SWITCHインタビュー 達人達(たち)ケラリーノ・サンドロヴィッチ×祖父江慎・本や紙への独特のこだわりから…


出典:『SWITCHインタビュー 達人達(たち)ケラリーノ・サンドロヴィッチ×祖父江慎』の番組情報(EPGから引用)


SWITCHインタビュー 達人達(たち)ケラリーノ・サンドロヴィッチ×祖父江慎[字]


劇作家、音楽家と多彩な才能を発揮するケラリーノ・サンドロヴィッチと、本や紙への独特のこだわりから熱狂的ファンを持つブックデザイナー・祖父江慎が語り合う。


詳細情報

番組内容

まず祖父江が舞台「キネマと恋人」の稽古場を訪問。KERAのきめ細かい演出を見て、俳優とのコミュニケーションの取り方について尋ねる。最初は喜劇が好きだったというKERAが、音楽、舞台、映画と表現手法を広げていった思いを語った。後半はKERAが祖父江を訪問、古今東西の書籍を集めた祖父江のコレクションに感動する。本、そして紙に強いこだわりを持ち、独創性にあふれるデザインをする祖父江の技を探る。

出演者

【出演】劇作家・演出家・音楽家…ケラリーノ・サンドロヴィッチ,ブックデザイナー…祖父江慎,【語り】六角精児,平岩紙


『SWITCHインタビュー 達人達(たち)ケラリーノ・サンドロヴィッチ×祖父江慎』のテキストマイニング結果(ワードクラウド&キーワード出現数ベスト20)

SWITCHインタビュー 達人達(たち)ケラリーノ・サンドロヴィッチ
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  16. ハハハ
  17. 演劇
  18. 全部
  19. 相手
  20. 当時


『SWITCHインタビュー 達人達(たち)ケラリーノ・サンドロヴィッチ×祖父江慎』の解析用ソース(見逃した方はネタバレ注意)


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舞台の稽古場で 目を光らせる男。

じゃあ 最後から お願いします。

通称 KERA。

劇団を主宰し 30年以上。

岸田國士賞をはじめ
数多くの受賞歴を持つ。

KERAが生み出してきたのは
不思議な世界観。

ある日かかってきた
間違い電話がきっかけで

一家が 少しずつ
そば屋になってしまうという

シュールな舞台。

こちらは 殺人を犯してしまった
女性たちの群像劇。

シリアスな設定にもかかわらず

独特のユーモアがあふれる。

ありえない状況を突きつけることで

登場人物の内面を浮き彫りにしてきた。

現実から
かけ離れたシチュエーションに

説得力を持たせるのが KERAの演出力。

鋭い人間観察から
セリフにリアリティーを与え

さらに 随所に「笑い」を取り入れる。

おお 神様… 殿様のようなものか?

いいえ。 お殿様より
もっとずっとがら偉い方だり。

この世を作った方だっす。

ああ 脚本家か!
クレジットタイトルに出ておる。

(笑い声)

2018年には 学問や芸術 スポーツなどで
功績を残した者に贈られる

紫綬褒章を受章。

そんなKERAには
別の顔がある。

「千の病を持つ男」。

ミュージシャンとしても
みずからの世界観を表現してきた。

クリエーティブな精神あふれるKERAが
会いたいのが…。

書籍の原稿をもとに
表紙の装丁 文字の字体やレイアウト

使用する紙などを考え

実際の本に設計する職業。

祖父江は これまで

漫画 文芸作品 写真集など

ジャンルを問わず
2, 000冊以上 手がけてきた。

その特徴は
これまでの本の常識にとらわれない

自由な発想。

KERAが大好きだという
大ヒット漫画

吉田戦車の「伝染るんです。」。

読み進めると
なんと 同じページが2ページ!

あたかも
印刷に失敗したかのようなデザイン。

祖父江の常識外れなセンスが
存分に発揮されている。

常識破りの才能を存分に発揮する

2人の個性が交錯する。

基本ね。
言われますね。

そう! そうなんですよ。
まさに 「普通って何だ!?」って。

本当だ…。 ひゃ~!

世界が… その作品の世界自体が

ズレてるっていうイメージなんですね。

ハハハハ…!
守らない?

守らないというか 守れないんですけどね。

守れないですよね。
守れないですよ。

♬~

東京 三軒茶屋の稽古場。

KERAは まず 自分の仕事ぶりを
知ってもらおうと

舞台の稽古に 祖父江を招待した。

いや~ 聞きたいこと
いろいろありますね。

どう… どういうの聞きたいですかね。

ここですね。

♬~

この日 稽古していたのは
KERAが 脚本・演出を務める舞台…

♬~

主演は 妻夫木 聡
緒川たまき。

好評につき 再演となった舞台だ。

映画の登場人物と現実世界の女性が
恋に落ちるファンタジー。

そなた お名前は?

森口ハルコ。

ハルコ殿。

どこか閑静な場所で ゆっくり語り合おう。

KERAならではの
「ロマンティック・コメディ」だ。

ああ どうも どうも どうも。
こんちは!

どうも すみません。
どうも どうも。 ようこそ。

稽古中に すみません。
大丈夫です。

今ね 僕… あの人が…

これは 稽古が大変そうな…。

ちょっと この辺に
座ってもらっていいですか。

芝居の稽古を見るのは
祖父江にとって 初めての体験。

じゃあ せ~の!

現実にはありえない
ファンタスティックなストーリー。

しかし KERAは
リアリティーに徹底的にこだわる。

(鐘の音)

はいはい…。

(緒川)キュッと… ああ ああ ああ!
それね はい。

このあとも KERAの緻密な演出が

ファンタジーに
リアリティーを与えていく。

すごいですね。

そうですね。 演出家によっては

あんまり 何も言わない人も
いるらしいんですけど…

つい… やっぱ言っちゃいますね。
ものすごく細かいですね。

そうですか?
ええ。

そう感じましたか。 何か 細かいときは
もっと細かいんですけど。

そうなんですか。
うん。

そうですね。

ああ そうですね。 やっぱり…

先ほど 見せてもらって…。

音痴はダメですか?
歌と同じで

「語尾を上げてください」。
はい。

全然 違う。
はいはい。

それが 全部 同じ音に…

お互い 大変かもしれない。

あれは やっぱり 役者さんによって
変わってくる?

そうですね。
役者さんの柄というか 何ですかね…。

あっ この人の場合は

セリフを入れ替えたほうがいいなとか
見てて 何か 分かるんですよ。

あと ダメ出しでも
褒めたほうがいい人とか

僕 あんまり…

褒めてる時間が…
たくさん あればいいんですけど

大抵 時間 足りないんで。

役者さんによっては
どんどん落ち込んじゃうらしくて。

宮沢りえちゃんとかに

稽古中に トークライブに
出てもらったんですけど。

開口一番…

…って言って ダメ出しを始めるんですよ。

カメラマンの人でも
褒めるタイプは多いんですが

けなすタイプっていうのが
いたことがあって。

えっ! カメラマンで けなすの?
そうそう。

装丁中に…

そういうとこから スタートしたんですよ。

それ… 相手の人は
どうなっていくんですか? それによって。

写しながら…
「ダメ! あっ 全然ダメ!」って言って。

ハハハハ…! コントみたいですね。

「もしも こんなカメラマンがいたら」って。

来たとき 明るい顔をしてたんですよ。
はいはい はいはい。

何か 途中で だんだん ムッとして…。
ああ…。

撮りながら 「ダメだよ! バケツで
頭から水かけてやれ」とか言って。

へえ~!
もう どういうことにも ならないような

どうしていいか分かんないようなね

まさに すばらしい表情になってて
驚いたことがある。

ああ なるほどね。
そういう写真が欲しかったわけですね。

たぶん。
鬼気迫るような 何か…。

そうです そうです。
ああ すごいな。 そうですか へえ~。

僕 あんまり 演劇っていうものに…

出かけるっていうことが…。
何か 祖父江さん…

そうなんですよ。
あんま好きじゃないって思ってて。

苦手っていう感じが。 見てて…

あっ 僕もですよ。
あっ そうなんですか!

うんうん。 ハハハ…!
え~!

苦手なんです。
そうなんですか。

僕は… いいですか? 僕の話。
お願いします!

ごめんなさい。 僕の話ばっかして。
僕ね…

あらま!
軽く飛んできたボールとかも

「あっ!」って逃げちゃうぐらい
ボールが怖くて。

もう ボールが怖くて怖くて
しょうがなくて

体育の授業とか…
いわゆるチームプレー

バレーボールとかになると 嫌で嫌で。

それですよね。 チームというものの怖さが
あるんですよ。

でも いつも すごい
チームプレ-じゃないですか。

そうですね。 だから たぶん…

うまく… 和を乱すと思います 僕は。

演出家という立場でいるから まだ…。

だって できやしないですからね
演出家ったって。

そうなんですか。
僕は 逆だと 勘違いしました。

ケラリーノ・サンドロヴィッチ
本名 小林一三は

1963年 東京 渋谷区で生まれた。

5歳になるまで ぜんそくにより
3日に2日は寝込んでいたという。

友達作っても
あんまり 遊ぶ機会も作れないし。

5歳は…。

あっ 犬ですか。
うん 犬に話しかけて。

それは飼ってた犬ですか?
飼ってた犬。

コッカー・スパニエルの。

ずっと話しかけて…

会話を ずっとしてたんですよ。

本当に ちゃんとしゃべって。

相手の言葉も
ちゃんと自分で返すんですよ。

相手が… 自分が言ってるんだけど
相手が言ってるつもりで。

人と接することに臆病になったまま

小学校 中学校って いた気がしますね。

何か やっぱり…

はい。 気遣いは細かそうですよね。

神経質ですね。
僕 子どものころ 覚えてるのが

よく 学校に忘れ物するじゃないですか。
はい。

忘れ物を… 例えば 机の上に置いて
学校に来て

「あっ 忘れちゃった。
あの教科書 忘れちゃった」って言うと

僕自身は そんなに困らないんですね。

人に見せてもらったりして。 だけど…

「あっ 今頃 母親は…」とか
おばあちゃんっ子だったんで

「おばあちゃん すごい…
僕の忘れ物を見つけて

心配してるだろうな」ってことを
考えながら 丸一日 過ごすんです。

もう あれですね。

自分が 今いる所じゃない所と。
そうなんです そうなんです。

犬の話といい おばあちゃんの話といい。

そうなんですよ。 だから…

高校を卒業したKERAは

自分を表現できる形を見つける。

それが…。

バンド…

テクノ パンクなど
さまざまな要素を取り込み

演劇的でコミカルなステージは
強烈な印象を与えた。

さらに KERAみずから
レコードレーベルを主宰。

「筋肉少女帯」「たま」といった
個性的なバンドが所属し

インディーズシーンの
先駆けとなった。

それまで…

…と思ってたんですよ。
恥ずかしいなと。 速弾きとかね。

そんな 指が速く動くことが
何が そんなに偉いんだと思ってたし。

で 何か マッチョなイメージが
あるじゃないですか ロックって。

そうですね。
マッチョなものは

その においだけで
嫌だっていうのがあって。

汗臭いと思って。

押しつけがましいって。
面倒くさいぞっていう。

お前らは お前らでやってくれよ
っていう気持ちになってたんだけど。

何か 急に…

…が出てきたぞって感じて
その辺に夢中になってたんですね。

テクノは そうですよね。

これを言うためっていうことではなく

別に どう考え…
どう言ってもらってもいい

包容力的な世界観が
そうなんですよね。
ありますね。

何か イメージが先行して…

あったじゃないですか。
ありました。
そういうのが とても好きで。

有頂天を始めて3年。

KERAは 新たな世界に乗り出した。

当初は ギャグが次々と繰り出される舞台。

後に 戦争により荒廃した世界など

シリアスな設定のコメディーも
確立させる。

一貫しているのは その独特なユーモア。

何だ! 何だ!
何だ!?       ☎

電話です。  ☎

お前が鳴ったのかと思ったよ。

例えば この舞台 一家がそろっている中
一本の電話がかかってくる。

誰から?
分かりません。

「お宅の娘を預かった」って。

(一同)えっ!

誰に?

どちら様でしょう?
「名前は言えない」って…。

誰に預けられたんですか? あなたは。

子どもだ 子どもだと思っていたら…。

間違いなんじゃないですか?

産んだのが!?
いや 電話が。

この子を産んだのがかい!?
電話がです。

電話か…。
私 代わるわ。

コメディーって 何か やっぱり…

ここで笑わせようと思って
台本 書くわけじゃないですか。

で なるべく お客さんに
笑ってもらうように演出するんだけど。

でも お客が…

…っていうのが いくつもあるんです。

だから こうすれば
お客は笑うだろうけど

こうしないで お客を笑わせたい
っていうようなところが

いっぱい あるんですね。
そうすると やっぱり 結果的に

お客は笑わなかったりするんですよ。

でも そうすると 失敗だから…

…みたいな葛藤が 常にあって。

舞台袖で ずっと見てて。

ほぼ笑いばっかりの演劇のときとか

「あっ ダメだった」
「あっ 笑った。 クリア」

「あっ ダメだった」みたいな
ゲームみたいな…。

「ここ クリア」「クリア」。

それを また翌日 直して
胃が痛くなります。

きちんと されてますね。
うん。

笑いって… 緊張と緩和…。

緩和して 人は笑うのに…

たまに 何か 若いころは…

笑う予定じゃないときに お客さんが
笑うこともあるんですか?   あります!

それも 役者さんによっては

「まあ ウケたんだからいいだろう」
っていう役者さんも いますけど

僕は…

やっぱ 落ち込みますね。

そうですか。
うん。

ストイックに笑いを追求するKERA。

彼にとって 真のナンセンスとは?

20代… 23から30ぐらいまで

ナンセンスしか やってなかったんですね。

僕は…

最後…

…みたいなところまで
いっちゃうんですよ。

いっちゃいますね。
うん。

特に 夜中とかに考えてたら
そうなりそうですね。     そうなんです。

世界が その作品の世界自体が

ズレてるっていうイメージなんですね。

そうすると まず そこに書くときに…

書き始めるときに それは こう…

それですか。 そうかも。

そうすると ふだん
ズレてないときの自分には

思いも寄らないところまで

勢いで… 勢いっていうか 何だろう?

分かります?
分かります!

自分が どうも セリフの中に
素直に入ってるんだけど…

ああ… なるほど なるほど。

笑いについては どの辺りから
はまっていったんですか?

笑いについて?
ええ。

ジャズミュージシャンって
ちょっと 堅気じゃないところがあって。

当時ね。

すごい周りですね。

KERAの父は ジャズのベーシスト。

仕事柄 喜劇人の知り合いが多かった。

物心ついたころには
家に喜劇界のスターが出入りする日々。

少年だったKERAに
その記憶は 強烈に焼きついた。

僕は うちのおやじの友達の

面白いおじちゃんたちという
認識だったんです。

ぜんそくで
ずっと寝込んでるじゃないですか。

テレビつけて すると…

♬「てなもんや てなもんや」

小学生のときに
「ゲバゲバ90分」っていうの…。

ああ 「ゲバゲバ」ありましたね。
あれも壮絶でしたね。

今年5月
KERAが発表したソロアルバム。

当時の記憶をよみがえらせたかのような
世界が広がる。

♬~

そこには ジャズミュージシャンだった
亡き父への思いも込められている。

♬~

自分の…

…みたいなところがあると
思うんですけど。

そのとき いろいろあって
父親と2人暮らしになってまして。

いろいろあったんですね。
いろいろあったんですよ。

…みたいなこと言われて。
あらま!

大変でしたね。
大変でした。

もう 劇団もやってたし
バンドもメジャーデビューしてたし。

そういう中で
毎日 父親の介護をしていて。

親孝行で…。
これ またいろいろありまして。

大人の事情でね。
できなかったんです そのとき。

それを つい この間
ジャズのアルバムを出して。

ここ5年ぐらいですね
ようやく 父のことも 母のことも

書けたり 歌えたりするようになったのは。

♬~

KERAには すでに

「キネマと恋人」の次となる作品の
構想があるという。

それは 若いころから
愛してやまない作家

フランツ・カフカにまつわる舞台だ。

僕 次にやる芝居が
フェイクものなんですね。

カフカの… フランツ・カフカの…

見つかってないんです そんなもの。
あっ はいはい。

見つかってないんですけど
見つかったという現実を仮想して

それを舞台化するっていう
ややこしいことをやるんです。

大好きなんです フェイクが。

大体 何か作ろうと思う
きっかけっていうのって

どういうタイミングがあるとか
あるんですか?

いや もう…

「これやって あれやって
あれもやりたいな」。

えっ そうなんですか?

ひいひい言ってますよ アイデアが尽きて。

いや それはそれは…。
本当です 本当です。

いや それはそれは…。
いやいや…。

それは ありますね。
締め切りがないと 何か…。

ダメっていうかね…。
そうですね。

締め切り 守られる?
僕… 守らない。

ハハハハ…!
守らない?

守らないというか 守れないんですけどね。

守れないですよね。
守れないですよ。

締め切りなんて
いくら延びてもらってもいいよね。

そうなんですよ。

後半は 舞台をスイッチ。

KERAが向かったのは
中目黒にある 祖父江の仕事場。

ここですね。

やっぱ 閑静な所にあるんだね。

トントン!

失礼します。

こんにちは。

どうも こんにちは!
どうも どうも どうも。

ああ どうも。 いらっしゃいまほ~!
ありがとうございます。

もう すごいな…。
どうぞ。

ああ これは…
これを脱いでいいんですね。

そうなんですよ。 割と脱ぎがちですね。
脱ぎがち…。

ブックデザイナー 祖父江の仕事場。

そこには 貴重な本が大量に並んでいる。

何が並んでるんですか? これ。

これね あの…
玄関から 廊下が進むにつれてですね…

時間軸!
タイムトンネルって言ってるんです。

タイムトンネル…。
ああ でも タイムトンネルって感じ。

江戸時代から平成までの
教科書や学習雑誌。

印刷物にこだわる
祖父江のコレクションの一部だ。

うわ~ 何か ちょっと…
触るのも怖いですね。

最初…。
うわ すごい! 「學問ノスヽメ」だ。

最初… この木版からあって

4巻にいくと…。

あっ 本当だ!
すごい!
すごい!

ここから文字が始まる。
ああ~ すごい。

楽しいでしょ?
楽しいですね。

本当に印刷物が お好きなんですね。
祖父江さん。

そんななんです。
へえ~。

あっ! すごい! わあ~!

「小学三年生」。

ええ ええ ええ。

ふ~ん そうなんですか。

ほら かわいい!
あっ 本当だ! ちょっと いいですか。

かわいい。
ああ~! ああ もう…。

このころ まだ
カタカナの時代だったですね。

大正15年に出版された 小学生向けの雑誌。

へえ~ ああ すてき。
印刷も きれいですね。

きれいですね。 すてき。
活版印刷だから。

うわ~ 何か いいな。
「トシラウサン」…。

「トシラウサン ハ オトウサンヤ
オカアサンノ オイヒツケヲ

ヨク マモル ヨイ コドモ デス。」。

「良い子か?」とか
突っ込みたくなりますね。

ずっと見ちゃうな これ。

一日あったら
一日 ずっと見ちゃいますね。

祖父江は 日本で最初に出版された
「ピノキオ」も持っているという。

その本のデザインをしたのは
なんと 当時の小学5年生。

え~ そうなんですか?
そうなんです。
全然 知らなかった。

これです。
「ピノチヨ」なんですね。

5年生が描いただけあってですね。
装丁も自分でやってる。

へえ~!
アヤちゃんが…。

アヤちゃんが。
イラストまで描いて。

大正9年 小学5年生の女の子が

イラストとブックデザインを行い
その父が出版した。

紙の質とか? レイアウトとかですか?

「ピノキオ」の場合はね…

子ども用なんで はしょるんですよ。
そうですね。

その はしょりが
国によって 微妙に違うんですよ。

なるほど。

祖父江は 2, 000冊以上 デザインしてきた
売れっ子ブックデザイナー。

例えば 力士が登場する
ギャグ小説は

なるべく厚い紙を使用。

本自体も 分厚く太らせてしまった。

作品の意図をくみ取り
大胆に表現するところが

多くの作家に支持されてきた。

中でも KERAが衝撃を受けたのが

1990年に出版された
漫画…

シュールで不条理なギャグは

当時の4コマ漫画の
「起承転結」という常識を覆すもの。

これを読んだ祖父江は…。

本そのものも 印刷に失敗し

不完全であるかのようにデザインした。

次のページも 同じページ。

突然の白紙。

しおりも ページの端まで届かない。

発売すると このデザインは物議を醸した。

読者は知ってるんだけども…

言われました?

僕は あんまり 嫌だったんだけど

「正しい乱丁です」って。
あ~ なるほど なるほど。

あんまり言いたくないですけどね。
「正しい乱丁」って。  そうですね。

ちょっとね 「乱丁」って言葉をね
出しちゃうと。

何かねえ…。

何て言うんですか 悪い言い方をすると…

そうですよね。
やっているというか

やろうとされて 却下されたことも…。

いろんな理由で実現しなかったことが
たくさんあるんでしょうね きっとね。

物理的に無理とかね。
そうですね。

そうですね。 最近は もう 僕も
「もう無理だろうな」って

諦めちゃうこととかも…
良くないと思いながらありますね。

「こういうのは 今までないですからね」
って言われる…。         それですね。

「大丈夫なんだろうか?」と思います。
ねえ。

やっぱり 出版社 印刷所
えっと… 書店とか

全部 やっぱり そこを…

一人もいないと まず できない。

頑張ってる一人がいると
なんとかできるかも。

祖父江が 特に
協力者に恵まれたと言うのが

糸井重里の「言いまつがい」。

言い間違いや勘違いを 一冊にまとめた本。

祖父江のデザインも
「間違い」を表現している。

こだわったのは この背表紙。

通常 本の内側にある
補強のための布地を

外に貼ったのだ。

これこそ
製本所の協力の たまものだったという。

えっ…? それは どこで?

この製本で?
「ここの所に…

背中に
これを半端に貼ってもらいたい」って…。

これって この状態で売ってるんだ。
へえ~!

大体 これを とじたあとで
カバーをつけて 仕上がるんですが

その貼り位置が
外に貼られてるっていう状態。

しかも「途中で止めたい」って言ったら
「機械は」…

「そっか じゃあ 考えます」って言ったら

「祖父江さん!」…

「えっ!」って。 それで ちゃんと…

じゃあ もう…。
この本が 最後の

機械の仕事だったんですよ。
ああ そうですか。

すてき! これ ずっと持っていたいな。
この形もいいですね。

この… バランスね。
これね…

ああ 曲がっちゃうんだ。
曲がっちゃうというか 斜め…

そうですね。

いいですね。
そんな感じで作ったやつですね。

いや そうですよね。

「普通にしてください」って
やっぱり言われますよね 基本ね。

言われますね。
うん。

何か それが つまらないんですよね。

そう! そうなんですよ。
まさに 「普通って何だ!?」って。

内容が いろいろなのに
そろえたいっていう願望って

やっぱり なくもないかもしれないけど…

…って言ってるのと 近い状況だなと。

そうですね。 いや~…。

何か 勇気づけられますよ
こういうのを見てると。

いやいや…。

慣れてます。

ハハハハ…!
通ったっていうことが意外だったんです。

「えっ いいの?」と思っちゃって。

祖父江は 1959年 愛知県で生まれた。

子どものころから
独特の感性を持っていたという。

どんな子だったんですか?
友達と遊ばないように頑張って

帰り道も
みんな 通らない所を行ったり…。

友達が来ると 田んぼの
看板の裏に隠れて 行くのを待って。

一人が好きなんですよ 僕。

あと やっぱり 子どものころって

男子がね…

「じゃあ 今回は こういうことにして…」。

まだ 女子のままごとは 楽しいんですよ。

どう変わっても
割と平気だったりする…。

「じゃあ これから お父さんは
赤ちゃんになるのね」っていうと

「は~い」とかできるんだけども

男子は 「それ ちょっとルール違反」
って言って。

そうかもしれない。
そこで 打ち合わせが入っちゃって

「いいことにしようぜ」とか
「う~ん そうするか」とか

そっちばっか 気になってて
何やってるのか分かんないっていう。

ああ そうかもしれないですね。

僕も… 男の人物を書くよりも

女性を書いてたほうが面白いんですよ。
筆が進むんですよ。

というのは…

どうりでね。
ハハハ…!
すみません…。

女の人は

何 書いても
成立するような気がするんです。

理解して書いてるわけじゃないんだけど。

「にこにこしてる」っていうと
次 突然「相手を殴る」とか書いても

女の人なら やるかもしんないって
すごい…。

それ ちょっと まずいかな…?
でも それは悪い意味ではなく

いいことでもね。 あらゆることで。

たぶん そうですね。
男の人だと… 急に「殴る」だと

「何かあったんだ」って
思っちゃいますもんね。

そうなんです。
「どういう理由があるの?」ってことを

見る人も求めちゃうと思うんですけど

女の人で それを書くと

「何か すごい分かります」なんて
言われて…。

俺は分かってないんだけど。 ハハハ…。

本は いつごろから
お好きだったんですか?

あっ そうなんですね。
そう。

ああ… えっ それはどうしてですか?

ストーリーが分かんなかったんです。
物語に筋があるっていうのが。

小学校のときは
本当に内容を把握するっていうことが

文章 苦手だったんで

それを なんとか学ぼうと思って…

1編だけにして いつでも これを読む…
学べる…

文庫本を切る?
あっ ちっちゃいのがあれば…。

文庫本を… 例えば 文庫本を
どういうふうに切るんですか?

文字すれすれの所で切って。
あっ… 周りをね。

それで 短編とかが 何編も入ってたら

「これを読むぞ!」っていう…

へえ~!

表紙を ちょっと違うのやって
ホチキスで留めて ポケットに入れる。

もう それ 何か 本作りじゃないですか。
ですね。

自分に…

あっ なるほどね。
でも 形にすると

何かね 読まないんですよ。
ハハハハ…!

読まないんじゃないですか 結局。
読まないんですよ。

読む用に作ってるのに 読んでない。

細かいことに こだわって
すみませんけど

切るって はさみで切るの?
だって ガシャン! なんて ないでしょ。

カッターですね。 カッターと定規で。

そういう… 何かをするために…

なぜ そこまでにっていう人が…。
自分も そうなんですけど。

デザインは 最初に… 小説とか来たら

それを 頑張って読むんでしょ?
当然 全部。

うん。 一応 読むけれども
読み方が ちょっと たぶん…。

違うんですか?

読者的な読み方はしてない。
ああ…。

あとは もう ストーリーものだと
僕は 読むのが苦手なんで…

編集の人って
やっぱり すごい 内容に詳しいから。

そりゃそうですね。
話し方が すごい… 目をらんらん

「これはですね この人がですね」とか
言って。

それが すごい楽しい。
楽しい…。 ああ なるほどね。

祖父江が
最も多くコレクションしているのは

一番大好きだという この本。

夏目漱石の「坊っちゃん」。

その愛情から どんな作品よりも
大胆なデザインをしてきた。

特別な 何か 愛着がある…
愛着っていうか ファンなんですか?

好きですね。
ここに「坊っちゃん」だらけの

棚があるってことは。

うん 分かります。

途中で…

学習用に教科書に載ったりとか。

気が付くと こんなに
「坊っちゃん」だらけになっちゃう。

う~ん すごいな。

もっと 何か 今の時代として
欲しいなって思って

こういう「坊っちゃん」を作ったんですよ。

どうぞ これ プレゼントします!
えっ これ…。

すごい!

去年 祖父江がデザインしたのが

新聞紙に印刷された…

24面の紙面に
「坊っちゃん」の全文が掲載されている。

これは「坊っちゃん」を読んでても

金額だとか いろいろ
マッチ箱みたいな小さな汽車だとか

何かが出てくるんですけど…

ああ すばらしい。

ほぼ原寸の…
これを書いたぐらいの漱石から始まり…。

チケット。 チケットとか

あと 便所に落とした
財布の中に入ってた お札は この大きさ。

特に びっくりするのは 一円玉ですね。

清がね…

お札 便所に落として 洗ったけども
「臭いや」と言ったら

「それを硬貨に替えてきてあげます」
って言って

一円玉に替えてくれたっていうのが
あるんだけど

こんな でかかったんですね 一円玉。
これ 原寸大?

全部 原寸なんですよ。

汽車の乗車券や 当時の広告

雑誌なども 原寸大で表示。

多くの資料を載せるため
新聞という形を選んだのだという。

そして もう一つ こだわったのが
文字の表記。

漱石の中でも…

もう 数字にうるさい人で。

今風に 数字を算用数字に切り替えて

強めにすると「坊っちゃん」っていうか

この「おれ」と
同じような気分になるかなと思って。

数字 強調したら
こんなに数字があるんだっていう。

へえ~! ハハハ…。

コンセプトだったんでしょうね きっとね。

たぶん そうだと思います。
うん。

すてき すてき。
あと この…

全然 見えない!
文字かどうかすら 分からない。

ルーペで… 1冊分なんです これ。
ハガキ1枚で。

うわっ!

ああ…。
一応 明朝でしょ。

本当だ…。 ひゃ~!

そうなんですよ。
印刷技術が どんどん上がっているんで。

へえ~! すっごいね。

いやいや…!
そう思う人は少ないと思いますけど。

でも すごいですね。
これも どうぞ どうぞ!

ありがとうございます。
これ ルーペ ありがとうございます。

やっぱ これだけあると

一番大きい「坊っちゃん」と
一番小さい「坊っちゃん」作りたくて。

もっと大きい「坊っちゃん」もあるんですよ
これより 実は。

極め付きは 漱石が愛した
愛媛県 道後温泉に作った「坊っちゃん」。

アートイベントに参加した祖父江は

旅館の一室そのものを
書籍にしてしまった。

その名も…

壁や家具 カーテンにも
文字を貼り付けた。

作品の世界に入り込める本を
目指したのだという。

本って もともと…

もともと 中国の石碑とかは…

これは ちょうど 漱石が思っていた

松山の ちょうど 道後温泉の近くの一室を
本にしようと。

気持ちいいよ ここに行くと。
へえ~!

文字に囲まれちゃって。

アハハハ…!

いいな~。

楽しいでしょ?

そうですね。 楽しい人生です。
楽しい人生。

ちょっと これ 大変だからとか…
楽しいんだから。

そうですよね。

でも 一人じゃ できないですもんね。
演劇も そうですよね。

そうですね。 だから 本当に 出会いって
大切だなと思いますよ。

祖父江ワールドを特徴づける
いびつな形。

裏のページと平行にしない文章。

均一的なものや
整理されたものを嫌う美学が

貫かれている。

その背景には
形に対する祖父江の独特な感性がある。

きちっとすると 何かダメなんです。
ああ…。

椅子とか机とかも
いつも グッチャン グッチャンで。

掃除 整頓 苦手…。
ああ 僕も そうですね。

それは やっぱり ほっとする…

正円恐怖症としても。 何か 僕…

えっ どういうことですか?
コンパスで引いたような正円が

苦手なんですよ。
怖いんですか?
嫌なんですよ。

近づきたくないんですけども…。

カラスよけとかね… ダーツの的みたいに。

正円が並んで
「カラス来るな!」っていう 撃退用に…。

うん ありますね。
あるけれど…。

あれの感じが分かるんですよ。
あれは近づきたくないな。

カラスの気持ちになる?
そうそう。

へえ~!

虫とかが 卵産むときに
きれいに産むじゃない?

定規で測ったように
きれいに並べて。

あれも…。

ああ なるほど。

「嫌でしょ?」って。 プツプツ…。

友達で… 寝てるときに ここにね

「あれ? かゆいな」って思って 見たら

虫だけど 何か分かんない卵が
きれいに並んでる 一直線に。

それ見ると
「うわ~ 嫌だ」って思うけれども…

面白い!

卵にも そういうものにも
プチプチにも。

なるほどね。

それは思いも寄らなかったですよ
そんなこと。

そういう きれいな配列とか

あと 多くの KERAさんの
オープニングの

緻密な 完成度の高い
不思議な映像世界…

映像っていうか 舞台の世界は…

自分では及ばないような…

きれいに並んでることへの怖さと…

何をやるかってことですね。

そう やりたくって できなかったことを
まず入れたいな…。

今 祖父江は 子どもたちが
紙と関わる機会を増やそうとしている。

幼稚園児向けの雑誌には

ふん装して 登場。

おしゃれ?
≪おしゃれ。

工作を教える先生という役割を務める。

さらに 2年前から
こんな本の制作もしている。

五感を使って紙と遊ぶための本だ。

祖父江の呼びかけで集まった
多種多様なアーティストが

紙を使った遊びを考案。

さまざまな用紙を使って一冊にしている。

長年 紙に携わってきた
祖父江ならではの本だ。

僕 やっぱり 本って…

そういうことが多いんだけど…

はい。
これ 紙っていうことを…。

いいですか? ちょっと。
うん。 遊ぶ。

ああ 本当だ!

お母さんが子どもに渡したときに…

ああ すごい!
おかしいでしょ?

わ~い!
これ 何の意味もないですよね。

でも 人気があるの このページ。
いや~ これは楽しいですね。

特に 何かあるっていうわけでも
ないんだけど。

ああ これ いいね。
いいでしょ!

いいですね。 「いろのハープ」。

子どもと おじいさんも いいなあと思って
作ったんですよ。

こういうパンフレット 作りたいですね。

紙って…

ハハハハ…!

薄いんだよね。

ああ はいはい。
これ まず 魅力的でしょ。

まあ 本も 紙か…。

でも 背骨あるからな。

ハハハハ…!

紙は 引っ張ったり 折ったり 破ったり
切ったり 丸めたりとか

比較的… 何?

何か 面白いんですよ。
ああ…。

「かみが すきなこ あつまれー!」。

は~い!
ハハハハ…!

長年
ブックデザインをしてきた祖父江と

その本に魅せられたKERA。

2人にとって 本とは…。

ずっと見ちゃうんですよね。 ハハハ…。

あと 何ですかね この…。

重さとかも含めて。

これなんか もう
本当に ずっと持っていたくなる。

持ちたくなりますよねえ。

何だろう? やっぱり…

そうですね。 そうそうそう。

生き物っぽい感じがして…

それですよね。
永遠じゃない美しさですよね。

しかも 本っていう状態と あと それと…

本屋で売ってるときは
まだ 本じゃなくて…

ああ そうですね。

物との関係。

しかも こんなの いてもいなくても
いいような物との関係ですよね。

死なないですもんね。
そうですね。

演劇も見なくても死なないですよね。
死なない。

全然 死なないですね。

演劇なんて 本当に 一瞬で…
見たときで消えていってしまうから。

祖父江の作品に
憧れを持っていたKERA。

実は 負けじと
自分の舞台のパンフレットを手がけ

こんなものを作っていた。

これ うちの芝居の
パンフレットなんですけど。

凝ってますね。
こう いろんな紙を使いたいなって

単純にあったりとか。
印刷所泣かせなことしてますね。

何か… 焼けてたりとか。

穴開けて。

ここで また…。
ここに写真が貼ってあって。

これは高いわ。
これは本物なんです。

これ 全部 手作業じゃないですか?
手作業です。

おお~! 分かれる! すごい!

これを取ると ポスターになるんです。

やりたい放題ですね。 これは大変でしょ。
すごいでしょ。

ほらほら ここが こんな…。
うわっ やばい!

これね 機械 かからないです。
あっ そうなんですか?

引っ掛かっちゃうから
これはできないです。

そうなんです。 あと
こういうプラモデルみたいなパンフとか。

こうやって…。
おいおい おいおい!

こういう いろいろ…。

え~! しかも これ

何冊も入ってる。
そうなんですよ。

何かの付録のセットみたいなのを
やりたくて。

やばい!

うれしい!
祖父江さんが「やばい」って言ってる。

やばい! これ。

♬~


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