アナザーストーリーズ「そして、ルパン三世が生まれた~命を吹き込んだ男たち~」不動の人気アニメ愛され続ける秘密…


出典:『アナザーストーリーズ「そして、ルパン三世が生まれた~命を吹き込んだ男たち~」』の番組情報(EPGから引用)


アナザーストーリーズ「そして、ルパン三世が生まれた~命を吹き込んだ男たち~」[字]


不動の人気アニメ、愛され続ける秘密とは?▽斬新な演出・驚きのどんでん返し!▽日本初の大人向けアニメを創る!初代監督を襲った突然の交代劇▽魔性の女・峰不二子の秘密


詳細情報

番組内容

ルパンが盗んだのはあなたの心!時代を超えて愛される「ルパン三世」の誕生秘話!1967年、日本初の青年向け週刊漫画誌「漫画アクション」が創刊。表紙を飾ったのが無名の漫画家モンキー・パンチ。弱小出版社との出会いが生んだ奇跡。テレビアニメのスタイリッシュで斬新な演出。しかし鬼才の初代監督を突然の交代劇が襲う。その後、宮崎駿、鈴木清順らが新たなルパンを生み出していく。ルパン三世に隠された知られざる物語!

出演者

【司会】松嶋菜々子,【語り】濱田岳


『アナザーストーリーズ「そして、ルパン三世が生まれた~命を吹き込んだ男たち~」』のテキストマイニング結果(ワードクラウド&キーワード出現数ベスト20)

アナザーストーリーズ「そして、ルパン三世が生まれた~命を吹き込んだ
  1. ルパン
  2. ルパン三世
  3. アニメ
  4. 加藤
  5. 清水
  6. パンチ
  7. モンキー
  8. 浄園
  9. 当時
  10. 不二子
  11. キャラクター
  12. 自分
  13. 漫画家
  14. 演出
  15. 吉元
  16. 劇画
  17. 時代
  18. 主人公
  19. 創刊
  20. 作品


『アナザーストーリーズ「そして、ルパン三世が生まれた~命を吹き込んだ男たち~」』の解析用ソース(見逃した方はネタバレ注意)


解析用ソースを読めば、番組内容の簡易チェックくらいはできるかもしれませんが…、やはり番組の面白さは映像や音声がなければ味わえません。ためしに、人気のVOD(ビデオオンデマンド)サービスで、見逃し番組を探してみてはいかがでしょうか?

☆無料で民放各局の動画視聴ができるTVer(ティーバー)!まずはココから!

他にも、無料お試し期間のあるVODサービスが増えてますので、各社のラインナップを調べてみるといいかもしれませんね。

↓NHK関連商品

その泥棒の名を知らぬ者は いない。

(銃声)

なぁに…

神出鬼没の大泥棒は
時代の壁を ヒラリと乗り越えた。

♬~

その泥棒が盗んだのは
私たちの心でした。

怪盗 アルセーヌ・ルパンの孫が

大胆不敵な行動と 奇想天外な発想で
お宝を盗み出し

さまざまな事件を巻き起こす。

不動の人気アニメ 「ルパン三世」。

お調子者で 女性には弱い。

でも いざという時には
飛び切りダンディーになる。

ルパンだけでなく 一癖も二癖もある
登場人物が 何とも魅力的です。

相棒の次元大介は
早撃ち0.3秒のクールなガンマン。

居合抜きの達人 十三代目 石川五ェ門。

ルパンを捕まえることを生きがいとする
銭形平次の子孫 銭形警部。

そして ルパンの敵か味方か分からない
謎の美女 峰 不二子。

このキャラクターたちが誕生したのは
50年以上も前のこと。

「ルパン三世」は
当時 子ども向けが主流だった

日本の漫画界 そしてアニメ界にとって
異例ずくめな作品でした。

「ルパン三世」を生み出した男が
今年4月 亡くなった。

漫画家…

すごい 本当に小さいときに…

自分にはできないけれども
自分を投影して こういうふうに…

日本を代表する多くのクリエーターたちが
「ルパン」に命を吹き込んできた。

今は これが精いっぱい。

スタジオジブリの
宮崎 駿が…。

「ツィゴイネルワイゼン」の
鈴木清順が

自分なりの「ルパン」を描いてきた。

ところが 当のモンキー・パンチは
生前 こんな言葉を残している。

生前 自分の作品について…

…と言っておりました。

「教えのない漫画」。

それがなぜ 国民的な人気を
得ることになったのか。

そこには 半世紀にわたる作り手たちの
出会いと リレーの奇跡があった。

運命の分岐点は 1967年7月25日。

日本初の青年向け週刊漫画誌

「週刊漫画アクション」が
創刊された日です。

創刊と同時に連載が始まったのが
「ルパン三世」でした。

第1の視点は…。

「週刊漫画アクション」で
モンキー・パンチと同時に連載を始めた

漫画家のバロン吉元。

当時 2人は お互いに

漫画家デビューへの突破口を
見つけようと もがいていました。

しかし 一人の編集者が

無名だった新人2人を
新刊雑誌の看板漫画家に起用します。

売れない漫画家と
小さな出版社の出会いから始まる

起死回生のアナザーストーリー。

その漫画家は
よくモンキー・パンチと間違えられた。

似ているのは 風貌だけではない。

2人は デビューも経歴も うり二つ。

「週刊漫画アクション」が創刊された時

2人は 漫画家としての成功を夢みる
無名の若者にすぎなかった。

それが
並み居る売れっ子漫画家を差し置いて

いきなり巻頭を飾ったのだ。

モンキー・パンチの盟友が明かす

「ルパン三世」誕生の舞台裏。

「ルパン三世」を世に送り出したのは
双葉社。

今でこそ ベストセラーや
話題作を連発する

ユニークな出版社として知られている。

しかし当時は 大衆向けの
グラビア娯楽雑誌を出版する

小さな会社にすぎなかった。

話は 半世紀前に遡る。

双葉社の漫画編集者だった 清水文人が

ゴミ箱に捨てられていた 無名の若者の
持ち込み漫画に 目を留めたのだ。

作者は 加藤一彦。

後のモンキー・パンチだ。

加藤と吉元が漫画家を目指していた
1960年代。

少年漫画雑誌が相次いで創刊され
ブームが始まろうとしていた。

しかし 2人が漫画家としての
キャリアを始めたのは 少年誌ではない。

貸本屋に置かれる「劇画」だった。

劇画といえば
子ども向けの漫画では表現できない

犯罪や暴力描写を売りにした
シリアスなストーリー。

そして 刺激的な絵。

まだ貧しかった時代。

貸本屋は大人気で 大量の劇画が出版され
描き手は いつも不足していた。

原稿料は安かったが 加藤も吉元も
劇画の仕事ならあった。

劇画時代に モンキー・パンチが描いた
こんな作品が残っている。

タイトルは 「復讐」。

父親を殺された青年が 犯人の殺し屋に

自分を父親と同じ方法で殺してほしい
という 奇妙な依頼をする。

殺し屋は 青年に目隠しをして
車を崖に突っ込ませる。

飛び降りる殺し屋。

しかし青年は 急にハンドルを切り
殺し屋に復讐を果たす。

なぜ こんなことができたのか?

なんと 額にもう一つ 目があった
という あんまりなオチ。

まさに何でもありの世界だった。

当の加藤は
劇画という枠に限界を感じていた。

後に こんな文章を残している。

やがてテレビが普及すると

多くの貸本屋が潰れ
2人は劇画の仕事を失うことになる。

そんな どん詰まりの中 加藤は

神田の洋書専門の古本屋で見つけた
アメリカの雑誌に

大きな衝撃を受ける。

それが
アメリカのコミック雑誌「MAD」だ。

似顔絵を基本とした

こまやかでリアルな絵柄。

そして 随所にちりばめられたユーモア…。

加藤は 夢中になった。

加藤が「MAD」を参考に作ったのが
同人誌「マニア」。

片っ端から出版社に送ったが
反応はなかった…。

双葉社の清水が 編集部のゴミ箱から
加藤の作品を見つけたのが

ちょうど そのころ。

戦後生まれの若者が 青春を謳歌し

既成の価値観に
「ノー」と叫んでいた60年代。

清水は 子ども向けの漫画雑誌でも
大人向けの劇画雑誌でもない

新たな雑誌の創刊を夢みていた。

そんな時 偶然目にした加藤の絵。

これまでにない独創的なタッチと
ユーモアのセンス。 妙に気になった。

清水の直感だった。

そして 加藤と共に
清水の目に留まったのが 吉元だった。

吉元が貸本屋向けに描いていた劇画。

映画のような躍動感と

アメコミタッチのデッサン力が
際立っていた。

加藤と吉元の2人は
清水が編集長を務める雑誌に

読み切りで作品を掲載する
チャンスを与えられる。

だが 加藤は
清水からダメ出しを受ける。

加藤は 北海道の漁師町から
上京してきた 内気で生真面目な男。

清水を見返そうと
加藤は デッサン教室に通い

女性モデルのヌードを描きまくった。

ふだんは足を運ばないキャバレーへも
取材に行った。

(取材者)
こんにちは。 よろしくお願いします。

当時 清水のもとで働いていた
編集者の…

そして いよいよ清水は
ずっと温めてきた構想の実現に踏み切る。

…の創刊だ。

売れなければ即廃刊 という約束で
強引に社長の了解を取り付けた。

勝負の創刊号には

「これまでにない新しい漫画雑誌」の
意味を込め

「ヌーベルコミック」と銘打った。

ただし 創刊を前に一悶着あった。

2人を柱にするにあたり

清水は 加藤と吉元のペンネームを

勝手に変えたのだ。

それを見て一番驚いたのが
当人たちだった。

「これ 何だ!」って言って。

だけどさ 俺 思うにね…

清水のねらいは
2人の日本人離れした

おしゃれな絵を
強調するため。

外国人が描いている
かもしれないと

読者に
思わせたかったのだ。

新雑誌の巻頭を飾ったのが
「ルパン三世」。

神出鬼没の大泥棒 アルセーヌ・ルパンの
孫を主人公にした 痛快アクションだ。

記念すべき第1作目。

舞台は ヨーロッパを思わせる洋館。

そこへ ルパン三世を追う刑事
銭形が登場する。

ねらいは 極秘資料。

ところが 「ルパン」の名をかたり
悪事を働く別のスパイは出てくるが

当のルパンは なかなか現れない。

(銃声)

最後になって重要な役を果たすのが
三枚目の どうってことない男。

実は 彼こそが
ルパン三世だと明かされる。

斬新なコマ割りに 驚きのどんでん返し。

そして ユーモアも忘れていない。

正義とも 教訓とも無縁な主人公…

バロン吉元も創刊号で
派手なスパイアクションを発表。

少年誌では描けない会心作だった。

清水は 売れ行きが悪ければ
会社を辞める覚悟だった。

ところが…。

それぐらいの びっくりさ。

「ルパン三世」を読んで 吉元は驚いた。

主人公のセリフや
ちょっとした身のこなしが

ある映画を思わせたからだ。

ジャン=リュック・ゴダールの
「勝手にしやがれ」。

フランスの若い映画人たちが
生み出したムーブメント

「ヌーヴェルヴァーグ」の代表作だ。

ジャン=ポール・ベルモンド演じる
主人公は

女性を口説くことばかり考えている。

刹那的で 世間の道徳から外れている。

この映画は
当時の時代の空気を的確に捉えていた。

そして…

スタイル抜群で
ある時は犯罪組織の一員

ある時は秘密捜査官

あげくには 銭形の恋人…。

つかみどころのない
謎の女として描いた。

モンキー・パンチは 後に

「男が憧れる 女性のさまざまな要素を全て
峰 不二子に入れた」と答えている。

時代の風を受けて 颯爽と現れた
登場人物たち。

それは これまでの少年誌にはない
全く新しいキャラクターだった。

これはもう間違いないですね。

♬~

モンキー・パンチが生み出したルパンは
飛び切りクールで ハードボイルド。

そして 「ルパン」の人気を決定づけたのは
何といっても アニメでした。

しかし 原作者のモンキー・パンチは当初

アニメ化は不可能だと
考えていたといいます。

それもそのはず。 当時のアニメといえば
子ども向けが主流で

泥棒を主人公にしたアニメなど
なかったからです。

第2の視点は…。

テレビアニメ「ルパン三世」を
最初に演出した…

従来のテレビアニメにはなかった

リアルでスピード感あふれる
斬新な演出で

原作の世界観を
大胆にアニメ化していきます。

ところが おおすみは
第1シリーズの途中で

降板を余儀なくされます。
そこに何があったのか?

「日本初の大人向けアニメを作る」。

「ルパン三世」に命を吹き込んだ男たちの
波乱のアナザーストーリー。

その男は 84歳になった今も現役だ。

大学で
アニメーションの演出を教えている。

見せてくれたのは…

50年前に作った 企画書。

そこには こう書かれていた。

あの名作アニメの初代監督 おおすみ正秋。

今も我々を惹きつける
早すぎた男の こだわりとは?

(銃声)

そのアニメは 斬新だった。

例えば オープニング。

♬「ルパーン ルパーン ルパーン」

♬「ルパーン」

♬「ルパンザサード」

短いカットと ストップモーションを
組み合わせた演出。

歌詞はなく ジャズロックの曲に

ルパンの名前が 37回コールされるだけ。

第1話 登場人物の説明も
場面説明も 一切ないまま

スピーディーに物語が展開していく。

当時のアニメとしては
全く異例の演出だった。

実は おおすみ
アニメの演出は 本業ではなかった。

人形芸術座という劇団で
前衛的な人形劇を演出していた。

そんな おおすみのもとに
「ルパン」アニメ化の話を持ち込んだのは…

あのキャラクターたち…

アニメ化にあたり おおすみが
徹底的に こだわったことがある。

小道具のメカから
キャラクターの衣装に至るまで

リアリティーに徹するということだ。

その志が
手描きの演出ノートに記されている。

当初 想定されたルパンの愛車は
メイヤーズマンクス・バギー。

当時の日本に2台しかない
スポーツカーだ。

「持ち主から借用して プロのレーサーに
ライブアクションを教わる」とある。

その後 車種は変更されたものの
生まれたのが こんなシーン。

車の重さが 見事に表現されている。

そして 拳銃。

ルパンは 懐に隠しやすい ワルサーP38。

ガンマンである次元は
威力のある コンバット・マグナム。

(銃声)

命を吹き込んだのは
作画監督の大塚康生だ。

大塚は
元麻薬取締官という異色の経歴を持ち

無類のメカ好きで知られていた。

キャラクターの衣装にも こだわった。

「我らがルパンは
ファッションブランドとタイアップし

メンズファッションの決定版をつくる」。

そして 峰 不二子。

スリーサイズまで細かく指定したうえで
彼女のファッションは…

…とある。

実際に当時の最新モードから
任侠映画の女博徒まで

さまざまな服を着こなす不二子が
描かれた。

更に おおすみは
不二子に大型のバイクを操らせ

活動的な性格を強調した。

そういうこと やりながら
作っていったって感じですね。

若者に共感される
かっこいいアクションコメディーを作る。

リアリズムに裏打ちされた
おおすみの美学のもとで

キャラクターたちは
生き生きと動きだした。

おおすみには
もう一つ 意識していたことがあった。

それは
時代の気分を反映させるということ。

アニメがスタートした…

全共闘運動が勢いを失い 若者たちは

「しらけ世代」と呼ばれながらも
新たな生き方を模索していた。

おおすみは ところどころに
けだるげなシーンを挿入。

アンニュイで
どこか虚無感漂う雰囲気を作った。

そして 出来上がった第1話。

試写で これまでにないアニメ作品だと
テレビ局やスポンサーに絶賛された。

当時の子ども向けアニメは

軒並み20%を超える
高視聴率。

ゴールデンタイムでの
放送だけに

視聴率30%を
期待する声もあった。

ところが 第1回目の放送の視聴率は

6.5%と
全く振るわなかった。

その後も視聴率は低迷。

評価は一変し 分かりづらいという
批判の声が高まっていった。

要するに…

おおすみは 家族で
見られるファミリー向けアニメへの

大幅な路線変更を
求められた。

ちょっと考えてみてよ。

おおすみは考え抜いて あえて
キャラクターの説明を省略したが…。

途中から
こんなオープニングに変更された。

(ルパン三世)俺の名は ルパン三世。

かの名高き 怪盗ルパンの孫だ。

世界中の警察が俺に血眼。

ところが これが捕まらないんだな。

(銃声)

(ルパン三世)次元大介 俺の相棒。

早撃ち0.3秒のプロフェッショナル
クールなガンマン。

おおすみは
シリーズの途中で降板。

同時に アニメの世界から
離れることを決意する。

…って言ったら
「そうだね アハハ」みたいな感じで。

後を引き継いだのは

あの 高畑 勲と 宮崎 駿のコンビ。

ハードボイルド路線を
変更し

子どもにも
受け入れられる

コミカルで心優しき
ルパン像を模索した。

その結果 おおすみのルパンと
高畑・宮崎のルパン

タイプの異なる2つのルパン像が
共存することになる。

宮崎 駿は 後に
このファーストシリーズを

こう振り返っている。

しかし 高畑と宮崎のルパンも

視聴率を大きく回復させることは
できなかった。

「ルパン」のファーストシリーズは

23話をもって…

ところが その4年後。

夕方に再放送されると

学校帰りの中高生を中心に
人気が沸騰。

20%を超える高視聴率を
たたき出した。

いやあ やっぱり…

そして 新たに
続編の企画が立ち上がった。

セカンドシリーズには
おおすみは参加せず

代わりに 鈴木清順 高橋伴明など

映画人が次々と参入。

日本を代表する
クリエーターたちが

それぞれの
「ルパン三世」を

作っていくこととなる。

自殺願望のルパンや

孫悟空に扮したルパンまで登場した。

「傷だらけの天使」「俺たちの勲章」で
知られる…

湾岸戦争などの出来事を脚本に盛り込んで
ルパンの活躍の場を広げた。

そういう意味でも…

多くの才能が集い 切磋琢磨したことで

ルパンというキャラクターは
よりたくさんの顔を持つ

自由な存在になっていった。

ルパン三世が誕生して 50年余り。

おおすみが ルパンと関わったのは
そのうちの2年に満たない。

それでも おおすみは

今も ルパンとの深い絆を
感じている。

♬~

多くのクリエーターによって

さまざまな顔を持つ
個性的なルパンが描かれ

いつしか ダークヒーローは
国民的ヒーローになっていました。

半世紀もの間 毎年のように
新作が制作されるアニメは

めったにありません。

なぜ「ルパン三世」は 時代を超えて
愛され続けるのでしょうか?

第3の視点は…。

新作の「ルパン三世」シリーズを
作り続けているプロデューサー…

「ルパン三世」を見て育った彼は 今
ルパンとは何なのかを追求し

新たなルパンを生み出そうと
挑戦を続けています。

変わり続ける ルパン
決して変わらない ルパン。

ルパンの秘密を読み解く
次世代のアナザーストーリー。

今年公開された シリーズ最新作。

主人公は…

消えた5億ドルの行方を知る少年と共に

不二子が殺し屋から追われる逃避行劇だ。

不二子 なんで お前が
あんなガキと一緒にいるんだ?

手がけたのは 「ルパン三世」のアニメが
始まって間もない頃に生まれた

プロデューサーの浄園 祐。

この試写室で
原作者のモンキー・パンチに

自らが制作したシリーズを
見てもらったことがある。

「みんなの不二子だから…」

ルパン三世が生まれて半世紀。

その遺伝子は
どう受け継がれているのか?

浄園は 「ルパン」で育った。

小学校が終わると
いちもくさんに家へ帰り

「ルパン三世」の再放送を見ていた。

「いつか『ルパン三世』を作りたい」。

浄園は 大学卒業後
アニメの制作会社に入った。

「新世紀エヴァンゲリオン」などの
ヒット作にも関わったが 下働きばかり。

過酷な制作現場に
心をすり減らしていった。

そんな時 浄園に思いがけない声がかかる。

「ルパン三世」を作ってきた会社から
うちに来ないかと誘われたのだ。

浄園は 「ルパン」に関わる仕事が
できるならと

アニメ業界を辞めることを
思いとどまった。

「ルパン三世」を制作する部署に
配属された 浄園。

最初に任されたのは
現像されたフィルムを回収する仕事。

それでも 至福の時間だったという。

入社して11年。

浄園は 自分にしかできない
新しい「ルパン」に挑戦したいと思い

一つの企画を提案する。

それが 「GREEN vs RED」。

何十人もの偽ルパンが現れる中

緑のジャケットを着た
ファーストシリーズのルパンと

赤のジャケットのセカンドシリーズの
ルパンが対決するという物語。

「ルパンとは何者なのか?」を
改めて問い直した

浄園のプロデューサーとしての
デビュー作だ。

そこには 今まで さまざまなルパンを
生み出してきたクリエーターの

「世代交代」という意識も込められていた。

更に 浄園は

ルパン以外のキャラクターを
主人公に据えた…

視点を変え 登場人物たちの違う魅力を
引き出していこうという試みだ。

貸金庫の暗証番号を
教えてくれないかしら?

最新作の「峰不二子の嘘」。

大金を引き出すため 子どもに近づいた
不二子だったが

子どもを守るため 自ら戦いに身をさらす。

峰 不二子の新たな一面
「母性」が かいま見える作品だ。

シナリオの設定とか セリフ含めても
もう非常に後味が悪いのに…

浄園のオファーで
このシリーズの監督を任された…

小池も また 子どもの頃

夕方に再放送された「ルパン三世」を見て
育った世代だ。

第1作は 次元大介が
ルパンと相棒になる前のエピソード。

殺す気か 次元大介。

ルパン三世 どうして
ここが分かった。

原作に返って
ハードボイルドなイメージで描いた。

それを どんだけ…

この「次元大介の墓標」の制作中

浄園には 忘れられない出来事があった。

ルパンの声は 初代の山田康雄から

栗田寛一に引き継がれていた。

次元の声をアニメ第1作から演じてきた
声優の小林清志が

栗田に こう言ったのだ。

そうして生まれたのが

ルパンと次元が背中合わせに会話する
このシーン。

勘違いするな。
俺とお前は あくまで

ビジネス上のパートナーだ
仲間じゃない。

ああ そう 勝手にしな。

ルパンの声を演じる栗田貫一。

ものまね出身だけに
それまでは ずっと自分の色を消し

山田のルパンに
似せようとしてきたという。

「ルパンの世界は
関わった誰もが 自分の色を出せる」。

愛され続けてきた秘密は
そんなところにも あるのかもしれない。

…かなと 僕は「ルパン」を思ってます。

♬~

「ルパン三世」に魅せられた
クリエーターたちにとって

ルパンとは
自由の象徴だったのかもしれません。

ルパンの生き方を象徴する
こんなセリフがあります。

いつの時代にも ルパンは颯爽と現れ

痛快な活躍で 私たちの心を
とりこにしていくことでしょう。

半世紀前 「ルパン三世」を生み出した
無名の漫画家…

当時を知る原は

編集者の清水文人との
出会いがなければ

ここまで愛されることはなかったと言う。

そして あの絵なんですよね。

2人の出会いを描いた漫画が
今 話題を集めている。

執筆したのは 吉本浩二。

吉本には
生前のモンキー・パンチから聞いた

忘れられないエピソードがある。

50年以上前に 2人の男が出会った奇跡。

ルパンの物語は
これからも続いていく。


関連記事