先人たちの底力 知恵泉「江戸川乱歩(前編)~好きを仕事にするには?~」少年の頃からの推理小説オタクで…



出典:『先人たちの底力 知恵泉「江戸川乱歩(前編)~好きを仕事にするには?~」』の番組情報(EPGから引用)


先人たちの底力 知恵泉「江戸川乱歩(前編)~好きを仕事にするには?~」[解][字]


少年の頃からの推理小説オタクで、その書き手となり、評論、編集者としても活躍。ミステリー小説を一大ジャンルに育て上げた功労者、江戸川乱歩の知恵を2回にわたって探る


詳細情報

番組内容

自分の“好き”を仕事にするのは理想だが、容易ではない。大正デモクラシーの時代、それを成し遂げたのが江戸川乱歩だ。少年の頃から大の推理小説オタク。旧乱歩邸を訪ねると、そのオタクぶりを示す膨大な蔵書と驚がくの資料が…!乱歩は好きな世界で食べてゆくために、20回も転職を繰り返し、やっと売れっ子作家になったのに、休筆と放浪を繰り返した。それは“好き”を仕事にし続けるための、逃走、あるいは闘争だったのか…?

出演者

【出演】いとうせいこう,高見侑里,江戸川乱歩の孫(出版社社長)…平井憲太郎,金城学院大学教授…小松史生子,【司会】新井秀和



『先人たちの底力 知恵泉「江戸川乱歩(前編)~好きを仕事にするには?~」』のテキストマイニング結果(ワードクラウド&キーワード出現数ベスト20)

先人たちの底力 知恵泉「江戸川乱歩(前編)~好きを仕事にするには?
  1. 乱歩
  2. 仕事
  3. 自分
  4. 本当
  5. 作品
  6. オタク
  7. 放浪
  8. 面白
  9. 小説
  10. 探偵小説
  11. 平井
  12. 小説家
  13. 今日
  14. 雑誌
  15. 日本
  16. ジャンル
  17. スクラップ
  18. トリック
  19. 休筆
  20. 江戸川乱歩


『先人たちの底力 知恵泉「江戸川乱歩(前編)~好きを仕事にするには?~」』の解析用ソース(見逃した方はネタバレ注意)


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好きなことを仕事にできたら
いいですよね。

ん! えっ! そんな展開…。
高見さん ここじゃないですか?

あっ ここですね。
ここだけど…。          こんばんは。

全然 あの人…。
ちょちょっ… ちょっと待って。

今 いいとこなんで
ちょっと待ってもらっていいですか。

待ってとかありますかね お店で。
もう入っちゃっても いいですかねえ。

お店をかえればいいんじゃないですか?
単純に。              まあ でも何か…。

いやいや お店かえるとか…。 あっ ああ!
すいません。

これは いとうせいこうさんと
高見侑里さんじゃないですか。

失礼しました!
失礼というか ものすごい読んでた…。

すいません 失礼しました。
お皿は かえてないしね。

すいません すいません。
これ 前のお客さんの そのまんまで。

何を読んでいるんですか?
いや 私 今ね

「怪人二十面相」を読んでいたんですよ。
これ懐かしいな このカバー。

お読みになりました? いとうさん。
中学の時 大体 この辺を

こう いくものですよね。
うんうん。        いくけど

親に言いづらい感じがあるんですよ
乱歩には。

何か ちょっとヤラシイような感じの…。
今も ちょっとだけ

隠してた時の自分が よみがえりますよね
これ見ると。

小学生の時に読んで
でも その時は ただ怖いなっていう

そういう印象だったんですけど
大人になって読み返したら

何か 乱歩ワールド すごいなっていう。
なるほどね。

いや お二人も お好きということですから
今日は もう私の独断で

この江戸川乱歩 おススメしちゃいますよ。

日本を代表する名探偵
明智小五郎。

(銃声)

二十の顔を持つ 神出鬼没の大怪盗
怪人二十面相。

誰もが知る
キャラクターを生み出し

ミステリーというジャンルを
日本で確立した人物。 それが…

しかし 乱歩の作家人生は
決して順風なものではありませんでした。

というのも 乱歩が若い頃
探偵小説は 翻訳物が主流で

それも低俗な読み物と

世間から
相手にされていませんでした。

当然 日本では
探偵小説で食べていけるはずもなく

乱歩は 大学生の時にアメリカに渡り

探偵小説家になることを
考えたほどでした。

結局 お金がなく 渡航を諦め
貿易会社に就職しますが

探偵小説家の夢は諦めきれず

僅か一年で退社。

結婚後も転職を繰り返し
28歳で親の家に出戻る始末。

当時のことを 乱歩は こう書いています。

こうして書いた探偵小説が
編集者の目に留まり デビュー。

夢を現実にした乱歩は

大正14年 代表作の一つ
「屋根裏の散歩者」を発表。

他人の生活を のぞき見したいという

人間の奥底に潜む欲望と
殺人を結び付けた

独特な乱歩ワールドが評判となり

一躍 流行作家になります。

ところが
日本が戦争の時代を歩んでいた

昭和14年 乱歩の作家人生は一変します。

手足を失った傷痍軍人と
その看病をする妻の

サディスティックな視線で描いた
「芋虫」に

内務省が全編削除を命じ

更に 探偵小説は
犯罪を誘発するとの批判から

それ以前の作品も発売中止。

およそ10年
休筆を余儀なくされながらも諦めず

戦後 明智小五郎と怪人二十面相が戦う…

最後まで探偵小説を書き続けました。

一体 どうすれば
乱歩のように 好きなことを仕事にし

生涯をかけることができるのでしょうか。

今回 乱歩の生き方から
好きを仕事にする知恵を読み解くのは…

いとうさんは
ジャンルを問わず 多方面で活躍する

多芸多才な
マルチクリエーターといわれる人物。

大学時代は 芸人としてステージに立ち

卒業後は 大手出版社に就職。

若者向けの雑誌の編集者として
活躍しますが 2年半後に退社。

♬~

アルバム「業界くん物語」をプロデュースし
いち早く日本語ラップを披露するなど

ミュージシャンとして
話題になります。

NHKのトーク番組「土曜倶楽部」の
司会者に抜てきされ

若者に 頼もしい先輩として
支持されます。

言ってほしいわけよ。 ちょっと
違うんじゃないかなとかさ。

そして 27歳で書いた
「ノーライフキング」が

三島由紀夫賞の候補作に選ばれ
小説家としてもデビュー。

肩書は
年齢とともに 多岐にわたっていますが

「どれも好きで始めた仕事ばかり」と言う
いとうさん。

転職を繰り返しながらも

小説家という 好きを仕事にした
江戸川乱歩の知恵を

どう読み解くのでしょうか。

いとうさん 「何をしてるんですか?」って
聞かれたら

何て お答えしてたんですか?
結局 ものを作るから作家だって言って。

まあ 自分は やっぱり 書くことは
すごく 個人の仕事として

こう 一個あるわけですよね。 でも ほかに
例えば 音楽をやるんだったら

ほかの人たち ミュージシャンと
一緒に作るじゃないですか。

で 芝居をやるなら
また共同作業があるじゃないですか。

共同作業と個人作業は
やってることが 何か違いますよね。

割と そういう
一つのところにいると もう嫌になって

次のところ 行きたくなるっていう。
いや~ でも その 好きなことを

どんどん 見つけるっていうのが
何だか 羨ましいなといいますか

なかなか こう 日々生きていて
「これに没頭する。

これ 大好きだ!」っていう熱を持って
のめり込むことができることが

なかなか 少ないから…。
確かに 異常な好奇心だけはあるんですよ。

言われたら。
例えば ここに これがあって

僕 そんなに今は
もう お酒飲めないんですけど

30まで下戸で
急に飲めるんじゃないかって分かって

20年間 ものすごく飲んだんですよ。
その時は 世界地図を描いて

世界地図の「ここのを飲んだ。
ここのを飲んだ。 アイルランドの

ここの酒造は飲んだ」とかって
こうやって やっていくんですよ。

でも 20年たつと 体がついていかなくて
やめちゃうんですよ。

そういう 何かこう カ~ッとなって
カ~ッと終わるみたいな。

それ 20年やってたんですね。
やってたんですよ。

いや 今日は ちょっとね
乱歩のお話をするのに ぴったりですよね。

本当ですか?
ええ。 このあとね
見ていくと分かると思いますんで。

ということで 今日 私
こんなメニューを用意させて頂きました。

ということなんですね。

普通に おいしそうなだけっていう感じが
しますね。 ランプ肉と秋なすでしょ?

そうなんですよ。   いいじゃないですか。
ただ 今日はね…。  早く出して下さいよ。

いやいや… ちょっと待って下さい。
今日 これ「好きな仕事をするには」

というテーマじゃないですか。
ランプ肉 ランプに… ランプに聞け。

「き」って ないじゃない。
「き」なんか ないじゃない。

「ランプ肉」っつってんだもん。
(笑い声)

えっ?

す…? あっ 「仕事」っつってんの?

無理やり感が すごい。
そうですね。

好きな仕事に就け?
好きな仕事に就け。

なるほど。
あまり
ぶり返さないで頂いていいですかね。

分かりました 分かりました。
傷口が深くなっちゃって ちょっとね。

さあ 今日は その乱歩が どうやって
好きな小説家の仕事に就いたのかを

味わっていこうと思うんですけれども
実は 私ね この前

乱歩が かつて住んでいた家に
ちょっと行ってきたんですよ。

すごいですね いいですね。

立教大学のすぐ隣に
江戸川乱歩が昭和9年から

亡くなる昭和40年まで住んでいた家が
今も保存されています。

現在 ここは大学が管理し
一般の人の見学も許可されています。

こんにちは。
あっ いらっしゃいませ。

どうも 知恵泉店主の新井と申します。
ようこそ いらっしゃいませ。

平井さんでいらっしゃいますか?
はい そうです。

こちらの 平井憲太郎さん

実は 乱歩のお孫さんなんです。

今回は 平井さんの案内で
ふだんは見ることができない場所を

見せてもらえることになりました。

あれ? これは…
ここは 何のお部屋ですか?

客間というか 応接間。
応接間。

かなり晩年になって建てた部屋で

何か 外国から
お客さんが見えるっていうんで

急きょ
一念発起して造った部屋のようです。

そういうことですか。

これは あれですか
平井さん 机ですよね?

ご覧のとおり 机なんです。
ということは ここで

乱歩さんは書いてた?
まあ 実は これは本当に調度品。

あっ そうですか。
ただ 雑誌の取材なんかで

執筆風景で これを撮ったことはあります。
ある意味 やらせです。

そうですか。
はい。

まあ 明治の人間なんで 椅子に座ると
落ち着かなかったみたいですね。

仕事は 座卓とか こたつで
普通に 畳に座ってやってました。 はあ~。

まあ 一番大切だったものを
大事に しまい込んでいた蔵があるんで

そちらに ご案内いたします。
蔵?   はい これです。

あっ 立派な蔵ですね。

そうなんです。 これがあるから
このうちに引っ越してきたって話です。

あっ この蔵 目当てに
ここに引っ越してきたんですか。 へえ~。

えっ 平井さん これ…。
まあ いろんな本があるでしょう。

図書館じゃないですよね?
まあ 図書館じゃない

プライベートなコレクションですから。
プライベートの蔵ですよね?   そうです。

えっ これ どれぐらい数があるんですか?
まあ 2万とか いわれてますけどね。

乱歩が集めた本の中には
オークションで落札した希少本や

戦後 没落した名家が手放した資料なども
数多くあるそうです。

乱歩は それらの本を
棚ごとに分類しています。

こちらは 犯罪関係の本が並んだ棚です。

犯罪心理学や殺人捜査などは

事件やトリックを考える時に
参考にしたかもしれません。

この書庫を見た ある人が
こう言ったそうです。

まるで…

こっちに来ると
突然 横文字になるんですね。

あっ 本当ですね。 あれ 洋書が…。

ここは みんな ほとんど英語ですね。

英語のミステリーです。
へえ~。

乱歩が洋書を集め始めたのは 戦後。

闇市を回り アメリカ兵などが
置いていったミステリーを見つけては

買い集めたのが きっかけなんだそうです。

この洋書ミステリーのコレクションは
作家仲間の間でも有名だったそうです。

ご覧のとおり
インデックスがついているんですよね。

何か このアルファベットが。
そうそう
本の背についてあるアルファベットは

本人がつけたんですけど。
あっ そうなんですか。

これは 作者のファミリーネームの
イニシャルです。

学校の図書館と同じですよね。

本当 そうですよね。 ははあ~。

必要な時にパッと手に取れるように。
そう 手に取れないとストレスがたまる。

へえ~。
ちょっと なかなか
面白いものがあるんですよ そこに。

その手に取ってね ないと腹が立つんで…

これですか?
はい 貸すと入れるんです。

本来は ここにあったと。
そうそう。
田中さん まだ返してないんです。

田中さん! 田中さん これ見てたら
返して頂きたいですね。

そういうわけに いかないですね。
でも すごいですね そこまで…。

こういうことに対する執着心は
すごいと思うんですね。

何て言うか これは
きちょうめんと言ったらいいのか

収集癖みたいのがあった?

まあ そろわないと落ち着かない
というのはあるでしょうね。

やっぱり コレクションで欠けてるものが
あると それを集中的に探すみたいな。

まあ 元祖オタクでしょう。
オタクっていう言葉は

すごく新しい言葉ですから
本人は知らなかったと思うんですが

やってることはね
本当に 一つのことに執着心が強くて

それで出来上がった姿を尊ぶというか

パーフェクトを目指すという点では
まあ オタク元祖かもしれないですね。

オタクですか。
ええ。                 はあ~。

乱歩は 洋書のミステリーを
読むだけでは満足せず

あることを始めたと言っています。

始めると とことん こだわる乱歩。

海外ミステリーの
トリック分析だけでは不十分だと

国内の推理小説の分類にも
取りかかります。

そして 作り上げたのが
こちらの「探偵小説トリック分類表」です。

乱歩は 883の作品で使われたトリックを

「犯人・被害者・盗品の隠し方トリック」

「犯罪手段のトリック」など

8つの項目に仕分けしました。

その上で
例えば 「人間に関するトリック」では

一人二役の作品が 118。

その内訳は 被害者が犯人の作品が53

犯人が架空の人物に化けた作品が26
などというふうに

オタクでなければ やらないような
分析を行っています。

乱歩は これを
どう利用したのか書いていませんが

もしかしたら あまり使われていない
トリックを探り

自分の作品に
使おうとしたのかもしれません。

乱歩のオタク気質満載の資料が
ほかにもあります。

それが こちらの「貼雑年譜」です。

これは 乱歩が
自分に関する資料をスクラップした

自分史ともいえるものです。

現在 オリジナルを見ることは
できませんが

完全なレプリカを
平井さんに見せてもらいました。

これがね なかなか面白いんですよ。
面白いところばっかりなんですけど。

えっ これ何ですか? 東京の…?
東京の地図なんです。

右が北になってますね。
ええ。

これが要するに うちの祖父が
東京で住んだことのあるうちの

一覧表なんですね。
ええ?

自分の住んだ地図を
作ってるってことですか?

そういうことです。 引っ越しの履歴です。
え~?

なんと 乱歩は 自分が住んでいた家と

引っ越した順番が分かるように
数字をつけ

住所と そこに住んでいた年月日を
一覧に まとめているんです。

最終的に 46軒目で
先ほどの家に来たということで。

そういうことですか。 ということは
45回 引っ越しをしてるってことですか。

そういうことですね はい。
はは はは はあ。

乱歩のオタクっぷりは

生まれた時に住んでいた家のページを
見ても分かるそうです。

ここに1番と
書いてありますが
これが三重県の名張市。

ここからスタートしたんですね。
ここで生まれたんですね。

で これが…。

これは何ですか? 間取りですか? これ。
ここに こう書いてます。

太郎って名は 本人の本名ですけど
「太郎出生より2歳6か月まで」。

生まれた家ってことですか?
そういうことです。

…の間取り?              間取り。
え~!

2歳6か月ですよ? だから 多分これは
自分の祖母とか母から

聞き出したんだと思いますよね。
あ~ そういうことですか。

聞いて それを多分 絵にまとめて。
ですから ここに

「この辺にて洗濯する」とか書いてある。
本当だ。 通りがあって 川があって。

いつも ここで洗濯をしていたわけですね。
そんな記録まで残しているんですね。

先ほど 蔵の中でもオタクっていうふうに
おっしゃってましたけれども

何か こういうところからも
そういうのって… どうですか?

まあ 楽しいんですよね これが
きっと やってることがね。

う~ん。

えっ でも こういう探究心といいますか

いろいろ知りたいっていう
性格っていうのは

小説を書くっていうところと
つながる…。       どうなんでしょうね。

本当に 分類とかいうことは やることに
どれほどの意味があったかどうか

今 よく分からないんですけれども
確かに…

探偵小説家 江戸川乱歩。

その成功は とことん好きを探求する

オタク精神にあったのかもしれません。

やってますか?
あっ いらっしゃい。

どうも こんにちは。
お待ちしておりましたよ。

平井さん
先日は ありがとうございました。

いいえ こちらこそ 失礼しました。
ご本人でいらっしゃいますからね。

平井憲太郎さんが

乱歩を研究されている
小松史生子先生を連れて

来店して下さいました。

家の中の おじい様としては 平井さん
乱歩さんは どのように映ってましたか?

僕から見たら 普通のおじいちゃんなんで
まあ 一般のおじいちゃんにあるように

優しい おじいちゃん。 まあ 孫ですからね
こっちは。 大事にされますよ。

でも 僕らからしてみたら
あんな おじいちゃんだったら

いいなって思うような
おじいちゃんですよ。 趣味が

すごく いっぱいあって
しつけとかより前に 自分が楽しいこと

しちゃってるっていう感じが
あるんですけど。

そうですね。 だから「ああせい
こうせい」って言われたことは

一回もないし。
ああ そうなんだ。

何か おじいちゃんが小説家で
あんなに本があったら

どれを読んだらいいのかとか
いろいろ教えてもらえそうな気も

しなくもないけど。 確かに。
でも それは言われたことがない…。

自分の趣味を押しつけない感じなんじゃ
ないんですか やっぱり。

我が道は自分で見つけろっていうね

そういうポリシーがある人だったと
思いますし それから やっぱり

お孫さんに 自分が小説家ですから
自分の作品読めって

言いそうなんですけども
これ言わないのは

まあ シャイであったということも
あるんですが もう一つですね…

乱歩を ちょっと読んではいけない
というような学校教育とかね

そういうこと
今でも あったりするんですけども

そういうことを おもんぱかって
あまり強く薦めなかったっていうことは

考えられますね。
なるほど。               はい。

VTRの中で「貼雑年譜」っていうのがね。
スクラップ!

出たじゃないですか。
も~う オタクは やるわね! 本当。

僕の知り合いもやる。 子どもの頃から
自分のことをスクラップで表して表して

こんなあるんですもん。
そうなんですか。

でも まだ 生まれた場所
次に引っ越した場所って

こう 地名を書き記すくらいだったら
分かるんですけど

もう 生まれた時の家の間取りですとか
ここで洗濯していたんだろうとか

探究心が ほかの人よりも
深いところにあるなって。

やっぱり そこ小説家だと思うんですよね。

あれを見たら 多分 小説1本書けちゃう。

こういうふうに光が 夏は入ってきてって
うそも何も

そういう行為が分かっていれば
全部 書けますからね。

本当に 人に聞いて人に聞いて人に聞いて
完璧にしようとしてるんですからね。

覚えてるわけないですからね。
そうですよね。

でも 何で これ作ったのかって
気になりません?

あっ 気になります。
ねえ?   はい。

そういうところがあると思うんですよ。

だから結局 スクラップは
あれ 私小説ですよね だから。

究極の私小説ですからね。
そう 究極の私小説。

発表はしなかったけれども
乱歩っていう人は そこに私小説を

書いたんだなっていうふうに
僕は ちょっと見ましたね。

スクラップというよりは
人に見られることを意識してますよね。

そうですよね! 読者をね。
(平井)そう。

さて 「とことん何かを愛する

『オタク』になれ」という
知恵でしたけれども。

どうやって好きなことで
食っていけばいいんですかって言うけど…

食っていけなかったとしても…

あとから たまたま
食っていけるやつが出たとか。

僕の周り見ると。 やっぱり
好きで ずっとやってるやつは

信頼感が持てるんですよね。
あいつに仕事させてみようとかって。

周りも心配だし。 そういう意味でも…

好きなことは へこたれないですよね。
そうですよね。 そうです そうです。

本当に。 いや それもね 僕 見てて
すごく 本とかカードとか見てて

あっと思ったんだけど…

「これだけは やっておけ」って
言われるんだけど

集めものは 割と
そういう すてきなこと…

で ちょっとだけ言うっていう。
「あれが手に入ってよ。

俺んとこ あるんだけど」って言うのが
いいっていう。

だから何か そういう粋な感じの
遊び人の感じが すごいあるなと思って。

まさにそうですね。 「幻の女」っていう
アイリッシュという有名な作家の書いた

作品があるんですが あれも洋書を
乱歩が欲しくて探していたら

タッチの差で もう一人
お客さんいたんですけども

タッチの差で
買い取ることができたっていう

そういう回想もね 書いてたりしますので。
よっぽど うれしかったんですね。

でも オタクって
そういうもんですからね。

やっぱり コンプリートするってことが
ものすごい快感だから。

そういう人は 欠けてると嫌だって。

ここんところが またちょっと
ちょっとだけ… 普通のオタクと

ちょっとミステリーオタクじゃない
もう一歩先が

作家としての動機みたいなものも
ありますよね。

要するに いっぱい集めて
いろいろ知ってるけど

「ちょっとだけ書いてみない?」って
言う方がエディターじゃないですか。

乱歩は2人いて
「ちょっと書いてみない?」っていう

自分に言う乱歩と「じゃ しょうがない
書いてみるか」って

まあ 遊んでみるかってことだと
思いますけど 僕は。

乱歩の場合は もう一つ
やっぱり 時代の背景があって…

日本の文壇の中で探偵小説っていう
ジャンルが まだ れい明期で

ほとんど作家がいなかった
時期なんですよね。

探偵小説を読みたいっていうと
海外の翻訳を読むとか

そういった形だったわけなんですよ。
その時に やっぱり乱歩が…

自分 知識もあるし
やってみようみたいな。

まだ 30ちょっと前辺りなので
これぐらいのレベルだったら

自分も書けるっていうね。 オタクって
ちょっと そういうところあるんですよ。

知ってるからね。     はいはい。
じゃあ 先生 やっぱり

そのオタク的な気質というか
探究心とか執着心っていうのは

もう小説を書く上ではプラスになってた
ということなんですね。

特に探偵小説作家としての
アイデンティティーには

ものすごいプラスになってたと思います。
というのも 具体例 挙げると

大正14年辺りに「白昼夢」っていう
短編を書くんですけれども

人間のご遺体ですよね 死体を

そのままの形で
保存したいっていうことなんです。

屍蝋っていうやつなんですね。 屍に
蝋燭の蝋って書くわけなんですよ。

で 乱歩は
その「白昼夢」っていう短編を書くために

小酒井不木という先輩作家に
この人 お医者さんなんですけれども

わざわざ 手紙で問い合わせて
屍蝋の作り方を教えて下さいって。

やりますね。 さすが。

相手の小酒井不木先生も
探偵小説書いてるので

やっぱりオタクなので
ものすごく調べて下さって

一生懸命 答えて下さった。 うん。
それを基に書く。

でも ちょっと
間違っちゃったみたいな話が…。

…も あるけど。
ええ。

さあ そんな乱歩は
一体 どうやって小説家になって

その仕事を続けていくことができたのか
ということなんですけれども

続いての知恵 味わってまいりましょうか。
はい。

日本の推理小説の父とも呼ばれる
江戸川乱歩。

その作品数は およそ140。

同時代の作家 柴田錬三郎の作品が
およそ1, 130なので

かなりの差があります。

その理由を
乱歩は新聞に こう書いています。

実は 乱歩 嫌になると我慢せず
逃げてしまうのです。

例えば 24歳の時のことです。

知人の紹介で就職したにもかかわらず
仕事が嫌になったからと

押し入れに隠れ 出社を拒否。

そのあと 夜逃げします。

小説家になっても 執筆が嫌になると

新聞の連載でも
病気と称して 穴を開けることも度々。

ようやく連載が終わると

もう自分には書けないと 休筆を宣言。

家族を残し
1年以上 放浪することもありました。

でも 乱歩の場合
逃亡や放浪のあとに

代表作といわれる作品が
数多く生まれているんです。

乱歩の逃亡癖は 中学生の時に始まります。

もともと 内弁慶で

友達と遊ぶより 一人で空想の世界に
浸る方が好きだった乱歩は

周りから浮き いじめの標的にされました。

これで学校嫌いになった乱歩は
病気と称しては さぼり

中学校には
半分しか出席しなかったといいます。

一方 好きなことには
努力を惜しみませんでした。

空想好きが高じ 探偵小説家を
夢みるようになった乱歩は

自分で雑誌を発行しようと

資金集めのビラを作っては
貼って回りました。

こちらは 乱歩が作った雑誌です。

この時のペンネームは 笹舟。

小学校近くの文房具店に置いてもらい
かなり売れたそうです。

探偵小説家を
夢みるようになった乱歩ですが

夢が簡単に実現するわけもなく
早稲田大学を卒業後に就職したのは

大阪の貿易会社でした。

この平井太郎というのが 乱歩の本名です。

ところが乱歩は
1年もたたないうちに辞表を提出。

放浪の旅に出ます。

この名刺
全部 乱歩のものです。

どんな仕事に就いても
半年くらいしか続かず

8年の間に
14~15回 転職を繰り返し

ラーメンの屋台を
引いたこともありました。

乱歩は転職の理由を こう書いています。

そんな乱歩に 28歳の時 転機が訪れます。

それまで こつこつと書きためていた
草稿を基に

探偵小説を書き上げたのです。

それが「二銭銅貨」でした。

その内容は 南無阿弥陀仏に隠された
点字の暗号を解き…

原稿を読んだ雑誌の編集長が
その面白さに掲載を決め

乱歩は ついに作家デビュー。

その後 人間の奥底に潜む欲望と
殺人を描いた「屋根裏の散歩者」や

「人間椅子」が発表されると
独特な乱歩ワールドが大評判になります。

こうして
流行作家の仲間入りをした乱歩ですが

つらくなったら逃げるという行動は
変わりませんでした。

昭和2年3月。

乱歩は 休筆を宣言し
一人 放浪の旅に出たのです。

その理由というのが
前の月に連載を終えた

新聞小説「一寸法師」の出来に
嫌気がさしたというものでした。

乱歩は 明智小五郎と
謎の人物 一寸法師を巡る

本格推理小説を 初めての新聞小説に
書こうと意気込みます。

しかし 締め切りに追われて
構成が うまくいかなくなり

ついには 穴を開ける始末。

それでも なんとか連載を終了し

映画化の話が来るほど
評判は よかったのですが

乱歩は不満だらけで
小説を書くこと自体に嫌気がさし

放浪の旅に出たのです。

行き先について 乱歩は
「探偵小説四十年」に こう書いています。

この時の放浪は1年2か月。

その後も 嫌になると筆を置き

休筆した回数は4回
延べ17年以上にもなりました。

ところが面白いことに
乱歩は 休筆から復帰した時の作品が

代表作と呼ばれるくらい
高い評価を受けています。

例えば
1回目の休筆後に書いた「陰獣」は

横溝正史に
乱歩の最高傑作と絶賛され…。

3回目の休筆後に生まれたのが
「怪人二十面相」なんです。

もしかしたら 乱歩にとって
つらいことから逃げるのは

好きな探偵小説を
仕事として続けるための

大事な休養期間だったのかもしれません。

本当 潔いですよね 乱歩って。
もう つらくなったら逃げるって。

思い切って休むっていうことって
大切なんですね。

多分 休まなかったら
意に沿わないこと書いちゃうわけですよ

締め切り来ちゃうから 物書きは。
それが出たら

また すごく自己嫌悪になるから
自分を救う手は

やっぱり 休むことっていうか
そこを書かないっていうこと以外に

ないんですよね。
でも 先生 その放浪の期間ですよね。

乱歩は あらかじめ決めてたんですか?
難しいですけれども

ただ1回目の 先ほどの
「一寸法師」のあとの放浪っていうのは

彼も まだ若い時期でしたので
そういう計画的にね 1年間とか

そういうことは決めてない。 あれは
横溝正史がね 追っかけてきたんですよ。

乱歩に小説を書かせたくって。
追っかけて追っかけて

名古屋で捕獲されてしまったんです。
(笑い声)

それでアウト? 終わり終わり。
そうです それでアウト。

それで「新青年」という その時
横溝が編集長をやっていた雑誌に

書かせたのが「陰獣」だった… ええ。

なるほど そういうことなんだ。

さあ この知恵が「つらくなったら
『逃げろ!』」でしたけれども どうですか?

僕も それ…
放浪は ちょっと できないですけど

いろんなことをやるって
人に言われますけど それは

ずらして逃げていってるんですよね。

やっぱり 飽きちゃうから…。
音楽だけっていうと飽きちゃうから

また小説に帰ろうとかっていうのを。
いつも移動していると

この差から 何かが生まれることが
すごく多いんですよ。

特に小説って 雑多な知識が
ものすごく生きるジャンルなので

いろんなとこで
いろんなやつを知ってる方が

ものを書きやすいんですよね
戻ってきた時に。

それって その何て言うんですかね

インプットと
アウトプットの関係といいますか

いとうさんも いろんなジャンルの仕事を
されていると思うんですけども

いろんな刺激を こう
どう生かそうかとかっていうのは

常に考えているわけなんですか?
考えてるっていうか

多分 一番… 自分は新しいこと
したいわけじゃないですか

乱歩さんも僕も。 そうすると
計画的に ものを入れても

新しいものって出てこないんですよ。

計画の中には 古いものしか生まれない。
そうすると 全然違う…

例えば これに凝っちゃって ものすごい
焼いてみちゃったりなんかして

3年ぐらい どっかに
山に籠もっちゃっての時の方が

圧倒的に訳の分かんないものが入るから

アウトプットが
絶対 面白くなるじゃないですか。

でも 先生 その放浪の旅の話ですけれども
乱歩にとっては 旅を通して

やっぱり 自分は
小説が好きなんだっていう

何か 確信につながるようなところって
あったりしたんですか? その期間が。

そうですね。 自分の小説の世界観を
やっぱり 覚悟を決めて

取りかかるかどうかっていう
迷いの時期だったと思うんですね。

それを 三重県の鳥羽辺りで
いろいろ こう悩んでいて

そこで考え出した作品の一つが
初めての長編っていわれる

「孤島の鬼」なんですが
この作品は 乱歩が それまで

自分は好きだったんだけども
絶対に作品には におわせなかった

同性愛を持ち込んだんですね。 やっぱり
これを文学で書くっていうのは

すごい冒険だったわけで
それを覚悟を決めて やっぱり書いた。

現在は それが
代表作の一つになってるんですけども

自分の自信を確固としたものにするのに
その方針をね…。

時間が必要だったという。
そう 時間が必要だった! はい うん。

その一歩を踏み出すことって
とっても勇気がいると思うんですけど

それで言うと いとうさんも これまで
新しいことを始めるにあたって

例えば ラップとかって
すんなり受け入れられたんですか?

全然! 全く理解されてなかったけど
でも やっぱり好きだから

その音楽が めっちゃめちゃかっこいいし
成り立ちも面白い。

これ日本語でやると
日本語が面白くなるぞとかいうのは

自分の確信みたいのが
妄想かもしれないけど あるので

へこたれないですよね
やっぱり 好きだから。

好きじゃなかったら 誰かに
「あれ やった方がいいよ。

ちょっと お金になるから」って言われたら
へこたれてたと思うけど

好きだから 何てことなくやって…
分かってくれる人がいれば いたで

うれしいし。
いや でも改めて 何か

好きなことを仕事にできるって
本当に幸せなことですよね。

好きだからといって
その仕事に就けるかどうかっていうのも。

平井さんから見ても おじい様は
本当に好きなことを

仕事にされてるなと…?
やっぱり
好きだったことは 間違いないですよね。

でも できない時にも…

あ~ そうそうそう!

あの… 積極的に生きてるんですね。
何かを探して面白いと思うっていう。

今 これしかできないんだったら
これを楽しいと思うしかないみたいな。

そうだ そのとおり。
何か
ちょっと心が一つになったところで

最後に いとうさんに伺いましょうかね。
はい 何ですか?

いとうさんが考える 好きを仕事にする
極意って何でしょうかね?

好きを仕事にする極意は…

それ以外にないです もう。
逆に考えたら

嫌いなことを ずっと仕事にすること
考えて下さいよ。

嫌いなことを20年 30年 40年やって
定年になりましたって 振り返った時

ものすごいつらいと思う。 僕は だから
どんなに その時の生活が苦しくても

やっぱり 好きなことを
仕事にするっていうことが

最高の 自分への
ご褒美だなっていうふうに思いますね。

う~ん。 でも どうですか?
いろんな制約があって とはいえ

なかなか 好きなことが
できないっていう人には…。

先ほど お孫さんから
すごいヒントが出てましたよ。

その仕事を好きにしちゃうっていう。
あ~。

こういうやり方でやると
割と俺 好きだな~とか。

この会社 本当 人間関係 嫌だな~。
この人間関係を図にして 毎日楽しんで

一杯飲んでやろうとか。
そういう自分のアイデアなんですよね。

嫌いなものを好きになるのには
アイデアが必要で…。

それが面白いんじゃないですか。
楽しくなりますよね。

楽しくなりますよね きっとね。
少なくとも 明日は会社に行こう

という気になる。
そうそう…! 明日 あの嫌なやつ

しょっぱな 何言うかなとか
なりますよね?

乱歩から学びましたね 今日はね。

ますます好きになっちゃった もう。
いい人だな~。

こんな人が 町内に一人いてくれたらな~。

「いや 俺 こんなもう
仕事が いろいろマルチだとかって

いろいろ言われるんですよ」とかって
「気にすんなよ!」つって

「飲め!」なんて言って…。
ねえ? すごい もう行っちゃうのに

毎日行っちゃうのに
おじいちゃんのとこに。

いや でも 今 お孫さんと…。
あ~ お孫さんと!

(笑い声)

ちょっと 酒を酌み交わして頂いて。
じゃ お近づきのしるしに…。

こんなうれしいことはない。
光栄です。  どうも。

昨日は 栗がゴロッゴロ 栗赤飯。


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