アナザーストーリーズ「“カメラを止めるな!”~低予算×無名が生んだ奇跡~」…8日間の撮影で起こした奇跡の逆転劇!



出典:『アナザーストーリーズ「“カメラを止めるな!”~低予算×無名が生んだ奇跡~」』の番組情報(EPGから引用)


アナザーストーリーズ「“カメラを止めるな!”~低予算×無名が生んだ奇跡~」[字]


去年大ヒットした映画「カメラを止めるな!」。予算わずか300万円、監督も俳優も無名。だが映画に込めた周到な計算が観客を熱狂させた!熱き思いが奇跡を生んだ逆転劇!


詳細情報

番組内容

映画「カメラを止めるな!」をあなたは見たか!?予算わずか300万円、当初の上映館はたったの2か所、監督も俳優陣もまるで無名という地味な作品が、口コミでみるみる評判となり、全国上映される大ヒット映画に化けたのだ。映画の冒頭は、なにやらB級感漂うゾンビもの。だがそのウラに隠されたとんでもない仕掛けと計算が、観客を熱狂させた!金はなくても夢はある!熱き思いが、8日間の撮影で起こした奇跡の逆転劇!

出演者

【司会】松嶋菜々子,【語り】濱田岳




『アナザーストーリーズ「“カメラを止めるな!”~低予算×無名が生んだ奇跡~」』のテキストマイニング結果(ワードクラウド&キーワード出現数ベスト20)

アナザーストーリーズ「“カメラを止めるな!”~低予算×無名が生んだ奇跡
  1. 上田
  2. 映画
  3. カメラ
  4. 曽根
  5. ワンカット
  6. 撮影
  7. 俳優
  8. スタッフ
  9. 濱津
  10. 監督
  11. 参加
  12. 自分
  13. 曽我
  14. ゾンビ
  15. 最後
  16. リハーサル
  17. ワークショップ
  18. 一度
  19. 作品
  20. 低予算


『アナザーストーリーズ「“カメラを止めるな!”~低予算×無名が生んだ奇跡~」』の解析用ソース(見逃した方はネタバレ注意)


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(拍手)

超・低予算の日本映画が
超・ヒット作に化けた。

撮影は続ける! カメラは止めない!

「カメラを止めるな!」。

僅か2館での公開から

あれよあれよと
全国300館以上に拡大。

興行収入は 制作費の実に 1, 000倍に!

ポン!

一見チープな この映画が
大ヒットを飾った裏には

とてつもない…

…の物語があった!

♬~

今から2年前の夏。

この不気味な廃虚に
喜々として集まった人たちがいました。

お金もなく 名声もなく 持っていたのは

「面白い映画を作りたい!」という夢だけ。

制作費は 僅か300万円。

映画において それが
どのぐらい安いかというと…。

♬~

たった 1.2秒分です。

それでも この映画
「カメラを止めるな!」は

日本映画史上に語り継がれる
大ヒットとなりました。

うぅぅ…。

けんちゃん…。

お願い… やめて!

ゾンビとなった男が恋人を襲う…。

実にコテコテな
冒頭シーン。

「よくある
B級ゾンビものか?」と思いきや

後半 驚きの事情が明かされる。

後半描かれるのは 先ほどの
ゾンビものの舞台裏。

「ゾンビ専門チャンネル用に
30分ドラマを生中継でやれ!

カメラは1台 全編ワンカットだ!」。

むちゃな指示が
とんでもないドタバタを生む。

生中継だから 何があっても止められない。

1台しかないカメラの裏は
壮絶な修羅場の連続に。

あぁぁ… うっ! うぁぁ~っ!

≪イヤーッ!

何なんですか!
もうイヤーッ!

「だから そうなっていたのか!」と

前後半で 鮮やかに見え方が変わる設計だ。

うならされるのは
映画前半の「ゾンビドラマ」。

本当に一度もカメラを止めず なんと

37分間ワンカットで撮りきっている。

そこにあった…

離せ! 離せ! 離せ~っ!

ワンカット 37分。

その裏には 映画本編にも負けない

熱気と狂気の
ドラマがあった!

おい! 俺だ!

運命の分岐点は…

あの映画の最重要カットが
撮影された日です。

ロケ地となった茨城県の廃虚を
忠実に再現してみました。

この日行われたのは 37分間
一度もカメラを止めないという

不可能とも思える撮影でした。

本番 よ~い!

アクション!

誰かがミスをすれば
頭から やり直しという

長い長いドミノ倒しのような撮影。

役者たちは この導線を動きながら
ノンストップで芝居を続けます。

同時にカメラの陰では スタッフが
駆け回りながら撮影を支えました。

第1の視点は

この途方もない撮影を仕掛けた男…

予算も人員も恵まれたとは
言えない環境で

彼には したたかな計算が
ありました。

何はなくても熱はある!

走りだしたら止まれない
アナザーストーリーの始まりです。

(取材者)おはようございます。
おはようございます。

よろしくお願いします。

「カメラを止めるな!」の監督…

今年 日本アカデミー賞優秀監督賞を受賞。

劇場用長編映画
デビュー作での快挙だった。

(拍手)

やることなすこと 全部うまくいったよね
って言われるんですけど…

どう転んでも やっぱ それをやるのが
一番いいんだろうなと。

低予算でも 大成功できる。

映画を志す者たちに 勇気を与えた。

ところが
事もあろうに そのトロフィーを…。

(笑い声)

いつも 飄々とした風情を崩さない 上田。

だが あのワンカットは紛れもなく
この男の

冷静な計算と
熱い情熱が生んだものだった。

現在 35歳の上田。

20代の初めから 数本の短編映画を作り

作風は奇想天外だ。

例えば これは 他人の言葉が全て

「ナポリタン」と
聞こえてしまう男の物語。

ナポリタン。
ナポリタン。

ナポリタン。
ナポリタン。

いただきます。

しかし 全国公開されるものでもなく
世間的には無名。

助監督や編集助手など
映像の「何でも屋」として食いつなぐ。

そこには 家庭の事情もあった。

子供ができたっていうことに…
できたってことが分かってから

もう とにかく稼がないといけない
っていうことで…

どんな仕事も受けていた上田に
チャンスが訪れる。

2017年 東京・五反田にある
映画専門学校のプロジェクトで…

…というオファーを受けたのだ。

低予算のため 基本は「若手」がメイン。

上田は既に キャリア10年だったが…。

「やります」と すぐ言って。

上田が何より惹かれたのは
劇場公開が約束されていたこと。

たった6日間だが
長編映画で劇場デビューができる。

…っていうものだったりっていう
自分の好きなものを詰め込んで

「カメラを止めるな!」
っていうものを

考えたんですね。

登場人物の関係性から
一人一人の衣装まで考えた。

ストーリーの構造は3段階。

まず 「劇中劇」。

これだけで独立した
1本の「ドラマ」になっている。

ドラマの舞台は ゾンビ映画の撮影現場。

本物を くれよ!

恐怖に染まった本物の顔! 顔 顔!

お前の人生がウソばっかりだから!

狂気に取りつかれた監督が
撮影を強行する中

本物のゾンビが出現するというストーリー
なのだが…。

うおぉぉぉっ! おぉっ…。

説明ゼリフや…。

妙な間が目立つ。

映画の後半 撮影の…

からくりが 明かされる。

あの 「妙な間」は

ゾンビ役の俳優が本番中に
酔っ払ってダウンし

必死の「アドリブ」で
つないでいたことが判明。

スタッフが
1人で逃げようとしたシーンは…。

ちょっとは ちょっとだよ!

本当は ただ トイレに行きたかっただけ
だったことが分かる。

トイレまで行かせる時間がない!

このままやってくれ!
ええっ!?

時間がないんだ!

前半 浮かんだ「疑問符」が

後半 「笑い」となって
回収される構成。

上田にしかできない緻密な計算のもと

このワンカット撮影には

「変な間」や 演技の「不自然さ」が

ギリギリの さじ加減で加えられていた。

更にワンカットには こんな ねらいも。

大前提として 根幹に置いてたのは

今回 選んだ12人の俳優たちが
まず そこまで経験が豊かではなくて

そこまで技術がある
人たちじゃないので

とにかく みんなの余裕をなくして…

「カメラを止めるな!」に出演したのは

無名の俳優ばかり。

迫真の演技をさせるには

ワンカットで余裕を奪い
素を出させた方がよいと計算したのだ。

こうして物語は完成。

だが まだ大きな壁が。

制作費の壁。

僅か300万円の制作費で

あらゆるものを賄わねばならない。

費用を切り詰めるため
自腹を切ったり 自前で作ったり

とことん知恵を出し合った。

主人公の家も セットではなく
監督上田の自宅。

血のりの ついたシャツも
自分で用意。

外に干しておいたら…。

そして ここに登場する赤ちゃん。

(泣き声)

これも…

映画の劇中で 読み合わせのシーンで
泣いてる赤ちゃんが

自分の息子なんですけど
あの時 3か月なんですよ。

つまり クランクインの3か月前に
生まれたんですけど。

自宅も我が子も 全てを ささげる上田。

妻の ふくだみゆきも 半ば諦めていた。

上田は ほんとオンオフが全然ないので
ずっと映画のこと考えてる人で。

趣味とかも全然ないので。

電車は大体 乗り間違えたりとか

自分で持ってった傘の色を
覚えてないから

傘 盗まれたと思って
びしょぬれになって帰ってきたりとか。

けど 子供ができる前は

そういうポンコツなところも
かわいいなとか思ってたんですけど

今 子供を育てている立場なので

お前まで育ててらんねえよっていう
気持ちがあって。

実は ふくだも映画監督。

認められたのは 夫の上田より先だった。

私ね…。

好きなの!
えっ あっ… お 俺も…。

ワキ毛が!

男の子のワキ毛に惚れてしまう

ちょっと変わった女の子を描くアニメ

「こんぷれっくす×コンプレックス」で

ふくだは数々の映画賞を受賞した。

妻の方が先に映画界で認められて
上田は…。

基本は 一緒にとったっていう
気持ちなので うれしかったですよ。

ただ まあそのやっぱり
妻が監督した作品 監督作なので あの…

…だとも思ってました。

巡ってきた長編映画監督のチャンス。

だが そんな大事な勝負の場で
無謀とも思える実験的な企画。

普通なら 躊躇しそうなものだが…。

30分以上のゾンビサバイバルですから

それはもう不可能に近いほどの
挑戦だろうなと思ったんですよ。

だから やろうと思ったって感じですね。

なんか… あの…

「無理だよ」って言われることを
しがちなんですかね 昔から。

上田は高校生の時 ペットボトルの舟で

琵琶湖を横断するという冒険に挑んだ。

力いっぱい漕ぎだすも
失敗して救出され

新聞沙汰になったことがある。

この時は迷惑をかけてしまったが
やってみたいと思えば

周りから無理と言われても
やってしまうのが 上田という男。

映画にかける思いも 同じだった。

日本って特に
面白さっていうことよりも

作られる意義とかが
優先される時があるんですね。

「この映画が作られる意義は何だね?」とか
「メッセージは? テーマは何だね?」。

でも なんか自分は…

かくして
いよいよ撮影に臨むこととなった

「カメラを止めるな!」。

上田のためならと
スタッフも低予算を承知で参加した。

特殊メイク担当の…

「シン・ゴジラ」や
「進撃の巨人」も手がけてきた。

「シン・ゴジラ」は僕は…
第1形態? 第2形態?

「蒲田くん」って よく言われてる

あれのエラから
ブワーって出てる血の赤いやつとかは

僕が全部 出してましたね。

この道38年の録音部…

いつも上田の現場は
予算度外視で参加してきた。

上田さんがやるんだから 多分やったら
楽しいんじゃないかなっていう。

メインの撮影場所も
タダで借りられる廃虚を茨城県で発見。

だが 上田がワンカットで撮ると
宣言した時

スタッフは 猛反対した。

「ワンカットで撮りたい」って言われて
「いや無理です」って言って。

とりあえず 言われた時は
絶対に無理って思ってました。

ただでさえ 金も手間もかかるゾンビもの。

なぜ低予算の この映画で
そんな むちゃを?

上田の答えは…。

この映画が その…。

不器用なやつらが なんとか頑張って

ワンカットをカメラを止めずに
最後まで撮りきる話なので

それを 本当のスタッフである俺たちが

撮らないっていうのはダメだろうと。

この言葉に
心を動かされたスタッフがいた。

なるほどなあ。 確かに。

結構 感動しましたよ。

「同じ映画の作り手として 映画の中の
連中に負けるわけにはいかない…」。

だが それは 一度やると決めたら茨の道。

このあと 曽根はカメラマンとしては

究極の「地獄」を
見ることとなる…!

いよいよ始まった映画の撮影。

しかし 37分ワンカットという
常識破りの撮影は

気合いだけでは乗り切れません。

実は本番で
「カメラを止めて」しまった人がいます。

ノー! ノー! ノー!

最後の最後 痛恨の失敗を犯したのが

カメラマンの 曽根 剛。

誰もが成功を確信した中

衝撃のミスが
明らかになりました。

第2の視点は 重大な責任を
負い続けたカメラマンです。

怒濤のノーカット撮影。

体力を振り絞った男の
土壇場のアナザーストーリーです。

撮影は 郊外の廃虚で行われた。

めっちゃ懐かしい。

久しぶりに
撮影現場に やって来た この3人。

いずれも 監督の上田たっての願いで
参加したスタッフだ。

監督の上田が
頭に つけていたカメラは

彼らの奮闘を写していた。

中でも大変なのが
カメラマンの曽根だ。

地下から屋上まで全力疾走。

その間 目まぐるしくズームしたり

明るさを調節したり。

スタッフが写り込まないよう
注意も払わねばならない。

こう走ってるじゃないですか
走って走って

後ろにカメラ振るぞってなったら
しゃがんで パン。

で また行くぞ~。

また後ろにカメラ振るぞ~ しゃがんで。

曽根だけが気付いたハプニングもあった。

この ゾンビに追いかけられる
緊迫のシーン。

写ってはいけないものが
写っているという。

さて 何が…。

今 誰も気付かないですけど
長屋さん 写ったんすよ。         えっ!?

確かに ゾンビに追いかけられるはずが
ゾンビを追いかけている人がいる。

1秒以下ぐらい
長屋さん 写ったんですけど

そこまで気付くファンの方が
なかなか いなくて…

ワンカット。

始まってしまったら 何が写っているか
知っているのは曽根一人。

全てを託された男は
ギリギリの闘いに挑んだ。

スタッフの中でも上田との
つきあいが最も古く

10年来の仲間の曽根。

昔から夢を語り合う仲だった。

当時 上田くんは 将来こうなるぞ
っていうことを語ってて。

劇場映画を撮って…

…みたいなことを
10年ぐらい前に語ってたんですね。

ほんとに なんか
「若いな~」みたいな感じで。

そんな上田の短編映画で

カメラマンを
務め続けてきた曽根。

上田の思いを誰よりも
知るからこそ

「念願の長編でワンカットに
挑戦したい」という

上田の こだわりも受け入れた。

ただ ぶっつけ本番で
やるわけにはいかない。

本番9日前 ワンカット部分だけの
リハーサルが行われることに。

現場で 実際に俳優が動き
カメラも回してみたのだが…。

曽根は 「やる」と言ったことを後悔した。

1回目のリハーサルが
一番きつかったです なんか。

1回目のリハーサルの時は…

≪心が折れそうに。

リハーサル時の映像。

写ってはいけない人が
写ってしまったり…。

曽根が 息切れしてしまったり。

自分たちの影が入ってしまったり。

言うのと やるのとでは 大違い。

こだわっていた この男も なんと…。

…って言った時
あったんですよ。

弱気になったのか 現実的に考えたのか
「ワンカットでいこう」って言ったあとに。

リハーサルの大変な状況を受け
上田も思わず スケジュール表に

「割る可能性あり」と書き加えたのだが…。

走りだしたスタッフは
もう止まらなかった。

基本 無理って言いたくない根性
やっぱ あるじゃないですか。

なんか変にアドレナリン出て
テンション上がって

やってやろうじゃないか みたいな。

「きついな~」と思ってたんですけど
慣れるんですね。
(笑い声)

慣れるのが怖いなあと思いました。

チームは 一致団結。

リハーサルから9日後の撮影初日に
ワンカットを一気に撮りきることにする。

だが 当日。

水を さされた。

みんなで こう
バケツリレーで水を出したり

廃虚の中を雑巾がけ
みんなで やったりとか。

階段とか 雨びしょびしょなんで
めちゃくちゃ怖いんですよね。

前日の雨で足元が悪くなった廃虚。

それでも曽根は 覚悟して撮影を開始する。

最も気にしたのが 特殊メイクの下畑と
呼吸を合わせることだった。

ワンカットの時は 曽根さんと
2回目だったんですけど 仕事するのが。

で どんだけ血のタイミングで
息を合わせるかっていうことが

まず大変だったっていう。

リハーサルで ここは こう行くんで…

なんか そういうのを
やりながら探ってったような。

そう 生中継同然の撮影のため
特殊メイクも全てリアルタイム。

下畑は曽根の動きを読みながら
カメラが別の所を向いている間に

血のりも メイクも
仕上げねばならないのだ。

例えば このシーンでは。

うわ~! うわ~!

助監督役の 市原 洋が
ゾンビに かまれる。

その傷が もとで
彼はゾンビになってしまうのだが

再登場までの間 僅か1分。

カメラから消えた間に 腕を切り

血を滴らせる。

そんなことが できるのか?

実際に やってもらった。

まず メガネを外し

カバンを外し

袖から腕を抜く…

で 15秒。

ここからが すごい。

切れた腕のパーツを はめ

メガネを つけ

袖を通し…

カバンを しょわせ…

最後に血を滴らせて 完成。

すごい。
1分どころか 40秒で できた。

通常 アシスタントが4人は つくが
今回は低予算。

新人と2人で全てを行った下畑。

でも そこに
逆に やりがいを感じたという。

予算がある方は
やっぱ監督が こうしたい

もう きっちりかっちり こう
作りたいものが決まってるんです 大体。

でも予算が少ないと やっぱり
お任せにしてくれるから

自分の わりと好きな感じに作れる
っていう楽しさはありますよね。

とはいえ ワンカットは綱渡り。

下畑のスゴ腕でも

メイクが間に合わなかったり

スタッフが見切れてしまったり

NGが続く。

そうなると 全てを
元どおりにしなければならない。

ゆずきちゃんのメイクチェンジ
あの真っ赤を

元に戻すのが
ほんとに大変です。

一回 シャンプーしなきゃいけないし

でも ここが水しか出てなくて
水でシャンプーして

顔も この辺 全部
肌出てるから水で洗って

で すっぴんの状態から
もう一回ビューティーメイクして

擦り傷メイクしたりしてるから
多分 1時間弱じゃ済まなかったかな。

それでも ワンカットこそが

この映画のキモだと
確信していた曽根。

NGが どれだけあっても
文句一つ言わず 走り続けた。

この日だけで 4回NGを重ね

迎えた ワンカット撮影5テーク目。

曽根は 階段を駆け下り 駆け上がり

転び 立ち上がり

修羅場につぐ修羅場を撮りまくり

ついにラストの 屋上まで到達した。

で こう来て…

最後は カメラが
4m高い位置に上がるため

曽根からカメラを受け取って
上田監督が撮っている。

ところがである。

そこで 僕が受け取って こう掲げた時に
「スタンバイ」ってなってたんですよ。

「スタンバイ」。

つまり カメラが 「止まっていた」。

(上田)「あれ?」と思って
でも 一応1分ぐらい掲げて

何かの間違えなのかもしれないと思って

で まあちょっと まぬけな
「カット!」っていう声が出て。

「えっえっえっ?」ってなって…

最後だったらいいねっていう
淡い期待をしてたら 全然…

これが 実際に
止めてしまった時の映像。

曽根が 転ぶ。

これは
予定どおりだったのだが…。

この先が ない。

(笑い声)

あの… カメラが止まってまして。

ただ カメラ止まってるのに
なぜか気付かなくて

最後まで ず~っと走り続けて…

そういうのを和ませるのが

録音部の仕事だから。
(笑い声)

カメラマン曽根 痛恨のミス。

だが 現場の雰囲気は。

険悪とかにはならないですね。

高圧的な人とかを入れたくないなって
思ってるので

ほんとに みんな横一列に並んで

一緒に こう ものづくりをする
っていうイメージでやってて。

みんな ずっと
低予算の現場で闘ってきた。

決して楽ではないけれど

縛りも少なく 自由な現場。

ミスは 全員の知恵と汗で補う。

限られた日程の中
他のシーンを予定より早く済ませ

もう一度だけ
ワンカット撮影に挑むことに。

運命の日 6月28日 正真正銘

最後のワンカット撮影が始まった。

(上田)よ~い…

スタート!

ここから37分 ワンカット。

始まってしまえば 監督の上田は

ほとんど やることはない。

上田は 曽根の後ろを走りながら

メイキング映像を撮る。

そこに写った キャストの奮闘。

スタッフの 躍動。

これまでのNGを経て みんな

ワンカットのリズムが体に刻まれていた。

全て 完璧。

…と思われた その時。

思わぬハプニングが起きた。

曽根のカメラに 返り血が かかったのだ。

僕は それを見た時に曽根さんに
「すいませんでした」って言いました。

(曽根)あっ そうですか?
そんなこと言いました?

はい。 だって やっぱカメラに血つけたら
ほんとに みんな怒られるから。

だが 曽根の反応は 違った。

えっ そうだったんすか?
いや ほんとに。

「これは最高だ!」ぐらいに思いました。

「これ 拭くぞ!」ぐらいの感じで。

しばらく血を そのままに。

そして 屋外に出た瞬間
走りながらサッと拭き取った曽根。

そばで見ていた上田は。

血が かかった時も
「うわあ…」っていうのが半分と

「よっしゃ!」っていうのが
半分なんですよ。

脚本も
練り込んで練り込んで書いてますし

リハーサルも重ねて固めてるんですけど…

…と思いながら
撮ってるところがあるので。

予定どおりでは つまらない。

ワンカットだからこそ。

みんなで作る
低予算映画だからこそのライブ感。

偶然と必然が絶妙に合わさった

二度と撮れないワンカットとなった。

(上田)はい カット!

上田は このラストテークにOKを出す。

(シャッター音)

かくして映画は 無事完成した。

ほんと どんなふうに
撮ったらいいかっていうのも

自分と監督だけじゃなくて みんなで
作ってる感もありましたね。

なんか ほんとに つらいことがあっても
つらいというよりは

もう それすらも
面白い方向に変えてしまう。

さて 次の目標は。

こうして完成した映画は

出演した俳優たちの人生を
劇的に変えることになるのですが…。

それまでの彼らの歩みは
さまざまです。

TV局のプロデューサーを演じた…

主人公の妻を演じた
しゅはまはるみは

一度は役者を引退。

でも もう一度 女優を目指し
この映画に再起をかけていました。

第3の視点は

希望の光を求めて
夢を抱き続けていた俳優たち。

中でも
いきなり主役に抜擢された 濱津隆之と

出番 僅か1分の脇役!

曽我真臣の隠れた努力は

思わぬ形で
映画を成功に導くことになります。

この映画に全身全霊で
挑んだからこそ生まれた

大ヒットのアナザーストーリー。

3月に行われた…

舘ひろしと 役所広司の
大御所に挟まれて登場した この男。

主人公 日暮隆之役を演じた…

優秀主演男優賞を受賞し
人生初のトロフィーを手に入れた。

いやあ すごいですよね。

すごいですよね。

濱津をはじめ この映画に出るまでは
超無名だった俳優たち。

撮影は続ける! カメラは止めない!

映画の中だけに とどまらない
彼らの奮闘がヒットの扉を開けた。

映画に参加した主な俳優は 13人。

そのうち12人は 撮影前

監督の上田が演技指導する
ワークショップに参加。

ノーギャラどころか

受講料として 15万円を
支払っている。

実は制作費300万円の半分は
この受講料が元手だった。

イテ! イテ! うわ~!
ぐわぁぁ~!

うわぁっ!

主演の濱津は 元芸人だった。

どうも こんばんは
僕の名前は まーくんです。

まーくんは何が好きなの?
日本酒。

笑いの道は厳しく
2年でドロップアウトしたが

表舞台に立つことは諦められなかった。

ずっとコントをやってて 何かのキャラを
演じるみたいなことをやってたので

もしかしたら自分は そういうことが
好きなのかもしれないと思って

で 何があるだろうと思って…

オーディションを受けて
小劇場の舞台に立ち続けていた濱津。

だが それだけでは食っていけない。

去年の10月まで
ずっとバイトはしてたので。 はい。

暑いっす。

お風呂は暑い… サウナみたいな。

濱津は必死で働いたアルバイト代を
つぎ込み ワークショップに参加。

15万の出費は痛かったが
演じられることが うれしかった。

ワークショップには さまざまな
キャリアを持った人が集まっていた。

一番のアツアツポイント! ワンカット!

プロデューサー役の
どんぐりは元証券会社の営業。

55歳で第2の人生をと
一念発起し

俳優の道へ進んだが

初舞台で もらったのは…

なんと 蛾の役。

蛾の役で… 演技力はいらんので
飛んどいたらって もうほんとに。

ワークショップで
とびきりの存在感を示したのが この人。

ポン!

ポン!

映画では監督の妻役を演じた…

10代の頃 ジャッキー・チェンに憧れ
アクション養成所で学んだが

芽が出ないまま 一時役者を引退。

だが 演じることが諦められず
ワークショップに参加した。

初めてです。

ほんとワンシーン セリフなしとかで
呼んで頂いた作品はあるんですけど

完全にガッツリっていうのは
もうほんと初めてです 「カメ止め」が。

かつて身につけたアクションの経験も
積極的に売り込んだ。

得意技の とび蹴り!

(しゅはま)あれも私
できるよって言いました 上田さんに。

私 結構こう見えて ばばあだけど
アクションやってた時期もあるから

走ったり なんか蹴って 悪者倒したりとか
そういうのも できるよって

そういうシーンも作れるよっていうのは
自分から売り込みました。

それぞれ熱いモチベーションを持って
作品に挑んだ中

主役の座を射止めた濱津。

ないっす。 ないっす。 微塵もないっす。

本人は謙遜するが
相手役の しゅはまは

濱津の変化を
目の当たりにしていた。

撮影は続ける。 カメラは止めるな!
えっ? ちょっと!

いや ほんとに濱津は
すごいミラクルな役者だなと思いますね。

ワークショップの時に

ダンスを ちょっと踊ってみましょう
みたいなワークがあったんですけど

濱津 私に触れないんです。

女性が苦手なのか 私だからなのか
分かんないんですけど

いや この人 大丈夫かなって
ほんと思って。

でも いざ日暮隆之になったら

いやあ もう びっくりするような
リアルな お芝居で。

謝りました ちゃんと後で。

「見くびってて ごめん」。

初めての主演で
強烈な演技を見せた濱津。

自腹を切って参加した役者たちが
大活躍し 映画は無事完成。

だが この映画の大ヒットに
貢献した俳優は

彼らだけではない。

映画完成後 俳優総出で行ったチラシ配り。

この段階から
とびきりの活躍を見せた俳優がいたのだ。

ここは行きませんでしたっけ? ここ。

(濱津)その節は ありがとうございました。

(濱津)もう いくらでも 是非是非。

濱津がサインをしていると。

いやいやいや 全然!
あの 気付かないレベルなんで。 はい。

あの…

ああ ほんとだ。 ああ!

この方 どこに出ていたかというと…。

リアルっすねー。

俳優 曽我真臣。

ワークショップには
参加していなかったが

知り合いだった上田監督から
呼ばれ 急きょ出演した。

台本の名前は手書き。

与えられた
セリフは…。

セリフは3つだった曽我だが

1人で
1, 000枚以上ものチラシを配り歩く。

そこまでしたのは
公開前 一足先に映画を見た時の

ある「驚き」が
きっかけだった。

正直な話…

最初は 疑いの目で見ていた曽我。

だが後半。

思わず膝を打った。

僕も爆笑してましたし
そこは間違いないって思えたので…

そこで芽生えたっていうのはありますね。

いわば
「カメ止め」ファン第一号となった曽我。

少しでも多くの人に見てほしいと
宣伝活動に無償で協力する。

これは 公開当初。

記録係を買って出た曽我が
撮った映像。

観客 僅か50人。

だが みんな 拍手喝采。

曽我も周りに おされて
舞台挨拶に立った。

初めは自己紹介も
もちろん どうやって…。

見た人だって どこに出てるか
分からないような人なのに

どうやって自己紹介したらいいのかな
っていうような感じで

上がらせてもらってたんですけども。

みんな 笑顔 笑顔。

ただの観客ではなく
「仲間」のように思えた。

ここから毎日
舞台挨拶に立ち続けた曽我。

観客は
うなぎ登りに増えていった。

やっていくうちに
リピーターの方たちとかも来て下さって

で 僕のことも覚えて下さったりして

こうやって喜んでくれる人が
いるんだったら続けないとな。

公開期間は どんどん延長。

公開館数も拡大していく中
曽我は なんと 139日間連続で

日本全国 どこかの劇場の
舞台挨拶に立ち続ける。

いつしかファンは

曽我を 「鉄人」と
呼んだ。

僕 子供が実は
公開されてから生まれたんで

そんなに劇場来てて大丈夫か
みたいな心配もされたりしてまして。

妻からしたら
訳分かんないと思うんですけど

お客さん 笑ってくれるんだよ
っていうような。

「出てきて みんな
笑ってるなんてあるか!?」みたいな。

「こんなことって ないんだよ!」。

映画の発端となった

長編映画プロジェクトの
プロデューサー 市橋も

「観客の力」を ひしひしと感じていた。

2館から始まった
インディペンデント映画が

拡大上映するみたいな
サクセスストーリーじゃないですけど

そういうところを
お客さんも一緒になって

なんか参加したりとか
応援してくれたりとか

それも結構 大きいんですよ。
実は ほんとに。

当初から応援を続けた映画館の館主は

大ヒットの理由を こう分析する。

一番影響が大きかったのは
やっぱり ツイッターで

お客さんも スタッフキャストと一緒に
ずっと応援し続けてくれてる。

お客様と スタッフキャストの
距離感の近さというのは

全く今までの映画にはなかったこと
じゃないかなと感じてます。

「カメ止め」の舞台挨拶は 撮影オールOK。

お客さんとの距離の近さが功を奏し

見事 SNSで劇的に拡散されていく。

そして迎えた 公開100日目の舞台挨拶。

(観客たち)頑張れ~! 頑張れ~!
(拍手)

(歓声と拍手)

(曽我)これ 公開100日目に

僕が どこかの劇場に必ず通ってた

100日間 通ってたっていう
記念に頂いたもので

これ全部 ファンの方たちの
一人一人のコメントが入ってるんですよ。

「100日記念 おめでとうございます」。

「ギネスや!!」。

「ただただ感謝です!」。

(拍手)

258日という異例のロングランも

ついに最後の日を迎えた 今年3月。

劇場には 猛烈なラブコールが鳴り響いた。

すいません 今日は泣かないって
決めてたんですけど。          (笑い声)

こんな作品 ほんまにないですよ!
ほんまにないです! ほんまに!

(上田)やめとけ やめとけ。
(笑い声)

ほんまにないって!
もう監督 もうほんとに!

(拍手)

皆さんの心に響くような作品 ほんとに
これからも絶対作るって約束します。

映画を愛して下さって
ありがとうございます!

(歓声と拍手)

役柄の大小に関係なく
作品を愛し抜いた俳優たち。

自腹を切っても 泥くさくても。

その特別な愛は
ヒットという形で報われた。

夏の ある日
成功など何も約束されていない中

彼らは喜々として
この廃虚に集まりました。

キャストもスタッフも
この作品のために全身全霊を ささげ

そして 不可能とも思える撮影を
成し遂げたのです。

こちらまで勇気が湧くような
ドラマのような逆転劇。

私たちがスクリーンを通して見たものは

その圧倒的な熱量
だったのかもしれません。

「カメラを止めるな!」の大成功によって

俳優たちの人生そのものも
大きく変わった。

主演の濱津は
さまざまなドラマに出演。

独特な立ち位置を築きつつある。

死んでる金を世の中に出せ!

しゅはまも次に
主演映画を控えている。

出番は1分だった曽我は どうだろう。

僕のお芝居を見て下さった方っていうのは
結構 少ないと思うので

「カメ止め」頼りにならないように
頑張っていかないと

この先 ちょっと
生き残っていけないなっていう

ちょっとシビアな立場に
なっていくのかなとは思ってますね。

チャンスとは ほんとに捉えてるんで

このチャンスを殺さないように ほんとに
頑張っていきたいなと思ってます。

(一同)カメラを止めるな~!

(上田)スタート!

一度味わった喜びを もう一度。

じゃあ いきま~す
はい チーズ!

カメラは止まっても 情熱は 止まらない。

(シャッター音)
(上田)カット!


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