ザ・プロファイラー「小説家 ヘミングウェー ヒーローを演じ続けた男の真実」 緒川たまき、カズレーザー、菊池武夫、岡田准一



出典:『ザ・プロファイラー「小説家 ヘミングウェー ヒーローを演じ続けた男の真実」』の番組情報(EPGから引用)


ザ・プロファイラー「小説家 ヘミングウェー ヒーローを演じ続けた男の真実」[字]


「老人と海」で知られるヘミングウェーは20世紀を代表する米国の作家。闘牛やボクシングを愛するマッチョな反面、戦争と死の恐怖と戦い続けた人生だった。MC:岡田准一


詳細情報

番組内容

「武器よさらば」「日はまた昇る」など自らの戦場体験を小説に書き、20世紀文学の巨人と言われるヘミングウェー。しかしその内面は、常に死の恐怖との戦いだった。戦場で負った精神的な傷を抱え、闘牛やハンティングに熱中することで生きる実感と創作の意欲を得ようとしする。その姿は戦後アメリカ社会が求めたマッチョな父親像と重なり圧倒的支持を得た。しかし年をとり創作に限界を感じた時彼の選んだ方法とは?MC:岡田准一

出演者

【司会】岡田准一,【ゲスト】緒川たまき,カズレーザー,菊池武夫





『ザ・プロファイラー「小説家 ヘミングウェー ヒーローを演じ続けた男の真実」』のテキストマイニング結果(ワードクラウド&キーワード出現数ベスト20)

ザ・プロファイラー「小説家 ヘミングウェー ヒーローを演じ続けた男の真実」
  1. ヘミングウェー
  2. 自分
  3. カズレーザー
  4. 菊池
  5. 戦場
  6. 緒川
  7. 小説
  8. パリ
  9. 戦争
  10. 体験
  11. 作家
  12. 経験
  13. アメリカ
  14. 時代
  15. 恐怖
  16. 武器
  17. パパ
  18. 言葉
  19. 今日
  20. 多分


『ザ・プロファイラー「小説家 ヘミングウェー ヒーローを演じ続けた男の真実」』の解析用ソース(見逃した方はネタバレ注意)


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アフリカではライオンのハンティング。

20世紀を代表する小説家
ヘミングウェーです。

「行動する作家」という 新しいスタイルを
作ったヘミングウェーは

戦後アメリカ社会の
ヒーローになりました。

しかし その生涯は
死の恐怖との闘いの連続でした。

20世紀
アメリカのメディアに度々登場し

ワイルドで行動的な姿をアピールした
ヘミングウェー。

彼の書く小説も その外見そっくりだった。

代表作の「老人と海」では マカジキと
勇敢に戦う老人の姿を描いて 後に…

戦場にも 度々足を運んだ。

自らの体験をもとに書いた…

ベストセラーになり 20世紀の文学に
大きな影響を与えたといわれる。

プライベートでも…

アフリカでは ハンティングに熱中する。

自ら「パパ・ヘミングウェー」と名乗り
たくましい男のシンボルになろうとした。

しかし…。

周りが求める姿を演じるあまり 自分の
本心を押し殺すこともあったという。

真実とフィクションの間で揺れ動く
ヘミングウェー。

心の奥に常にあったのが…

…に従軍記者として参加。

戦場で死を身近に感じることで
対極にある生を激しく追い求めた。

だが 61歳の時…。

(銃声)

最後は自分の手で 人生を
終わらせることを選んだ。

行動する作家 ヘミングウェー。

強く たくましくあろうとした
男の素顔を プロファイル!

♬~

ヘミングウェーは 何度も戦場に足を運び
その実体験をもとに多くの小説を書いた。

…と呼ばれた その創作スタイルは

小説の新しい可能性を
切り開いたといわれる。

裕福な人々が多く暮らすこの町で
ヘミングウェーは生まれた。

厳格で格式を重んじ
良家の子女に音楽を教えていた。

ヘミングウェーも
母に無理やりチェロを習わされている。

それなりに収入はあったが…

そのため…

それで それに対して…

父は 息苦しい家庭から逃れるように

大自然の中の別荘に
しばしば滞在するようになる。

ヘミングウェーも父に連れられ
豊かな自然の中で

釣りや狩猟の手ほどきを受けた。

もう1人 幼少期のヘミングウェーに
影響を与えた人物がいる。

祖父のアンソンだ。

南北戦争に兵士として参加した祖父は
戦場での武勇伝を孫に語った。

ヘミングウェーは 祖父の語る…

そんな祖父が ヘミングウェーの
12歳の誕生日に贈ったのは…。

狩猟用の散弾銃だった。

1913年 ヘミングウェーは
地元の公立高校に入学した。

この頃から小説を書き始め

高校の校内雑誌に
3つの短編が掲載されている。

両親は医者になることを望んだが

ジャーナリスト志望のヘミングウェーは
大学に進もうとはしなかった。

卒業後 ヘミングウェーが選んだ仕事は
新聞記者。

新聞社の見習いになった年
ヨーロッパは第1次世界大戦の真っ最中。

そしてこの年に アメリカも
ドイツに宣戦布告して参戦する。

アメリカ大統領ウィルソンは これを…

…と賛美した。

大統領の呼びかけで戦意の高揚した
アメリカの若者たちは

次々と戦場に向かった。

若かったけれども…

ヘミングウェーも参加を熱望したが

左目の視力が弱かったため
兵士としては不合格。

だが 何としても戦場へ行きたかった。

ヘミングウェーが見つけた仕事は
車の運転手。

戦場で傷ついた兵士を車で運ぶため
赤十字が運転手を求めていたのだ。

向かったのは イタリアの戦場。

最前線に配属されて2週間後…。

敵の砲弾を受け 隣にいた兵士は即死。

ヘミングウェーも両足に砲弾の破片などを
200か所以上受ける

瀕死の重傷を負った。

この直後に
家族に送った手紙が残されている。

それまでは栄光や名誉を夢みていた
戦争の真の顔。

初めて「死」と「恐怖」を 身をもって知った。

ヘミングウェーは…

地元に帰ったヘミングウェーは
英雄として迎えられ 講演を依頼される。

この時 ヘミングウェーは
戦争の実態を正直に話さず

自分の活躍を
実際よりも誇張した。

その理由を匂わせるセリフが
短編小説の中にある。

戦場での経験を
自ら進んで話したヘミングウェー。

しかし その時感じた「死への恐怖」だけは
決して語ることも 書くこともなかった。

さあ ということで
ヘミングウェー 始まりましたけど

今日は なんか深い話になりそうな。

(カズレーザー)
導入からもう 結構 山場というか…。

山場ですよね。 緒川さんは…。

私はですね あの…。

中学生の時に 名作は
いろいろ読んでみようと思いまして

それで読んでみましたら ちょっと
肉体的にも精神的にもタフすぎて

思春期の女子としては
もう少しこう なんていうか

内にこもった人の方が魅力的って思って。

私の好みじゃないわっていう感じで。
あっ そうですか。

ところが 二十歳になった頃だと
思うんですけれども

フォトブックのような形で
「ヘミングウェーの猫」という…。

ありますね。
(緒川)ヘミングウェー 大変な猫好きで

で 私も猫好きなものですから

ヘミングウェーをフッた私という
中学生の私は

なんて節穴だったんだと思って。

(緒川)なんか そういう はい。

ファッション世界でご活躍の
菊池武夫さん。
はい。

ヘミングウェーについて
どんなイメージをお持ちですか?

アメリカ文化の中に育った作家?
う~ん。

やっぱりアメリカじゃないと
多分ヘミングウェーは

出てこなかったのかなと。

なんか服作りでも影響があったという…。

影響ね すごい受けたのは
文章 簡潔じゃないですか。

やっぱりデザインも 若い時は…

カズレーザーさんは どうですか?

やっぱ ヘミングウェーはそれこそ
我々の思うアメリカ人

ザ・アメリカン・マッチョ
といいますか

さっきも一瞬出てきた
上半身裸の写真とか もう

力道山そのものの体形でしたし。
(笑い声)

ああいう感じですよね 男臭い。

早速じゃあ ヘミングウェーを
プロファイルしていきたいと思います。

最初のテーマは
「なぜ戦場へ向かったのか?」。

こちらにテーマをひもとく
リストがありますが まずは緒川さん。

(緒川)
そうですね 「父は母に頭が上がらない」。

その 見習うべき父親が 母に
抑圧されているっていう姿を見ていて

苦しかったでしょうね
男の子としてはね。

そして その 祖父の南北戦争の体験談を

まるで男の子に童話を聞かせるように
楽しい要素だけを語って聞かせて

しかも お父さんと
森で狩猟の経験をしてたら

それは 普通に男の子として

戦争に憧れる
っていうのは 分かる気がしますね。

お父さんが弱く思ってしまうから

逆に強くなろうとしてしまったって…。
(カズレーザー)あるんじゃないですか。

僕が育ってる家庭は
多分間違った姿なんだって思って

かつ おじいさまがしゃべってくれる
強い人間のイメージに憧れて って。

カズレーザーさんは
リストで気になるものって…。

やっぱ これじゃないですか。
日本じゃ考えられないじゃないですか。

(緒川)考えられません。
「誕生日のプレゼントの散弾銃」。

(カズレーザー)おじいさまは南北戦争で
多分活躍されて

その話をするってことは
多分 北軍 勝った側だと思うんですよ。

だから それを自分の英雄談も

自分の一番輝かしい時代として
しゃべってて それに憧れて。

これがもう だから
ヘミングウェーの結構 原体験で

人生の象徴的なものだと思うんですよね。

(緒川)
もしかしたら その おじいちゃんの

自分に対する期待とか
男としての 「認めたぞ お前」っていう

免許を頂いたような気持ちも
したのかもしれませんね。

確かに。 菊池さんはリストの中で?

(菊池)
僕はね その… ヘミングウェーの小説の
もとになったっていうのは

多分 新聞記者になったから。
「新聞記者になる」。

(菊池)ええ。
ものをよく観察するっていう まず。

これ 経験をしたいっていう思いも
強いんですか?

強かったと思いますね。

ものづくりで経験をするっていうのは
大事ですか?

僕は絶対に体験しないと
何も分かんないと。

アラスカとかも行かれてたんですよね?

(菊池)行きました。
1週間かけて 車でアラスカ一回り。

真冬に行きました。

それは経験するために?
そう。

(緒川)刺激を求めて?
ええ。

ですよね!
ちょっと似てる…。

そんな強くないけど ええ。

まあでも こうありたい
こうなりたいっていう

思いみたいなのが
強い感じはしますよね。

そうですね。
欲求 こうなんなきゃいけないぐらいの。

(菊池)あるでしょうね。

父親が あまり強く見えなかったとか
男とは何なのかとか

理想を追い求めていく中で
なんかの役に立って

やっぱり インパクトを与えられて

世界の中心で 警察官で
こう 守っていくんだっていう

その時代の流れに もろ乗って
戦争に行ったと…。

(カズレーザー)当時やっぱ
こういう人多かったってことですかね?

いやもう ほとんどが。
(菊池)だろうね。

まあ実際 戦争を知って
そのつらさ からか

ヘミングウェーは
この戦争体験を小説にするのに

実に10年 歳月がかかっています。

一体なぜだったんでしょうか?

第1次世界大戦で負傷した
ヘミングウェー。

戦場について
さまざまな事を語りながらも

そこで芽生えた「死への恐怖」だけは
さらけ出すことはなかった。

その後 新進気鋭の作家となっても

戦争体験を真正面から取り上げて
小説にすることはできなかった。

しかし 負傷から10年たってようやく
自分の中の壁を乗り越え

「武器よさらば」を発表する。

イタリアから帰国し 新聞記者に
戻ったヘミングウェーは

8歳年上のハドリーと結婚した。

新婚生活の場所に選んだのは
フランスのパリだった。

1920年代のパリには…

…をはじめ 多くの
芸術家が集まっていた。

パリに行くのが 小説家として成功の
近道だと考えたのだ。

後の作品で こう語っている。

パリで執筆を始めたヘミングウェーは
初めての作品集…

新聞社の記者も辞めて…

24歳の時だった。

実はハドリーには 親から相続した財産が
かなりあったため

記者を辞めても
生活には困らなかったのだ。

そして3年後
初の長編小説…

物語の舞台は 第1次世界大戦後のパリ。

戦争によって それまでの価値観が
崩壊した若者たちが主人公。

不安の裏返しから
その日の快楽を求める日々を送っていた。

やがて 1人の女性と4人の男性は
パリを離れ スペインへ。

闘牛を観戦する旅で 女性をめぐり
関係が複雑にこじれていく。

戦後の退廃的な世相が

簡潔な文体でリアルに描かれた
この作品は

若者を中心に大ヒット。

ヘミングウェーは 一躍
新進気鋭の作家となった。

実は この文体は
新聞記者時代に培われたもの。

事実をそのまま書く新聞のスタイルが
小説の文章としては斬新だったのだ。

ヘミングウェーが勤めていた新聞社には
「文体心得」というものがあった。

…など ヘミングウェーの
文章の骨格を成している。

新聞記事のような
事実だけを書いていく

ということに
非常に近いんですけども。

ヘミングウェーの
その文学の根底は…

しかし 大きな問題があった。

この小説は ヘミングウェーが

実際に 友人たちと
スペインを旅行した時の体験をもとに

リアルに書かれている。

作品に登場する 男女の関係に
無節操な人物のモデルが誰だか

仲間うちでは
すぐに分かってしまったのだ。

プライバシーを暴かれ怒った友人たちは

次々と ヘミングウェーから去っていった。

しかし ヘミングウェー自身は
小説のモデルにされた友人たちは

喜んでいるに違いないと
思い込んでいたという。

パリで友人を失い
妻とも離婚したヘミングウェーは

アメリカ南部 フロリダ州のリゾート地
キーウエストに移住した。

そこで ようやく 自らの…

戦場で負傷したあの時から
10年の歳月が過ぎていた。

そして書き上げたのが
「武器よさらば」だった。

第1次世界大戦のさなか

イタリア戦線に参加したアメリカ人兵士と
赤十字の看護師との恋を描いた物語。

戦場で負傷し 死を身近に感じた主人公は
脱走して 恋人と生きることを選ぶ。

しかし 待っていた結末は恋人の死だった。

アメリカでは…

…っていうことに国民が気が付いた。

ヘミングウェーが…

「武器よさらば」は…

ヘミングウェーは
誰もが認める人気作家の地位を確立した。

さあ ということで

ヘミングウェーが人気作家になるまでを
見てきましたけども。

続いてのテーマは こちらです。

「なぜ 『武器よさらば』を
10年後に ようやく書けたのか?」。

カズレーザーさん
どれが気になりますか?

(カズレーザー)やっぱり 「パリ」ですよね。
パリ。

(カズレーザー)まあ 当時のパリっていうのは
世界の中心というか

一番華やかなとこですから。
すごいですよね ピカソがいたり。

(カズレーザー)ここでの体験がまず
結構おっきいと思うんですよ。

10年書かなかったって言ってますけど
やっぱ ここにいたら 書くべきことは

めちゃくちゃ
たくさん あったと思うんですよね。

もう 楽しいこと 山ほどある。
毎日パーティーですね。

すごい時代ですよね。

「あっ ピーちゃん? ピーちゃんね」。

「遊びに来てって言うんだけど」
みたいな時代って でも…。

(カズレーザー)当時 誰がパリに行ったって…

(緒川)いやいや
今 言いにくくなったんですけど

1920年代のパリは もう何かを捨ててでも
行ってみたいって思ってたので…。

やっぱり 20年代に
世界中から あらゆるジャンルの

こう 一番新しいことをしようとしている
人たちが集まっていて

友人が怒ってないだろうっていう見解も
分からなくはないですよね。

いろんな 享楽的に生きてる様を
毎日見てきたんだから

「このぐらい何だ」って。
(カズレーザー)「何怒ってんの。

そんなことより 踊らない?」
みたいなことですよね。

(菊池)ヘミングウェー
友達なくしたっていうじゃないですか。

でもね あのころってね
絵描きなんかでも もう丁々発止

もう みんな けんかしてるんですよね。

(緒川)同じモデルが
みんな違う人のヌードになっていって。

そう。 僕はね 肯定的なんですよ。
失ってもいいと思ってる。

どうせ だって そんな遊んでる仲間で
話してるようなことの内容なんて

そんな真実も大してないんだから
別にかまわない派なんですよ。

(笑い声)

気にならない。
気にならない。

ご自身も…?
(菊池)多分 僕も…。

やっぱり
個人のやりたいことを通したいから

他人は関係ないという。

作家さんなんて もう わがまま…。

(菊池)エゴの塊じゃないですか きっと。

菊池さんはどのリストが気になりますか?

(菊池)「戦闘が作者に及ぼす傷…」?
はい。

(菊池)「癒やすのに
非常に長い年月がかかった」っていう。

それは多分ね 悲惨なものを

人間って すぐ忘れたい
いい方にしたいから

なるだけ過去を閉じ込めることを
したいと思うんですよ。

それくらいショックだった。

だから それがだんだん 他のことで…
「日はまた昇る」を出したりして

作家としての
なんか活動が出てきて やっと

その呪縛っていうか
縛られてたものから

解き放されて書けるようになった。

この時代は なんか

戦争で悲惨な体験をしたものを

忘れるためっていうか 逃げるために…。

逃げるために費やしてた10年。

緒川さん リストの中で 気になるもの…。
(緒川)ああ そうですね

「作家の仕事は真実を語ること」
っていうワードですけど

1つ前のVTRでも
誇張して語ったっていうくだりで

ジャーナリストの心得っていうものを
ほんとに骨身にしみるまで

たたき込んでいった
ヘミングウェーにしてみれば

聴衆を前に 嘘をついたっていう経験は
ものすごく自分を傷つけた。

本人 自分自身を傷つけたものとして
残ったのではないかなって感じるので

この信念からすると あの時ついた嘘
そのテーマになった戦争を

小説に書くとしたら
違うアプローチを見つけなければ

自分が自分を許さないとは思ってたかな。

(カズレーザー)
でも なんか納得しますね。 確かに

一回 戦争ってものに対しては

嘘っていう
アプローチをかけちゃってるから

自分の中で処理するのにかかった年月が
10年ってことなんですかね。

僕の中で やっぱ なんか戦争体験って
もっとこう… 忘れたい過去というか

その… 日本でも戦争を体験した方に
お話を聞く機会があっても

やっぱり しゃべりたがらないですよね。
っていうことぐらい 悲惨だったから

思い出したくもないし
っていうもののはずなので

それを経験した人が
何の言葉をもって伝えればいいのか。

リアルに書きすぎると
冷たすぎて物語にはならないことを

自分は多分 見てきて

そこに美しさとか
そこに愛を書いていくって

なかなか すぐはできない感じは
するんですけどね。

この 新聞記者時代の
影響が大きいといわれる

ヘミングウェーの「見たものを簡潔に書く」
文体なんですけども

こちらを見て頂くと…。

これはですね 古今東西の名作といわれる
小説を分析した研究なんですけども

面白い事実が分かったということで
この「副詞」

動詞や形容詞を
修飾する言葉ですけども

使用頻度が
なんとヘミングウェーが一番少ない。

面白いですね。
(菊池)すごく面白い。

「ハリー・ポッター」のJ・K・ローリング
これは

1万語の中で140語
使ってたりするんですけども。

「シャイニング」とかの
スティーヴン・キングも105語使ってる。

ヘミングウェーに関しては 第1位
それだけ飾っている文体がない。

(菊池)僕がヘミングウェーに惹かれたのは
この部分。

文体は分かりやすくて
でも はっきり説明してないから

実際は分かんないんですけど
想像することがすごく面白い。

(カズレーザー)日本だと 志賀直哉とかが すごく
シンプルな文体なんですよ やっぱり。

「城の崎にて」とか
ほとんど説明らしい説明がなく

話進んでくんですけど
だけど そういう作品の方が

後世から 「美文」とか
いい文章だと言われますよね。

むしろ
詩的に響くってことかもしれませんね。

ただ 書いてる方は不安な…。
不安ですよね。

空白があればあるほど
作り手は不安になる。

不安ですよ。
しゃべっちゃいますもん やっぱ。

ちょっとでも間が空きゃ
「うんうんうん」って言っちゃいますもん。

ヘミングウェーが10年かけて
「死への恐怖」を乗り越え

ようやく書けた 「武器よさらば」。

しかし 完成直前に思わぬ知らせが…。

父 クラレンスが
自らの銃で命を絶ったのだ。

ヘミングウェーは
父の自殺は

母のせいだと考えて
母を許さなかった。

1930年代のアメリカでは
雑誌ジャーナリズムが急成長していた。

「武器よさらば」が大ヒットし

マスコミは ヘミングウェーを

時代の寵児として取り上げた。

自ら「パパ・ヘミングウェー」と称し

狩猟や釣りの写真とともに
野性的な男のイメージをアピールした。

そのたくましい姿は
メディアを通じて世界中に発信され

いつしか 「強いアメリカ」の象徴として
ヒーロー的な扱いを受けた。

従来は ボクシングの選手だったり

フットボールの選手だったり
スポーツだったわけですけども…

自分で演じてたところが
多いと思いますね。

マスコミに乗ってやろうという かなり…

ヘミングウェーが好んで行い
小説の題材にもしたのが…

人間より大きな動物との
「命」のやり取りに

魅せられたという。

特に闘牛はお気に入りで
何度もスペインを訪れている。

闘牛士と牛の 命を懸けた闘いを
見飽きることはなかった。

1936年 そのスペインで内戦が勃発した。

ヘミングウェーは
従軍記者としてスペインに向かった。

そこで 以前とは違う感覚に襲われた。

皮肉なことに かつて戦場で植え込まれた
「死への恐怖」が

戦場に立つことで消えたという。

ヘミングウェーは
この体験をもとに

「誰がために鐘は鳴る」を
書き上げた。

反乱軍から
自らが愛する国 スペインを救うために

内戦に身を投じたアメリカ人の物語。

ゲリラ隊と合流した主人公は

そこで出会った娘と恋に落ちる。

そして
橋の爆破という作戦を遂行するが…。

この作品では これまでのスタンスが
微妙に変化している。

「武器よさらば」のような
戦争への懐疑的な目線は薄れ

「誰がために鐘は鳴る」は

戦争のために自己犠牲をいとわない
主人公の美談になった。

「誰がために鐘は鳴る」は
爆発的な売れ行きをみせ…

ところが…。

それ以降 ヘミングウェーは

文章を書くスピードが
大幅に下がってしまった。

昔のように書けなくなったのである。

次の作品を完成させるまでには
また 10年の歳月が必要だった。

ということで…。

この でも
「誰がために鐘は鳴る」の名言のセリフ…。

おぉ~!
へぇ~。

いやいやいや…。
(緒川)男らしい!

今 自ら「パパ・ヘミングウェー」と称し
メディアを利用して

強いアメリカのヒーロー像を
自分で演じてたってことですけども。

この人 やっぱりアメリカ人だというのは
徹底してあって

自分を強い… こう ところに持ってく
っていうのに対して

何の矛盾も もしかして
感じてなかったんじゃないかと。

例えば ちょっと例…
すごく変ですけど トランプさん。

やっぱり強くて こう 自分の
やりたいことを一生通してしまう?

それがアメリカの… こう 魂みたいな。

だから演じてるんだけど

演じてるのも現実も
全部一体化しちゃってるっていう。

そうですね 一番 あの 引っかかるのは

自ら 自分の名前に
「パパ」という冠をつけて

読者全てに対して
「俺はアメリカのパパだぞ」っていう。

なんか それは
あまりにも巨大なものですよね。

で そこと
その自分の父親と母親との確執とが

何らかの関係をしあっていると思うと

自分の何とか隠したい部分を

こう 蓋をするためには

パパな部分が
すごく自分にとって大事だったのかな。

生きやすく生きるためには 必要だったの
かもしれないと思うんですけど

ただ 嘘はついてない感じはしますね。

(菊池)この時代はね。
天真らんまんな あの表情を見ていると…。

(カズレーザー)
絶対 好きなことをやってますもんね。

(緒川)好きでやってるとは思えますけど。

いや~ どうなんだろうなぁ。
でも 雑誌に載っている…

(笑い声)
たまに やってませんか?

カジキ釣ったのも
もう 2時間しかやってないとか。

とりあえず「獲った!」とか。
(カズレーザー)ロケものの番組じゃないんで。

(カズレーザー)
一日で何か所も行ってないです。

「やるしかないんです」みたいな。
6本撮りとかやってないですよ。

岡田さんの「闇」が見えるから…。
(カズレーザー)そんなことない。

まあ ここからは ヘミングウェーの
プライベートライフを

見ていきたいと思いますけど。
まず こちらをご覧下さい。

「ヘミングウェーと4人の妻たち」。
(カズレーザー)あら おモテになるんですね。

ヘミングウェーは
生涯4回 結婚しているんですけども

象徴的なのは それぞれの妻との間に
1作ずつ代表作があります。

(カズレーザー)まあ おしゃれな話ですね。

最初の妻ハドリーは 作家になるまでの
苦労を共にした女性です。

彼女と行ったスペイン旅行をもとに
「日はまた昇る」を出版。

その印税全てを
離婚後 ハドリーと子供に渡しています。

2番目の妻 ポーリンは
元モデルで雑誌の編集者。

一緒にキーウエストに移り住み

「武器よさらば」を執筆しております。

3番目の妻 マーサは
ヘミングウェーに負けない才女で

作家であり 一緒にスペイン内戦を取材。

それをもとにした「誰がために鐘は鳴る」を
出版しましたが

破局してしまうことに。

最後の妻メアリーは 元「タイム」誌の記者。

ヘミングウェーが亡くなるまで添い遂げ

「老人と海」が生まれました。

(菊池)僕はですね
ちょっと自分のことなんですけども

ヘミングウェーが離婚して
結婚するっていうこと

すごい憧れた時代がありまして。
へえ~。

僕自身も今 3回目なんですよ。

で 最初に あの 70年代に
「BIGI」っていう会社をつくった時は

それまでは全部
あの 婦人服だったんですよね。

で 婦人服が もうとても

僕自身の女性像は
こうだって思ってるのとの食い違いで

もう全くやめたんですよ。
で やめて メンズだけやりだした時に

やっぱり離婚と
新しい妻との生活が始まり…。

へぇ~ 時代の変わり目に…。
ピカソもすごい 何回も してますよね。

女性と その人から受ける
いろいろなもので

新しい なんか こう 生きる何かが
もらえるんじゃないですかね。

まあ 戦場で死の恐怖にさいなまれていた
ヘミングウェーですけども

死に対して
どんな考えがあったと思いますか?

あの 「激烈な死」という言葉を
使っておられましたけど。

自分自身が体験した「激烈な死」が

戦争の負傷であるとか

サファリの中での
何か動物と闘うことであったりとか

それが こう 「レベル10」だとすれば

日常生活って
せいぜい「3」とか「4」とかですよね。

その 「10」に近づいた体験をすると

作家としては なんか書けそうな
貯蓄ができたような気がすると思うので

その「10」に近づくための経験を

こういった冒険や闘牛で
追い求めてたのかな…。

感覚も どこか麻痺してきそうですね。
うん。

一回 「10」経験しちゃったら
日常の「3」とかを書いても

「これ 達してなくねえか」みたいな。
(緒川)そうですね。

強烈な死に惹かれるって…。

まあ 死って
万人受けするじゃないですか。 全員が…。

みんなが経験することですからね。
経験するのに かつずっと謎のまま。

理解はできない存在。

だからやっぱ めちゃくちゃ強いもの
魅力的だと思うんですよね 題材としては。

確かに作家だったら
永遠のテーマですよね。 死っていうのは。

「誰がために鐘は鳴る」以降
筆が進まなくなったヘミングウェー。

スランプに苦しみながらも
10年後に 「老人と海」を発表した。

ヘミングウェーは その後…

小説家として頂点に立った。

しかし…

突然 自らの銃で
人生の幕を閉じた。

1940年 ヘミングウェーは

3番目の妻 マーサと共に
キューバに移り住んだ。

既に ヨーロッパでは
第2次世界大戦が始まっていた。

この時 従軍記者として
ヘミングウェーも参加。

その体験をもとに書いた短編小説

「中庭に面した部屋」。

昨年 死後57年を経て発表された。

ドイツ軍の占領下から
パリが解放された直後

あるホテルの一室で 兵士たちが
自分の体験を語り合う物語だ。

内容は…

つまり これを読めば

ヘミングウェーは従軍記者として
戦地にいただけではなく

軍人として戦闘をした可能性が
非常に高いことが分かる。

ヘミングウェーは 戦場で
私設の軍隊を率いていたのではないか

と考えられている。

奥さんに言ってあって 奥さんには…

…って言って
コピーを渡していたんですね。

ハンティングや闘牛で
死を見つめ続けたヘミングウェー。

ついに 人としての一線を踏み越えて

人間を殺していたのかもしれない。

しかし それほどの体験をしても

小説を書けるだけの
エネルギーは得られず

悶々とする日々が続いた。

そんなヘミングウェーに
転機が訪れたのは…

ある女性との出会いだった。

イタリア人のアドリアーナ。

30歳以上年下の
18歳の美少女だ。

ヘミングウェーは
アドリアーナに…

そして 中年男性と18歳の少女との
恋を描いた

「河を渡って木立の中へ」を
書き上げる。

アドリアーナは
ヘミングウェーを尊敬はしていたが

2人は恋愛関係にはならず…

…だったという。

ヘミングウェーは よく…

…って言い方するんですけども。

…ということを言ってるんですね。

アドリアーナは当時を振り返り
こう語っている。

その小説こそ
「老人と海」だ。

本を出す時 ヘミングウェーが
出版社に直談判して

表紙には アドリアーナの
デザインが採用された。

物語は 実話をもとに
ヘミングウェーが脚色したものだ。

ある年老いた漁師が 不漁続きの中で
一人 小舟に乗って沖へ向かう。

そして 三日三晩の格闘の末に
巨大なマカジキをしとめる。

ところが港に帰る途中 船にくくりつけた
マカジキはサメに食われ

せっかくの苦労も水の泡となってしまう。

それでも…。

「老人と海」は大人気となり…

…と思われたやさき。

ヘミングウェーを乗せた飛行機が
アフリカで墜落してしまった。

これ以降 ヘミングウェーは
思うような活動ができなくなってしまう。

事故から9か月後
ノーベル文学賞を受賞するが

とても授賞式に出られる体ではなかった。

これは 受賞の感想を求められた
ヘミングウェーの映像。

その後も健康状態が悪化し
気がめいることが多くなったという。

しかし
文章を書いていなかったわけではない。

死後に大量の原稿が発見されている。

実は文章があまりにも長くなり

まとめられなかったのだ。

かつて極限まで装飾をそぎ落とし

簡潔な文体で その名をはせた
ヘミングウェーの面影は

もはやなかった。

そして…

(銃声)

61歳 愛用の散弾銃で

自らの人生に終止符を打った。

まあ ちょっと 個人的には
強い言葉のイメージもあったから

自分で こう 死を選んでる
っていうことも知らなくて

今日ちょっと
びっくりしたんですけども

ヘミングウェーは
なぜ死を選んだんだと思いますか?

やっぱり 人間
年老いていかれるわけじゃないですか。

でも 自分が衰えてる中で 出した答えが
「老人と海」だと思うんですよ。

年老いてるけど
でも 人間は無限の可能性がある

諦めない 不屈だっていうのを描いて

それこそが自分の人生の答えだって
なったやさきに

もう ほぼ再起不能の
大ケガを負われるわけじゃないですか。

自分で出した答えを この答え 理想像に
達せないってなった瞬間

多分 全てを絶望したんじゃないですかね。

(緒川)私は あの 最初に
二十歳ぐらいの時に

猫と暮らしてるヘミングウェーを知ったと
言いましたけれども

その時の流れで
自殺をしたことを知ったんですけれど

ほんとに驚いたんです。 というのも

猫っていう生き物は
ちょっと変わったところがあって

あの 哲学的な様子を見せるんですね。

で 猫を愛して
一緒に暮らしたヘミングウェーは

死は選ばないだろうって
私は その時は思ったんです。

でも今日 こう そこまでに

いろんな障害を負ってしまった
ヘミングウェーの状況を思うと

今まで こうありたいって憧れが
自分の原動力で生きてきたのに

もう憧れる姿ってものが描けなくなった。

やはり 「パパ・ヘミングウェー」と
売り出した自分っていうものに

追いつかなすぎて

もう ちょっと
苦しかったんでしょうかね。

「物語がまとめられない」って言葉は
ちょっともう

ものすごくインパクトありますね。
(菊池)ものすごくつらいと思いますね。

断片が頭の中にあふれてるのに
それを形にできないっていう。

とんでもない恐怖なんですかね やっぱ。

何ていうんですか 普通の状態の肉体で
年老いてれば 多分 あまり…

勝つっていう方法論も出てくるけど

肉体って やっぱり精神に及ぼすの
ものすごくあると思いますよ。

(カズレーザー)しかも それまでが
めちゃくちゃ元気だったのに。

プロレスラーのような
生活をしてるような人が

できなくなるんだから。

なんか まあ 好きな言葉の中に
「窮地の中でこそ 潔い態度を」みたいな

ヘミングウェーの言葉が
あると思うんですけど

その自分が窮地の時に
こう 潔さみたいなのも…。

(菊池)それが もしかして
その潔さと 結論というのが自殺。

一番 自分の中の強い…?

男像というか。
行動 男として。

自分の強さの 行き着いた先が

潔さっていうところにいったのか…。

その 美意識というか

彼が小さい頃から目指した
男とは? 大人とは? みたいな

「強さ」の結論だったのかもしれないな
っていうふうには

今日ちょっと思った…。

どうですか? 今日 見てきて。

いや やっぱり ヘミングウェーの
イメージは全く変わりますね。

今度 ゆっくり読んでみたいですね
この時 何を思ってたのかとか。

そうですね。 登場する人物の中に

自分を投影してた可能性が
出てきました…。

よくよく探せば きっと
ヘミングウェーの揺れる精神状態を

投影してる人物がいるんだなぁ
っていうことが 何となく思えるので。

僕は その ヘミングウェー
結構好きで読んでて

で 今日のこの番組で知った内容が

やっぱり あの 死んだことに対しては

やっぱりちょっと残念っていうか
ありますけど

格好いい男だったんだと。 ええ。

まあ 強さを
追い求めた人だとは思うんですけども

強さって こう… 弱さを知るというか

弱さを体験した連続があるからこそ
強くなろうと求めるんだろうし

ほんとの弱さを隠そうとしたり

変わろうとする自分を追い求めた
人生だったんだと思うんですけど

この深いまなざしを見ると なんか

ハードボイルドでいたい…
いようとする男の背中みたいなのが

見える感じはしますよね。

はい。 ということで

今日はありがとうございました。


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