 出ろ」と。

「いや 実はね こう言われたので
僕は舞台は出ません」と

言ったんですけど
「もうさ 亡くなってるしさ」って。

呪縛も解けた?
うん。 「出ろ」と。

じゃあ もう やめるつもりでいたんで
最後に出ようかな。

それが ちょうど40だったかな。

そこから それじゃ もう映像はいいから
演劇だけにしようと思って

例のごとく
いつも 僕 旅に出てるんですけど

アメリカを旅してたときに

すごい小さな田舎町で
あれが上演されてたんですよ。

ああ 「ヘドウィグ」!

上演されていたのはロック・ミュージカル。

性転換したロック歌手が
愛を求めて 歌い叫ぶ物語だった。

♬~

作品に入れ込んだ三上は

日本での上演を実現。

みずから主役を演じた。

この経験が さらに
演じることへの思いを強くさせた。

15ドルで 僕 見たんですけど。
へえ~ そうですか。

で うわっ! と思って。

自分が音楽もやってるんだけれど

自分のテイストと
すごく合ってたんですよね。

で こういう音楽…
ああ この曲 歌いたいなと思って。

帰ってきて すぐ
演劇関係に相談したら

すぐ やろうってことになって
日本で初演になったんですけど。

そう 本当ですよね。
ねえ そうですよね。

だって 出ずっぱりの 歌いっぱなしの
しゃべりっぱなしでしょ?

歌ってないときは
しゃべって演技してって形だから

これ… 体力がよく もつなと思って。

もう ギリギリの状態で
やってたんでね。

ピンヒール履いて

10cm以上の
ヒールを履いて

一人で 20曲
ロックを歌って。

何のストイックさもないぐらい
自由だったです。

へえ~ やっぱり合ってたんでしょうね。

役と何かね 自分が
ぴたっと こう きたっていうか。

最初は
そんな大きい劇場じゃなかったんで

500ぐらいなんで
もう隅まで届けられるんですよ。

500だとね。
うん。 もうね 最高の大きさですね

500ぐらいって。
うん なるほど。 へえ~。

ああ あそこの あの人に届けたいって

もう全部に届けたいっていう思いが
どの曲にもあって。

そういう意味では すごい幸せな。

それは
すばらしいですね。 その意識自体もね。

ささげたいです。

それが極まったんですかね その瞬間。
ねえ。

届いたかどうかは分からないけど
実感をすると…

もう そこで生きがいが生まれちゃう。
ああ…。

ね。 本当に。
そうですよね。

だって 自分が生きてる証しが
返ってくるわけですからね。

そうなんです そうなんです。

ああ ここにいて いいんだっていう。
ハハハハ…。

俳優になって 40年。

時に自分をなくし
芝居に のめり込んできた。

しかし 現在
その心境に変化が起きているという。

あのロックスターの
出ずっぱり 歌いっぷりの

あれと同じ人っていう
この ものすごい こう…

人格ギャップみたいなのがあって。

もう それは三上さん自身が
一体 何重人格? みたいな…。

そういうものも…

だから10代のころ
20代のころっていうのは

なるべく
バラエティーに出ないようにしたりとか。

最も危険なのは
僕 クイズ番組だと思ってたんですけど

勝ち気なので
出たら 本気でボタン押しそうで。

「はい!」ってやりそうで。
それを見せちゃうと

あっ この人の印象って
すごく強くなっちゃうじゃないですか。

いや 分かる。
それね そうなんですよ。

だから 私もそうなんですけど
あんまり…

私という人は
いないもんだと思ってください。

全く一緒!

だから
その物語を楽しんでもらいたいのに

じゃあ 僕が アイドル歌手の誰々と
結婚してる人間だったとしたら

それが もう入っちゃうじゃないですか。
そうですよね。 はい…。

それさえも
外したかったっていうのがあって

今までは きたんですけど…

ハハハ! そこら辺が もう いいやと。

もう いいかって。

こうして もう本当 素でしゃべって

で これが一番強いんだと思うんだけど。

でも…

自信って 人間として?
うん。

ちゃんと 「ヘドウィグ」だったら
ヘドウィグの

あんな 化け物みたいな役を
全うできたりとかしたことによって…

…と思ったんですね。

ある種の開き直りみたいなね。

全部 解き放たれたって感じですよね。
今 お話 聞いてるとね。

何か… だだ漏れだなと思って。

10代で…
二十歳のときに 母親も亡くすし

寺山さんも亡くなったんですね。

そのときに いろんなことを
そんなに いろんなお話 しなかったけど

「これからな 世の中に出て行くときに

世の中のイメージってもんが
あるだろ」って。

「お前 笑うな」と。 人前で。
へえ~ そんなこと言われたんですか。

ずっと 寺山さんに言われてましたね。

「やっぱり 男は
どっか 影がなきゃ駄目なんだ」って。

今日いらしたとき
満面の笑みでしたもんね。

でしょ? だから もう
「いや~」って。
ないんですよ。

どうなのかなと思ったんですよね

その言いつけ 守ってないなとかね。
いろんなことを考えて。

それは謎めいていなさいよとか

お客さんの想像力を使える余地を
残しておきなさいよとか

そういうことだと思うんですけど。

確かに。 確かにね そうですよね。

今を生きるってね そうですよね。

だから そんなね 無理してないですね 今。

すごい野放しなんですけど。
見苦しいですか?

いえいえ! 全然 全然!

そんな 三上の最新主演映画。

なんと
隠しカメラの映像で物語が進行する。

(チャイム)

ご指名ありがとうございます!
人生 終わりだよ。

ラブホテルの一室に
一癖も二癖もある人物たちが入り乱れる。

ちょっと この子はさ…。
「この子はさ」じゃねえよ!

(銃声)
ばれなきゃいいんだよ。

絶対に足がつくって。

40分 ワンカットという実験的な手法や

個性的な俳優たちとの共演。

三上は存分に演じ 映画を楽しんだ。

聞いてくれよ!
俺は 本当に殺してないんだって!

じゃあ 誰が殺したんだよ!

ラブホテルの…。
ああ はい はい…。

面白かったです。
あっ 本当に?

面白かった。 本当に 面白かった。
本当に?

うん 本当に 本当に。
うれしい。

まず びっくりしたのはね
あのカメラのワーク?

同じ所で何十分も… 40分もワンカット?

何か変な話ですけど…

ただ カメラ ボンッて置いて

フィックスで サイズも変わんなければ
動きもしない中のワンカットドラマ。

で もう アップ作りたかったら
そこまで寄っていくしかないんですね。

なるほどね 確かに。

ここで 引きでいたかったら
後ろに下がればいいっていう。

っていうことは
監督自身が役者なんです あの人。

だから 役者のずるさ もろさ 強さ
はかなさ

生態を全部 分かってるんですよね。

分かったうえでやってますよね。
それをどう武器にできるかっていうと

ああいう… 野放しにする。
なるほどね。

本当に小さな映画なんですけど

小さいからこそ 盛れることとか
込められることっていうのが

今のご時世 すごく せちがらいので

大きくなればなるほど
不自由になったりとか。

「じゃあ それ おまんまの糧に
なんないじゃない」って言われると

「そうですね。 僕 そこに興味ないんで」
って言えちゃうぐらいに思わないと。

あれは だけど 本当にね

演技がうまい! 本当にうまい。

そんな… 喜ばせても 何も出ないよ。
何か 出して 出して!

いや でも本当に
リアリティー感じるんですよ。

こういう人いるのねって感じで。

で あんまりコミカルだから
途中で いないよね? とか思いながら…。

でも リアリティーがあるんですよ なぜか。

まあ でも いいご縁 頂いて
ありがとうございます。

いやいや… 本当に。

別のところで いろんな話が…。
番外編がね 山ほどありそう。

♬~


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