最後の講義「物理学者 村山斉」 「万物は原子は大嘘!」「私たちはどうやってできた?」「宇宙の鍵は暗黒物質」刺激的な知の冒険


出典:『最後の講義「物理学者 村山斉」 「万物は原子は大嘘!」』の番組情報(EPGから引用)


最後の講義「物理学者 村山斉」[字]


人生最後なら何を語り残す?今回は世界的な物理学者、村山斉「万物は原子は大嘘!」「私たちはどうやってできた?」「宇宙の鍵は暗黒物質」必ずワクワク!刺激的な知の冒険


詳細情報

番組内容

各界の第一人者が“人生最後”の覚悟で珠玉のメッセージを贈る人気シリーズ「最後の講義」、世界的な物理学者、村山斉さん。日米の大学を拠点に最先端の宇宙研究をリードする。若い頃は挫折だらけ。う余曲折。アメリカへ飛び出した研究生活。原動力は子供時代の「科学は楽しい」。宇宙はどう始まった?私たちはなぜ誕生?次々生まれる疑問「真理を知りたい」。フロントランナーの熱血講義は驚き満載。大興奮と感動の49分は必見!

出演者

【出演】東大カブリ数物連携宇宙研究機構初代機構長…村山斉,【語り】芦田愛菜




『最後の講義「物理学者 村山斉」 「万物は原子は大嘘!」』のテキストマイニング結果(ワードクラウド&キーワード出現数ベスト20)

最後の講義「物理学者 村山斉」 「万物は原子は大嘘!」
  1. 宇宙
  2. 暗黒物質
  3. 銀河
  4. 原子
  5. 論文
  6. 日本
  7. ニュートリノ
  8. 自分
  9. 村山
  10. 面白
  11. 重力
  12. ノーベル賞
  13. ビッグバン
  14. 太陽
  15. 研究
  16. 疑問
  17. 時間
  18. 反応
  19. 問題
  20. 写真


『最後の講義「物理学者 村山斉」 「万物は原子は大嘘!」』の解析用ソース(見逃した方はネタバレ注意)


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もし 今日が人生最後なら
何を伝えたいか?

各界の第一人者が
叡智の全てをかけて語る 最後の講義。

本日 登壇するのは
世界を舞台に活躍する物理学者…

自分は一体どっから来たんだろうか?

ここにある原子って
どっから できたんだ?

誰がつくったんだ?
どこで できたんだ?

万物が原子で できてるっていうのは
あれも大うそだったんですね。

宇宙のほとんどは
原子で できてないんです。

村山さんが解き明かそうとするのは
壮大な疑問。

宇宙は どのように始まり
私たち人間は どのように生まれたのか。

アメリカと日本の大学に拠点を置いての
最先端の宇宙研究。

でも 人知れない苦悩の日々が
あったそうです。

ぜんそくで大変だった子どもの頃。

病弱で学校の多分⅓ぐらい
休んでたんですね。

誰からも認められなかった大学院時代。

東大の大学院に入ったんですけども
実は大失敗でした。

そんな時 いつも救ってくれたのは
自分の中にあった 科学するココロ。

こういう すごくいろんなところを
好奇心持って見てると

いろんな疑問が
湧いてくるわけですけども…

好奇心は今
宇宙の謎に迫ろうとしています。

どんどん今 加速してるわけですから

もしかしたら あるところで
宇宙の膨張が無限に速くなって

で そこで宇宙が逆に
ビリビリーッと

無限に大きく引き裂かれて
終わっちゃうかもしれない。

3時間に及ぶ講義。
村山さんが伝えたかったのは…。

やっぱり本当に面白いと思って

興奮できることじゃないと
うまくいかないです。

自分の頭で考えて それを発言して

また受け取って… って
その繰り返しをするっていうことは

ものすごく大事なことだと
私は思ってるんです。

宇宙研究の第一人者 村山さんが
講義するのは 母校 東京大学。

会場には 大学生や大学院生130人余り。

熱気に包まれています。

物理学者でありながら 宇宙のほうに
ついても やってるじゃないですか。

だから なんで その選択をしたのか
っていうのとか

宇宙について どういうところが面白いと
思ってるのかみたいなのが聞きたいです。

物理の話は もちろんですけど
物理を好きということとか

その活力のある姿とか そういう研究者
としての姿を見れたらなと思ってます。

(拍手)

皆さん こんにちは。
(一同)こんにちは。

村山です。 いろいろ
何の話をするか考えたんですが

こういう ちょっと変なタイトルを
付けました。

人間って何が違うのかなと思うと

やっぱり 科学する心が
違うんだと思っていて。

例えば普通の動物は 火を見ると怖い。
近寄らないわけじゃないですか。

でも人間はなぜか その怖いはずの
火に対する恐怖心よりも

好奇心が勝ってしまって
それを 火をどうやっておこすのか。

自分で使えるようになろうっていうことが
できるようになった。

そこが やっぱり人間って違うんだろう。

人間はやっぱり「科学する猿」だと。

その中でも 科学者やってる私は
最も「科学する猿」なので

どうして そういう「科学する猿」に
私がなったのかってところから話して

今は どういう研究してるかっていう
ことをお話しするっていうのが

今日の目的です。

で ちょっとだけ
生い立ちの話をしますと

実は子どもの頃 すごく
ぜんそくが ひどくてですね

病弱で学校の多分⅓ぐらい
休んでたんですね。

小学校低学年の時 病気で
学校を休んだことが

科学が好きになった
きっかけでした。

学校を休んでる時って うちにいても
することないじゃないですか。

で しょうがないから
テレビつけるんですけども

ある時に理科の番組があって

うなぎ屋さんが屋台で バタバタバタッと
こうやってるんですよ。

で いい匂いがしますよね。

そこに 頬かむりをした
変な男が現れて…。

「ああ~ いい匂いだ~」って言って
帰っていく。 それを毎日やる。

で うなぎ屋さんが
ある時に 頭にきてですね

請求書を たたきつけるんですよ。

「あなたは 私の屋台のうなぎの匂いを
これだけ嗅いだんだから 1万円払え」。

そこで だから何を学べるかっていうと
じゃあ 匂いがするっていうのは

どういうことなんだっていうふうに
話が出てくるわけですよね。

で 理科の番組ですから
その屋台と その頬かむりの男の間に

ガラス張りの壁を作ってしまうと
匂いがしなくなる。

結局 匂いっていうのは
目に見えないものなんだけども

何か飛んできて
鼻に入ってくるんだと。

それが匂いの正体だってことが
だんだん分かってくるっていう

そういう
理科の番組だったんですね。

それ見ながら へえ~ と思って
匂いって そういうものなんだと。

次の日 ちょっと体が元気になって
学校に行く時に

道端に こう
犬のフンが落ちてて

その臭いを嗅いだ瞬間に あっ あのフンが
鼻の中に入ってきてるんだって

ちょっと びっくりしましたけども。

ともかく匂いってのは そういうもんだと
それでよく分かったと。

それから ある時 やっぱりまた
学校を休んで 番組見てると

数学の番組だったんです。
で これがちょっと面白くてね

落語仕立てなんですね。

長屋の八っつぁんが 江戸時代の豆腐屋に
買いに行くと。

まず豆腐を1丁買うわけです。

そこで その八っつぁんが考えたのは
何とか このおやじを おだてたら

少し まけてもらえるんじゃないかと。
それで いろいろ言うわけですよ。

「おやっさんの豆腐は 江戸一うまいよ。
みんな そう言ってますよ」。

「そうか? う~ん
それだったら まあ

あと半丁ぐらい くれてやろうかな」って
半丁くれるわけですね。

しめしめと思って
「うん さすが おやっさんだ。

これだから みんな おやっさんの豆腐
食いたいんだよ。

やっぱり ここに来るしかないね。
みんなにも そう言っておくよ」って。

「そうか。 じゃあ
残りあと半分もくれてやるよ」。

また一生懸命 考えているうちに
「よし 分かった。

じゃあ もう残りの半分の
残りの半分の 残りの半分も

全部くれてやらあ」って言うんですね。
で そこで八っつぁんが

「よしよし これで俺は
もう一生 豆腐に困らない」と

こう ほくそ笑むんですけど
そのあと皿の中を見てみると

半分に半分に半分に…
ずっと足してっても

2丁にしかならないんですよね。

最初の「1」に ½ ¼ 

これ ず~っと無限に足してっても
結局「2」になるんだと。

答えが決まっちゃうんだってのは
すごいびっくりしました。

ああ そんなことがあるんだと。

それで 数学が面白いなと
思うようになったんですよね。

父親も実は企業で研究してたもんですから
その話をしたら

「そうか? じゃあ ちょっと数学の本を
買ってきてやるよ」って言って

高校の参考書を買ってきてくれて。
(笑い)

小学2年生の時に読んじゃったんですけど
それぐらい はまったんですよね。

で いろいろ勉強していくと

宇宙はビッグバンって大爆発で
始まったってことを習うわけですけども。

ともかく身の回りのものは
みんな原子で できてるんだと。

私たちも原子で できてる。
これ もう初めから教わってるから

当たり前だと みんな
思ってるわけですけど

考えてみたら
すごいことだと思いません?

ここの部屋にあるだけでも すごく
いろんなものが あるわけですよね。

水があったり コンピューターがあったり
マイクがあったり

スピーカーがあったり
あそこのモニターがあったり

服の生地があってみたり
いろんなものが あるんだけども

それが全部 たかだか100個ぐらいの元素で
説明できちゃうんだと。

ファインマンっていう
有名な物理学者がいて

「もし 今 あなたが死んで
100年あとの後世の人に

ひと言だけ残すとしたら
何を残しますか?」って言われたら

こう答えたそうですね。
「万物は原子で できている」。

こんなにすごい真実はない。
これだけは伝えたい。

小学生の村山さんの心に
深く刻まれました。

でも まあそういうことを考えていって
すごく子ども時代に思ったのは

こういう すごくいろんなところを
好奇心持って見てると

いろんな疑問が
湧いてくるわけですけども

疑問には ああ 答えがあるんだって思って
育ってきたような気がします。

疑問に答えがあると思うと
じゃあ これはどうなんだろう

あれは どうなんだろうと思ってるうちに
だんだん いろんなことが分かってきて

もっともっと うれしくなって
楽しくなってくるんですけども

でも あるところで
プツッと それが途切れて

あるところから 答えがない疑問が
出てくるわけですね。

ここまで来ると
「科学する猿」としてはですね

自分は一体
どっから来たんだろうか?

ここにある原子って
どっから できたんだ?

誰がつくったんだ?
どこで できたんだ?

だんだん こう
気になってくるわけですね。

そうなったら
自分で考えるしかないじゃないですか。

そうやって多分 研究に行くってことに
なったんだと思います。

「原子って一体 何なんだ?」。

村山さんは…

そもそも太陽って なんで光ってるか
昔の人は 分かんなかったんですよね。

実は これは原子が燃えてる。

つまり水素の真ん中にある この原子核は
この陽子って粒なわけですけども

これを4つ 太陽の熱い灼熱の中で
ギューッと押し込めると

ヘリウムができると。
その時に副産物として

ニュートリノっていう
小さな お化けのような粒々と

それから陽電子って
これ 実は反物質なんですけど

そういうものが できるんだということが
だんだん分かってきたと。

で この反応
今 はかりに載せてあります。

反応する前のもののほうが
反応したもの あとのものよりも

重いんだっていうのを はかりに載せて
書いたつもりなんですけど。

これ 変ですよね
普通 こんなことないですよね。

車が2台 ガーンとぶつかって
衝突したと。

すると バラバラーッと
部品が飛び散るわけですけども

警察の人が来て
それ全部 集めて量ったら

最初 車2台の重さの
まんまのはずですよね。

小学校では 質量保存の法則って習うと
思うんですけども 質量は無くならない。

無くなるんです。 無くなる。

これが 実はミソで。
あのアインシュタインが言った

有名な式がありますけども 「E=mc」。

「m」重さは 「c」って大きな数をかけると
エネルギーになるんだと。

ですから ここで重さがなくなった分を
エネルギーに変えるので

太陽は あんなに輝いているんだっていう
そういう話なわけです。

ですから 太陽
だんだん軽くなってる。

ちょっと計算してみると
すぐ分かるんですけど

太陽は毎秒毎秒 なんと…

でも そう言われても
本当にそうなのかな? と。

しかも この反応は
太陽の真ん中で起きてる。

で どう頑張って こう見ても…。
見ちゃダメですよ

太陽 見ちゃダメなんだけども
仮に見たとしても

太陽の表面しか見えないじゃないですか。
中で何が起きてるか分かんない。

どうやって
こんなことが分かるんだ?

実は 分かるんですね。
でも これ割と最近の話です。

ここに出てくる ニュートリノっていう
この お化けのような粒々が

副産物で出てくるんですけども

このお化けのような粒々っていうのは
あまりに恥ずかしがり屋で

いろんなものと反応しないために

太陽の真ん中でできたあと そのまま
スーッと こう抜けてくるんですね。

全然 邪魔されないで。

ですから逆に このニュートリノを
つかまえることができれば

太陽の真ん中を見ることができる。

お化けのような粒々?

ニュートリノ?

このニュートリノが生まれるのは
太陽などの星の中。

飛び出してきたニュートリノを
つかまえれば

星の中で何が起きているのか
分かるんだそうです。

けれど問題があります。

ニュートリノは小さすぎて どんな所も
通り抜けてしまうんだそうです。

一体どうやって
つかまえるんでしょう?

こうしている間も 皆さんの体を

100兆個近いニュートリノが
通り抜けてるんです。

感じる人います?
「あっ ニュートリノ来てる」。

いないですか?
アメリカで この質問すると

必ず手 挙げる人が
何人かいるんですけど。
(笑い)

いない。 そうですか~ 残念だな。

でも めったに反応しないって
ことですよね 感じないんだから。

逆に言うと
つかまえるの難しいんです。

で そこで 苦肉の策として

ともかく でっかい標的を作ったら
たまには反応するんじゃないか。

岐阜県の山奥
光の届かない地下1キロに

水を1, 000トンも入れた
大きなプール

カミオカンデが つくられました。

ここで ニュートリノを
つかまえようというのです。

1987年 ついに その瞬間が。

はるかかなた 16万光年にある星が大爆発。

たくさんのニュートリノが
降り注ぎました。

これは 大マゼラン星雲っていって
南半球でしか見えないんですけども

我々の銀河の ちょっと郊外にある
小さな村みたいなところで

ある時に星の爆発が起きました。

超新星爆発っていってて
めったに起きないんです。

1世紀に1回ぐらいしかない。
でも その爆発が起きた。

で その時にも 原子をつくる工場が
ガーッと稼働して

ニュートリノが
いっぱい出たんですね。

大量のニュートリノが降り注いで
水とぶつかることで

その存在が確認されました。

つかまえたのは 11個。
随分 少ない。

でも奇跡的なことだったんです。

16万年もかかってやって来た
ニュートリノをつかまえた。

こうやって もう太陽系どころか

銀河の外から来たニュートリノを
観測したっていうことで

東大の小柴先生が
ノーベル賞をもらわれたと。

ちなみにノーベル賞のここに
「提供 : 村山斉」って書いてあるのは

残念ながら 私はまだ
ノーベル賞のメダルもらってないので

これはノーベル博物館に行って
買ってきた

チョコレートの写真です。 すみません。
(笑い)

1個 200円もするんですよ。
暴利だと思いませんか。

でも ともかく あのノーベル賞
これ すごい偉大な研究なわけです。

何がすごいかっていうと やっぱり
これですよね。 この雑音。

この大発見のひと月前までは
この雑音を下げずに

まだ すごい苦労してて 雑音が高かった。
だから ひと月前に これが起きてたら

多分 雑音に埋もれちゃって
これ 見れなかったんです。

1世紀に1回ですからね。 逃しちゃったら
もう… もう回ってこない。

で 一方 この大発見のひと月後には
小柴さんは 定年退官が決まってて

2か月間しか可能性がない。

その2か月間の ど真ん中の
ちょうど16万年前に

1世紀に1回の星の爆発が起きていたので
ノーベル賞がもらえたという

とんでもない運のいい人ですよね。

覚えといて下さい。
運って大事なんです。

でも これで分かったのは もう誰も
行ってこれないような遠くの星も

原子でできてるんだってことが
これで はっきりした。

できてたんじゃなくて 原子をどんどん
組み立ててるんだってことが

これで分かったわけです。

解き明かされていく宇宙の謎。

村山さんも大学院で
原子の謎に迫ろうと思ったんですが…。

東大の大学院に入ったんですけども
実は大失敗でした。

私は さっき言ったみたいに
原子 どっから来たんだろうかとか

どういう仕組みになってるんだろうか
そういうことを やりたいっていう

そういう気持ちが
あったわけですけども

でも その時には 研究室に入ったあと
周りを見ても 先輩たちはみんな

何か別の当時の流行があって
それをやってたんです。

私がやりたいようなこと やってる人は
誰もいなかったんですよ。

もう話し相手もいないし 流行のこと
やってないと ばかにされるし

先生には もうクソミソに言われるし
すっごい悲しかったんですね。

大学院をやめようか。
でも博士論文だけは仕上げよう。

そう思ったのは
提出期限の10か月前でした。

D論の提出なんて
もう ぎりぎりになって

提出しに行く主査の人に論文を持ってく
電車の中で製本してましたからね。

相当ひどかったです。

そしたら そのあとが またひどくてですね
その審査があるんですけど

普通は5分ぐらいたつと
主査の先生が出てきて

「おめでとうございます」って
言うんですよ。

ところが 私がそれを待ってると
5分… 10分… 20分… 30分…。

これは何か起きてるなと。
で 40分ぐらいして

主査じゃない先生が 見るからに
はあはあ いいながら 出てきてですね

「通りました~」。

よっぽど もめたらしいです。

というのは 私がやった
研究っていうのは

いろんな素粒子の反応を計算するために
新しいソフトを開発したんですけども

実験の先生から言うと 「これはデータって
言うけど まあ実験データじゃない」。

もっと理論的な先生から言うと

「理論と言うけど ただのコンピューターの
ソフトウェアじゃないか」。

本当に もめたらしい。

だから ほぼ落ちかけました。
まあ そんなこんなだったんで

まあ これは絶対 日本でやっていけないと
思ったんですよね。

それでアメリカに行ったと。

このままでは やりたいことができない。

日本を飛び出して向かったのは
アメリカ。

物理学の最先端と評される

カリフォルニア大学バークレー校に
飛び込みました。

バークレーは 先ほど
ビッグバンの話をしましたけども

そのビッグバンの最初の写真を
撮った人たちっていうのがいて

彼ら この人工衛星をつくって

本当に
ビッグバンの写真を撮ったと。

で 138億光年向こうを見ると

138億年昔のビッグバンが
今でも見えるわけなので

こうやって ビッグバンの写真を
撮っちゃった。 これ すごいことですよ。

しかも その写真を見ると
ちょっとだけ凸凹がある。

しかも はっきりと
温度があるってことが分かる。

宇宙は昔
熱かったんだっていうのが

今でも ボーッと宇宙が光ってるのが
見えるんですね。

ビッグバン 間違いない。 それで当然
ノーベル賞もらうわけです この2人は。

で このジョージ・スムートっていうのは
ちょっと おちゃめな人でですね

バークレーっていうのは
アメリカの西海岸なので

夜の2時ぐらいに電話かかってくる。
で 電話を受け取った彼は 最初は

「誰だ こんな時間に電話かけてきて」って
怒ってるわけですよ。

でも聞いてみると
「なに ストックホルム? うん?

スウェーデン王立アカデミー?
えっ?

ノーベル賞?
あ ノーベル賞もらえるの?」。

だんだん うれしくなってきたんですね。
(笑い)

で ノーベル賞をもらったら
何かいいこと あるよなって。

その時 彼が思ったのはですね
ちょうどバークレーっていうのは

町なかにあるので
構内には ほとんど駐車場がない。

でも ノーベル賞取った人は止めていい
っていう駐車場が並んでるんですね。

「よし ここに止められる」と。

ふだん歩いて来るくせに わざわざ
車に乗ってやって来て ここに止めた。

そしたら 切符を切られた。
で ルールを見るとですね

ノーベル賞取った人は
止めていいですと。

でも 彼はまだ
電話をもらっただけですから

ノーベル賞もらってないので
止める資格がなかった。

ちゃんと罰金払ったそうなんです。
かわいそうに。    (笑い)

まあ でも そういう人です。

こんなすごい人がいるところってのは
やっぱりいいなと。

しかも 大きな宇宙ですけれども
昔は小さかったんだと。

その小さい宇宙っていうのは
素粒子がブンブン飛んでた世界なので

その小さいものと大きなものが
つながってるんだっていうのは

この時に私 初めて知ったんです。

「今まで研究していた
小さな原子や素粒子は

138億年前の宇宙の始まりに
つながっているんだ!」。

村山さんは 宇宙研究に
のめり込んでいきます。

よくよく調べてみると カリフォルニア
バークレーっていうのは

すごい自由な発想をする人が
多いんですね。

例えば このアルヴァレズさんも
ノーベル賞もらった人で

彼も すごいこと
やってるんです。

素粒子のいろんな状態を発見して
ノーベル賞を取ったんですけども

多分 彼の一番有名な論文っていうのは

恐竜は隕石で絶滅したっていう論文。

何も関係ないように思いますよね。
実は関係あるんです。

こういう素粒子の実験
やってる人っていうのは

ごく僅かの放射能を検出することができる
技術を持ってるんですけど

メキシコのユカタン半島のそばにある
海底の地層を見ると

そこに放射性元素のイリジウムが
たくさんあることが分かった。

イリジウムっていうのは地上に
ほとんどないんですけども

隕石にたくさん含まれてるんですよ。
っていうことは その地層は

隕石が地球に衝突して
積もった地層じゃないかと。

で 年代を調べてみると
ちょうど恐竜が死んだ頃なんですよね。

だから 一見 全然関係ないように
見えるんですけど

自分の持ってる専門知識を生かすと
そんな面白い話もできちゃう。

そういう 何か自由な発想を
持ってる人なんです。

それだけじゃなくて

空から宇宙線って 変なものが
いっぱい降ってくるんですけども

それも いろんなものを
突き抜けるんですが

それを使うとピラミッドの中の
秘密の財宝の部屋が探せるといって

ピラミッドの真ん中に
いろんな装置を持ち込んで

あちこちからやって来る宇宙線を
測ることで 調べたんですね。

ちゃんと サイエンスの論文が
書いてあって

「秘密の財宝 ありませんでした」って
書いてあるんですけど。   (笑い)

アメリカに行くと びっくりすることが
やっぱり いろいろありました。

まず違うのは 学生とかポスドクも
みんな すごい自由に研究してて

先生に言われたことをやるっていう
感じじゃないんですよ。

上下関係が ほとんどなくて
すごくフラット。

で 学生も教授に対して
ファーストネームで呼びますから

ともかく いいアイデアを出した人が
勝ちだって雰囲気が強いので

少々変なアイデアでも むしろ
たくさん言った方がいいんですよね。

その中に もしかしたら
いいのがあるかもしれないから。

日本だと逆に
何か変なこと言うと

「あいつ ばかだな」とか
「お前 恥ずかしい」とか

そういう雰囲気があると
思うんですけど

全く そこらへん違います。
だから アイデアが湧きやすいです。

でも一方 流行とか競争は
激しいですね。

例えば どういうふうに競争が
起きるかってことなんですけども

これは 私自身の経験した例で

私が書いた論文の中で一番
多分 評価されてると思う論文

1, 300件以上 引用があるんですが
その論文を書いてる時のことです。

宇宙で なぜ 私たちをつくる原子が
生き残れたのか?

その謎を握る重要なメカニズムが
分かるかもしれない。

論文は 世界各地の4人の学者による
共同研究でした。

大体もうできてたんですけども
それぞれ何か別の用があって

忙しくなっちゃって
ちょっと うっちゃってあった。

で 論文っていうのは
毎日インターネットに

新しい論文が
何十本も出てくるので

カリフォルニアの西海岸だと
ちょうど夜に その論文が出てくる。

で ある時 それをチェックしたら

ほとんど同じ内容の論文が
出てたんですよ。

皆さんも知ってる人いるかもしれませんが
リサ・ランドールっていう研究者で

その人の書いた論文が もうほとんど
内容はそっくりなんですね。

「これ ヤバいや。 先越された」と。
で すぐ他の3人にeメールしたら

このジュネーブにいる2人がですね
「よし 分かった」と。

「お前は もう夜だから寝ろ」と。

で 「これからは
もうほとんど できてるんだから

こっちの2人で論文を書き続けて
何とか仕上げる」。

で 彼らが今度 夕方になって
うちに帰る時間になると

東海岸は仕事時間ですから そっちに
論文が渡って 彼が書き続けると。

で 彼が帰る頃に
私のところに戻ってきて

私が最後を仕上げて投稿したので
1日違いで出せましたから

これ さすがに誰が見ても
独立な仕事だって認めてもらえた。

この日サボってたら
今の私の仕事 ないかもしれない。

そういうことですね
競争っていうのは。

論文も評価され バークレー校で
教授となっていた村山さんを

ある日のこと
日本から訪ねる人がいました。

東大の先生が2人
わざわざ バークレーまで来て

世界トップレベル研究拠点プログラム
っていう

新しい拠点を作るっていう
プログラムが生まれた。

「こういうのがあるんで
その提案してくれないか」。

わざわざ来といて提案してくれないかって
ひどい話だと思うんですけども

まあ それで提案書を
書くことになったんです。

それで カブリ数物連携宇宙研究機構
っていう研究所ができました。

世界で誰もやったことのない
宇宙の最先端の研究をやろう。

村山さんは 日本を代表する
宇宙の研究所を立ち上げたのです。

今や 各国の学者が集まる研究所ですが

12年前は まさしく
ゼロからのスタートだったんだそうです。

何もない
ビルもないし オフィスもないし。

事務の方と村山さんぐらいで
最初 始まって。

村山さん自身が一緒にやろうって
一人一人に言って。

今 だからメンバー
すごい最高のメンバーがそろってて。

僕が こう適当に言ったことも
面白い 面白いって言ってくれると

なんか やれる気がする
みたいな感じになってきて。

それで10年間 だまされ続けて
ずっとやってます。

宇宙の謎は 物理だけでは解き明かせない。

多くの数学 天文学者も
世界中から集結して

壮大な疑問に立ち向かっています。

そもそも 原子どっから来たのかって
話をしたわけですけれども

原子は確かに星からできた
それは分かったと。

でも じゃあ 星は
どうやってできたんだと。

星がどうやってできたか
分からないと

全部の問題
解決しないじゃないですか。

星はどうやって できたんだ。

ここまでくるとですね
実は分かってないんです。

先ほど言ったように
どっかで答えのない疑問が出てくる。

まず 私たちの銀河系っていうのは
こんな姿をしてる。

この中には 約1, 000億個の星がある。
星がたくさんあります。

私たちの太陽系っていうのは
この郊外にあるんですね。

ここで問題なのは
太陽系は郊外にありますから

ちょうど地球が
太陽から離れた所にあるのと同じで

すると 公転しないといけない。

これ 太陽系全体として
銀河の中で実は公転してるんです。

で どのくらいの速さで
公転してるかっていうのを調べると

びっくりするんですけど…

ものすごいスピードで
走ってるんです 我々。

で だったら何で太陽系
ブーンと銀河から出ていかないのかと。

当然 銀河は星が集まってますから
星は重さがあって

万有引力の法則で
重力で引っ張ってる。

だから まあ それで中にいるのかなと
思うわけですけども

でも 星は望遠鏡で見えるので
ちゃんと調べて 数え上げて

どんだけ重力があるのかって調べてみると
足りないんです。

銀河系っていうのは 星の集まりだと
思ったんですけども

星だけの集まりだとすると 我々を
つなぎ止めておく重力が足りないので

太陽系は もう何十億年も昔に
ビューンと出ていって

何もない宇宙空間を
さまよってるはずなの。

でも ちゃんと収まってる。

ということは 銀河系が星だけの集まりだ
っていったのが間違いで

銀河系の中には 星じゃない何ものかが
いっぱいあって

そのいっぱいあるおかげで重力が強くて
つなぎ止められてるに違いないんだ

っていうふうに
考えるしかないわけなんです。

じゃあ その「何もの」って
何だろうか。

望遠鏡でいくら頑張っても
見えないわけですから

それは暗黒だと。

だけども 重力はつくってくれるんだから
物質には違いないというので

暗黒物質 英語ではダークマターって
いってます。

ダークってのは もちろん
暗黒って意味もありますけども

「I'm at dark」って言うと

「混乱して わけ分かんない」っていう
気持ちを表す表現でもあるので

なんか よく分からないって気持ちも
入ってるんですね。

更に遠くの宇宙を見ると
銀河団なんていうのがあります。

この黄色い 丸い美しいのが
それぞれ銀河で

銀河が100個ぐらい一緒に暮らしてる村が
銀河団ってものなわけですね。

ここに ビヨーンって
長いものがありますよね。

で よく見ると他にもある。
ここにも長~いのがあります。

ビヨーンって長いのが
いっぱい写ってる。

で もし そんな格好してる銀河が
あったとすると

中の星は さっき言ったように
動いてますから

すぐバラバラになっちゃうはずです。

これも 調べてみて
やっと分かったのは

これは 実は
普通の格好した銀河なんだと。

だけど その手前に
暗黒物質が たくさんあって

それが いたずらをして
こういうふうに見えてるだけなんだと。

何を言ってるかといいますと
こんな感じです。

ここに地球があって 遠くの銀河を
望遠鏡で観測してるんですけども

ここに銀河団があると
そこに暗黒物質が た~くさんあるので

そこの重力が強くなってる。

たまたま その向こうに
銀河があったとすると

その銀河から来る光が 暗黒物質の
重力に引っ張られて落ちるんです。

曲げられる。

で これも小学校で
習った記憶があるんですが

光っていうのは
水に入ると足が短く見えると。

それは 水に入る時に
光が屈折して曲がるからだと。

でも 何もない真空では光は直進するんだ
って教わった覚えがあるんですが

あれ 大うそですよ。 うそ。

暗黒物質が 光をねじ曲げてるので
向こうにある銀河の形が

ビヨーンと ゆがめられて
見えてしまっているんだと。

ちょっと その雰囲気を
つかむために

これ コンピューターシミュレーション
ですけど

仮に この銀河団の向こう側を

たくさんの銀河が川のように
流れてると思って下さい。

たまたま 後ろにいた時だけ
ビヨーンと伸びて見える。

こんな感じです。
ビヨーンって伸びてるのありますけど

しばらくすると元の格好に
戻っていくわけですね。

で この銀河 また近く 後ろにいくと
ビヨーンと伸びるわけですけど

通りすぎると元に戻る。

何も起きてないわけなんですよ。
全然違う所にあるんだから。

そう見えてるだけなの。

で 実はこれ
すごいありがたいわけです。

暗黒物質 どう頑張っても
望遠鏡で見えないんですけれども

いたずらをしてるので
いたずらをしてる現場をつかまえたら

いたずら者が
どこにいるか分かりますよね。

それで どこに暗黒物質が
どんだけあるか分かるんです。

これ 何気ない
宇宙の写真なんですけども

日本の国立天文台がつくった
すばる望遠鏡って

すばらしい望遠鏡があってハワイ島の火山
マウナ・ケアっていう火山の山頂

標高4, 200mのすごい高い所にある。

点点点点点… と
たくさんあるのが

みんな 数十億光年
向こうにある銀河です。

で 今のテクノロジーを使うと
数十億光年向こうの銀河の

大きさも形もちゃんと分かる。

よく見ると ゆがんでる
引き伸ばされてる。

ていうことは その銀河の手前に
暗黒物質がいて

いたずらをしてるに違いない。

それで暗黒物質が ここに こんだけいます
っていう地図が作れるんだよね。

こういう研究をしていくと 暗黒物質が
どこに どんだけあるか分かる。

その結果 はっきりしたのは…

…ということが分かりました。

万物が原子で できてるっていうのは
あれも大うそだったんですね。

宇宙のほとんどは
原子で できてないんです。

何か違うものなんです。

ところがですね 暗黒物質 実は
すごい大事なものなんです。

先ほど ビッグバンの写真を撮った
お話をしました。

で ちょっと まだら模様がある
っていう話をしました。

あの まだらっていうのは
ごくごく僅かな まだらで

10万分の1しかないんです。

あっちを見ると ちょっとあったかい
こっちを見ると ちょっと冷たいという

違いが見えるんですけども
10万分の1しかない。

だけど ちょっとだけ
10万分の1だけ濃いところがあると

そこに暗黒物質がちょっと多い。

その暗黒物質が ちょっと多いから
重力が ちょっとだけ強いので

周りのものを引っ張ります。

引っ張り込むと もうちょっと濃くなる。

そうすると もうちょっと
また重力が強くなるので

もっと周りのものを引っ張る。

すると もっと濃くなるので
もっと重力が強くなって

もっと周りのものを引っ張る。

そして すごく濃いところっていうのは
暗黒物質がいっぱいあるわけですけども

そこに 普通のガスが
重力で引きずり込まれると

ガス同士は反応して
ガチャガチャやってる時に

光を出して冷えて固まって
星になって

銀河になって
我々が生まれたんです。

分かりやすいように
早回ししてみましょう。

向かって右側にご注目。

だんだん
しわのような模様が現れましたね。

これが 暗黒物質によって
引き寄せられた物質。

つまり 宇宙を漂う小さな物質を
暗黒物質が重力で引っ張り込み

星がつくられ
星々が集まって銀河となり

そこで 我々生命が
誕生したというんです。

最初の僅かの 濃いとこ 薄いところ
っていうのを

育ててくれたのが暗黒物質で

そのおかげで
我々が生まれたわけですから

暗黒物質っていうのは 私たちの
生みのお母さんなんですね。

覚えててほしいのは 皆さんは
星くずだっていうことですね。

だから
初めて会った人と挨拶して

「どちらから いらっしゃいましたか?」
って聞かれたら

「私は星から来ました」って答えるのが
正しい答えなので

必ず そう言って下さいね。
(笑い)

すごい変な顔されると思いますけど。
(笑い)

でも その見えないダークマターが
私たちのお母さんなので

何とか会いたい どんな人か知りたい
正体を知りたい。

じゃあ 何だろうか。 知ってるものは
全部調べたんですけど

どれもダメなんです。

ここで やっと追い詰められたのが
2003年です。

知ってるものは 全部ダメだと。

じゃあ 創っちゃおうよと。

で これは加速器って装置を
使うんですけども

この写真に写ってるのは
こちら側がスイス

こちらはフランスの国境地帯で

ここに全周27kmという
地下のトンネルが掘ってあります。

それでビッグバンをやり直すんだっていう
実験をやってるわけです。

地下100mの所につくられた
巨大な装置。

なんと ここで
ビッグバンが再現されます。

27キロの長い軌道で
物質を何回も何回も回し

光の速さ
光速近くにまで高めます。

反対方向から 同じ速度でやって来た
物質と衝突させ

その衝撃によって 暗黒物質を
創り出そうというのです。

更に ここ日本で
もう一歩進んだ挑戦が

村山さんたちによって
始まっています。

これまでの実験で衝突させたのは
陽子という物質でした。

これを
より単純な構造の電子に変えることで

実験の成果が 格段にアップします。

実際 電子を加速する加速器っていうのは
技術的に難しいんですけども

やっと 5年前に こういうのができそうだ
っていう めどが立ちました。

そのためには 実は
さっきの大きな丸とは違って

こういう リニア…
直線の装置をつくる方がいい。

というのは 電子は軽い粒子なので
円で曲げようとすると

曲げるたびに光が出て
エネルギーを失っちゃって

せっかく加速しようとしてるのに
減速しちゃうんですね。

線形だと そういうことがないと。

だから まず
端っこの両端まで持っていって

そっから グワーッと加速して
真ん中でぶつけるんだと。

この黄色い土管みたいなやつは
超伝導空洞っていって

ニオブという金属を もう
零下ず~っと下げていって

絶対温度2℃ぐらいにすると
電気抵抗がなくなる

超伝導っていうことが起きます。

その超伝導を使うとロスがないので
効率的に電子を加速できる。

これ 最後に髪の毛の太さの
1, 000分の1ぐらいまで絞るんですけど

それをぶつけると こうやって
きれいに反応が見えるので

いろんなことが もっとよく
分かるだろうと思ってるわけです。

で こういう装置を
日本につくろうっていう話が

今 真剣に議論されてて
ここ数か月ぐらいに

それが できるかどうかは
多分 決まってくると思います。

それを総合して分かってきたのは

先ほどの
ビッグバンの写真では

宇宙が始まって38万歳の姿が
見えていたんですけれども

更に もっと前にいくと
ヘリウムができた時代

宇宙が まだ3分の時っていうのが
だんだん分かってきた。

それに加えて
この暗黒物質の正体が分かると。

暗黒物質が生まれた頃の宇宙

それは なんと
宇宙が始まってから

まだ100億分の1秒っていう

ほんとに できたばかりの宇宙の姿が

見えてることになる。

暗黒物質の正体を知りたいのは
お母さんに会いたい

ありがとうと言いたいって
だけじゃなくて

そのお母さんを通じて ほんとに

できたばかりの宇宙の姿が
見えてくるんだ。

これが この暗黒物質研究の
すごくワクワクすることです。

私が 今までこうやって
子ども時代から好奇心の塊で

いろいろ やってきたわけですが
その中で分かってきたことっていうのは

一つは やっぱりほんとに面白いと思って
興奮できることじゃないと

うまくいかないです。

さっきの 私 大学院の時に
みんなと同じ

流行があったので
それを一緒にやったとしたら多分

絶対そこまでエキサイトできなくて
成功してないと思いますね。

やっぱり やりたいと思うこと
やんないと うまくいかない。

ほんとに 日頃 思ってる
素朴な興味っていうのが

実は すごく大事なんだっていうことを
今まで思ってきました。

それが 「科学する猿」である
村山 斉のまとめです。

本日は 興味深く面白い講演
ありがとうございました。

はい どうも。
質問なんですけど

物理学者というのは よく
ビッグバン理論だったり

そういった宇宙の始まりについて
議論することが多いと思うんですけど

自分が子どもの頃から
ずっと疑問に思ってるのは

そもそも 宇宙ができる前っていうのは
どうだったのかっていうことを

物理学者っていうのは考えて…
なさってるのかなという疑問があるので

お答えをお願いします。
あの 考えてますけど

皆目 分からないです。

ほんとの一番最初のとこっていうのは
今の私たちの知ってる物理法則では

記述できない。

アインシュタインの理論も
ここで壊れちゃうんだよね。

ホーキング こないだ亡くなった
ホーキングはまた別のこと言ってますね。

ホーキングが言うには
そもそも宇宙が始まる前っていう

質問自身が おかしいんだと。

何を言ってるかっていうと
空間だったら

右に行っても 左に行っても
いいじゃないですか。

時間の場合には
前にしか行けないと思ってるから

始まる前っていうのが
問題になるわけですよね。

で 彼が言うには 時間も
もともとは空間と同じように

右に行っても左に行っても
いいようなものだったんだと。

実は 数学的には もし時間が虚数
マイナスの数の平方根の虚数だとすると

時間も数学的には 右にも左にも
行けるようなものになるんです

空間と同じように。

でも なぜか その虚数の時間が
ある時 突然 実数に変わると

そこで時間に
向きができたように思うんだと。

だから もともとは時間の前 後ろっていう
概念が そもそもないので

そういう質問をしてもしょうがないですよ
ってのが彼の説です。

全く分からないでしょ 何言ってるかね。
(笑い)

何がいけないかっていうと 何で
その虚数が実数になったかというのは

説明してくれないので それだけだと
全然いい説明になってない。

だから それぐらい
みんな いろんなこと言ってますけど

よく分かってない すごく大事な問題です。

一緒に考えて下さい。
(男性)はい。

えっと…
もし 今日が最後ならということで

あの 宇宙の最後の日っていうのが
どういうふうに訪れるのか

ということをお伺いしたいんですが。

宇宙に終わりがあるかどうか
っていう問題も

実は 本当に面白い問題なんですね。

今 実は その宇宙の膨張っていうのを
調べるのが

すごく大事な問題になってて。

ビッグバンで宇宙が
バーンって こう はじけて

始まるじゃないですか。 いろいろなものが
飛び散るわけですけれども

重力っていうのは引っ張る
万有引力ですから

飛び散ってるものがお互いに引っ張ったら
ブレーキがかかって

だんだん ゆっくりになるはずですよね。

実際 そのアインシュタインが
相対性理論を書いて

観測的に宇宙の膨張が見つかってから

もう 70年間 ずっとそう思ってきた。

実際に その宇宙の膨張が だんだん
ゆっくりになっているとすると

もしかしたら 宇宙の膨張が
どっかで止まってしまって

止まってしまったら そこで止まったら
落っこってくる。

つまり 宇宙もだんだん
また小さくなっていって

いつか グシャッと潰れるんじゃないか
っていう説が 結構あったんです。

そういうのを
ビッグクランチといっていて

その場合には 宇宙には
実は終わりがあるわけですね。

みんな グシャッと潰れて
一点になって終わるんだと。

ところが 今度逆に また最近
加速してるってことが分かってくると

どういうことになったかっていうと
どんどん 今 加速してるわけですから

もしかしたら あるところで
宇宙の膨張が無限に速くなって

そこで宇宙が逆にビリビリーッと
無限に大きく引き裂かれて

終わっちゃうかもしれない。
その可能性は

ビッグリップっていってます
「引き裂く」って意味のリップ。

もし そうなるとすると
宇宙の中にある全てのものも

どんどん どんどん引きちぎられて
バラバラになって

銀河もバラバラになるし
星もバラバラになるし

我々も みんなバラバラになって
粒々の 素粒子の世界に戻って

薄~くなって終わっちゃうっていうのが
宇宙の終わり方っていうことになります。

村山先生ご自身も
ワクワクするような

すごい面白い話なんだなっていう
学問的な好奇心という意味で

この世界の面白さというのは
十分 伝わってきたんですが

やっぱり 先ほどの大きな装置のように

やはり この分野の実験とか研究には
かなり莫大な費用が必要であって

やっぱり その費用っていうのは
何かしらの形で

社会からの支援を受けて
行うものだと思います。

やっぱり その中で
学問的な好奇心だけじゃなくて

その費用を出してもらう
ということに対する

社会的な責任というのも
やはり問われてくるとは思うんですが

そういったところを
どのようにお考えでしょうか?

えっと それは全く
そのとおりだと思いますね。

ほとんどの場合 やっぱり
いろんな国の税金で

こういう基礎科学の研究が
行われているので

もちろん 頂いたお金があるってことは
それについて責任もあるし

その価値を ちゃんと
説明していかないといけないと思います。

日本って そもそも
すごく不思議な国だと思うんですよ。

何でかっていうと 全然 資源がない。

200か国ぐらいありますよね 世界に。

日本のところを見ると
どう書いてあるかっていうと…

(笑い)

200か国見ても 「無視できるほどの」って
表現は日本しかないんです。

それぐらい 資源がない。
どういうことかっていうと

イラクに行くと油田ってのは
こんな感じですけど

日本も油田っていうのはあって
秋田の油田というのはこんな感じですね。

(笑い)
無視できるほどの鉱物資源。

こんな 資源がない国が
普通 成功するわけがない。

だから 特に日本みたいに
資源のない国っていうのは

いつも そういう柔軟にものを考える力
っていうのを育てていないと

逆に危ないんじゃないかっていうのが
私の個人的な考えなんです。

例えば 日本の将来を考える時に
イノベーション イノベーションって

よく言われるんですが その
イノベーションの代名詞っていうのは

iPhoneとか iPadですよね。

でも スティーブ・ジョブズのスピーチ
私 すごく好きで

いつも聞いてたんですけど
彼が言うには

アップルっていうのは
テクノロジーの会社じゃないんだと。

テクノロジーとリベラルアーツの
交差点にあるんだと。

「リベラルアーツ」っていうのを
辞書で引いてみると

「すぐには役に立たない学問」って
書いてあるんですけど

それが大事だって言ってる。

だから そういう
一見 役に立たないと思える学問こそが

ほんとに新しいものをつくってきた
っていうのは 多分ほんとで

そういう例も 実際調べると
いっぱい あるわけですね。

だから 直接 役に立たないように見える
例えば基礎研究の宇宙であり

素粒子であり 場合によっては それこそ
哲学とか そういう学問も含めて

そういうのがあるからこそ
社会として次の一歩を

特に変革の激しい今みたいな時代を
生き残っていけるんじゃないかと

個人的には思っていて。

そもそも こんなこと やることに
税金使うことが いいかどうかって問題

もちろん あるわけで
大事な質問ですよね。

そういう質問を 自分で考えて
ちゃんと ぶつけてみて

その答えをもらおうとして そのあと

またご自分で考えられるんだと
思うんですけども

それって すごく それこそ
猿の中でも人間しかできない行為で

自分の頭で考えて それを発言して
また受け取って… って

その繰り返しをするっていうことは
ものすごく大事なことだと

私は思ってるんです。

例えば 自分の学生でも基本的に
盾ついてくる学生の方が私は好きですね。

例えば 「こういう問題やったら?」
って言ったら

「そんな簡単なこと やらないよ」って
蹴飛ばす学生もいました。

それから 「こうなんじゃないの?」って
言ったら

「それ 絶対違う!」って
反論してくる学生もいました。

そういう学生の方が一緒にやってて
はるかに楽しいです。

暗黒物質が こういうものじゃないか
っていう 今日 私の言った説であれ

別に 間違ってるかも
しれないわけですよね。

もちろん いろんな実験 観測で
確かに正しかったって証明されたら

これは すごくうれしいですけども

間違ってたって分かるのも
やっぱり それは進歩で

分からないよりも 間違ってたって
分かる方が はるかにうれしいです。

だから 自分が正しいことを
証明するためにやってるわけじゃなくて

人生の中で 答えが出るかどうかすら
分からないことを

やってるわけじゃないですか。

ちょっとでも
答えが分かったっていうだけでも

すごいことだと思うんですよ。
しかも こんだけ

いろんなことが分かってきてる時代
っていうのは めったになかったので

それだけでも ものすごく
やっぱり うれしいですね。

だから 恐れずに
自分の考えをちゃんと言って

それが間違ってることもあり
正しいこともあり

決着のつかないことも
あるわけですけども

それも やめちゃったら
そのあと何もできなくなりますから

是非 そういう活動を
これからも続けて下さい。

(拍手)

ありがとうございました。

(拍手)

分からない 違っていた
でもワクワクするっていう

その先生の感覚っていうのは
すごい 参考というか

見習っていきたいなというふうに
感じます。

こんだけ いろいろ
便利になってきた世の中でも

全然分かっていない部分があって

そこに挑戦している人たちが
たくさんいるんだなっていうのが

その 突き詰めていくっていうことが
すごく面白そうだなと思って

やっぱり 宇宙いいなと思いました。

暗黒物質の話は
やっぱり面白かったです。

私も生きてるうちに
知りたいなと思いました。

♬~


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